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広島の水上バス…6

(『広島の水上バス…5』のつづき)

9051.jpg下路式の橋が少ない、などとこぼしていたら、下路式の橋が出現…。ポニートラスの本川橋です。

現在、平和公園のある中島町一帯は、かつて広島随一の繁華街で、この橋の創架も安土桃山時代に遡り、当初は猫屋橋と呼ばれていたとのことです。


9052.jpg近づいてみると、石張りの装飾が施された橋脚、リベット組みのトラスと、星霜を感じさせる外観…。

Wikipedia「本川橋」によると、なんと橋脚は明治30年竣工の先代橋のものを、そのまま使っているとのこと。爆心地から近いだけに被爆損傷し、現在のトラスは戦後、昭和24年に架けられたものだそうです。

9053.jpgびっしりともやった繋留船の列を横目に、昨日渡った丁字形の橋、相生橋に近づくと、いよいよ本川ともお別れ。船員さんの話に耳を傾けつつ、写真を撮ったりしていたので、本当にあっという間の遡上でした。

ここで船はぐっと面舵を切り、元安川に入るのです。

9054.jpgこれも昨日眺めた分流点の突端、「滋仙寺鼻」の丸みのある護岸を右に見ながら、180度近い回頭で、元安川に進入。

右へ左へと、澪筋をたどる下流部もスリリングな面白さがありましたが、分流点を実感しながらぐるりと回るここも、ある種この航路のハイライトとも言えるのではないでしょうか。


9055.jpg滋仙寺鼻を回り切ると、目前に原爆ドームの姿が広がりました。

干潮時なので、昨日見た川の様子とはだいぶ表情が異なり、岸辺には長々と砂洲が露出して、石垣が美しい護岸も、ずいぶんと高く見えます。
おや、ドーム前の石段下には、舟が一艘もやっていますね。何だろう?
撮影地点のMapion地図

(21年7月5日撮影)

(『広島の水上バス…7』につづく)

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タグ : 広島本川アクアネット広島滋仙寺鼻元安川水上バス

広島の水上バス…5

(『広島の水上バス…4』のつづき)

9046.jpg曲線を取り入れた優美な感じの桁橋は、中島神埼橋。遠目にはちょっと古風に見えましたが、昭和60年竣工とのこと。船員さんのお話が面白く、つい撮り忘れてしまったのですが、写真右の青いラッタルが見えるところには、ポンツン式の船着場がありました。

航路を維持するための、浚渫はしているのですか、と質問したところ、「漁業権や市の予算その他の理由で、難しい場合が多い」とのこと。う~ん、ご苦労が絶えないようですね。

9047.jpg広島の目抜き通り、平和大通りを渡す橋、西平和大橋が見えてきました。

橋脚を透かして、繋留船の列が見えました。上流側には、結構な規模の船溜があるようですね。



9048.jpg暗緑色に塗り上げられたガーダー、中央をアーチ状にくり抜いた橋脚など、シンプルな鋼桁橋ながら、メインストリートを渡す橋にふさわしい貫禄が感じられます。

東京と異なり、上部構造を持った下路式の橋が少ない(ほんの一部しか見ていないのに、こう断ずるのも生意気ですが…)のは、何か理由があるのでしょうか。橋上からの眺望を重視しているとか、何か市としての方針があるのかもしれませんね。

9049.jpg初めて間近に見る、広島の川の船溜。面白く感じたのは、その繋留方法です。

通常の水上繋留のように、ブイを一隻宛設けて、それにもやいを取るのではなく、太いロープを長々と流路方向に渡し、そのロープの途中に、ちょうど枝のように各艇のもやいを植えてある(?)という方法のようです。

9050.jpg西平和大橋を過ぎると、もう右側は平和公園。目的地の、元安橋船着場まであとわずか…。

船員さんと、川っプネ話に花を咲かせながら、せめて残りの時間を存分に楽しむこととしましょう。
撮影地点のMapion地図

(21年7月5日撮影)

(『広島の水上バス…6』につづく)

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広島の水上バス…4

(『広島の水上バス…3』のつづき)

9041.jpg西岸に寄せて吉島橋をくぐったら、今度は右へ舵を当て、東岸寄りにもってゆくというジグザグ航行。操縦者は、澪筋が頭に入るまで、相当な緊張を強いられそう…。

近づいてきた第二橋は、古びた肌合いのコンクリート桁橋、舟入橋。やはり、右から三径間目に「航路」の表示があります。


9042.jpg複雑な澪筋を把握するのは、大変でしょうと船員さんに問うと、「まず右手のあのビルを目指して、通り過ぎたら、左のあの屋根を目標にして…」と、目標の取り方の例を熱演してくれました。

私は、これだけ浅いところを通る船なので、てっきりウォータージェット推進だと思っていたら、船員さんによるとシャフト船(プロペラ推進)なのだそうです。なおさら座洲には、気を遣うわけだ…。

岸に釣り人さんの姿がちらほら見られるようになると、船はぐっと速度を落とし、引き波を立てないように進みます。しかし、大潮の満潮になると、あの釣り人さんの背丈の、倍くらいのところまで水面が来るわけですね。今さらながら、東京との違いを実感。

