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9月20日の川景色…3

(『9月20日の川景色…2』のつづき)

272051.jpg常磐橋、袖高欄が陽を浴びて白く輝き、往時のハイカラぶりを取り戻した実感が湧いてきますね。

供用停止から復元竣工まで、震災以来長きにわたり変遷を眺めてきましたが、先日ようやくこの足で渡ったことで、より身近に感じられるようになりました。橋詰の「?」なテラスの公開、何か理由があって滞っているようですが、心待ちにしていますよ!


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好天で光量豊かとあって、本線に加え西神田出入口が河道いっぱいにかぶさり、普段はカメラを向けてもいま一つな南堀留橋も、渋いディテールがくっきりといいお顔に。

この前後で、下航してきたプレジャーと乗り合い観光船に道を譲り、手を振って応えながら行逢。分流点で追いついたエスエスNANO2、実は日本橋あたりから視界に入っていたのですが、お邪魔にならないよう行き足をしぼって距離を開け、神田川が近づいたところでご挨拶だけと思って、少しペースを速めたのでした。

272053.jpgおなじみ市兵衛河岸船着場、背後の水道橋1号分水路とつながるフラップゲートから、水が染み出した跡があるのに気づきました。

分水路に開口する暗渠化小石川から、鉄砲水みたいな出水があったのかしら? イヤ、それは考えにくいので、分水路内の天井あたりから浸出した水が壁を伝って、ゲートから染み出しているのかも。壁面にヒビでもできたのでしょうか。

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本郷台の堀割区間に入ったところで、不燃ごみ運搬バージ曳航担当の顔なじみ「第30中島丸」が待機している姿をスナップ。

三崎町中継所でバージにもやうと、可航幅を狭めるのでこちらで、ということでしょう。観光船やプレジャーの通航も頻繁になりましたから、気遣っていただけるのはありがたいこと。船体色と背後の緑がよくマッチして、うららかな陽射しの中、いい表情をものにできました。

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秋の陽を浴びた木々と護岸が川面に姿を映し、青空の下まことに気持ちのよい“茗溪”の水路風景に、通い慣れた水路ながら心洗われる思い。ときおり魚が跳ねる水音を耳にしながら、のんびりとお散歩を続けます。


(令和3年9月20日撮影)

(『9月20日の川景色…4』につづく)

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タグ : 日本橋川神田川常磐橋高架下水路曳船

日本橋川ちょい散歩…6

(『日本橋川ちょい散歩…5』のつづき)

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271027.jpg親柱と袖高欄。江戸期の木製桁橋に見られる擬宝珠をいただいた柱でなく、どこか厨子を思わせるような石造りの柱は、竣工当時さぞ斬新な意匠に映ったのではないでしょうか。

親柱には向かって右が橋名、左に建立年月が刻まれていますが、ここにも“埋め木”状の補修が見られました。文字の刻まれた面を含んでいただけに、復元にはご苦労が少なくなかったことでしょう。

271028.jpg渡った先、常盤橋門跡の公園は、いまだ工事が続いており、フェンスに囲まれたアスファルト舗装の広場があるのみ。

史跡である常盤橋門跡と、今をときめく(?)渋沢栄一像を擁する公園ですから、周辺の再開発と併せ整備されて再公開されるものと思いますが、復元された常磐橋とともに、かつてを思い起こさせる空間になるといいですね。


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西詰から上流側を眺めて。かつてとの大きな違いは、高欄の柱が白く復元されたことで、河上から仰いでも非常に目立つこと。

本体とのコントラストが美しく、日本銀行との調和を意識したとおぼしきデザインと、竣工当初のモダンな雰囲気の片鱗を見たような気がしたものでした。

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高欄にもたれて川面を眺めながら一息ついていたら、おなじみエスエスNANO1がお客さんを乗せて遡上してきました。おお、Zen船長が舵を取っておられますね。

日本橋発の短距離コースなのか、常磐橋に鼻先を突っ込んでアーチの裏側を愛でた後、転回して戻ってゆきました。船長は私が橋詰にいたのを見て驚かれた様子でしたが、ニコニコしながら手を振ってくださいました。ありがとうございました。

(令和3年9月12日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 日本橋川常磐橋

日本橋川ちょい散歩…5

(『日本橋川ちょい散歩…4』のつづき)

271021.jpg橋詰の片割れであるこちらも、一段下げてテラス化され、鋼桁の桟道が護岸上にそのまま伸びていた船着場の入口も短縮されてテラスに接続、かつてよりだいぶソフトでまとまった外観に。

‥‥まあ、設置されたときからこの名前で、変更も手間だし致し方ないとは思いますが、入口が常磐橋の橋詰テラスで、ここまで整備されたとなると‥‥やはり、抵抗感がないといえばウソになりますねえ(下写真)。

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271023.jpg橋の上に戻りましょう。車道部分(現在は人道橋ですが、かつてのね)の路面の石材、かつてはまだらでしたが、同質の石を新たに調達したか、歩道上にあったのを入れ替えたかで、揃えられたようですね。

目を凝らすと、元からあったものを洗浄した材と、新しく組み込まれた材の質感の差が感じられます。遠目には、ほとんど目立たないくらいの仕上がりですが。


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復元工事中からしつこく言及していた、上流側の水切りを橋上からのぞき込んで。下流側のそれは原形を失いながらも残存していたものの、ここ上流側は完全に亡失しており、古写真のとおり修復されると知ったときは、そりゃもう嬉しかったものです。

