2月26日の運河風景…4

(『2月26日の運河風景…3』のつづき)

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高潮位時ということもあり、新幹線のトラスをくぐるときの「レディ・クリスタル」のギリギリっぷりは、ご覧のとおり結構なもの。微速でそろそろとすり抜けてゆく姿、これも一つの見ものではあります。

以下、日が落ちたのでブレているかピンボケと、腕の悪さに加えて悪条件なのでよい写真がありませんが、いくつか道々のスナップを拾ってみましょう。

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203018.jpgおなじみ浚渫船「海竜」にもぐっと寄せていただきました。舷側が視界を占めるほど、思い切り近寄ってもらったのですが、さすがに暗くなってきたので、何とか見られるのはこの一枚くらい。

全高のある艇とあって、もうほとんど全ての橋がすり抜け状態だったのも面白かった点。船尾のデッキも、岸壁からの乗降に備えて高さが取ってあるため、鼻先をかすめる桁裏やリベットが楽しめました。

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そして橋のすり抜けで気づかされたのが、ルーフ両舷肩に備えられた、白色LED照明の意外な効果です。

ご覧のとおり、ハードトップのスペースをいっぱいに使って、描かれたロゴを左右から照らし出し、橋上から見下ろす人たちにアピールするのが本来の目的。これが橋をかすめると、桁裏に反射して構造がぼうっと浮かび上がり、後甲板から眺めているとなかなかキレイで、よいものでした。

これをヒントにして、例えば日本橋川・神田川あたりの夜の便は、艇から橋の裏をライトアップしながら走れば面白いかも、と妄想がふくらみました。特に江戸橋や浅草橋ほかの鋼アーチ、一面のリベットが陰翳をつくって、星空のようで素敵なのではないでしょうか。

203020.jpg芝浦運河の定繋桟橋にもやっていた2番艇「01」。一昨年大晦日の写真とくらべると、船尾右舷のステップは後付けなのですね。運用の結果、追加の必要ありと認められたのでしょう。

外観上の特徴でもあるバーチカルステムですが、沖に出て引き波でピッチングしたとき、通常感じるような衝撃が全くなく、柔らかな乗り心地で効果を実感。なるほど! とうなずかされたものです。

しかしフレア(波をさばくための、上広がりの形)がほとんどないとあっては、わずかな波でも飛沫が盛んに上がり、窓を濡らしてしまうのは、止むを得ないところでしょう。この点オープンボートは難しく、本艇のようなエンクローズドキャブが、必須の船型なのかもしれませんね。

ともあれ、短時間ながら話題の艇に乗せていただくことがかない、「WATER TAXI」の居住性の佳さと、夕刻の運河風景を楽しむことができました。製作スタッフの皆様、船長、ありがとうございました!

(29年2月26日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 京浜運河 芝浦運河 新芝運河 浚渫船

2月26日の運河風景…2

(『2月26日の運河風景…1』のつづき)

203006.jpg船長にお話をうかがいつつ、最前列席から眺める新芝運河。普通の部屋っぽい(?)内装の質感のせいか、大きな窓越しに流れてゆく運河風景が、何だかとても新鮮。

いつもなら、行き足なりの風を顔に受けるという、感覚の先入観が新鮮さを感じさせるのでしょう。よく効いた暖房にヌクヌクしながら、川景色を見られるというだけで特別なことに思えてしまうあたり、何とも安上がりではあります。

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新芝北運河との十字流に入ったところで、撮影のためいったん停止したので、船尾に出てみました。改架成った、新しい鹿島橋を撮っておこうと思って(前回、工事中の光景は『7月10日の水路風景…6』参照)。

見るからに軽快そのものの桁と、がっしりと頼もしそうな橋台。戦前の鈑桁橋がなくなったのは残念ですが、一径間となり間口が広くなったことで、奥の船溜にもやうフネブネも出入りがしやすくなったでしょう。今度自艇で訪ねたら、初くぐりしてみよう。

203008.jpg提案させていただいたのは「一筆書きコース」でしたから、新芝北運河→芝浦西運河→新芝南運河→新芝運河‥‥と、扇の中骨を縫うような形で、高浜西運河へ出るつもりだったのですが!

新芝南運河を、新芝運河との丁字流まで出たところ、テラスの柵にご覧の横断幕が掲げられていました。ありゃりゃ、高浜西運河には抜けられないのかしら?



