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さようなら、船の科学館本館

(『3月10日のフネブネ…4』のつづき)

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3月10日のフネブネ…3」で東京海上保安部をのぞいたのはついでで、船の科学館本館に、水上から別れを惜しみに訪ねていたのでした。

船の科学館、“船”の本館が2月から解体 別館と屋外展示は公開終了」(Impress Watch

平成24年9月の休館(『船の科学館、9月末で休館に』参照)、"ミニ展示場"への規模縮小以来、再起を念じてきましたが、ついに解体に取りかかるとの報を聞いて、お別れに来たのです。

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船橋周りのアップ。屋上についているレーダーの画像がリピーターで見られたこと、実物さながらにウィングがあって、眺望と開放感を楽しんだことを思い出します。

小学校の社会科見学から始まって、艦船に興味を抱くようになり、さらに和船ファンになってと、成長し訪ねるたびに展示物の充実ぶり、展示手法の見事さを感じてきたものでした。

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この日は抜けるような青空で、光線の具合もよろしく、白亜の"船体"が感動的に映えて、涙ぐむような最高の好天下。

今後の展示は「宗谷」のみとなり、東京灯船の灯器や、装甲巡洋艦ナヒモフの砲などの屋外陳列の展示物、別館ともども工事に入って、見学できなくなるとのこと。膨大な収蔵品や資料はどうなってしまうのか、移転先は決まっているのか‥‥続報を待ちたいところではあります。

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マストトップ(?)の展望台をズームでたぐって。タイトルに掲げた画像の一瞬前に撮ったものです。ここも、あそこも‥‥各デッキに、各展示室に、それぞれ思い出があって、その日そのとき目にした光景がフラッシュバックするばかりで、言葉になりません。

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第一航路へ出て、正面からの姿を一枚‥‥と思ったら、東八潮緑道公園の緑に隠されて、"船体"部分が見えなくなっていたのを忘れていました。水上から全体像が拝めるのは、今やごく限られた角度でしかないのです。

周囲の埋め立てが進み、北側にビルが立ち並び、そして南側にはクルーズターミナルと桟道ができて‥‥と、東京港に浮かぶ巨大客船さながらのスタイルを意図して造られた本館も、周りが建て込んでくるにつれ、その外観の意義が次第に薄れていったように思えなくもありません。かつてのある種荒涼とした、地先感濃厚な環境こそが、巨船を擬した本館のもっとも輝いていた時代だったのかもしれませんね。

(令和6年3月10日撮影)

(『3月10日の水路風景…1』につづく)

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タグ : 船の科学館有明南運河

11月13日の有明南運河

(『「もがみ」型護衛艦来航…5』のつづき)

289026.jpg新鋭護衛艦を眺めに防波堤の内側へ入ったついでと、現在は内水面となった有明南運河の風景も少し。一昨年9月に訪ねた折は曇り空でしたから、晴天下の景色を記録しておきたくなったのです。

まずはターミナルの本屋を間近から仰いで。湾曲した屋根を、青空をバックに見上げるのはなかなか爽快な気分です。

289027.jpg水面に白亜の倒立像を映す、船の科学館本館も。平成23年9月に休館してから、早や11年‥‥。再開の声はいまだに聞こえてきません。

宗谷は運河の対岸に移動、ターミナルに至る道路も架橋されと、周りもずいぶん変化しましたが、本館の威風堂々たる巨船に擬した姿が変わらないだけに、なおさらもの悲しいものが。何とかならないものですかねえ。


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でまあ、一昨年9月同様、「宗谷」に吸い寄せられるお約束の展開に。か細い朝の陽射しとはいえ、陽光があるとなしとでは大違い。船体のオレンジが映えてキレイですね。

舷外に大きく張り出したヘリ甲板と、まろやかな船尾から水面に向かって深々と突き刺さるアイスホーンが、「宗谷」のおいどならではのチャームポイントでしょうか?

