最上川舟下りを楽しむ…9

(『最上川舟下りを楽しむ…8』のつづき)

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近づいてみると、正面に名前が大書きされていることが判明。草薙頭首工! 何と、取水施設だったとは! 頭首工というと、堰が必ずあるものとばかり思い込んでいましたから、驚くと同時に、興味が湧いてきました。

なるほどよく見てみれば、扉体こそ構造の内側に収まって見えないものの、4径間の水門設備そのもの。しかし、箱形に体裁よくまとまって、堰柱を高々と伸ばしたゲートとは、また違った魅力がありますね。屋根をエンジに塗り分けているのが効いていて、全体を引き締めていますし、名前を大書きした書体にも味があり、風格を感じさせます。
日向川土地改良区WebSite」に掲載された写真を見ると、現在とは外観が異なることから、近年大きな改修があったのでしょう。

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すっかり気に入ってしまい、下流側からもう一枚。先週からのタイトルにも掲げさせてもらいました。この背後まで管理用道路が走っているようですが、一般車でも入れるのでしょうか。

帰宅後検索してみたら、「最上川舟下りWeb担当船頭オガタのブログ」の記事「草薙頭首工」で、中を見学されたときのレポートが! 予約すれば無料で見学でき、資料室もあるのだそう! 行ってみたいなあ。灌漑面積、実に5,033.6ヘクタール、ここから取り入れられた水が、庄内の田んぼをうるおしているのですね。

183048.jpg最後に意外な物件も楽しめて、眼福の余韻に浸りながら、草薙港‥‥最上川リバーポートへ到着。

偽古典調の古口港とは対照的に、観光施設然としたどこか楽しげな外観。法面は階段状のギャラリー席のような造りで、帆を上げた和船の姿も大きく描かれ、河港の名に恥じない、隅々まで整備された印象でした。



183049.jpg船頭さんやガイドさんにお礼をいって下船、法面を半ばまで登ったところで、お別れの一枚。

陽を浴びて輝く晩秋の山肌が視界いっぱいに広がり、右手には草薙頭首工も遠望できて、古口に劣らずロケーションのよい船着場ですね。いや~、最上川初体験、芯から楽しめました、ありがとうございました!



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客扱いを終えてすぐ、第十五芭蕉丸は桟橋を離れて、古口に帰ってゆきました。この流速に抗しての遡上とあって、派手に船首波を盛り上げ、白いウェーキを長々と引き、爆音を響かせての力走ぶり。次回は遡上便にも乗ってみたいものです。

ちょっとズームでたぐって、草薙頭首工と芭蕉丸のツーショットをものしてみました。峡谷をゆく観光船と巨大取水施設! 国内にも恐らくまれであろう可航河川の風景を、高みから俯瞰できる幸せ、本当に来てよかったと思えた一瞬ではありました。

(27年11月22日撮影)

(『山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…1』につづく)

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タグ : 最上川 最上峡芭蕉ライン 草薙頭首工

最上川舟下りを楽しむ…8

(『最上川舟下りを楽しむ…7』のつづき)

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仙人堂のすぐ下流にもやっていた船、「しらいと1号」。状態から考えて、もう長い間使われずに、ここに繋いだまま放置されているようですね。この向こうにも同型の船がもう一隻いて、少し傾斜していることから、浸水もしくは岸に乗り上げているようです。

現存の2船社で使われていたものなのか、もう廃業した船社のものか‥‥。そのスタイルと、誇らしげな「WaterJet」のロゴがいかにも昭和40年代チックで、最上川で過ごしてきた年月の長さが思われました。

183042.jpgおおお、今度の遷急点は規模、勾配ともに大きそうだ‥‥。

しかし、考えてみると、遷急点の処理というのも難しそうですね。船にとっての障害を取り除こうと、全幅に渡って掘り下げてしまったら、上流側の水深が減ったり、流速が速くなって、かえって困ったことになるのは目に見えています。ちょうど堰を一径間のみ開放するような感覚で、必要最低限の航路幅のみ確保するしかないのでしょう。

