船橋港へ向かう…1

200001.jpg先日お知らせしたとおり、大晦日は船橋港(千葉港葛南港区)を訪ねてきました。いくつかの防潮水門や船溜など、趣味的に惹かれるものがまとまって見られる水域であり、いつか行ってみようと思っていたのです。

とはいうものの、沖へ出るのが苦手な弱虫木っ端ブネとしては、海路を経なければならないのは大きなハードル。静穏極まりなく、かつ好天であることが大前提で、湾奥がそんな好海況になるのはやはり冬、川走り納めを兼ねて、暮れも押し詰まった出航と相成りました。

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砂町運河に出ると、雲一つない、抜けるような晴天ながら、風もなく水面はぬめりを帯び、油を流したように滑らかと、願ったりかなったりの海路日和。もっとも、運河は静穏でも、沖の海況はわかりませんが。

大晦日にもかかわらず、工事中の新砂水門では警戒船が遊弋し、ゲートにも監視員の方が立って誘導してくれています。感謝の気持ちを込めて手を振ると、向こうも笑って振りかえしてくれました。

鋼管矢板で囲まれた、新水門の基礎工事水域にはクレーン台船が一隻いたものの、さすがに作業をしている様子はなし。澄んだ水鏡に、陽光を浴びて錆色の姿を映す矢板や鋼材の杭。冬の運河らしい、光に満ちあふれた静かな川景色です。

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荒川に出たところで、思い切りよくスロットルを倒し、プレーニングに入りました。陽を浴びて輝く、荒川河口の橋梁群を後ろに見ながら、次の変針点である若洲の南端まで南下。

冷たい空気が頬を刺すものの、遠く横浜や房総まで一望できる澄んだ空気と、穏やかな海況にテンションも上がり、寒さを忘れて快走を楽しむ船頭。まずは順調な滑り出しであります。

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若洲もそろそろ途切れようというあたりで、先行している二隻の船に追いつきました。荒川を下ってきた独航艀です。逆光なので船名はわかりませんが、新河岸川か荒川の和光市か、荷を下ろして母港に帰るのでしょう。

ここまで沖に出ても、油を流したようなてろりとした水面に変わりはなく、若干のゆるいうねりが加わる程度。20kt超で進んでいても、不快な硬めのピッチングも少なく、文字どおり滑るような乗り心地。我が木っ端ブネも、川走りのスローモーぶりを脱ぎ捨てて、滑走艇の面目躍如とばかり、久々の連続高速航行! これなら船橋までも、快適な船行きができそうですね。

200005.jpg若洲の突端が近づいてきたので、もうすぐ左に大舵角を取らなければいけません。回転数をしぼって独航艀を先行させ、彼の左舷側に出ることにしましょう。

ウェーキを乗り越え航跡に入ると、波が静まるとともに、一瞬排気の匂いが立ち込めるのもまた佳し。もう一回ウェーキで飛び跳ねて距離を取ってから、左舷側をしばらく並走して変針点へ。
撮影地点のMapion地図

(28年12月31日撮影)

(『船橋港へ向かう…2』につづく)

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タグ : 砂町運河 荒川 新砂水門 独航艀

10月16日の辰巳運河…1

196001.jpg入渠整備のため、例によって江戸川へ回航したのですが、その道々で拾った川景色をいくつか。午前中、晴れの予報を得て出てはみたものの、ご覧のとおり雲が多く、少々やる気を萎えさせてつつも運河へ。

工事中で交互通航の新砂水門、朝の輻輳する時間帯とあって、写真のように渋滞することも。新水門が竣功するまで、「水路の渋滞風景」がしばらく見られることでしょう。

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時間に余裕があったので、少しだけ遠回りしてみようと、しばらくご無沙汰していた辰巳運河を経由してみることにしました。

六叉流を左へ切ると広がるのは、こげ茶の塗装が薄手の桁をきりりと引き締めている辰巳橋と、右手に林立する天を衝くタワーマンション群が織りなす、エッジの立ったシャープな風景。

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水路幅が広がるあたり、右手に見えるのは都所有の桟橋、もやっている二隻は左から「ありあけⅡ」と「かもめ」。このすぐ右手には、都港湾局管理下の全水門を集中制御している、高潮対策センター都港湾局HPより)があるのだそう。