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左に目を向ければ‥‥ううむ、警戒船が腰を据えていますねえ。せめて「喰われるトラス」・芝浦橋だけでもご紹介できればと、警戒船にお願いして、途中まで入れてもらうことも考えたものの、ここで船長からご意見が。

船長によると、新芝運河~高浜西運河の接続部は浅く、本艇での通航は不可とのこと。なるほど、小さな私の艇では余裕しゃくしゃくでも、この艇の上部構造や船体規模を考えたら、ずっと喫水は深いに違いありません。安全第一、ここは大事を取っておきましょう。

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ふたたび芝浦西運河に戻ったところで、ちょうど視界に入った、好みのタイプの曳船を一枚。塗色は色褪せて錆が浮き、もう長い間動いていないようですね。

さまざまな意味で厳しい都内の内水では、貴重となった寂寥感あふれる風景。もやわれたまま、静かに朽ちつつあるフネブネがそこここで見られたのは、ついこの間のことのように思えたのですが、今や珍しく感じられるほどになりました。

(29年2月26日撮影)

(『2月26日の運河風景…3』につづく)

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タグ : 新芝運河 新芝北運河 芝浦西運河 曳船

2月26日の運河風景…1

203001.jpg先日「最近のお手伝い4題」でお知らせしたとおり、月刊「散歩の達人」4月号の取材お手伝いで、芝浦運河地帯に出かけてきました。その折のスナップをいくつかご覧にいれます。

14時30分に田町駅で降り、少し早めに着いて運河畔をお散歩。新芝橋から見下ろす愛しの狭水路・新芝運河、本日もお元気そうで何より。右手に見える船着場が今回の出発地点、すでに幟が立っていますね。

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いつもは水面から眺めているテラスを、自分の足で踏みしめるのは新鮮なもの。調子に乗ってずんずん歩いていたら、いつの間にか船着場に船が接岸している! 

達着シーンをものしようと思っていながら、テラス散歩に浮かれすぎて失敗。そういえば集合時間も迫ってきたし、船着場に急ぎましょう。

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「TOKYO WATER TAXI」、一昨年の大晦日「27年度川走り納め…14」で就航間もない姿を初見して以来。ハルナンバーは00ですから、ネームシップというか、一番艇ですね。

女性の船長が船尾から出てきて、もやいを取っていたのでご挨拶。間なしに編集者のSさんはじめ、ライターさん、カメラマンさんと取材チームも揃い、打ち合わせをしてから出航、まずは新芝運河を南下することに。
撮影地点のMapion地図

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乗り込んでみると、室内は天井高も十分取られ、通路幅もあり移動もスムーズで、スペースベースの考え方で造られていることがわかりました。大きな窓はすべてハメコロシですが、安全や飛沫の打ち込みを考えればこの方がよいのでしょう。通路が広いこともあり、船尾の解放デッキにはすぐに出られるので、閉塞船室が苦手な船頭もだいじょうぶ(笑)。

座席配置は右舷が船首を向いたクロスシート2列、左舷側が壁に沿ったロングシート。船首側中央にあるコンソールは、Hポールで仕切られたのみの解放タイプ。右手前にちらりと見えるのはお手洗いの扉で、この船首側には壁付のエアコンがあり、暖房もよく効いて室内は暖か。夕刻ということもあり風は冷たかったので、これはありがたかったものです。

203005.jpgよそのフネに乗せていただくと、やはりコンソール周りが気になるもので、失礼して最前列に腰かけ興味深く拝見。まず目を引かれたのが、小なりといえどスポーク/グリップ付きのステアリングにしていたこと。きっと初めてのお客さんは、「船らしさ」を感じて喜ばれるのではないでしょうか。

左端の小さな黒い突起は、バウスラスターのジョシスティック。風圧測面積が大きく、カディからの出入りも難しいこの手の艇では、離着岸時に必須の装備でしょう。

液晶モニターは右が船尾方向の監視カメラ、中央がGPS魚探。特に面白く思ったのが魚探で、水深や針路などをビジュアル表示せず、文字のみとしていたこと。客扱いをしながらチラチラ目を落とすとなれば、大きな文字で示された方が、読み取りやすく合理的かもしれないなあと、大いに感心したことではありました。

(29年2月26日撮影)

(『2月26日の運河風景…2』につづく)

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タグ : 新芝運河

7月10日の水路風景…6

(『7月10日の水路風景…5』のつづき)