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いやもう予想どおり、今までで一番の激しさ。渦を巻き、砕ける波がしらが陽光を反射してキラキラと輝く、美しくも怖気をふるう川景色こそ、日本三大急流の証であります。

183044.jpg流れが緩くなると、名所の一つである白糸の滝が見えてきました。ガイドさんの説明によれば、落差実に120m、河畔の落とし口に見えるのは不動堂で、鳥居と祠の丹塗りが緑に映え、箱庭か一幅の絵のよう。「日本の滝百選」に選ばれたのもうなずけます。

滝や落差がつくる瀑布というのは、船も通わない山中深くにあるものという先入観がありますから、可航河川から、しかも結構な大きさの船に乗ってゆったりと、こんなにたくさんの滝を眺められるなんて、実に新鮮なものがありました。


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ガイドさんより、間もなく草薙港に到着しますとのアナウンスが。航路延長12km、「日本一長い川下り」を自称する芭蕉ラインの旅も、お別れが近づいてきました。

ここで初めて、大きなコンクリート造りの建物が出現、目線が吸い寄せられました。河畔に建てられたこの手のものといえば、発電所が真っ先に思い出されますが、それにしては背後の斜面に水圧鉄管が見えない‥‥。手前で波をたてる、恐ろしげな岩に意識を奪われつつも、近づいてくる建物から目が離せません。
撮影地点のMapion地図

(27年11月22日撮影)

(『最上川舟下りを楽しむ…9』につづく)

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タグ : 最上川 最上峡芭蕉ライン 草薙頭首工

最上川舟下りを楽しむ…7

(『最上川舟下りを楽しむ…6』のつづき)

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「水上コンビニ」を離れてしばらく下ると、山肌が少し岩っぽくなってきたな、と思ったら、右舷側に大きな露岩が。正横を通過しながら眺めていると、褶曲というのでしょうか、バームクーヘンのように曲がった地層が見られて、天然の造形美が楽しめました。

183037.jpgあっ、また遡上船だ。今度のは遠目にも船体の塗色が違うのがわかり、期待して近づくのを待っていたら‥‥。

やはりいま一つの船社、義経ロマン観光の船でした。船名は「第2義経丸」、船社は違えど、大きさ、造作とも略同のようですね。こちらは芭蕉ラインと異なり、一つの拠点を発着地とする周遊コースなので、遡上してからまた戻ってくるのでしょう。

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いくつも見られた大小の滝のうち、特に気に入ったのがこれ。刻まれた谷筋が少し深めで、数度の屈曲で表情に変化があり、流頭部あたりに小さな橋が見えるのも、お散歩してみたくなるような、どこか夢があっていいですね。

183039.jpgそして遷急点。下って回を重ねるごとに、波は激しさを増し、洗岩もますます荒々しく、剣呑さのステージがどんどん上がっていく気がするのですが!

船頭さんにとっては、もちろん通い慣れた船路でしょうが、ひとつ舵を誤ればただでは済まないことは、素人目にもわかります。船社独自の教習用河川図とか、測深データも入れたGPSログとかはあるのかなあ。


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こちらが義経ゆかりの伝説もあるという仙人堂。美しく整備された杜を透かして、木造の本殿が見られました。

義経ロマン観光の発着場である高屋から、渡し船も出ているとのこと。写真にもそれとおぼしき船が、階段の前にもやっているのがわかりますね。

【撮影地点のMapion地図】

(27年11月22日撮影)

(『最上川舟下りを楽しむ…8』につづく)

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タグ : 最上川 最上峡芭蕉ライン

最上川舟下りを楽しむ…6

(『最上川舟下りを楽しむ…5』のつづき)

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喫煙やお手洗いで船を出る人に続いて、桟橋へ上がってみました。屋根は形鋼と角パイプで組まれ、いかにも頑丈そう。高さが低いことを除けば、駅のホームに近い雰囲気も感じられます。

上屋の中央には開口部があり、背後の岸辺に出られるようですね。特に止められることもなかったので、足早に橋を渡り、上陸してみました。

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桟橋を岸側から見たところ。途中で上陸するというだけで気分が高揚し、ニヤつくのを抑えられませなんだ。しかも山間の可航水路で、急峻な斜面がそのまま川へ落ち込む狭窄部とくれば、嬉しさも3倍(当社比)しようというものです。

