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秋の水郷三昧…2

(『秋の水郷三昧…1』のつづき)

198006.jpgおばさんたちとコブハクチョウ君に見送られて、我々の乗ったサッパは桟橋を後進で離れました。コブハクチョウ君、首を曲げてしきりにこちらを見やり、本当に見送ってくれる風なのが可愛らしいですね。

船頭さん、よかったら潮来の前川も寄るけれど、どう? と提案してくれたので、久しぶりの水郷巡りだし、この好天できっと賑わっている水路風景も見られるだろうと、フルコースを奮発することにしました。

198007.jpgサッパは沖へ出て転回すると、針路を北に向けて一路、大割水路へ。普通なら東へ向かって与田浦橋をくぐり、新左衛門川を通って常陸利根川に出、大割水路から戻るという、いわば反時計回りのコースを取るので、新鮮ではあります。

入口の両岸には、釣り人さんが腰を据えて、じっとこちらを見ています。何だか申しわけないような‥‥、恐縮しつつ進入。

198008.jpg
入ってしばらくは、鋼矢板の天端にコンクリートを載せた護岸が続く、直線水路。秋晴れの空の下、エンマの一つを走れるのが、何よりありがたく、思わず深呼吸。

198009.jpg
ああもう‥‥ねえ? 我が木っ端ブネが入ったら、いっぱいになってしまいそうな狭い水路、船上に立ち上がれば周りが一望できるほどの低い地表高、開けた風景。何度でも同じことを繰り返すあたり、もう水郷バカを自称しても、誰からもおとがめがないに違いない(あたりまえだ)。

旧来の法面護岸となって、桜並木の区間に入ったら、そろそろアレが見えてくるはず。

198010.jpg
かつての極小閘門、旧扇島閘門の片割れ‥‥。現在は、 香北東部幹線水門を名乗るローラーゲート。うむうむ、見たところお変わりなく、元気そうで何よりです。
撮影地点のMapion地図

(28年11月6日撮影)

(『秋の水郷三昧…3』につづく)

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タグ : 扇島閘門香北東部幹線水門水郷与田浦大割水路水辺の鳥たち

その後の扇島閘門…3

(『その後の扇島閘門…2』のつづき)

29011.jpg橋の上からゲートを透かして、田植えの終わった田んぼを眺めて。

以前とくらべると、振れ止めとでも言うのでしょうか、扉体を上下するラックを支えるステーがついて、少し視界が悪くなりましたが、ここから見る水門風景の一つとして、お気に入りのアングルです。


29012.jpg折りよく二艘のサッパが、大割水路を北上してきたので、水門君とともに一枚。お天気のよいこともあって、この後も次々とお客さんを乗せたサッパが、通り過ぎてゆきました。

う~ん、サッパに乗りたくなってきた…。あっ、今気づいたのですが、対岸から扇島閘門を撮ったことは、残念ながらありませんでしたね。


29013.jpgで、結局この後、誘惑に抗し切れず、与田浦からサッパに乗ってしまいました。八筋川でも行ってもらおうと思ったのですが、水面からの写真を撮りたくなったこともあり、新左衛門川→加藤洲閘門→常陸利根川→大割閘門→大割水路という、久々の定番コースでお願いすることに。

船頭さんにお願いして、扇島閘門の前はゆっくり走ってもらい、カメラを構えました。この角度から見ると、頭上に枝を差しかけられた、涼しげな表情に見えます。
また、対岸のコンクリート護岸の部分は、少し拡幅されていることもわかりますね。舟の出入りに支障がないよう、行き届いた設計であったことがわかります。

29014.jpgほぼ正面から、ぐっと見上げて。
こちら側にも、例のラッパが備えられていました。

う~ん、何だろう? この近辺の閘門の開閉スイッチのように、ここからいずれヒモが吊り下げられて、舟から水門が開けたてできる…というのはちょっとありえないですか。位置的に、壁に沿わせているならともかく、ど真ん中というのはないですよね。

29015.jpg
以前とあまり変わらない表情を見せる、扇島閘門…いや、香北東部幹線水門。アングル材が少しかぶさった、正面上部の「扇島閘門」と刻まれた銘板は、取り外されていなかったのが印象的でした。

もうなかば引退したと言ってよい、末期のほんの数年ながら、極小閘門として存在した時期に訪れることができたのは、むしろ僥倖だったと言うべきなのかもしれません。
閘門時代の記憶を残しながら、これからもこの丁字流で、エンマを守ってゆくのでしょう。

(22年5月2日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 扇島閘門香北東部幹線水門水郷

その後の扇島閘門…2

(『その後の扇島閘門…1』のつづき)

29006.jpg以下、周りをうろついてディテールを観察。
管理橋の上から扉体をのぞき込んでみると、ローラーと軸受け金物が見えました。ご覧のようにスラスト用ローラーも設けられており、径間3mの小型水門としては、ずいぶん豪華(?)な装備だなあと感じました。

ローラーゲートというと、水圧下でも滑らかに上下させるための、前後方向にかかる力を分担するローラーのみの装備が普通だと思っていたので、こと小型水門ということもあって、意外に思えたものです。

29007.jpg
ゲートの上に登る気は失せていたので、橋の上からエンマ側を望んでみました。
かすかに靄がかかった青い空、苗が植えられつつある湛水した田んぼ、そして消失点まで一直線に続くエンマと、水郷らしさが溢れんばかりの眺めですが、…が、やはり片割れのゲートがいないのは寂しい…。

