富山の極小閘門! 松川舟通し水門…4
(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…3』のつづき)
●堤防を駆け上がり、さて、前扉室に相当するゲートとご対面だと張り切りながらも、ちょっと待て、と立ち止まりました。松川東岸に向かう前に、堤防の上から眺められるものもあるでしょう。
やはり来てみるものです、ゲートの管理橋入口には「松川舟通し水門」と書かれたプレートが。堰柱上には、絵入りの機側操作盤もあり、躯体はともかく、少なくともゲート設備の竣工年は、ここ10年を下らないことが感じられました。

●気になる松川側は‥‥と見回してみると、あった! 後扉室をなす、神通川方のそれとは対照的で、堤防天端よりずいぶん低いところに、地味にぽつりとはまっている風情。しかも全面赤く塗装され、ずいぶん古そうな印象ですね。
赤い扉体は今でも見られますが、巻上機など全体を赤く塗った例は、そう多くないでしょう。裸のモーターや伝導軸はもちろん、スピンドル(巻上機はネジ棒で上下させるスピンドル式でした)のさやに至るまで、だいぶ剥げてはいるものの、一面赤く塗られた痕跡があり、どこかクラシックな消防車のよう。こちらにもごく小さなものですが、左側に機側操作のボックスらしきものが見えますね。

●どう見ても神通川方のそれより古い、電動ゲートの存在に勢いを得て、全貌を拝もうと対岸へ走ってみました(汗だく)。
これは‥‥えらく低いものの、扉体の現存を確認してまずは安堵。右手の壁面、リモコンのスイッチボックスらしいものがここにも! 左側の護岸に梯子が備えられていることとあわせて、舟航施設らしさの横溢するディテールにニンマリ。
●苔むす古びた護岸に、まるでめり込んだようにして、ひっそりと息づく赤塗りの小ゲート! いいですねえ、風情があるじゃないですか。走って見に来た甲斐がありました。
呑口の洗掘を防ぐためか、鋼矢板の基礎護岸が追加されて、入口が浅くなってはいるものの、小舟の通航に支障はなさそうな感じ。ゲート左手からこちらに伸びる電線、巻上機駆動の動力線のようですが、えらく低いところに架設されているのですね。増水時に流されてしまわないか、心配になります。

●扉体周りをズームで手繰って観察。こちら側からのぞくと、反対側から眺めたときより、水位差が大きいように見えますね。舟のもやいが、スピンドル軸から取られているところを見ても、現状松川への通航は、極めて乏しいとみてよいでしょう。
気になったのは、天地方向に伸びる左右のフレームが、扉体より長く取ってあること。水面上の部分には、何でしょう、黒いゴム引きのシートのようなものが、だらりと垂れさがって水流にたなびいています。反対側からもちらりと見えたものの、ごみなのか設備の一部なのか、判じかねたのですが、こうして見ると、どうやらフレームに留められているようですね。
もしかしたら、扉体の最上段はゴム引きシートを張ってあって、それが古くなって裂けたものかな? 本当のところは、それこそ舟で近寄ってみないとわからないものの、あまりないタイプの扉体であることは間違いなさそうです。
●ところで、二つあるリモコンの位置から考えると、どちら側から通航しようとしても、もう一人陸上にいてゲート操作をしてもらわないと、完全な閘門としての動作はできない構造であることに気づかされたのです。
もしかしたら、二つのリモコンで操作できるのは、元からあった松川側のみで、神通川側は常時開なのか‥‥。まあ、水郷の旧扇島閘門(過去ログ『扇島閘門…4』ほか参照)のように、後扉室電動、前扉室人力といった例もあるしと、自分なりに納得。これ以上は眺めていてもわからないので、舟航施設であることが確認できただけでも、今回はよしとすることにしました。
●いやしかし、眺めるほどに謎が多くて、そういう意味では実にそそられる舟通しですね。そして何より、思いもよらないところで大好きなものに出会えた嬉しさ、格別のものがありました!
●思わぬ出会いとの興奮から少しさめて、そういえば、神通川の川景色を眺めに来たんだった‥‥と思い出し、堤防上から一枚。薄霞む山並みをバックに、夕日を浴びて輝く川面、富山の母なる川にふさわしい、優しく雄大な水辺風景にうっとり。
松川舟通し水門については、この翌日にも不思議なご縁があって、再度話題に上ることになりました。後ほどご紹介しましょう。
(27年6月20日撮影)
(『松川にもやう舟たち…1』につづく)
【27年9月2日追記】
舟通しや高水敷の水路の謎、松川の和船については、解明編「松川の舟通しと和船のことなど」をご覧ください。