ん? 改めてよく読んでみると、最後に「※廃止予定の呑川地区4水門を除く」とありますね! 羽田周辺の船溜群を守る小さな水門たち、近い将来に撤去されてしまうのかしら‥‥。4水門と船溜については、「南前堀…1」以下のシリーズをご覧ください。

196004.jpg水門の予告信号と航路標識を備えた斜張橋、辰巳桜橋も曇り空に逆光とあっては、間近から見上げてもちょっとサエない表情。右手の東雲から対岸、有楽町線辰巳駅へのほぼ唯一の道とあって、結構な通行量です。

左に見える辰巳水門は、径間を一つ閉鎖し、手前にクレーン台船もいて工事中。標語が大書きされた巻上機室を見上げながら、スロットルをしぼって右径間へ。こちらからだと暗く沈みがちだけれど、くぐった向こうなら、少しは明るい表情が拝めるかしら。

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撮影地点のMapion地図

(28年10月16日撮影)

(『10月16日の辰巳運河…2』につづく)

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タグ : 砂町運河 辰巳運河 新砂水門 辰巳水門

新砂水門・本船通航!…2

(『新砂水門・本船通航!…1』のつづき)

195076.jpg船は最微速か、プロペラを留めてほとんど惰性で進んでいるようで、水線周りにはほとんど波立ちが見られません。

じりじりと迫ってくる黒い船首を見守っていると、水門を離脱するのをまるで待ち構えていたかのように、クレーンのジブがぐっと頭をもたげ始めました。おお、何が始まるのかな?


195077.jpgエンジンの爆音が高まり、舷側から白波が立ち始めるのと歩を合わせるようにして、クレーンは右舷側に回転しながら、ジブを高々と掲げたのです。

それはどこか、つつがなく水門通航を終わって、広いところへ出た解放感からウーンと伸びをしているような、一仕事終えてリラックスした表情に見えたものでした。



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船…プッシャーバージ「第三十八共栄丸」は、徐々に行き足を増して船首波を立て、正横を航過。クレーンはというと、首尾線方向に向き直り、グラブを開きながら引き揚げ始めました。

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イヤ~、一面白かった逆光時とはうって変わり、青い空が目に沁みるよう。9月11日からのタイトル画像は、この少し後のシーンです。タイトル更新時にお知らせしたとおり、押船は「第三十七共栄丸」。

クレーンはグラブをホールド上に下ろしては砂をつかみ、またグラブを開いて砂を落とす、という動作を繰り返しており、間近ということもあって珍しく見物。荷役のウォームアップとして、あらかじめ砂をほぐしておいた方が作業がはかどるのかしら?

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砂をつかんではぶちまけ(?)しつつ、西航してゆく共栄丸二隻。この後右に折れて砂町北運河へ入り、積み荷を降ろすわけです(過去ログ『大迫力の荷役風景』参照)。

いや~、いいシーンに出会えたものじゃと、後ろ姿を見送りつつ余韻にひたるおっさん。数少なくなったとはいえ、業務船が利用する、正真正銘、文字どおり現役の運河として活用されている水路をホームグラウンドとしている幸せ、ここに極まるものがありました。

なお、25年4月29日よりと、27年5月17日からのタイトルにも、それぞれガット船、プッシャーバージの写真を掲げています、ご参考まで。

(28年9月10日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 砂町運河 新砂水門 曳船

新砂水門・本船通航!…1

(『魚群捕捉!』のつづき)

195071.jpg曙北運河に入って右に折れれば、必然的に見えてくるおなじみ古賀オールのクレーン群。40t吊りのクレーンNo.10、いつみても惚れ惚れする凛々しさですわい。そういえば、曳船がバージを引いて接岸する光景を見たいと願って早や数年、いまだに実現できていないなあ‥‥。

南下して十字流を左へ、砂町運河を東航していると、幸いにもテンションが急上昇せざるを得ないシーンに、出くわすことができたのです!

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おおお! 本船が新砂水門を通航中だ!

何度か触れたように、新砂水門は東京で唯一、本船の通航がある水門。運河を通る本船‥‥ガット船の姿は過去にも紹介しましたが、水門通航中のシーンは、なかなかものにできずにいたのです。嬉しさもひとしおですわ!

