浪花濃厚水路…5
(『浪花濃厚水路…4』のつづき)

●高架下水路独特の、いつ果てるとも知れない列柱回廊に興奮しつつ、あまりの暗さに写真が撮れないところもあり、さすが大阪一の濃厚水路(?)、あなどれんわいと感心していたら…。
久宝寺橋を過ぎ、安堂寺橋との中間あたりで、反航船を発見。
●近づいてみると、もう一隻の「アクアmini」でした。曇りに加えて、高架の影で薄暗いので、電飾がよく映えています。
お客さんはたった二人という貸し切り状態ながら、船長さんと三人で、力いっぱい手を振ってくれました。こちらも当然のように、総員帽振れならぬ、手を振って応えるノリのよさ。大阪の人は明るいなあ…。
●コンクリートアーチの、末吉橋も暗くて撮れなかった…橋脚が一列になり、道路の幅が狭まったあたりで、ようやく鋼アーチ、九之助橋を撮影。
青銅風にあつらえた、立派な銘板が取り付けられています。
●その次にくぐったのが、東堀橋。こちらの銘板は、右書きで古そうです。恐らく竣工時からのものなのでしょう。
神田川の鋼アーチ群に似た雰囲気でもありますが、両岸近くの部分が、護岸に取り込まれてよく見えないのが残念。単なる橋台の張り出しなのか、それとももう1径間あるのか…。
●瓦屋橋を過ぎ、上大和橋を望むところで、東横堀川の終点が見えてきました。ここで河道はほぼ直角に右折し、その先は大阪でもっとも賑やかな水路、道頓堀川です。初めてなのに懐かしい、高架下水路ともここでお別れ。
鋼矢板が露出した、ある種愛想のない「運河の曲がり角」ながら、ここでビックリすることになろうとは、誰が予想しえたでしょうや…。
【撮影地点のMapion地図】
(21年9月12日撮影)
(『浪花濃厚水路…6』につづく)

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●高架下水路独特の、いつ果てるとも知れない列柱回廊に興奮しつつ、あまりの暗さに写真が撮れないところもあり、さすが大阪一の濃厚水路(?)、あなどれんわいと感心していたら…。
久宝寺橋を過ぎ、安堂寺橋との中間あたりで、反航船を発見。

お客さんはたった二人という貸し切り状態ながら、船長さんと三人で、力いっぱい手を振ってくれました。こちらも当然のように、総員帽振れならぬ、手を振って応えるノリのよさ。大阪の人は明るいなあ…。

青銅風にあつらえた、立派な銘板が取り付けられています。

神田川の鋼アーチ群に似た雰囲気でもありますが、両岸近くの部分が、護岸に取り込まれてよく見えないのが残念。単なる橋台の張り出しなのか、それとももう1径間あるのか…。

鋼矢板が露出した、ある種愛想のない「運河の曲がり角」ながら、ここでビックリすることになろうとは、誰が予想しえたでしょうや…。
【撮影地点のMapion地図】
(21年9月12日撮影)
(『浪花濃厚水路…6』につづく)

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浪花濃厚水路…4
(『東横堀川閘門…2』のつづき)
●閘門を出た後は、高架下水路の雰囲気を味わいながら、ナニワの名橋めぐり。東京の震災復興橋群と同世代の、大正末から昭和初期にかけて架けられた、古い橋たちの姿が楽しめます。
まずはクリーム色の鋼アーチ、平野橋から。やはりこの年代に造られた橋って、味わいがありますねえ。
●左側に寄っていた阪神高速が、頭上に覆いかぶさってくると、次の大手橋が近づいてきました。
う~ん、この雰囲気、懐かしいと言うか、なじみ深いと言うか…。大阪にいる気がしません。大手橋の造作が、同じコンクリートアーチである、日本橋川の錦橋(過去ログ『日本橋川…8』参照)に、よく似ていることもあるでしょう。
●大手橋をくぐるとき、東詰をよく見てみると、橋詰が護岸の内側になってしまっているのがわかりました。
護岸を前進させて、遊歩道やテラスのスペースを造るのは、いずこも同じのようですが、東京の場合は、橋詰を避けて、護岸を途切れさせるのが普通なのに対して、大阪のそれは、橋の一部を陸に取り込むような形に造るのですね。遠目に見ると、実際より短い橋に見えます。