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やはり来てみるものです、ゲートの管理橋入口には「松川舟通し水門」と書かれたプレートが。堰柱上には、絵入りの機側操作盤もあり、躯体はともかく、少なくともゲート設備の竣工年は、ここ10年を下らないことが感じられました。

●気になる松川側は‥‥と見回してみると、あった! 後扉室をなす、神通川方のそれとは対照的で、堤防天端よりずいぶん低いところに、地味にぽつりとはまっている風情。しかも全面赤く塗装され、ずいぶん古そうな印象ですね。
赤い扉体は今でも見られますが、巻上機など全体を赤く塗った例は、そう多くないでしょう。裸のモーターや伝導軸はもちろん、スピンドル(巻上機はネジ棒で上下させるスピンドル式でした)のさやに至るまで、だいぶ剥げてはいるものの、一面赤く塗られた痕跡があり、どこかクラシックな消防車のよう。こちらにもごく小さなものですが、左側に機側操作のボックスらしきものが見えますね。

●どう見ても神通川方のそれより古い、電動ゲートの存在に勢いを得て、全貌を拝もうと対岸へ走ってみました(汗だく)。
これは‥‥えらく低いものの、扉体の現存を確認してまずは安堵。右手の壁面、リモコンのスイッチボックスらしいものがここにも! 左側の護岸に梯子が備えられていることとあわせて、舟航施設らしさの横溢するディテールにニンマリ。
●苔むす古びた護岸に、まるでめり込んだようにして、ひっそりと息づく赤塗りの小ゲート! いいですねえ、風情があるじゃないですか。走って見に来た甲斐がありました。
呑口の洗掘を防ぐためか、鋼矢板の基礎護岸が追加されて、入口が浅くなってはいるものの、小舟の通航に支障はなさそうな感じ。ゲート左手からこちらに伸びる電線、巻上機駆動の動力線のようですが、えらく低いところに架設されているのですね。増水時に流されてしまわないか、心配になります。

●扉体周りをズームで手繰って観察。こちら側からのぞくと、反対側から眺めたときより、水位差が大きいように見えますね。舟のもやいが、スピンドル軸から取られているところを見ても、現状松川への通航は、極めて乏しいとみてよいでしょう。
気になったのは、天地方向に伸びる左右のフレームが、扉体より長く取ってあること。水面上の部分には、何でしょう、黒いゴム引きのシートのようなものが、だらりと垂れさがって水流にたなびいています。反対側からもちらりと見えたものの、ごみなのか設備の一部なのか、判じかねたのですが、こうして見ると、どうやらフレームに留められているようですね。
もしかしたら、扉体の最上段はゴム引きシートを張ってあって、それが古くなって裂けたものかな? 本当のところは、それこそ舟で近寄ってみないとわからないものの、あまりないタイプの扉体であることは間違いなさそうです。
●ところで、二つあるリモコンの位置から考えると、どちら側から通航しようとしても、もう一人陸上にいてゲート操作をしてもらわないと、完全な閘門としての動作はできない構造であることに気づかされたのです。
もしかしたら、二つのリモコンで操作できるのは、元からあった松川側のみで、神通川側は常時開なのか‥‥。まあ、水郷の旧扇島閘門(過去ログ『扇島閘門…4』ほか参照)のように、後扉室電動、前扉室人力といった例もあるしと、自分なりに納得。これ以上は眺めていてもわからないので、舟航施設であることが確認できただけでも、今回はよしとすることにしました。
●いやしかし、眺めるほどに謎が多くて、そういう意味では実にそそられる舟通しですね。そして何より、思いもよらないところで大好きなものに出会えた嬉しさ、格別のものがありました!