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幾多の改造を経て変貌を重ねながらも、船殻や上甲板のラインには戦前竣工のフネならではの香気が濃厚に。

昭和38年、南極観測の任を解かれ、巡視船として北洋の警備救難に就いてからの様子を、作家の北杜夫が同乗取材して書いた随筆を読んだことがあります。それによれば、オホーツク海の氷でもものによっては難航することがあり、何度もラミングしたり、氷塊に閉じ込められて進退もままならず、ヒーリングで氷を割ったこともあったとか。

日本近海でも、海象によってはこれほどの苦境におちいることもあった本船、桁違いに厳しい南極の氷海での辛苦たるや、想像するだに余りあるものがありますね。

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水際のテラスにできるだけ寄せ、船首側からの全容を収めたかったのですが、近寄り過ぎたのが仇になって、何とも中途半端な一枚に。それでも舷側に見られるリベットだらけの継手や、舷窓の塞いだ盲蓋など改造の痕を眺めて、楽しいひとときを過ごしたものです。

テラスでお散歩中の人たちは、異様な行動をする不審船の接近に驚いたのでしょう、足を止めてじっくり観察されてしまい、ちょっと恥ずかしかったですが‥‥。
撮影地点のMapion地図

(令和4年11月13日撮影)

(「11月13日のフネブネ」につづく)

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タグ : 有明南運河

曇り空のフネブネめぐり…7

(『有明南運河は健在なり』のつづき)

255036.jpg少し西へ移動し、「レース・フォー・ウォーター」が橋脚の間に見えたあたりで、ふたたびくぐって戻ることにしました。

西へいくほど桁下高が低くなっているので、潮位の高い日など、すり抜けも楽しめそう‥‥などと、よこしまな気持ちも当然湧き上がってくるわけであります。


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隅田川から月島川へ入りました。月島川水門の前に新しく架かった橋、桁下はもちろん扉体より高い位置にあるのですが、水門をくぐってから振り返ると、航路を扼するようにぐっと低く見えて、しかも思ったよりかさのある印象。

こうして何か構造物が追加されるたび、意外なところに新しい景観が生まれて、角度によってはあっ、と気づかされる面白さがありますよね。

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月島川は船溜の水路でもあり、通るたびに業務船の船影が楽しめます。まず目についたのは曳船「一号千羽丸」。ブルーの船体色はまだ鮮やか、タイヤのフェンダーも黒々ときれいで、新調されて間がないようですね。直線で構成された甲板室の造作もモダンで、古典的な曳船スタイルとはまた違った魅力にあふれています。

255039.jpgそして月島川といえば、月島橋北詰にある船宿さんの、旧海軍内火艇のなれの果てらしき桟橋。今回も屋形がもやっており、ほんの一部、トランサムをかいま見ただけでしたが。

平成26年12月の写真とくらべてみると、だいぶ褪色が進み、水線付近も汚れてきたようです。外野としては、少しでも長く生きながらえてくれることを祈るばかりです‥‥。

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朝潮運河に出て左折、朝潮橋近くの曳船溜も、美しく整備されたさまざまな曳船たちが整然ともやう、楽しいところです。

今回注目したのは、「第十六東庄丸」。何度も出会っていると思うのですが、船尾方向から見てようやく気づきビックリ、カタマランだったんですね! 二つの船体も幅があり、いかにもどっしりと重心の低い、頼もしさあふれる後姿。押船として活躍しているところを見てみたいものです。

(令和2年9月21日撮影)

(『曇り空のフネブネめぐり…8』につづく)

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タグ : 有明南運河月島川朝潮運河月島川水門曳船

有明南運河は健在なり

(『曇り空のフネブネめぐり…6』のつづき)

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大仰なタイトルをつけましたが、単に塞がれたと思っていた水面が意外と自由なのに気づいただけで、何をしたというわけではありません、ハイ。

