新屋水門…3
(『新屋水門…2』のつづき)

●水門の吐口右手に白い看板が掲げられているのに気づき、近づいてみました。
「左の図の水門を通航する舟又はいかだの長さ幅並びに水面上の高さ又は運航時間を次のように指定します。」
「通航する舟又はいかだ」「運航時間」の文言に目線がひゅっと吸い寄せられる思い。何と、旧雄物川は舟航があったのですね!いや、現状はともかく、このきまりが施行された昭和46年までは、そこそこの通航量があったと見たほうがよいでしょう。何年ごろまで、どんなフネブネや筏が行き来していたのか、興味をそそられます。
●銘板を探してさらにうろついていると、おお、ありました。巻上機室右手の壁面、フェンス越しですが、3枚掲げられているのが見えました。近寄って判読に及ぶと‥‥。
東北地方整備局の銘が入った上の2枚から、径間4m、高さ5m、樋管の長さ57m、平成22年竣工とわかります。ゲート型式は「引き上げ横転式ゲート」というのですね。

●気になったのは、左下の1枚。色味や質感がこれだけ異質で、しかもこの距離からでは、うまく判読できません。ズームでたぐって拡大してみると‥‥。

●何と、基礎まで含めた正面・側面図が。先ほどの看板の図より、細密度が格段に上ですね。エッチングに墨入れしたものでしょうか。
天地の「雄物川下流割山地区新屋水門改築工事」、「東北地方整備局 秋田河川国道事務所」は読めたものの、図面各部の説明らしき文字は、細かすぎて残念ながら判読できないものが多く‥‥。しかし、書き込まれた字数と雰囲気から、扉体の直上に動力らしいものがあることはわかります。先ほどまで巻上機室と呼んできた建屋は、操作室、運転室と改めた方がいいでしょう。
●帰宅後に検索したところ、「河川事業 事後評価 雄物川下流 特定構造物改築事業(新屋水門)」(PDF)という改築事業の詳細な記事がヒット。大変興味深いもので図版も多用されわかりやすく、お勧めです。
記事中の図でも、ゲートの引き上げ機構は径間直上に描かれています。先代水門は、昭和15年に竣工した3径間のローラーゲート! 結構な古豪水門だったのですね。
●出発の前の週は雨の予報で、豪雨の被害を思うと、旅行の中止も視野に入れていたくらいでしたが、ご覧のとおり好天に恵まれ、このような珍しいタイプの水門がつぶさに観察できて、まずは幸先のよいスタート。
お次の水運趣味スポットは、旧雄物川の河道であり、北前船時代から栄えた歴史のある河口港、秋田港です。お天気もよいので、楽しい散策になりそうですね。
【撮影地点のMapion地図】
(令和5年7月25日撮影)
(『「道の駅あきた港」にて…1』につづく)

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●水門の吐口右手に白い看板が掲げられているのに気づき、近づいてみました。
「左の図の水門を通航する舟又はいかだの長さ幅並びに水面上の高さ又は運航時間を次のように指定します。」
「通航する舟又はいかだ」「運航時間」の文言に目線がひゅっと吸い寄せられる思い。何と、旧雄物川は舟航があったのですね!いや、現状はともかく、このきまりが施行された昭和46年までは、そこそこの通航量があったと見たほうがよいでしょう。何年ごろまで、どんなフネブネや筏が行き来していたのか、興味をそそられます。

東北地方整備局の銘が入った上の2枚から、径間4m、高さ5m、樋管の長さ57m、平成22年竣工とわかります。ゲート型式は「引き上げ横転式ゲート」というのですね。

●気になったのは、左下の1枚。色味や質感がこれだけ異質で、しかもこの距離からでは、うまく判読できません。ズームでたぐって拡大してみると‥‥。

●何と、基礎まで含めた正面・側面図が。先ほどの看板の図より、細密度が格段に上ですね。エッチングに墨入れしたものでしょうか。
天地の「雄物川下流割山地区新屋水門改築工事」、「東北地方整備局 秋田河川国道事務所」は読めたものの、図面各部の説明らしき文字は、細かすぎて残念ながら判読できないものが多く‥‥。しかし、書き込まれた字数と雰囲気から、扉体の直上に動力らしいものがあることはわかります。先ほどまで巻上機室と呼んできた建屋は、操作室、運転室と改めた方がいいでしょう。
●帰宅後に検索したところ、「河川事業 事後評価 雄物川下流 特定構造物改築事業(新屋水門)」(PDF)という改築事業の詳細な記事がヒット。大変興味深いもので図版も多用されわかりやすく、お勧めです。
記事中の図でも、ゲートの引き上げ機構は径間直上に描かれています。先代水門は、昭和15年に竣工した3径間のローラーゲート! 結構な古豪水門だったのですね。

お次の水運趣味スポットは、旧雄物川の河道であり、北前船時代から栄えた歴史のある河口港、秋田港です。お天気もよいので、楽しい散策になりそうですね。
【撮影地点のMapion地図】
(令和5年7月25日撮影)
(『「道の駅あきた港」にて…1』につづく)

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新屋水門…2
(『新屋水門…1』のつづき)
●高水敷はご覧のように、分厚く積もった泥があちこちに見られ、ひび割れながらもまだ湿り気を帯びていて、足を踏み込むとヌルリと滑るところも。増水時の激しい泥流が思われました。
痛ましく思いながらも、そろそろ歩きながらよく見てみると、トリさんがつけた三つ指の足跡が点々と‥‥。水の引いた後は、野鳥たちにとって格好の餌場でもあるのでしょう、可愛らしい痕跡にほっこりしたのでした。