松川舟通し水門については、この翌日にも不思議なご縁があって、再度話題に上ることになりました。後ほどご紹介しましょう。
(27年6月20日撮影)
(『松川にもやう舟たち…1』につづく)
【27年9月2日追記】
舟通しや高水敷の水路の謎、松川の和船については、解明編「松川の舟通しと和船のことなど」をご覧ください。

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富山の極小閘門! 松川舟通し水門…3
(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…2』のつづき)
●舟通し水門の前から南側を向き、高水敷を流れ下る水路の下流側を見たところ。両岸はススキがそよぐ法面、地表との比高は思ったよりあり、向こうには頑丈そうなRC橋が架かっていて、独立した小河川のおもむきです。
橋の上から流れを見てみたくなり、ふたたびざくざくと草むらを踏んで脱出、下流へ向かってみることに。

●水門を前にしていたときから気になってはいたものの、こうして改めて橋の上から眺めてみると、本当に浅いな‥‥。水底はある種のブロックなのか、石を並べてコンクリートで固めたのか、浅い水を透かしてパターンが見えています。
どう見ても子供が入って遊ぶたぐいの、親水施設の流れそのもの。ここ、本当に舟通しを設けるような、可航水路なのかしら?
●橋の上から下流側をのぞいてみると、右側には玉石できれいに法面を固め、水路より一段低く造った池のようなスペースが。水路がもう少し増水すれば、手前で池に越流して、水が満たされるしくみのようです。
水路は池の向こうでぐっと屈曲して、もう一つの橋をくぐり、神通川に注いでいるようですね。しかし、こうして眺めたかぎりでは、本当に親水施設そのもので、舟航は毛ほども考えれていないような雰囲気。なぜ舟通しが設けられているのか、謎は深まるばかりでした。

ホンモノのGoogleマップで松川舟通し水門付近を見る(上は単なる画像)
●流路の探索を垂れ流すと長くなるので、ここでGoogleの航空写真をお借りして、結論を急いでしまいましょう。
舟通しを出たところで急カーブし、いったん南下した水路は、橋の先でさらに180度の大屈曲、その先でまた直角近く曲がってようやく、神通川に注ぐという長大な流路を擁していたのです。
●これだけ道のりを稼げれば、同じ高水敷の幅でも、直線で流下する放水門のそれより、水位差は確かに少なくなります。以前「6月14日の目黒川…4」でも触れた、「三湾一閘」ということわざの意味するところを、目の当たりにしたわけです。
しかし、水位差を屈曲で吸収する、という意味では理にかなっているものの、水深の浅さと、親水施設然とした床固めは、どうにも矛盾しているように思えてなりません。だいたい、せっかく閘門設備があるのに、水位差を少なくするのは意味が薄いような気もします。もしかしたら、元の舟通しは、単なる樋門だったのかもしれませんね。
●妄想するなら、元から閘門設備なしで松川~神通川間の舟航のため、わざと屈曲させていた流路があり、通船量が衰えたところで、親水施設の整備がなし崩しに進み、数少ない通航舟は軽荷状態で引きずるようにして、何とか出入りをしている現状‥‥といったあたりでしょうか。

●橋の上から見た、舟通しと放水門。こんなに近いのに吐口の水位差があれだけできるとは、改めて屈曲河道の効果の大きさを、思い知らされます。
というわけで、かえって謎が深まってしまった結果となりましたが、閘門の機能を持つことはほぼ確実であることがわかり、意気挙がる思い。松川側に飛んで戻り、前扉室をなすゲートを見てみるとしましょう!
【撮影地点のMapion地図】
(27年6月20日撮影)
(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…4』につづく)
【27年9月2日追記】
舟通しや高水敷の水路の謎、松川の和船については、解明編「松川の舟通しと和船のことなど」をご覧ください。

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橋の上から流れを見てみたくなり、ふたたびざくざくと草むらを踏んで脱出、下流へ向かってみることに。

●水門を前にしていたときから気になってはいたものの、こうして改めて橋の上から眺めてみると、本当に浅いな‥‥。水底はある種のブロックなのか、石を並べてコンクリートで固めたのか、浅い水を透かしてパターンが見えています。
どう見ても子供が入って遊ぶたぐいの、親水施設の流れそのもの。ここ、本当に舟通しを設けるような、可航水路なのかしら?