194026.jpg芝浦運河から新芝運河に入り、新芝北運河との十字流まで来ました。ちょうどモノレールの電車が、頭上はるかの高架上を滑ってゆくところです。

見ておきたかったものとは写真右手、この十字流に面した鹿島橋の架け替え工事。昨年の大晦日、「27年度川走り納め…10」で旧橋が撤去されたのに気づき、愕然としたものですが、進捗状況はいかがでしょうか。


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十字流に頭を突っ込んだところで右に目を向けると‥‥、水路の中央にはフェンスとともに台船が陣取り、橋はまだ足場に覆われて、工事たけなわの雰囲気ですね。

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194029.jpg足場とネットで中央径間はよくわかりませんでしたが、橋台部分はRC製のようです。昨年末に仮橋を見てから約半年で、構造はほぼ完成したみたいですね。

取舵を切り、船尾方向に遠ざかる新橋の全体像を一枚。昭和一桁の橋が失われたのは寂しいものの、竣功したら「初くぐり」の楽しみも待っています。素敵な橋になるといいですね。


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新芝北運河のスナップを。ビルの谷間をモノレールがかすめ、テラスからも車体の真裏が堪能(?)できるという、一見おとなしげながら強烈な個性を放つ狭水路。たまに魚の跳ねる水音を聞きながら、静かな水面を最微速で分けて南下します。
撮影地点のMapion地図

(28年7月10日撮影)

(『7月10日の水路風景…7』につづく)

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タグ : 新芝運河 新芝北運河 台船

27年度川走り納め…10

(『27年度川走り納め…9』のつづき)

186046.jpg新芝北運河との十字流に接する、香取橋をくぐって。茶色い頭のホシハジロ君はじめ鴨さんたち、お邪魔してごめんなさい。

星霜を経た肌のコンクリート橋、無骨な水管橋が居並ぶ向こうにはモノレールも走ってと、いかにもかつての「東京港のバックヤード」を思わせる光景の中、橋をくぐってみると‥‥。


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鹿島橋が撤去されていた!

橋脚までもはや跡形もなく、ご覧のとおり錆色の鋼矢板や仮桁が視界いっぱいに広がって、いうまでもなく改架工事中。むう、また一つ、昭和初期の鋼橋が姿を消してしまったか‥‥合掌。

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ありし日の姿をしのんで、21年12月13日の写真から(『新芝運河に拾う…2』参照)。古い鋼橋ということで、それなりに意識はしていたのですが、どういうわけだか、呪われたようによい写真がありませなんだ。この一枚は、向こうの船溜が割とよく見えるので、選んでみたものです。埋め立てられて、短くなった水路の終端近くに架かっていたという意味では、砂町北運河の九重橋に近いものを感じますね。

鹿島橋港区HP)によると、昭和5年3月竣工、長さ35.6m、幅17.2m。震災復興計画によるものかどうかはわかりませんが、数ある復興橋と同世代の橋といってよいでしょう。

186049.jpg鹿島橋を失った十字流を背に、田町駅前、新芝橋へ向かって微速前進。狭水路にテラス、両岸に屏風を立てたように連なるビルと、芝浦運河地帯ならではの景観が続く区間。

陽があまり射さないので、少々底冷えはしますが、完璧に整備されたテラスとともに、整然とした「人工の峡谷美」が楽しめるところでもあります。


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前後のほどよい屈曲と、四周を高いビルに囲まれているおかげで、まず風が抜けることはなく、もちろん水面もきわめて穏やか。両岸はテラスが整備されているので、水面下にひそむ基礎護岸や、ガレ場などの危険物もなし。その上、転回も何とかできるくらいの、ほどよい狭水路――ん? これって冷静に考えてみると、艪漕ぎには最適の環境じゃないですか!

以前もお話ししたように、我が木っ端ブネは和船と違って上部構造があるため、艪漕ぎ中はわずかな風でも影響甚大で、頭が風下に落とされてしまいます。流れについてはいわずもがな。操縦性も極端に落ちる(これは、漕ぎ手の技量の低さもある)ので、船底を傷つけるような沈置物や、水面下の構造物も禁物。巡航0.5kt程度という超微速で、行き足を実感するには岸の近い、狭水路がよい‥‥。

いや、ここで艪を漕がなかったのが、ずいぶんもったいないことのように思えてきました。大横川一択はそろそろ卒業して、次は新芝運河で艪声を響かせてみようと、一人妄想してはニヤつくおっさんでありました。
撮影地点のMapion地図

(27年12月31日撮影)

(『27年度川走り納め…11』につづく)

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