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奈良ドリームランドの「通運丸」、絵葉書があった!

以前、「奈良ドリームランドの『通運丸』」で、モディファイされたものながら、川蒸気船・通運丸が遊園地の乗り物として運航されていたお話を書きました。ついこの間のことと思っていたら、もう12年前になるのですね。

昔の工作雑誌にあった小さな写真で存在に気づかされ、その道の研究家がアップされたサイトや写真で就航当時の姿も拝見できと、インターネッツ時代の恩恵にあずかり、ありがたいかぎりではありましたが、個人的に史料が入手できたとか、その後の進展は絶えてなく、少々寂しい思いを残したまま時を過ごしてきたのでした。

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帆船おしょろ丸と外輪船第三十六通運船
宛名・通信欄比率1:1、「奈良夢の国ドリームランド」の銘あり。


ところが、ようやく最近になって、一枚のみながら当時の絵葉書を入手できたのです! いや、嬉しかったですねえ。奈良ドリームランドの開園は昭和36年ですから、その当時に写されたとすれば、62年前の光景になります。

タイトルでいきなり「第三十六通運」と、誤植をかましてくるのはご愛敬ですが‥‥。青空の下、疎林のある丘をバックに、船溜(?)で憩う僚船「おしょろ丸」とともに、たくさんの乗船客で賑わう「第三十六通運丸」の左舷側面がとらえられていて、どこかのんびりとした、いい雰囲気のスナップじゃないですか。

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通運丸をトリミングしてアップで。何分アミ点が荒いので、拡大してもディテールが鮮明に読み取れるわけではないのが残念ですが、人物とくらべて煙突やデッキ、マストの高さなど各部の寸法はわかるのがありがたい点。

以前の記事に書いたことの繰り返しになりますが、実物の第三十六通運丸とは似ても似つかないにせよ、アレンジの妙といいましょうか、明治のフネっぽく、違和感なくまとめられたある意味佳作だと思うのですね。

マストがあるため、橋のある川は走れないものの、昭和初期の観光で盛り上がる水郷にいても、まったくおかしくない雰囲気。それこそ現代の霞ケ浦で、カタマラン観光船「ホワイトアイリス」と一緒に、"レトロ版遊覧船"として就航してほしくなるような‥‥。

人々の記憶から消え去りながら、戦後になって突如、川蒸気をモデルとした遊覧船が復活した唯一の例を、いきさつも含めて、何とか記録にとどめておきたいものです。

建造された造船所だけでもわかれば、お話を伺いにお邪魔したいくらいの気持ちはあるのですが。何かのきっかけでご縁ができることを、また気長に待つとしましょう。

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タグ : 通運丸川蒸気船奈良ドリームランド絵葉書・古写真

奈良ドリームランドの「通運丸」

10年ほど前の話になります。昔の模型工作雑誌が好きで、色々と調べたいこともあって、古書店に通っては集めていたんですが、写真の「模型とラジオ」(科学教材社刊)昭和36年10月号を開いて、オッと注目した記事がありました。

巻頭のグラフで「日本にできた『ゆめの国』奈良のドリームランド」と題し、今は亡き奈良ドリームランドの開園を報じていたのですが、驚いたのは乗物の中で、外輪船があったこと。

それもよくある米国風をモディファイしたような、国籍不明のものではなく、明らかに国産の、しかも川蒸気をプロトタイプにしたと思しき外観のもの。コレハ! と目を見開いて、キャプションを読んでみると…。

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タグ : 通運丸川蒸気船奈良ドリームランド