水路は池の向こうでぐっと屈曲して、もう一つの橋をくぐり、神通川に注いでいるようですね。しかし、こうして眺めたかぎりでは、本当に親水施設そのもので、舟航は毛ほども考えれていないような雰囲気。なぜ舟通しが設けられているのか、謎は深まるばかりでした。

ホンモノのGoogleマップで松川舟通し水門付近を見る(上は単なる画像)
●流路の探索を垂れ流すと長くなるので、ここでGoogleの航空写真をお借りして、結論を急いでしまいましょう。
舟通しを出たところで急カーブし、いったん南下した水路は、橋の先でさらに180度の大屈曲、その先でまた直角近く曲がってようやく、神通川に注ぐという長大な流路を擁していたのです。
●これだけ道のりを稼げれば、同じ高水敷の幅でも、直線で流下する放水門のそれより、水位差は確かに少なくなります。以前「6月14日の目黒川…4」でも触れた、「三湾一閘」ということわざの意味するところを、目の当たりにしたわけです。
しかし、水位差を屈曲で吸収する、という意味では理にかなっているものの、水深の浅さと、親水施設然とした床固めは、どうにも矛盾しているように思えてなりません。だいたい、せっかく閘門設備があるのに、水位差を少なくするのは意味が薄いような気もします。もしかしたら、元の舟通しは、単なる樋門だったのかもしれませんね。
●妄想するなら、元から閘門設備なしで松川~神通川間の舟航のため、わざと屈曲させていた流路があり、通船量が衰えたところで、親水施設の整備がなし崩しに進み、数少ない通航舟は軽荷状態で引きずるようにして、何とか出入りをしている現状‥‥といったあたりでしょうか。

●橋の上から見た、舟通しと放水門。こんなに近いのに吐口の水位差があれだけできるとは、改めて屈曲河道の効果の大きさを、思い知らされます。
というわけで、かえって謎が深まってしまった結果となりましたが、閘門の機能を持つことはほぼ確実であることがわかり、意気挙がる思い。松川側に飛んで戻り、前扉室をなすゲートを見てみるとしましょう!
【撮影地点のMapion地図】
(27年6月20日撮影)
(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…4』につづく)
【27年9月2日追記】
舟通しや高水敷の水路の謎、松川の和船については、解明編「松川の舟通しと和船のことなど」をご覧ください。

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富山の極小閘門! 松川舟通し水門…2
(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…1』のつづき)

●息せき切って走り寄ったそのゲートは、先ほど放水門を見に降りたときから、視界の端に入っていたもの。白塗りの扉体でラック式巻上機という、何の変哲もないごく普通の樋門といった風体で、後回しにするのも無理はないような、地味な造作です。
はて、これが閘門の機能を持っているのか‥‥。首をかしげながらも、もっと近くでよく見てみようと、生い茂る草むらの中へざくざくと踏み込んで前進。ちなみに、水路は神通川の高水敷を、半径の小さいカーブで写真右手に屈曲しており、水は松川から流れ出ていて、ゲート下の低い落差で水音を立てていました。
近づいてみて、アッと声を上げました。樋門の中に
舟がもやってるよ!

●いきなり「舟航の証拠だ!」といわんばかりの光景を突き付けられて、嬉しくはなったものの、引っかかるところがいくつもあり、いま一つすっきりしない、というのが正直なところでした。以下、観察した印象をいくつか。
●手前の戸当たりには低い落差があって、このままではどう見ても、こちら(神通川)側に出られる水深があるようには思えませんでした。首をかしげながらよく見てみると、扉体の戸溝のすぐ手前に、もう一対、背の低い戸溝が切ってあって、落差はそこにできているようです。
これ、もしかしたら角落しか何かがはめ込まれていて、わざと落差を作っているのではないでしょうか。考えられる理由としては、船溜(?)として用いている閘室(??)内の水深を確保し、舟が着底しないようにするためとか‥‥。ともあれ、この角落しを抜けば、軽荷状態なら舟を引きずって、手前の水路に出られるであろうと、一人納得しました。
●奥のゲートは越流しているのはわかりますが、これが本物の扉体なのか、手前同様角落しなのかは、反対側に行ってみないかぎりわかりません。しかし、隣の放水門とさしたる距離もないのに、水位差がえらく少ないのは気になりました。これは後で高水敷の水路を眺め、半ば納得することになります。
●おっさんが腕組みをして、一人ブツブツ不気味な思索を巡らしている間も、舟は流水に身を踊らせて、ガコン、ガコンという鈍い音をたて続けています。
舟はタテイタ式の角ばった船首を持った、平底細身の一階(舷側が段差のない一枚板で作られていること)造りで、いかにも川舟らしいそそるスタイル。おそらく漁舟でしょう、中には木製の櫂と、青竹の棹らしいものが見え、左舷に二つあるフェンダーは、L字金具で引っ掛ける構造なのが変わっていました。