●さて、新屋水門スクリーンから振り返って見えたこれが、新屋水門の本体。堰柱など目立つ構造物はなく、堤防の土中に大半が埋もれた、いわば樋管の中にゲート設備が設けられたかたちの水門。スクリーンがなければ、見逃して通り過ぎてしまいそうな、地味なスタイルではあります。

●中をのぞき込んでみると、スキンプレートを下にして上に開いた扉体が、2組見えました。その開き方から、上端ヒンジフラップゲートかと思ったのですが、扉体の小口にローラーが備えられていたので、開いて水平に近くなってからさらに、奥へ引き込むような動きをするのかも。
開放した後に引き込まれるタイプというと、平成23年に新潟の通船川で訪ねた、津島屋閘門の「展開式スルースゲート」に近いものを感じました。後でゲート設備の銘板を探して、名称を確認してみましょう。
●堤防上から、旧雄物川の下流側を眺めて。その名のとおり、水門のあるここは雄物川の旧本流で、秋田大橋から下流の雄物川は、荒川や淀川下流と同じ新規開鑿の放水路。いいですねえ、旧のつく河川名って!
左手は旧河道のスペースを上手に利用した、三角沼公園。駐車場もあるので、水門や水辺の探訪にはもってこいの環境であります。

●水門の内蔵された(?)樋管を、下流側東岸から眺めたところ。数少ない上部構造である、巻上機室も堤防の天端よりちょっと高い程度の詰所風建屋で、まことに控えめな、目立たぬ外観。
何分これが初めての訪問なので、これが普通なのか、増水時ならではなのか分かりませんでしたが、流速は相当早く、雄物川から流入する河水がときに白波を立て、轟々と水音を響かせておりました。
【撮影地点のMapion地図】
(令和5年7月25日撮影)
(『新屋水門…3』につづく)

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痛ましく思いながらも、そろそろ歩きながらよく見てみると、トリさんがつけた三つ指の足跡が点々と‥‥。水の引いた後は、野鳥たちにとって格好の餌場でもあるのでしょう、可愛らしい痕跡にほっこりしたのでした。

●さて、新屋水門スクリーンから振り返って見えたこれが、新屋水門の本体。堰柱など目立つ構造物はなく、堤防の土中に大半が埋もれた、いわば樋管の中にゲート設備が設けられたかたちの水門。スクリーンがなければ、見逃して通り過ぎてしまいそうな、地味なスタイルではあります。

●中をのぞき込んでみると、スキンプレートを下にして上に開いた扉体が、2組見えました。その開き方から、上端ヒンジフラップゲートかと思ったのですが、扉体の小口にローラーが備えられていたので、開いて水平に近くなってからさらに、奥へ引き込むような動きをするのかも。
開放した後に引き込まれるタイプというと、平成23年に新潟の通船川で訪ねた、津島屋閘門の「展開式スルースゲート」に近いものを感じました。後でゲート設備の銘板を探して、名称を確認してみましょう。

左手は旧河道のスペースを上手に利用した、三角沼公園。駐車場もあるので、水門や水辺の探訪にはもってこいの環境であります。

●水門の内蔵された(?)樋管を、下流側東岸から眺めたところ。数少ない上部構造である、巻上機室も堤防の天端よりちょっと高い程度の詰所風建屋で、まことに控えめな、目立たぬ外観。
何分これが初めての訪問なので、これが普通なのか、増水時ならではなのか分かりませんでしたが、流速は相当早く、雄物川から流入する河水がときに白波を立て、轟々と水音を響かせておりました。
【撮影地点のMapion地図】
(令和5年7月25日撮影)
(『新屋水門…3』につづく)

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新屋水門…1

飛行機が旋回し着陸態勢に入って、間もなく見えてきた美しい長汀。海岸砂丘と、それに生い茂る防砂林を目にすると、日本海側に来たんだという実感が沸き上がってきます。

●まず立ったのは、秋田市を代表する大河、雄物川畔です。3種類のトラスが一対づつ、6連に渡って架けられた美しい橋は、昭和38年竣工の雄物新橋。下流に見える国道7号線雄物大橋の向こうは、日本海へそそぐ河口です。
ご存じのように、7月半ばの豪雨により、痛ましい被害を受けたご当地のことは大きく報じられ、我々も予定していたことはいえ、向かってよいものかどうか迷ったのですが‥‥。
宿ほか、予約をした先の皆さんより「ぜひお越しください」との声があったことに背中を押され、お土産を持参し、お見舞いも兼ねて訪ねてみようと思ったのでした。

●増水時の被害を彷彿させる、高水敷にうずたかく積もった木っ端クズや、乾きかけひび割れた泥濘を踏んで、最初に訪ねた物件はこちら。雄物川の流れに面して立つ、三角屋根にガラス張りの巻上機室2基‥‥遠目には、どこからどう見ても水門そのものです。

●木っ端クズをバキバキと踏みしだきながら、表面を見ようと、苦労して歩みを進めここまで出てきました。扉体に見えたのは、鋼製の格子‥‥ここは水門の吞口に違いないのですが、川表におわす、下手な水門より水門らしいコイツ、実は水門ではなかったのでした!

水門閉鎖後の開放時、流速による浮流物の流入を防ぐため、格子を併設している水門は都内でも見られますが、全く独立して、しかもご本尊より水門らしく(次回ご覧に入れます)あつらえてあるとは! 面白いですね。
【撮影地点のMapion地図】
(令和5年7月25日撮影)
(『新屋水門…2』につづく)

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