桟橋の固定は前後2本の鋼索により、さらに岸との間に角材2本をかって、間隔を保つしくみ。流れが緩い区間のせいか、思ったより簡素ですね。増水時など危険が迫ったときは、もやいを解いて船でどこかへ曳いてゆくのでしょうか。

183033.jpg水際のスロープ上から見上げると、丸石をコンクリートで固めた石垣の上には、石仏が川面を向いて何体か並び、山小屋のような建物が見えました。

芭蕉ラインのサイト「体験と遊び」によれば、ここは「ふるさと村」といって、バーベキューや魚のつかみ取りをして遊べる行楽地なのだそう。船でしか行かれない、というのが秘境じみていて素敵じゃないですか。


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船に戻ったところで、乗船時は見られなかった屋根の上を一枚。

パイプ組みの上に厚手のビニールをかけた、いわばオーニングなのですね。ピンと張られてシワがほとんど見られず、清掃も行き届いているので、ちょっと見にはビニールの感じがしないのが凄いところ。

183035.jpgお店に注文しておいた、焼き団子と鮎の塩焼きを受け取って船内に入ったところで、ちょうど出港となりました。川景色を眺めながらいただくオヤツ、最高の贅沢であります。

焼き団子、からめた味噌ダレが実に素朴な味で、美味しいのなんの。もともと味噌飴、味噌餡のまんじゅうなど味噌系のお菓子に弱いタチなのですが、甘辛さとツブツブのハーモニーが絶妙で、たちまち平らげてしまいました。

(27年11月22日撮影)

(『最上川舟下りを楽しむ…7』につづく)

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タグ : 最上川 最上峡芭蕉ライン

最上川舟下りを楽しむ…5

(『最上川舟下りを楽しむ…4』のつづき)

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前方に見えるのは、狭窄部でしょうか。左右の稜線が川面へ向かって落ち込んでゆくあたりには、白い線を引いたような瀬も見られ、可航幅はいかにも狭そう。

船は取舵に当てて、ぐんぐんと左側の岸に寄せてゆきます。思ったとおり、澪筋は限られているようですね。

183027.jpg間なしにドシン、ドシンと波が船体を叩き始め、遷急点に入ったことがわかりました。今までのそれより波はずっと荒く、ゴロタ石の河原もやたらと近く見えて、スリル満点。

窓から船首波が上がるのをのぞき込んでいたら、前方からまたも遡上してくる船が! 可航幅の狭いここで、うまくすれ違えるのかしら?


183028.jpgまあ、もちろんつつがなくすれ違えたのですが、反航船は岸ギリギリまで寄せること寄せること、見ているこちらが肝を冷やすほどでした。

船は同じ船社の第十六芭蕉丸、船頭さんはやはり大きく手を振ってくれ、余裕の表情。流れが速いだけに、屈曲の外側は岸の直下まで深掘れしているようです。



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ここでガイドさんから、航程も半ばだし小休止します、との案内が。えっ、何だろう? 続けて聞けば、「水上コンビニ」なるところに船を着けるとのこと。船に乗ったまま、飲み物や軽食を買えて、上がってお手洗いや一服もできるのだそう。

おおお! そういうのには目がないタチです! ワクワクしながら前を見ていると、きれいに切り開かれた法面の前あたり、屋根つきのポンツン桟橋を発見、あれだ!

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船は減速しながら、いったん桟橋の前を行き過ぎ、上流に船首を向けて達着するべく、ぐるりと回頭。軒先にずらりと貼られたカラフルな正札、店台に飲料の冷蔵庫と、遠目に眺めただけでも楽しそうですね!

すでに紹介した水郷・新左衛門川や、柳川でも同様のサービスがありますが、こちらは規模において格段に大きく、人家もまれな河岸に店を構えているという点から見ても、存在感はけた違いですね。ご当地ならではの美味しいものがあったら、ぜひ買ってみよう!
撮影地点のMapion地図

(27年11月22日撮影)

(『最上川舟下りを楽しむ…6』につづく)

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タグ : 最上川 最上峡芭蕉ライン