●しばらく進むと…、おお、橋脚に重厚な装飾を施した、扁平な鋼アーチが見えてきた! ちょっと今まで見たことがない、独特のスタイルをしています。これは古い橋に違いない…。
本町通りを渡す、本町橋です。船長さんによると、大正2年竣工の、大阪で最も古い橋だそうで。やはり! しかし、星霜を経てきた割には、よい状態に保たれていますね。
大阪の橋梁群については、そのほとんどを網羅している「歩いて大阪八百八橋」という素晴らしいサイトがあり、ぜひご覧いただきたいのですが、そちらによると、昭和57年に改修を受けているとのこと。最長老の橋として、大切にされている橋なのですね。
●クランク状に曲がった区間(『本町の曲がり』と呼ばれていたそうです)を過ぎると、桁橋の集中地帯に差し掛かりました。中央大通り、農人橋です。
橋の集中に加えて、頭上には阪神高速1号環状線と13号東大阪線がからみ合い、一大ジャンクションを形成しています。東京で似たようなところを挙げるとすれば、江戸橋ジャンクション(過去ログ『日本橋川…2』)でしょうが、こちらの方がはるかに濃密で、水平すらあやふやになりそうな感じ…。
しかし、桁下の低さ、ゾクゾクしますねえ! 江東区なみに、もっとギリギリな橋もあるのかなあ…。
【撮影地点のMapion地図】
(21年9月12日撮影)
(『浪花濃厚水路…5』につづく)

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まずはクリーム色の鋼アーチ、平野橋から。やはりこの年代に造られた橋って、味わいがありますねえ。

う~ん、この雰囲気、懐かしいと言うか、なじみ深いと言うか…。大阪にいる気がしません。大手橋の造作が、同じコンクリートアーチである、日本橋川の錦橋(過去ログ『日本橋川…8』参照)に、よく似ていることもあるでしょう。

護岸を前進させて、遊歩道やテラスのスペースを造るのは、いずこも同じのようですが、東京の場合は、橋詰を避けて、護岸を途切れさせるのが普通なのに対して、大阪のそれは、橋の一部を陸に取り込むような形に造るのですね。遠目に見ると、実際より短い橋に見えます。

●しばらく進むと…、おお、橋脚に重厚な装飾を施した、扁平な鋼アーチが見えてきた! ちょっと今まで見たことがない、独特のスタイルをしています。これは古い橋に違いない…。
本町通りを渡す、本町橋です。船長さんによると、大正2年竣工の、大阪で最も古い橋だそうで。やはり! しかし、星霜を経てきた割には、よい状態に保たれていますね。
大阪の橋梁群については、そのほとんどを網羅している「歩いて大阪八百八橋」という素晴らしいサイトがあり、ぜひご覧いただきたいのですが、そちらによると、昭和57年に改修を受けているとのこと。最長老の橋として、大切にされている橋なのですね。

橋の集中に加えて、頭上には阪神高速1号環状線と13号東大阪線がからみ合い、一大ジャンクションを形成しています。東京で似たようなところを挙げるとすれば、江戸橋ジャンクション(過去ログ『日本橋川…2』)でしょうが、こちらの方がはるかに濃密で、水平すらあやふやになりそうな感じ…。
しかし、桁下の低さ、ゾクゾクしますねえ! 江東区なみに、もっとギリギリな橋もあるのかなあ…。
【撮影地点のMapion地図】
(21年9月12日撮影)
(『浪花濃厚水路…5』につづく)

