横利根閘門遊覧…4

(『横利根閘門遊覧…3』のつづき)

水郷を代表する二つの土木構造物、横利根閘門と水郷大橋を、水上から同時に訪ねるなんてめったにないことですから、ここで、集めた絵葉書の中からきれいなものを選んで、昔の風景もご覧に入れようと思います。


河川土木系の絵葉書では、横利根閘門と蹴上のインクラインが、まるで東西舟運施設の双璧と言わんばかりによく出てきます。撮影は昭和戦前ごろでしょうか、横利根橋から上流側を見たところ。レンガ部分に人着がされておらず、まるでコンクリート製のように見えるのが妙ですね。

横利根閘門の絵葉書は、同じカットのバージョン違いが多い中、これは高水位側(利根川側)のゲートが全開になっており、また下流側の低水位側ゲートも半開きになっていること、遠方に水郷汽船の大型客船らしい船影が写っているなど、ディテールの面白さから選んでみました。
現在はゲートの運転も自動化されたので、表裏の扉体が同時に開閉しますが、改修工事以前は有人の機側操作だったため、このように、どちらか一方を開いておくといった芸当もできたのですね。


こちらは旧水郷大橋。昭和11年3月に竣工した、全長553mの曲弦ゲルバートラス(両端部は鋼桁橋)で、同形式の橋としては、多摩川の旧大師橋、荒川の旧戸田橋などがありました。

ご覧のとおり、水郷の雄大な景観にマッチした実に優美な姿の橋で、こうして眺めていると、撤去されたことが本当に惜しまれます。横文字のキャプションでもおわかりのように、「すいきょうおおはし」が正式名で、「すいごうおおはし」ではありません。「すいごう」という読み方が広がり始めたのは、昭和初期からとのことですが、まだこのころは「すいきょう」の方がしっくり来たと見えますね。

29056.jpg話を戻して、サッパでの遊覧行です。
横利根川を出た舟は、砂嘴をぐるりと回って船首を利根川上流へ向け、最終目的地・水郷大橋へ。

さざ波の向こうに、長大な斜張橋を望みながら遡上開始。ふたたび快いピッチングがタテイタを震わせます。ちなみに現在の水郷大橋は、52年4月に竣工しました。

29057.jpg
オーニングがあるので、接近してからの橋の姿は、残念ながらうまく撮ることはできませんでしたが、橋の裏側もなかなか雄大。現在の全長は535m、幅員24.5mだとか。

29058.jpg舟はゆっくりと水郷大橋の下で転回して、川の駅への帰途につきました。船頭さんによると、このあたりの澪筋はけっこう深くて、水郷大橋付近でも10m以上あるのだとか。荒川や隅田川では、まず考えられない深淵があるのですね。

帰路に見た樋門をのぞいてみると、あっ、向こうに船影らしきものが。ここも可航河川なのでしょうか。ちょっと入ってみたくなります。

29059.jpg楽しかった30分あまりの船旅も、終わりに近づいてきました。すし詰め状態だけに、さすがにヒザが痛くなってきましたが、初めて乗るコースとあって、全く退屈はしませんでした。

帰路は、賑やかなおばさんたちのお国なまりを聞きながら、利根の川風を頬に当てて、サッパの船べりに体重をあずけ、のんびり。しかしヒザが痛い(笑)。


29060.jpg
帰港直前、小野川水門の近くを通ったので一枚。化粧直ししてもらったのは良いですが、以前にも増して「ぬりかべ」君に近づいたような、扉体も堰柱も同色のフラットな表情。

扉体に、首を傾げてしまうような絵を描かれるよりは、はるかにマシではありますが、ほんの少し、色気が欲しかったような気も。もちろん私だったら、扉体は赤く塗ります。ええ。
撮影地点のMapion地図

(22年5月2日撮影)

本項の参考文献
日本百名橋 松村 博著 鹿島出版会
水郷の原風景 千葉県立大利根博物館

(次項につづく)

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タグ : 横利根川 利根川 横利根閘門 水郷大橋 閘門 樋門 小野川水門 水郷 絵葉書・古写真

小野川水門

(『まずは小野川散歩』のつづき)

11006.jpg利根川の堤防とともに、小野川河口、小野川水門が見えてきました。

以前訪ねたときは、ゆっくり眺められなかったので、ちょっと周りをうろついてみましょう。舟が着くまで、まだ幸い時間があります。
撮影地点のMapion地図

11007.jpg対岸にある、小野川排水機場。

側壁には蔦が這い、適度に古びた感じがよい雰囲気。こういった工場風の建屋は、窓枠が最近のアルミサッシに付け替えられると、雰囲気ががらりと変わってしまうものですが、こちらは幸い昔のままのようですね。


11008.jpg堤防上に登って、小野川水門の銘板を探すと…あった。

昭和43年3月竣工、時々磨いているのでしょうか、真鍮の生地が金色に光っています。




11009.jpg堤防の草むら越しに、真横から眺めると、遺跡のような、また違った表情。

水門の周りは、決してひと気がないわけではありません。むしろ、写生をする人、階段に座って所在無げにのんびりする人と、水門に吸い寄せられるように、ぱらぱらと人出があるのです。
やはり、寄る辺のない河原より、頼もしそうな水門の近くにいた方が、何か安心できるということなのでしょうか。

11010.jpg桟橋近くの河原、水面ギリギリから見上げて。
旧ブログにも書きましたが、下利根周辺に点在する水門や閘門は、同じ線図から起こしたのか、どれも同じような形をしています。

つまり、ある時期に集中して一気に建造された、言わば量産型の水門・閘門というわけです。乗り物やある種の住宅では、量産型というのは珍しくありませんが、やはり土木構造物、こと水門となると、全国的にも例を見ないのでないでしょうか。
このあたりからも、「さすが水郷!」と、ますます思い入れを深くしてしまうのです。

(21年7月20日撮影)

(『佐原出港』につづく)

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