●川舟臭さに惹かれながらも、「閘門たる証拠」の方に意識をひゅっと吸い寄せられるのは、無理もないところ。右の側壁にあるスイッチボックスみたいなもの、これは扉体を遠隔操作するものでは?
ボタンらしき出っ張りが3つある! これ「上昇・下降・非常停止」だよね? 足かけ金具を利用した、衝突防止ガードがあるのもそれらしく、脳内ではもう、通航艇用のリモコンに決定。
ここで反対側に走って、もう一つの扉体を眺めたくなる気持ちを抑えながら、水位差の少なさという謎を解くべく、神通川に続く高水敷の水路を見てみることにしました。
【撮影地点のMapion地図】
(27年6月20日撮影)
(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…3』につづく)
【27年9月2日追記】
舟通しや高水敷の水路の謎、松川の和船については、解明編「松川の舟通しと和船のことなど」をご覧ください。

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はて、これが閘門の機能を持っているのか‥‥。首をかしげながらも、もっと近くでよく見てみようと、生い茂る草むらの中へざくざくと踏み込んで前進。ちなみに、水路は神通川の高水敷を、半径の小さいカーブで写真右手に屈曲しており、水は松川から流れ出ていて、ゲート下の低い落差で水音を立てていました。
近づいてみて、アッと声を上げました。樋門の中に
舟がもやってるよ!

●いきなり「舟航の証拠だ!」といわんばかりの光景を突き付けられて、嬉しくはなったものの、引っかかるところがいくつもあり、いま一つすっきりしない、というのが正直なところでした。以下、観察した印象をいくつか。
●手前の戸当たりには低い落差があって、このままではどう見ても、こちら(神通川)側に出られる水深があるようには思えませんでした。首をかしげながらよく見てみると、扉体の戸溝のすぐ手前に、もう一対、背の低い戸溝が切ってあって、落差はそこにできているようです。
これ、もしかしたら角落しか何かがはめ込まれていて、わざと落差を作っているのではないでしょうか。考えられる理由としては、船溜(?)として用いている閘室(??)内の水深を確保し、舟が着底しないようにするためとか‥‥。ともあれ、この角落しを抜けば、軽荷状態なら舟を引きずって、手前の水路に出られるであろうと、一人納得しました。
●奥のゲートは越流しているのはわかりますが、これが本物の扉体なのか、手前同様角落しなのかは、反対側に行ってみないかぎりわかりません。しかし、隣の放水門とさしたる距離もないのに、水位差がえらく少ないのは気になりました。これは後で高水敷の水路を眺め、半ば納得することになります。

舟はタテイタ式の角ばった船首を持った、平底細身の一階(舷側が段差のない一枚板で作られていること)造りで、いかにも川舟らしいそそるスタイル。おそらく漁舟でしょう、中には木製の櫂と、青竹の棹らしいものが見え、左舷に二つあるフェンダーは、L字金具で引っ掛ける構造なのが変わっていました。

●川舟臭さに惹かれながらも、「閘門たる証拠」の方に意識をひゅっと吸い寄せられるのは、無理もないところ。右の側壁にあるスイッチボックスみたいなもの、これは扉体を遠隔操作するものでは?
ボタンらしき出っ張りが3つある! これ「上昇・下降・非常停止」だよね? 足かけ金具を利用した、衝突防止ガードがあるのもそれらしく、脳内ではもう、通航艇用のリモコンに決定。
ここで反対側に走って、もう一つの扉体を眺めたくなる気持ちを抑えながら、水位差の少なさという謎を解くべく、神通川に続く高水敷の水路を見てみることにしました。
【撮影地点のMapion地図】
(27年6月20日撮影)
(『富山の極小閘門! 松川舟通し水門…3』につづく)
【27年9月2日追記】
舟通しや高水敷の水路の謎、松川の和船については、解明編「松川の舟通しと和船のことなど」をご覧ください。

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