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東横堀川閘門…2
(『東横堀川閘門…1』のつづき)
●右手に伸びる閘門の操作棟は、壁面を石材張りにした、昔の駅舎を思わせるなかなか立派な建物で、街中の風景によくなじんでいます。
これで、ゲート型式がローラーゲートだったら、堰柱など上部構造の造作にも意が用いられたのでしょうが、扉体がラジアルゲートとマイタゲートでは、操作棟しかいじりようがなかった、といったところでしょうか。
●東横堀川閘門を製造した会社、栗本鐵工所のサイト「東横堀川水門」には、本閘門のデータや図面が掲載され、なかなか面白く読める記事なのですが、その中「水門扉形式の選定・規模」の項に、「ローラゲートは堰柱が必要で景観を損なう上に、通船時ゲートからの雫が不快である」と書かれており、大いにうなずいたものです。
別にローラーゲートが嫌いと言うわけではなく、写真に撮ったときの存在感や、扉体の保守のしやすさ、高水時の抗堪性などから見て、むしろ大好きで、興味を引かれる存在ではあるのですが、唯一、閘門のゲートとしたときの、あの扉体から降ってくる水たれは、艇に乗る側から見ると、実に困りもの。
次に東京近辺に閘門を造るときは、ぜひ大阪を見習って、ご一考いただきたいものですねえ…。
●で、眼前に控える次なるご馳走、マイタゲートですが。
船長さんによると、「今日は水位差があまりないので、すぐ開いちゃいますね」とのことでしたが、マイタゲートを船で通るのは初めてなので、楽しみにして来たのです。
…あっ、開き始めた!

●扉体が二つに割れて…。
開く。

●ひらく!
●いや~、ローラーゲートと違って、派手な水しぶきを上げるでもなく、ゆるゆると水面に渦を作るくらいで、ひたすら地味なのですが…。観音開きの扉がひらくのって、「開いた」という実感がすごく深いことに気づかされました。
閘門バカの憧れ、マイタゲート(しかも最新型で、大径間の!)のある街、大阪! もうそれだけで、全てが輝いて見える…。
●おまけ。
船が側壁にもやっていたとき、ふと横の階段を見ると、ざぶり、ざぶりと襲い来る船の引き波を 身を硬くしてやり過ごしていたカニさんの姿が。
神田川・日本橋川でも、水質が向上するにつれて、カニの姿を見かけることが多くなりましたが、こちら大阪でも同様のようですね。
(21年9月12日撮影)
(『浪花濃厚水路…4』につづく)

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これで、ゲート型式がローラーゲートだったら、堰柱など上部構造の造作にも意が用いられたのでしょうが、扉体がラジアルゲートとマイタゲートでは、操作棟しかいじりようがなかった、といったところでしょうか。
●東横堀川閘門を製造した会社、栗本鐵工所のサイト「東横堀川水門」には、本閘門のデータや図面が掲載され、なかなか面白く読める記事なのですが、その中「水門扉形式の選定・規模」の項に、「ローラゲートは堰柱が必要で景観を損なう上に、通船時ゲートからの雫が不快である」と書かれており、大いにうなずいたものです。
別にローラーゲートが嫌いと言うわけではなく、写真に撮ったときの存在感や、扉体の保守のしやすさ、高水時の抗堪性などから見て、むしろ大好きで、興味を引かれる存在ではあるのですが、唯一、閘門のゲートとしたときの、あの扉体から降ってくる水たれは、艇に乗る側から見ると、実に困りもの。
次に東京近辺に閘門を造るときは、ぜひ大阪を見習って、ご一考いただきたいものですねえ…。
●で、眼前に控える次なるご馳走、マイタゲートですが。
船長さんによると、「今日は水位差があまりないので、すぐ開いちゃいますね」とのことでしたが、マイタゲートを船で通るのは初めてなので、楽しみにして来たのです。
…あっ、開き始めた!

●扉体が二つに割れて…。
開く。

●ひらく!

閘門バカの憧れ、マイタゲート(しかも最新型で、大径間の!)のある街、大阪! もうそれだけで、全てが輝いて見える…。

船が側壁にもやっていたとき、ふと横の階段を見ると、ざぶり、ざぶりと襲い来る船の引き波を 身を硬くしてやり過ごしていたカニさんの姿が。
神田川・日本橋川でも、水質が向上するにつれて、カニの姿を見かけることが多くなりましたが、こちら大阪でも同様のようですね。
(21年9月12日撮影)
(『浪花濃厚水路…4』につづく)

