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牛堀・権現山の絵葉書

1月2日に訪ねた、水郷は牛堀の権現山公園(『権現山公園と新横利根閘門』参照)から見た風景と、ほぼ同じ視点から撮った古い絵葉書があったのを、すっかり忘れていました。

まったくトシはとりたくないものですが、せっかく気づいたということもあり、自分の撮った写真と並べて悦に入ろうと、ここに掲げさせていただきます。

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【水郷景勝】双眸に冴えわたる美と平和の繪画的風景。牛堀附近の展望
宛名・通信欄比率1:1、大正7年4月以降の発行。

正面から左手に屈曲して消えてゆく、横利根川の穏やかな川面、あくまで平らかな、典型的水郷風景が一望のもと。

東京や上利根各河港とを結ぶような、長距離航路はすでに衰えていたとはいえ、霞ケ浦・北浦の各地や、佐原・銚子など下利根を往来する便はなお盛んだった時代で、水郷汽船自慢の大型客船も、目前の横利根川を通って観光客を運んでいたころです。

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権現山公園と新横利根閘門」より再掲。改めて比較してみると、河道は拡幅され、堤防や閘門が整備されて、対岸も家が建て込んでと、変化がはっきり見てとれるものの、水郷らしい雰囲気はまったく失われていないのに嬉しくなります。

特に手前の牛堀の家並み、どこか箱庭然とした、肩を寄せ合ったような風情は当時と変わらず、河港として栄えていた時代を髣髴させるものがありますね。

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【鹿島・香取名勝】空に水に爽涼の色溢れる、牛堀橋附近の佳景。
宛名・通信欄比率1:1、大正7年4月以降の発行。

もう一枚、牛堀の河畔から対岸を写したものもあったので、ついでといっては何ですがご参考まで。主題になっている牛堀橋は、現在の北利根橋の先代橋で、上路式鈑桁橋ながら、下端に曲線を用いたり、中央径間を下路式にして船舶に配慮したりと、水郷らしさが感じられる外観ですね。
残念ながら資料がなく、橋の竣工年がわからなかったのですが、「北利根橋」(『目的地までが目的地』より)によると、昭和7年竣工とのこと。

なるほどサイト主さんのおっしゃる通りで、水郷大橋(『横利根閘門遊覧…4』参照)、神宮橋の先代橋と同世代で、陸路鹿島まで行けるルート‥‥現国道51号が成立した時期の完成とみれば、しっくりきます。河川航路が欠くことのできない交通手段だった水郷地域にも、近代陸上交通の第一波が押し寄せてきた、そんな時代だったのですね。

最後によい機会なので、明治43年発行の河川航路ガイド、「利根川汽船航路案内」から、「牛堀汽船寄港場」の項を抜粋してみましょう。
‥‥霞ヶ浦及北浦、利根川等へ通ずる汽船航路の分岐點たり戸数二百戸、人口七百餘人有り」
「此地汽船の發着は左の如し/鉾田行 往復 二回/鹿島行 同 四回/佐原行 同 五回/土浦行 同 三回/高濱行 往復 一回/銚子行 同 二回


町としてはささやかな規模ながら、四通八達していた川汽船航路の、まさに要であったことがわかります。「水駅」という言葉がしっくりくるような、川蒸気の煙絶えない河岸場風景を想像して、しばし陶然となったことではありました。
撮影地点のMapion地図

(28年1月2日撮影)

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タグ : 常陸利根川横利根川新横利根閘門閘門水郷絵葉書・古写真

権現山公園と新横利根閘門

185001.jpg1月2日は毎年恒例、あんば様(阿波大杉神社)への初詣。お参りの後、艇を一年守ってくれた昨年の古いお札を納め、新しいお札をいただきました。

参拝後は昼食を兼ねて水郷に立ち寄り、水門や川景色を楽しんでから帰るのも例年のごとし。今回は、まだ一度も訪ねたことのなかった、牛堀町権現山公園をお散歩してみることにしました。

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