雨上がりの巴波川

(『栃木市RC橋めぐり…7』のつづき)

108061.jpg県庁堀を離れて、小雨ぱらつく中、雨宿り先を探しつつ自転車を走らせていたら、裏通りに鉢植えとアンティークでいっぱいの素敵な喫茶店を発見。ここで一休みさせてもらいましょう。

注文したお茶が出てきて間もなく、雷が鳴ったと思うが早く、滝のような大雨に! 早めに引き揚げてよかった…。お茶をおかわりして、パラソルをたわめんばかりの豪雨を眺めていたら、30分ほどで雨が上がりました。

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このまま帰ってもよかったのですが、増水した川や堰の表情が見たくなり、みたび巴波川へ。幸来橋の上から下流を眺めると、河水は茶色く濁り、2~30cmは増水したでしょうか、丸太の護岸もほとんど水没して、荒々しい表情。雨に濡れた瓦屋根や舗装が夕日に光って、しっとりと美しい川景色…(10月7日からのタイトル参照)。

そういえば、舟たちはどこへ行ったのでしょう?上架して裏返すか、屋根のあるところに保管しないと、水が入ってたちまち沈没してしまうに違いありません。

108063.jpgもしかして、橋の下にいるかも…と、下流側から幸来橋の下をのぞいてみたら、おお、いました!

前後にもやいを取るだけでなく、右の舟は桁裏から8本も控えを取って、吊り下げんばかりの厳重ぶり。過去の経験から編み出された方法なのでしょうか、興味深く見入ってしまいました。



108064.jpg湊橋を対岸から見てみると、先ほどの水叩きが見えそうな細流とは打って変わり、濁流となって巴波川を責め立てていました。

小魚や鯉が群れ、藻が流れにゆらめくのどかな表情からは一変、やはり都市河川なのだなあと、改めて感じ入った次第でありました。



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瀬戸ヶ原堰も、木製扉体の方はあとわずかで越流、鋼製扉体も下のすき間がなくなるほどの増水ぶり。鯉や小魚たちは、だいぶ流されてしまったのかなあ…。

ともあれ、小舟での遊覧に始まり、バラエティー豊かなRC橋たちを楽しみ、可航河川時代の残影もかいま見ることができて、楽しいお出かけでした。蔵造りの商家など建物だけでなく、昭和一桁のRC橋たちも貴重な歴史的建造物の仲間として、大切にしていただきたいものですね。
撮影地点のMapion地図

(24年9月16日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 巴波川 瀬戸ヶ原堰 栃木市

栃木市RC橋めぐり…4

(『栃木市RC橋めぐり…3』のつづき)

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108042.jpgふたたび巴波川畔に戻って、数百m上流へ進んだところで、現われたのがこの橋。親柱は下流の2橋と略同であるものの、老朽化が進んでいるのか鉄製の補強が痛々しく、高欄も直線的で、装飾性の薄いものとなっているのが印象的でした。質感の違いから見ると、桁は後年改修されたもののようですね。

河畔のテラスから上がって、親柱に近づいてみると、名前は常盤橋と判明。補強に加えて汚れもあり、橋灯も錆が目立って、状態はあまりよくありません。ううむ、竣工年を撮り忘れてしまった…。空はふたたびどんよりとして、今にも降り出しそうなあやしい雲ゆきになってきました。

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ところで、常盤橋下流は、県庁堀から巴波川に流入する堀割との丁字流でもあります。常盤橋東詰から、その堀割を眺めると…ご覧のように、イイ感じの小橋梁がたたみかけるように重なって見える、ステキな水路風景が!

この距離からも、橋一つ一つの意匠の違いが見て取れ、楽しみでウズウズするような眺め。さっそくRC橋のハシゴとまいりましょう。ちなみに左側のチラリと見える階段、ポンプアップされた水が流されていて、ちょっとした水辺の小公園になっています。

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108045.jpg常盤橋を渡って、小橋梁群の第一橋に近づいてみましょう。幅員も広過ぎず、長さとの塩梅もよく、バランスのとれた外観に思えました。桁は鋼材で補強がされていますね。

高欄は下流の湊橋、會橋と似た形ですが、親柱はパターンから外れ、四角錐台に半球を乗せたタイプ。なぜここに至って親柱を違う型にしたのか、やはり市役所に近いからでしょうか。