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東横堀川閘門…1
(『浪花濃厚水路…3』のつづき)
●葭屋橋をくぐって、東横堀川に進入。今橋の下からは…もう、目前に迫ったご馳走が見えるじゃないですか(ニヤリ)。
その向こうにチラリと見えるコンクリートアーチ、昭和4年竣工の高麗橋も、味のあるいい橋なんですが、奥に待つ一大イベントにすっかり意識を奪い取られ、お座なりな写真しか撮れませんでした…。
●ご馳走の名は、東横堀川閘門(通称は『東横堀川水門』のようですね)。東横堀川と、道頓堀川の防潮および水位維持のために設けられた、前後で仕組みの異なる扉体を持つ、珍しい閘門です。
閘室手前の支柱には、通航船舶への注意書きが。通航3日前までに、所定の書式でFAX申請必須、水上バイク通航禁止と、東京にくらべるとずいぶん厳しいですね。年末年始以外は無休なのはよいのですが、プレジャーボートにとって、敷居の高い閘門といえそうです。
●うひょひょ、こりゃスゴイ! 手で触れられそうなほど、間近で拝むことができた、下流側扉体の駆動部分。
巨大なシリンダーやアームは、まだ塗装がキレイで、思ったほど重々しい雰囲気ではありませんでしたが、これだけの質量のものがこね回されて動くとなると、相当な迫力でしょう。
●船が閘室に入り、側壁に接舷すると、船長さんからコメントが。
「皆さん、後ろをご覧ください。歓迎の放水です!」
いっせいに振り返り、歓声を上げる乗客の皆さん。おお、両岸から二条の噴水が。
「…というのはウソで、扉が水の中から上がってくるときに、船が入ってこないように水を出すんですけどね!」

●おおお、潜水艦の浮上シーンのよう…。
警告放水をバックに、青い巨大な扉体が、スリットからの排水を白く見せながら、水面に姿を現しました。
サブマージブル・ラジアルゲートが動くのを、こうして見るのは初めてだったのですが、水中から巨大なモノが浮かび上がってくるシーンの迫力は、想像以上ですね。
…しかし、ご覧のようなビルが建ち並ぶ都心部に、いかつい鋼鉄の腕を常時露出させ、扉を動かす巨大メカがあること自体が素晴らしい。ここで、閘門の運転を目にした子供たちの中から、将来の技術者や土木趣味者が育ってゆくに違いない…。そう思わせる魅力がありました。
【撮影地点のMapion地図】
(21年9月12日撮影)
(『東横堀川閘門…2』につづく)

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その向こうにチラリと見えるコンクリートアーチ、昭和4年竣工の高麗橋も、味のあるいい橋なんですが、奥に待つ一大イベントにすっかり意識を奪い取られ、お座なりな写真しか撮れませんでした…。

閘室手前の支柱には、通航船舶への注意書きが。通航3日前までに、所定の書式でFAX申請必須、水上バイク通航禁止と、東京にくらべるとずいぶん厳しいですね。年末年始以外は無休なのはよいのですが、プレジャーボートにとって、敷居の高い閘門といえそうです。

巨大なシリンダーやアームは、まだ塗装がキレイで、思ったほど重々しい雰囲気ではありませんでしたが、これだけの質量のものがこね回されて動くとなると、相当な迫力でしょう。

「皆さん、後ろをご覧ください。歓迎の放水です!」
いっせいに振り返り、歓声を上げる乗客の皆さん。おお、両岸から二条の噴水が。
「…というのはウソで、扉が水の中から上がってくるときに、船が入ってこないように水を出すんですけどね!」

●おおお、潜水艦の浮上シーンのよう…。
警告放水をバックに、青い巨大な扉体が、スリットからの排水を白く見せながら、水面に姿を現しました。
サブマージブル・ラジアルゲートが動くのを、こうして見るのは初めてだったのですが、水中から巨大なモノが浮かび上がってくるシーンの迫力は、想像以上ですね。
…しかし、ご覧のようなビルが建ち並ぶ都心部に、いかつい鋼鉄の腕を常時露出させ、扉を動かす巨大メカがあること自体が素晴らしい。ここで、閘門の運転を目にした子供たちの中から、将来の技術者や土木趣味者が育ってゆくに違いない…。そう思わせる魅力がありました。
【撮影地点のMapion地図】
(21年9月12日撮影)
(『東横堀川閘門…2』につづく)

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