さて、どんな印象かしら‥‥‥‥う~ん、鼻!
上から見ると、思い切り人の鼻っぽいですよこのカタチ。


いや、鼻だけでなく、眼窩のないのっぺらぼうな顔面にも見えるような‥‥。見事な曲面を描く造形は生き物じみていて、角度によっては強烈なオーラを放つ好例であります。

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西詰に立って橋上全体を。東詰は石段で少し降りる形でしたが、こちらは公園まで滑らかに接続しています。

洗浄された大理石の八角柱、白く輝いて美しいですね。あれ、袖高欄の壁面、すでに剥離しているところが何ヶ所かありますが‥‥これも復元の一環なのでしょうか? 剥がれた部分の壁面を見ると、表面がわざと荒らしてあるようなので、モルタル塗りを食いつきやすくするための処理だと思うのですが、さて、どうなのでしょう。
撮影地点のMapion地図

(令和3年9月12日撮影)

(『日本橋川ちょい散歩…6』につづく)

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タグ : 常磐橋日本橋川

日本橋川ちょい散歩…4

(『日本橋川ちょい散歩…3』のつづき)

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常磐橋東詰に着きました。供用前に何度か訪れたことはありますが、フェンスのない状態で橋上の路面を目にするのは、これが初めてです。

ああ、美しく磨き上げられ、修復された石材の色味が目に快い‥‥。欠けた部分を補充もされたようですので、平成18年(過去ログ『日本橋川落ち穂ひろい…4』参照)に渡ったときとだいぶ違いがありますが、検証はなされた上のことでしょう。最初に目についた以前との違いは、歩道の縁石がもっと出っ張っていて、断面が四角かったことですが、現在の方がより原形に近いということでしょうか。

271017.jpgちょっと戻って‥‥。艇で通るたび気にしていた、橋詰に新たに設けられた例の小さなテラスですが、このように柵がされていて、まだ公開されていませんでした。ううん、残念。

今回こそあそこに降り立てると、楽しみにしていたのですが‥‥。もう完成しているはずなのに、なぜでしょうか?


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水上から見ても、こうして歩道から見下ろしても、何とも不思議な雰囲気。以前も想像したように、マンホールから降りた地下の様子を再現しているようにも見えますが、その筋のファンでなければ、何か説明版がないと意図が伝わりにくそうですよね。

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橋上の歩道に立って。いいですねえ、石の質感が靴を通して沁み通ってくるようで。縁石は以前と違って、丸みを帯びた背の低いものになったのですね。

表面をよく見ると、剥離した部分の補修痕でしょうか、面一ながら色が変わっているところがありますね。どこか和船や木造家屋に見られる“埋め木”を連想させて、面白く思ったものでした。

271020.jpg古い橋となれば、高欄を撫でて感触を楽しみながら歩を進めたいもの。‥‥と、ザラッと引っかかりがあったので、目を向けてみると、あらら。

もう錆が出てしまいましたか‥‥。本物をクリーニングして塗り替えた(かどうかは知りませんが)のなら、致し方ありませんが、手が直接触れるところですから、せめて防錆や塗料への工夫はほしいところでしたね。
撮影地点のMapion地図

(令和3年9月12日撮影)

(『日本橋川ちょい散歩…5』につづく)

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タグ : 日本橋川常磐橋

供用された常磐橋

(『5月15日のフネブネ…5』のつづき)

266036.jpg5月15日は、供用された常磐橋を初めて訪ねた日でもありました。橋自体の工事が終わった後も、長らくフェンスがされていてじれったく思えたものですが、これで名実ともに復元が竣工したことになりますね。

常盤橋下からのぞいてみると‥‥おお、渡っている人がいますね! 橋上に一般の人を見たのは、実に震災前以来。10年を経て美しくよみがえった常磐橋を前に、感慨深いものがありました。

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266038.jpg下流側から全景をスナップ。石材の表面ばかりでなく、袖高欄も少しすすけた感じになって、日に日に明治の橋らしい風格を取り戻しつつあるような(笑)。橋の上を歩く人がこちらを指さすのも、10年ぶりとあって妙に新鮮な感じが。

例の展示スペースらしい橋詰テラスも、人がいるところを見たかったのですが、残念ながら無人。低い場所なので、目立たないのかもしれません。

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266040.jpg上流側からも一枚。眺めていたのはほんの短い間でしたが、渡っている人たちの多くが立ち止まって写真を撮っており、関心の高さがうかがえました。
周囲は再開発も著しく、大きく景観の変わりつつある地域とあって、復元とはいえ100年以上を不変の姿でここに在る常磐橋、日本銀行と並んでますます重みを増すことでしょうね。

右は区の施設で配布されている、「広報千代田」4月20日号。ご覧のとおり常磐橋特集で、復元に携わったご担当へのインタビュー、工事中の貴重な写真、イラストルポなど読み応えのある4ページ。
PDFでも配信されていますが、印刷もなかなかきれいなので、お勤め先の近くに区役所や出張所がある方は、紙版を入手されることをお勧めします。

(令和3年5月15日撮影)

(『整備成った旧源森川…1』につづく)

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タグ : 日本橋川高架下水路常磐橋