向こう側では新水門の工事中とあって、航路はクランク状に狭まり、交互通航の管制中。上の写真でも右端に、待機中のヨットが見えます。

本船は左から斜めに突っ込む形で、水門の径間にさしかかったところ。ただでさえ幅員に余裕がないところへ持ってきて、直前で大きく舵を切らねばならないとは! はた目に見ていても、息詰まる緊張感がありますね。

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船尾を少し振りつつも、針路がほぼ水門の軸線に合った瞬間。忙しく舵輪を回す船長の表情や、きしむ船体を想像いや、妄想して勝手に一人固唾を呑む船頭。夢中でカメラを構えながら、「ヨーソロ、いいぞ、そのままそのまま」などと、あらぬことを口走るほどに興奮の極み。

もろ逆光とあって、船や水門は黒く陰り、空は靄がかったように白く、腕の悪さも加えて写真としては締まらなくなってしまいましたが、当時の緊張感が反芻できるという意味では、かえって良かったかもと自己満足。

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水門の西端をかわして、マッコウクジラの頭のように量感のある船首が、のっそりといった感じで迫ってきました。

いいぞ、イイゾ、このすり抜け感! 針の穴を通すような操船をされている、船長はじめ乗り組みの皆さんには失礼ながら、一大スペクタクルをようやくものにできた喜び、まこと例えようなし。

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径間離脱まであと一息、漆黒の鉄鯨はなお、慎重な歩みを崩しません。よく手入れされた美しい船体とあいまって、荘厳さすら感じさせる光景でした!
撮影地点のMapion地図

(28年9月10日撮影)

(『新砂水門・本船通航!…2』につづく)

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タグ : 砂町運河 曙北運河 新砂水門 古賀オール

7月10日の水路風景…1

7月10日、快晴に恵まれて、久方ぶりに近場回りをしてきました。さすがに日中の陽射しは夏相応でしたが、朝の気温22℃、昼の最高気温も30.7℃と、猛暑には至らず爽やかな感じ。風もまずまず穏やかで、のんびりと水路めぐりを楽しむことができました。

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軽く清掃をしてから10時過ぎに解纜。進捗拝見とばかりに、まずは工事中の新砂水門を通って荒川河口へ(『新砂水門の工事拝見…1』参照)。

ご存知のように交互通航なのですが、警戒船だけでなく、右手の電光掲示板の横にも、白旗を持った係の方を配して、誘導に努めていますね。規則上仕方がないとはいえ、この夏日に保護帽・長袖の制服は、はた目に見てもツラいものが‥‥。本当にご苦労さまです。

194002.jpg水門を出た直後、現場の風景。遠目には前回とあまり変わらないようでしたが、杭打船の姿が失せて、クレーンのジブだけが目立っていました。

鋼管矢板の打ち込みは、ひととおり済んだのかな? それにしては、鋼管を積んだ台船も見えるので、とりあえず一段落といったところでしょうか。



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鋼管矢板をアップで。みっちりと打ち込まれた、錆色の物量に圧倒される思い。これが現場をコの字に取り囲んだら、いよいよ水を抜いて基礎工事が始まるのですね。

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付き合いの長い割には、あまり近くで撮ったことがなかったなあ‥‥と、現場の対岸、旧砂町水門の遺構を一枚(『新しい新砂水門が建設される?』参照)。新しい水門の工事がこちらにも及んだら、この遺構も取り壊されるのでしょうか。

今や、新砂水門の刻々の水深を通航船に向けて知らせる、電光掲示板の架台として使われているに過ぎませんが、かつてはこの上を、巨大なトラベリングゲートがごろんごろんと移動していたわけです。これから造られる新しい水門は、どんなタイプになるのでしょうね。

194005.jpg右手、砂町運河の出口近くの公園にも、横断幕が張られ、係の方が常駐して通航船を誘導していました。この角度からはよく見えませんが、こちらにも〇×を表示する、電光掲示板が設けられています。

マリーナでもらったお知らせには、「信号機・監視員は24時間配備」とのことでした。この時点ではともかく、今はもう外に出た時点でツラい酷暑の時季。監視員の皆さん、どうかお身体にお気をつけて‥‥。
撮影地点のMapion地図

(28年7月10日撮影)

(『7月10日の水路風景…2』につづく)

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タグ : 新砂水門 砂町運河 台船