9043.jpg次の橋は、初めての下路式の橋ですね。朱色の塗装も鮮やかな、古典的な魅力の鋼ローゼ、住吉橋。

初代橋創架は明治43年、以後幾度となく増水時に流出の憂き目に会い、「流れ橋」という不名誉な俗称を得たのだそう。澪筋は「航路」表示のとおり、ここも右に寄っています。船員さんによると、この橋は桁下が低く、満潮時の通過は難しいのだとか。

9044.jpg住吉橋のすぐ上流にある、新住吉橋。国道2号線を渡す橋です。

ここでようやく、澪筋が河道中央に来た模様。左には繋留船もちらほら見えます。

9045.jpg二つの橋名の由来でもある、東岸にある住吉神社。手前の護岸上には、神事に使うのでしょう、伝馬らしい和船が置いてあり、目を引かれました。白木の色からして、まだ新しい舟のようですね。

櫓走舟かしら、と思っていたら、船員さんが「櫂で漕ぐんですよ」と教えてくれました。今は護岸の上に鎮座した状態ですが、満潮時はもちろん、水に浮くのでしょう。
撮影地点のMapion地図

(21年7月5日撮影)

(『広島の水上バス…5』につづく)

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広島の水上バス…3

(『広島の水上バス…2』のつづき)

9036.jpg…と、勢い込んでキャビンから飛び出る前に、またも左舷を下り便が通過、慌てて取って返し、カメラを構えます。

こちらは直線的な、なかなかスマートなデザイン。客席窓は大きく、眺望も良さそうです。アクアネット広島船隊、なかなか個性的な船をそろえているようですね。


9037.jpg間もなく左舷側に見えてきたこれ、なんだか物々しい感じで、船の造修施設かと思ったのですが…。

デッキに出てきた船員さんによれば、カキの水揚げに使う施設のこと。


9038.jpg本川の第一橋である、吉島橋が見えてきました。船はぐっと取り舵に当てて、西岸ギリギリに寄せてゆくようです。

どうやら、河道の中央は浅いようですね。干潮時の今は、なおさら航路が制限されるというわけでしょう。

9039.jpg吉島橋西詰近くの岸壁には、河川清掃船がもやっていました。船名は「びあ」? やはり、二つの船体の間に、コンベアを備えているのでしょうか。

東京のそれは、航行時にもよく行き合ったことがありますが、他地方のものを見るのは初めて。川の街ならではの装備と言ってよろしいでしょう。

9040.jpg吉島橋をくぐるとき、桁を見上げると、昨日見た相生橋同様「航路」の文字が…。

こんな岸近くの径間に澪筋が寄っているとは、やはり意外で、広島の川の厳しさがうかがい知れるとともに、川走りの醍醐味が早くも味わえたような気がして、軽く興奮してしまいました。
まだまだ、楽しませてくれそうです!
撮影地点のMapion地図

(21年7月5日撮影)

(『広島の水上バス…4』につづく)

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タグ : 広島本川アクアネット広島清掃船水上バス

広島の水上バス…2

(『広島の水上バス…1』のつづき)

9031.jpgお客さんは各ボックスに一人づつ程度と、ほどよい混み具合で定刻に出港。風のないおかげで、一面に蒙気が立ち込めるあいにくの天気ですが、波は静かで、乗り心地は上々です。

エンジンの爆音はますます高まり、船は船首をぐっと高めて、スピードを上げてゆきます。これって…もしかしてプレーニング(滑走状態)に入っているの?

9032.jpg乗るまで気づかなかったのですが、この航路の船は、れっきとした高速船なのですね。姿勢の低い、いかにも水上バスといった姿からは想像できない韋駄天ぶりで、広島湾を切り裂いてゆきます。

ちょうど下り便が反航してきて、その走りぶりを見ることができました。船員さんによると、ボルボ製のエンジンを搭載しているのだとか。ちょうどお客さんに、スゥェーデンから来た人がおり、船員さんは「あなたの国のエンジンを積んでいる」と、熱心に説明していました。

9033.jpg宮島の最北端、聖崎沖を通過するとき、船員さんの示す方を見ると、石造りの灯明台が。この小島は蓬莱岩という岩礁で、海難防止のため、江戸末期に灯明台が造られたのだそうです。

これに毎晩灯りをともすのは、大変な仕事だったことでしょう。今は見たところ、石造部分しか残っていないようでしたが、かつては木造の足場や、油障子をはめ込んだ火屋があったに違いありません。

9034.jpg激走(?)20分、クレーンの林立する港湾風景が近づいてきました。三菱重工の広島工場ですね。

船員さんの説明では、ボーイングの航空機部品を製造しているのだとか。写真では陰になっていますが、右手の建屋側面には、ジャンボ機の絵が描かれていました。


9035.jpg三菱重工を左手に見て、さて、いよいよ本川(旧太田川)へ進入です。

船足は次第に落ちて、船首が下がってきました。もはやじっとしていられません。勢い込んで、船員さんに「外に出ていいですか?」と声をかけると、気圧されたようにハッチを開けてくれました。
さあ、ここからが本番だ!
撮影地点のMapion地図

(21年7月5日撮影)

(『広島の水上バス…3』につづく)

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