ご覧のように、堰柱の撤去された跡は虚しく基礎だけが残り、戸溝だけが緊急時の角落とし用として、往時をしのぶ数少ないディテールとなっています。今は、穴場を狙う釣り人さんの、格好の腰かけになっているようですね。

29008.jpgエンマ沿いに真新しいクロを少し歩いて、いつもの角度から全体像を眺めてみました。過去の写真を見てみると、なぜかこちら、南側からの写真が多かったんですよね。

のどかな雰囲気は変わりありませんが、大割水路側ゲートが素通しで見えてしまうのは、やはり違和感がぬぐい去れません。クロも護岸工事を施されて、天端に草が生えていないのも、硬い雰囲気を助長しているように思えました。

29009.jpg旧閘室に戻ってみると、最初に気になったのは、この水路の真ん中上空に張り出した、下向きラッパのついた箱。電線がつながっているところを見ると、何かの装置のようですね。

このラッパの形、旧海軍や戦後間もなくの捕鯨母船で使われていた、水上レーダーの空中線(電磁ラッパ)を思い起こさせるものがあったことから、電波による量水計か、通航船検知の装置では、と想像したのですが、いかがでしょうか。

29010.jpg橋の下には、以前ももやっていたサッパが帰ってきていました。ここが定繋港(笑)なのですね。水門同様、きれいに化粧直しして、見違えるようです。この雰囲気なら、当分はこのエンマで働くのでしょう。

風向きのせいか、水の流れがよどんでいるのか、橋の下のみ水質が極端に悪く、だいぶ臭いました。田植えの季節ということもあるのかもしれません。


(22年5月2日撮影)

(『その後の扇島閘門…3』につづく)

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タグ : 扇島閘門香北東部幹線水門水郷

その後の扇島閘門…1

29001.jpg昨日2日は、飽きもせずに水郷参りをしてきたんですが、道々のことは後でお話しするとして、撤去工事の結末が気になっていた、扇島閘門のことを先に。(『さようなら、扇島閘門…1』ほか参照)

今回は南側、与田浦の方から近づいてゆくと…、おお、大割水路側のゲートは、撤去されていなかったのですね。手前側には、真新しい配電箱のついた電柱も見えます。

29002.jpg
近づいてみて、納得しました。扉体や動力部分をそっくり新しいものに交換して、構造物はそのまま、再利用したのですね。

駆動部や機側操作盤のペンキも真新しく、柵もそっくり新製されて、ピカピカです。従来と違って、側面上端にアングル材をボルト固定し、その上に柵を植えているので、だいぶ表情がゴツくなったようですが。

29003.jpg新しいメーカーズプレートも貼られていました。
香北東部幹線水門」これが、扇島閘門の新しい名前です。おわかりのように、もう、閘門ではなくなってしまいました。

地名を冠した、いかにもクロに根を下ろした感じの従来名にくらべて、またずいぶんと、気宇壮大(?)な名前をつけたものですね。この名前だけ聞いたら、大水路を何径間ものゲートで横断している、大型水門を連想してしまいそうです。


29004.jpg南側のハシゴが消え失せていたので、北側に回ると…あった。しかし、ちゃんと板があてがわれて、登れないようになっていました。…あ、もしかして、私のせい? いや、それは自意識過剰というものですか。

まあ、今や閘門でなくなったこともあって、さすがに登る気は失せてしまっており、残されたゲートの周りをウロウロして、ディテールを検分するにとどまりました。眺められる風景は、以前と変わらないのでしょうが、エンマに片割れのゲートがないここからの風景は、もはや閘門風景ではなく、関心が薄れてしまったのです。

29005.jpg新設されたハシゴで覆われ、日陰の身になってしまっていましたが、旧銘板が外されずに残っていたのを見た時は、ちょっとした感動でした。

すでに、用水路の一水門になってしまった扇島閘門ですが、この砲金のプレートがある限り、閘門であった記憶は残るのです。片割れだけでも、かつての構造物が再利用されて、しかも閘門の名前はここに刻まれている…。それを思うと、だいぶ救われた気持ちになれました。
撮影地点のMapion地図

(22年5月2日撮影)

(『その後の扇島閘門…2』につづく)

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タグ : 扇島閘門香北東部幹線水門水郷

極小閘門づくし

今までさんざん騒いできたように、船頭儀、
閘門が大好きです。

近場にある江戸川・扇橋・荒川の3閘門を、自艇でたびたび訪ねては通航するのも、もちろん大好きですが、陸路おもむいて他地方の閘門を見に行ったり、観光船を借りて通航したりするのも、自艇で通るのとは、また違った楽しさがあるものです。

中でもどういわけだか、自分の艇ではちょっと通ることの難しそうな、小さな小さな閘門たちに、以前より特に惹かれるものがありました。小粒ながら、一人前に扉体で水を受け止めるミニ閘門たちを前にすると、何か模型を見るような楽しさがあり、つい時間を過ごしてしまうこともしばしばでした。

例によって、写真を並べて一人悦に入ってみたくなったこともあり、今回は、今までに出会った極小閘門のスナップを集めてみましょう。

以下に並べたものは、あくまで私の感覚で選んだものですが、改めて選んだものを見てみると、大体径間4~5m以下のものに、グッとくるところがあるようです。なお、陸路訪ねて銘板が確認できたものには、極力寸法などを明記することにしました。

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