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京浜運河地帯に拾う…1

(『多摩川澪筋の風景…2』のつづき)

77021.jpg水深の心配がなくなったところで、チルトをダウンさせ、スロットルを倒して勇躍、前進原速。首都高神奈川6号川崎線と3段重ねの橋、浮島橋をくぐれば、そこはもう工業地帯の一角。

長い間訪ねていなかったので、「呼ばれていない」感じがするかしら、と心配しないでもなかったのですが、特に抵抗感のないまま「京浜運河地帯の門」を通過することができ、まずは幸先よい滑り出しではあります。

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浮島橋をくぐって、まず視界に飛び込んできたのがこの巨大な台船。左に見える4脚の頑丈そうな櫓、縦横に走るトラスやステーで支えられたパイプが物々しく、乾舷の高さとあいまって、意識を吸い寄せられる迫力があります。

櫓のてっぺんから、パイプの乗ったトラスの右にワイヤーが伸びていて、デリックのように動かすことができる構造であること、船体右端から水面に向かって突き出すパイプが見えることなどから、浚渫や埋め立て時の送泥作業に使う、ポンプ船のように思えました。

帰宅後、船名「第77扇栄」で検索してみると、「東京国際空港(羽田空港)の新しい滑走路(D滑走路)~埋立部 管中混合固化処理土の打設が3船団体制で本格化~」(PDF)がヒット。

羽田空港D滑走路の建設時に活躍した、「管中混合固化処理土船団」の一隻、信幸建設所属の打設船として、写真が出ていました。アンローダーの一種だったのですね。

77023.jpg多摩運河を出て、夜光・大師・千鳥各運河との十字流に入ったところで、水蒸気をもうもうと吐き出す、旭化成ケミカルズ川崎工場(…と、地図にありました。はい)の煙突がお出迎え。

パイピングや櫓、タンクや煙突などのもろもろが複雑に交錯する、工場風景を楽しみながら十字流を直進。

77024.jpg左に折れて大師運河を下ってもよいのですが、港湾部は旗日とはいえ平日並み、本船の出入りでもあればことと、ここはおとなしく千鳥運河経由のコースを取ることにしました。

微風も手伝って一面にもやがかかり、写真を撮ってもいま一つシャープさに欠けるのが痛いところですが、水面が穏やかなのはありがたく、木っ端ブネにとって何よりのご馳走です。

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国道132号線・千鳥橋の架かる、千鳥運河の狭窄部に近づきました。鉄道橋、道路橋、その向こうには鈑桁で管路が渡る橋梁密集地ですが、手前にも一つ管路を渡すトラスが。可撓継ぎ手なのか、途中でくにゃりと曲げてあるのが面白いですね。

千鳥運河名物である、お絵かきタンク(10月16日からのタイトル参照)の裏側は、なぜか絵柄がなく生地のままですが、「アサ」の字が残っているところを見ると、もとは「アサノセメント」とでも書かれていたのでしょうか。
撮影地点のMapion地図

(23年10月10日撮影)

(『京浜運河地帯に拾う…2』につづく)

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タグ : 多摩運河千鳥運河打設船