竣工年はご覧のとおり、昭和3年10月。橋の名前は…これが実にそそるというか、大いにうなずかされる名前だったのです。
撮影地点のMapion地図


(24年9月16日撮影)

(『栃木市RC橋めぐり…5』につづく)

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栃木市RC橋めぐり…2

(『栃木市RC橋めぐり…1』のつづき)

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108032.jpg光線のよい、東岸下流側の橋詰に回って見たところ。下端に少し剥落はありますが、状態は悪くなく、ほどよく風化してざらついた質感が堪能できます。

木製橋の、肉が退いて木目が浮き出た手触りといい、コンクリートの骨材が梨地になった感触といい、時間を経て風化したものに惹かれるたちのようです。

橋名は「倭橋」…やまとばし、と読むのでしょう。湊橋同様、東岸のこの一帯の町名、倭町から名付けられたようです。昭和5年12月の竣工とありました。

親柱右側面の配管(橋灯への電線のようでした)がちょっと残念ですが、巴波川橋のそれより汚れや欠けた部分は少なく、状態はよいようです。橋灯の台座など全体のデザインも、巴波川橋とよく似ていますね。標準化が図られていたのかもしれません。

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倭橋のすぐ下流の西岸に、派川に架かる橋があるのに気づいたので、まずは東岸のベストポジションから一枚。この間わずか50mほど、実に効率のよい橋めぐりであります。

ううん、高欄のパターンや親柱の形こそ、先ほどの湊橋と略同ながら、派川とはいえそこそこの径間長があり、しかも桁は浅いアーチ状と、また違った魅力を発散していますね。

今でこそ、礫の目立つ河床を薄く水が流れているに過ぎませんが、かつては可航河川だったに違いないと思わせる、ナニカを勝手に感じ取るおっさん一名。対岸に渡って、間近に眺めてみましょう。

108034.jpgその前に、上の写真を撮った位置の、河畔の遊歩道に設けられていた案内板、「街しるべ」を一枚。ううむ、この橋が架かる派川が描いていないのう。

舟航区間である幸来橋~うずま公園と、倭橋付近の位置関係がおわかりいただけるかと思います。この範囲だけ見ても、結構な水路密度なのが感じられ、「橋めぐりにはまさにうってつけの土地柄だな」と、好都合な妄想がふくらみます。

108035.jpgさて、倭橋を渡って西岸に至り、目指す小橋梁の上に降り立ちました。親柱に刻まれた橋名は「會橋」。あいばし…いや、かいばし、と読むのかな? 旧地名なのか、何か他に由来があるのか、気になるところです。

ちょっと興味をそそられたのが、親柱の天端にある段々(?)、湊橋は2段だったのに、この會橋は3段に造られていたこと。

ちょうど兵隊さんの階級章のように、「径間何m以上は何段」といったふうに、橋の規模によって親柱の造りも決められていたのかな、と思わせる面白さがありました。
撮影地点のMapion地図


(24年9月16日撮影)

(『栃木市RC橋めぐり…3』につづく)

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栃木市RC橋めぐり…1

(『瀬戸ヶ原堰…2』のつづき)

108026.jpg瀬戸ヶ原堰を楽しんだ後は、やはり同じくらい気になっていた橋たちを愛でてみようと、ガツガツと後戻り。まずは最初に気になった、西岸の派川に架かる小さい方の橋から。

親柱に刻まれた銘は「湊橋」、昭和8年7月竣工とありました。このあたりの町名は、かつての河岸を思わせる湊町ですから、そこからとられた名前でしょう。震災復興橋より少し後の世代といってよいですね。

小なりとはいえ、4つの親柱に御影石(人造石かな?乞うご教示)をおごった、がっしりとした感じのRC橋。しかも角の剥落やひび割れもなく、状態は極上です。橋詰に和菓子屋さんが店を構えているのも、しっとりと落ち着いた風情で、橋の雰囲気に似合っていました。

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108028.jpg舟行でくぐる唯一の橋、巴波川橋のひときわ高い、橋灯付きの立派な親柱。カメラを構えたら…ううん、残念ながら暗く撮れてしまった。こちらも石造の一本ものではあるものの、右左折して渡るクルマが多いせいか、内側の角に剥落が見られ、汚れも少々目立ちました。

