新砂水門の謎の穴

(『新砂水門を通る』のつづき)

4067.jpg新砂水門でひとつ、以前から気になっていることがありました。右の写真中、赤いで示した、ラッパ状のテーパーがついた穴…。反対側(対岸)にも、同じ穴があります。

運河側のこちらは、可動橋に信号、ゴムフェンダーとディテールが豊かで、その上本船がブチ当たったと思しき、ひしゃげた保護工も無残な姿をさらしていますから、小さな穴は埋もれがちですが、なぜか私は、この穴に吸い寄せられてしまったのです。

4068.jpg荒川側にも、ご覧のとおり謎の穴が、さび色の肌を見せて、ささやかに自己主張。穴の奥は、中心と一致しておらず、上に偏っているのがわかります。

これらの用途が、今一つ見当がつかず、心のすみに引っ掛かっていたのです。排水口にしては大げさすぎるし、位置が不自然。対になっていること、扉体の内外にあるのも、何かわけがありそう。
しかもこのカタチ、どこかで見たような…。

4069.jpg素朴なギモンは、昨年5月6日に訪ねた、那珂湊漁港水門(Doblog『水路をゆく』に記事があるのですが、いずれ消滅してしまうので、リンクはしません。ブログ内検索で探してみてね。)の写真を見て、氷解しました。
撮影地点のMapion地図

那珂湊のこれは、水門閉鎖時にチェーンが上がってきて、水門に船が衝突しないよう、通せんぼする仕組みになっているのがわかりますね。

新砂水門の謎の穴も、恐らくこれと同じく、水門閉鎖時に穴を通してワイヤーなどを渡し、扉体を守るためのものなのでしょう。那珂湊のそれが、頻繁に閉鎖されるため、チェーンも常設で、巻上機を備えているのに対し、新砂は閉まることが少なく、あくまで緊急時のためといった位置づけなのでしょう。

どこかで見たようなカタチ、というのも、ワイヤーやチェーンを通すためとくれば、納得がいきました。本船の船首などに見られる、ムアリングホール(繋船用のロープなどを通す穴)が、ロープが擦り切れないよう、こんなラッパ型をしています。
水門のディテールも、調べてゆくと興味が尽きませんね。このあたり、国土交通省や各自治体に、水門紹介のサイトやパンフレット類の充実を、お願いしたいところです。

そうそう、先日「新砂水門を通る」で触れた、Mapion地図上に描かれた謎の橋のような構造物ですが…。コメント欄でのがーちゃんさん(ブログ『がーちゃんフォトアルバムVol.2』)のご指摘で、Google地図でも同様に描かれていることが判明。

コメント欄ですでに書きましたが、さっそくGoogle地図を開き、近隣の水門と「謎の橋」の描かれ方をくらべてみると、どうやらコレ、橋でなく水門を描いたようなのです。
検索してみても、新砂水門前に、新たに水門を増設する話はヒットしないので、やはり謎であることには変わりはないのですが…。

せっかくですから、航空写真と地図を見くらべてみましょう。
二つも地図を埋め込むと、ちょっと重くなりますから、まずは複写でご覧いただき、Googleへはこちらのリンクでどうぞ。

新砂001
航空写真ではもちろん、現状のとおりです。夢の島側からだけ、道の表示が水面上に伸びているのが、なんとも中途半端で、妙な感じですね。

新砂002
これが地図に表示を変えると、アラ不思議! 両岸からの張り出しと、水門らしき表示がドドンと出現。
新砂水門の、セクターゲートの形まで忠実に再現しているだけに、架空の水門が描かれていることの奇妙さが悪目立ちし、何だか、キツネにつままれたようでもあります。

計画倒れになった水門の、まさに「夢の跡」なのか、それとも、近い将来建設される、「新・新砂水門」の姿を描いたものなのか…。はたまた、閘門バカ(もちろん私です)が随喜の涙を流す、「新砂水門閘門化計画」の完成予想図なのか…?

妄想は、とどまるところを知りません。どなたかご存知の方、ぜひご教示いただければ幸いです!

(21年4月5日撮影)

(この項おわり)

【21年5月2日追記】
コメント欄にて、木場在住の大阪人さんより、謎の構造物についてご指摘をいただき、ほぼ謎が氷解しました。
詳細は、ぜひコメント欄をご参照いただきたいのですが、新砂水門竣工以前より、ここには可動橋(と、もしかしたらスイングゲート?)があり、撤去された後も、地図が描き直されていなかったことが判明。

私は、近い将来の予定を描いたモノとばかり思い込んでいたので、過去の航空写真を検分するところまで、思いが及びませんでした。新しいとばかり思っていた埋立地にも、歴史があるのですね。
木場在住の大阪人さん、詳しいご指摘をたまわり、ありがとうございました!

う~ん、しかし、なぜ撤去されたものが、地図には残っているんだろう? お役所の台帳の上では、まだ稼働しているたてまえになっているのでは…とか、あれこれ妄想が広がってしまいます。

と、ここまで書いて、ふと思い当たるところがあり、本棚の「水門工学」(技報堂出版)を開き、「代表的な高潮対策ゲート」という表を探しました。

あった!「新砂水門」の項目、昭和28年竣工のトラベリングゲートと、昭和50年竣工のダブルセクターゲートの、二種類が書いてありました。この28年竣工のものが、航空写真にも写っている、「旧・新砂水門」に違いない! 
よく読んでいれば気づいたのに、これもうかつなことでした。お恥ずかしい。

肝心の、「トラベリングゲート」がいかなるものか、この本にはどこにも書いていないので、正確なところはわからないのですが、どうも運搬装置が扉体を運んできて、水門にはめ込む仕組みのことを指すようです。言わば、自走式角落しみたいなものでしょうか。
旋回橋も、人やクルマを渡すためのものでなく、扉体を運搬するリフト様の車輌が走るための、専用道と考えてよいのかもしれませんね…。



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タグ : 砂町運河 新砂水門 旧新砂水門