‥‥というわけで、東岸から運河上をターミナルへ伸びる道も、新しい橋には違いなし。ここは水路徘徊者として、くぐり初めとまいりましょう。

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255033.jpgくぐりながら、桁裏を見上げて。コンクリートスラブや橋脚の生地もまだ白くきれいで、清々しさが頭上から降ってくる感じ。落橋防止のための仕掛けは、桁の中に仕込んであるのでしょうか、外観はすっきりしていますね。

右はくぐってから振り返ったところ。「宗谷」が橋の向こうに見える風景、かつてを知る身からすると、何か不思議な気がします。

255034.jpg西側に目を向ければ、橋がターミナルの北端に合わせて身をくねらせてゆくさまが望めました。

かつて官庁船のもやっていたバースのあったここも、ご覧のとおりすっきりしましたね。ターミナル桟橋の北端とのすき間は十分ありそうですが、通航の可否は今回確認しませんでした。


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かつての「宗谷」定繋地だったここ‥‥こんなに間近から、船の科学館を見上げられる日が来るなんて。テラスを散策する人もちらほら見られ、手を振る子供たちに応えながら、静かに息づいていた有明南運河を堪能。

水面が埋め立てられたわけでなし、かえって見どころ(?)が増えて、面白みが増したような有明南運河。一巡して、その“健在”ぶりを確認したというお粗末でした。
撮影地点のMapion地図

(令和2年9月21日撮影)

(『曇り空のフネブネめぐり…7』につづく)

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タグ : 有明南運河橋の裏側

曇り空のフネブネめぐり…6

(『曇り空のフネブネめぐり…5』のつづき)

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海上保安部の桟橋のすぐ隣、水上バスの船着場だったここにもやっていた船が、また強烈でした。「レース・フォー・ウォーター」、海洋プラスチックゴミの問題を訴えながら、世界中を周航しているウェーブピアシング船型のカタマランで、まさに珍客といってよいものです。

平成29年4月2日にフランスのロリアンを出港、約27000浬を300日余りかけて日本近海に至り、2月の石垣島をはじめに国内各地にも寄港、東京に来航したのだそう。その道々はさておき、変わり型の極致といえる船型と、多元動力を採った推進法は大いに興味をそそられます。

255027.jpg左舷側に移動してサイドビューを。張り出しが多いので影になり、曇り空が恨めしいかぎり。船型だけ見ると、30kt以上は出そうに思えますよね。

オフィシャルサイトによると、動力は太陽光発電、燃料電池、さらに40平米の凧を帆とした風力もあるという三元動力。細かい要目は出ていませんでしたが、全長35m、排水量100t、速力8ktとのこと。

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255029.jpg有明南運河のエリアに入りました。オレンジ色の「宗谷」を前にして、灰色一色の曇天下では、その鮮やかさに正直、救われた思いがしたものです。

工事が続いていたこともあり、水上から訪ねるのは本当に久しぶりです。乗り組みさんに挨拶しながら、船首まで時間をかけて眺めたものでした。


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「宗谷」と船の科学館の間、運河上を長手方向へ縦断する形で、ターミナルへの道路が桟道状に軽くくねりつつ伸びているのはご存じのとおり。正面、西側はターミナルで塞がれてしまったし、工事が始まったとき「ああ、有明南運河は終わったのだ‥‥」と、嘆息したものでした。

しかし、こうして久しぶりに入ってみると、埋め立てられたわけでなし、「宗谷」が移動しただけで、水面も三方のテラスもほぼそのまま。そうだ、有明南運河は(運河の機能を喪失したとはいえ)、まだ健在なんだ!

‥‥‥‥となれば、この桟道は新しく架かった橋も同然。くぐり初めにおよばなければなりますまいよ!
撮影地点のMapion地図

(令和2年9月21日撮影)

(『有明南運河は健在なり』につづく)

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タグ : 有明南運河