竣工年を読みとろうと、左の親柱に近づいてみたのですが、風化したのか読み取りにくく、おそらく昭和9年12月竣工だと思われます。しかし、この古びた表面の感触に、ガス灯風にあつらえた橋灯の醸し出す雰囲気、古建築ともしっくりきて、悪くないですね。

108029.jpg巴波川をいったん離れ、神社参拝や街めぐりを楽しんだ後、昼食をとりました。食事を済ませたところで、重苦しかった空模様も好転してきたので、川景色を眺めようとふたたび巴波川へ。

例幣使街道から適当に路地に入り、河畔へ出たところ。ここは舟の通る区間と違って、藻が流れにそよいで青々と茂り、浅瀬も多いですね。

この状態を目にして、200数十mとはいえ、舟航区間を維持・整備してゆくのは、並大抵のことではあるまいと、頭が下がる思い。ちょっと手入れを怠れば、このように、たちまち藻が繁茂してしまうのでしょう。

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何とはなしに、自転車を下流方向へ走らせると、おおお、またもイイ感じのRC橋が! 親柱は巴波川橋と略同ながら、高欄はより高く、「窓」のパターンも違うムクっぽい造作です。

これはもしかして、川沿いをうろついてみれば、まだまだ古いコンクリート桁橋に出会えるのでは? と、何やらアテにならない妄想を広げて、「RC橋めぐり」を決意。「河岸の街・栃木」の残り香は、RC橋にあるかもしれない…。妄想をエンジンに、まずは目の前の橋へ吸い寄せられてみました。
撮影地点のMapion地図

(24年9月16日撮影)

(『栃木市RC橋めぐり…2』につづく)

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瀬戸ヶ原堰…2

(『瀬戸ヶ原堰…1』のつづき)

108021.jpg石碑のかたわらから(右)と、東岸に渡ってから見た、木製スライドゲート2態。スピンドルを動かすハンドルはすべて取り外されており、手すりも根元が腐食したのか、外れてひしゃげた部分もあり、久しく手入れされていないことが感じられました。扉体はこのまま朽ちてゆくのでしょうか。

これが調整ゲートだったとすると、起伏ゲートは竣工時にはなく、後の追加装備と考えた方が自然のようですね。石碑がおそらく、改修を記念したものらしいことからも、そう思えました。

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108023.jpg東岸に渡ったところで、基礎護岸(?)に降りて、起伏ゲートと角落としの径間を間近に堪能。このちんまりとまとまった、可愛らしさがタマランです。

水位差もご覧のとおり、ほんのわずかとはいえ、唯一の開口部である角落としには、それなりの流速があります。鯉や小魚たちは、今はともかく増水時など、流されてしまわないのかしら。


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角落とし径間のまとまり具合(?)が気に入ってしまい、しゃがみ込んでまじまじと眺めるバカ一名。

ふと、ここは「舟通し」の機能を期待して造られたのかしら? と妄想したのですが、よくよく観察してみると、水を透かして見える底部の戸当りが、河底よりはるかに高く造ってあり、小舟でも通ることは難しいことがわかりました。カヤックくらい軽量小型なら、充分行けそうではありますが。

ううん、しかし、眺め回るほどに魅力的で、しかも歴史もありそうな堰ですよね。改めて、舟行の途中で紹介しないのが、実にもったいなく思えてきました。

状況が許すなら、木製スライドゲートの前まで舟を入れて、その古びた味わいと経てきた星霜を、船頭さんの名調子で語ってもらうなんていうのも、充分にアリだと思うのですが。

108025.jpg角落とし径間のすぐ近くに、「やすらぎ川面の再生 その1 固定堰の改修」と題した、立派な説明板がありました。なるほど、もともと固定堰だったのを、堆積土砂を排出し水質をよくするため、起伏ゲートを設けたというわけですね。

気になったのは、左上の冒頭「瀬戸ヶ原堰と三番堰」という下り。三番堰という堰が、ここでないどこかにあるのか、それとも、先ほど見た鋼製扉体に改装されたゲートが三番堰なのかしら? ご存知の方、ご教示いただきたいものです。
撮影地点のMapion地図

(24年9月16日撮影)

(『栃木市RC橋めぐり…1』につづく)

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タグ : 巴波川 瀬戸ヶ原堰 栃木市