大津閘門の周辺…2
(『大津閘門の周辺…1』のつづき)

●こちら側から見ると、扉体下にぽっかり開いた、排水ゲートの様子がよくわかります。扉体は新製されたものでも、表面のリベットや操作用把手、骨太なハンドレールの形状とあいまって、古典的な雰囲気は失われていません。
半ば開いた扉体の間から見えるボートは、昨年試験航行が行われた際(『琵琶湖疏水の再舟航化成るか?』参照)のものと、同じ艇のようですね。閘室側壁にアイがないのか、護岸上の手すりから、長々ともやいを取っているのが印象的です。
●そうそう、越・門川両市長が乗って、試験航行をされた当日の動画がYou Tubeにアップされていました。
『琵琶湖疏水の船下り』 京都市長&大津市長 「疏水船復活への一歩」 (りんたろう京さん)
第一トンネル近くの両岸、この日のためか、ずいぶんきれいに草が刈られていますね。

●もう一つ目を引かれたのは、閘室をまたいでいるこの、コンクリートアーチ橋。その扁平で頼りなげな外観にまず惹かれたのですが、軽く装飾を施した側壁が、軽く苔むし、蔦が這っているあたりも、レンガの前扉室としっくりきていていいですね。
マイタゲートは、通航船艇の高さ制限がないのが長所なので、橋は極力設けず、両岸の往来は閉鎖時、扉体上のランボードでするのが普通です。しかし疏水はトンネルの内法で、通航船の寸法が決まってくるわけですから、橋の常設も差し支えなしとなったのでしょう。
●せっかく訪ねたのだからと、制水門も拝んでおきたいものと、しばらくうろついたものの、これもいい場所がありません。柵に半ばよじ登って、背伸びをしてもこの程度でした。
草もりもりに加えて、監視カメラが真ん中に来ているとあれば、扉体もチラ見程度。ゲートの形式は何でしょう? フラップゲートのようにも見えますが‥‥。

●閘室の横に再び出て、何とかものしたのがこの一枚。
閘室そのものはどうにもなりませんでしたが、扉体開閉ロッドのハンドル周りを、どうにか見ることができました。モーターライズされていない、完全な手動のようですね。こちらも更新されたのか、状態は良好でした。
●いずれ疏水通船が成ったら、個人的にはぜひ、大津閘門の通航もコースに組み入れていただきたいところですが、ゲート操作が手動となると、ちょっとハードルが高そうですね。電動化は難しいのでしょうか?
右写真は、鹿関橋の親柱。コンクリート製ながら、擬宝珠をいただいた和風の高欄で、星霜を経た肌の枯れた良さも手伝い、周囲に溶け込んでいます。
しかしいいですねえ、河川名にひとこと、「疏水」と大書きされているのが! この地での、疏水の存在がいかに大きいか、この二文字に凝縮されているような感じがしたものです。
(26年9月21日撮影)
(『大津閘門の周辺…3』に続く)

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●こちら側から見ると、扉体下にぽっかり開いた、排水ゲートの様子がよくわかります。扉体は新製されたものでも、表面のリベットや操作用把手、骨太なハンドレールの形状とあいまって、古典的な雰囲気は失われていません。
半ば開いた扉体の間から見えるボートは、昨年試験航行が行われた際(『琵琶湖疏水の再舟航化成るか?』参照)のものと、同じ艇のようですね。閘室側壁にアイがないのか、護岸上の手すりから、長々ともやいを取っているのが印象的です。
●そうそう、越・門川両市長が乗って、試験航行をされた当日の動画がYou Tubeにアップされていました。
『琵琶湖疏水の船下り』 京都市長&大津市長 「疏水船復活への一歩」 (りんたろう京さん)
第一トンネル近くの両岸、この日のためか、ずいぶんきれいに草が刈られていますね。

●もう一つ目を引かれたのは、閘室をまたいでいるこの、コンクリートアーチ橋。その扁平で頼りなげな外観にまず惹かれたのですが、軽く装飾を施した側壁が、軽く苔むし、蔦が這っているあたりも、レンガの前扉室としっくりきていていいですね。
マイタゲートは、通航船艇の高さ制限がないのが長所なので、橋は極力設けず、両岸の往来は閉鎖時、扉体上のランボードでするのが普通です。しかし疏水はトンネルの内法で、通航船の寸法が決まってくるわけですから、橋の常設も差し支えなしとなったのでしょう。

草もりもりに加えて、監視カメラが真ん中に来ているとあれば、扉体もチラ見程度。ゲートの形式は何でしょう? フラップゲートのようにも見えますが‥‥。

●閘室の横に再び出て、何とかものしたのがこの一枚。
閘室そのものはどうにもなりませんでしたが、扉体開閉ロッドのハンドル周りを、どうにか見ることができました。モーターライズされていない、完全な手動のようですね。こちらも更新されたのか、状態は良好でした。

右写真は、鹿関橋の親柱。コンクリート製ながら、擬宝珠をいただいた和風の高欄で、星霜を経た肌の枯れた良さも手伝い、周囲に溶け込んでいます。
しかしいいですねえ、河川名にひとこと、「疏水」と大書きされているのが! この地での、疏水の存在がいかに大きいか、この二文字に凝縮されているような感じがしたものです。
(26年9月21日撮影)
(『大津閘門の周辺…3』に続く)

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大津閘門の周辺…1
(『世界最小水路の旅!』のつづき)
●京津線の電車で蹴上を離れ、浜大津へ向かいました。前回乗ったのは、地下鉄と直通する前、蹴上のあたりも併用軌道区間だった時代ですから、もうずいぶん昔のことになります。
急勾配とカーブの続く峠道を抜けて、上栄町からは西近江路の道路上に。大きな電車が、道の真ん中をごろんごろんと徐行しつつ進む面白さ! 今や他ではなかなか味わえません。

●昼食もそこそこに、水運趣味スポットの探訪へ出発。まずは有名物件、琵琶湖疏水の東口にある、大津閘門です。
上流側、北国橋の上からご挨拶。大津閘門を紹介した写真にはよく見られる、いわば定番の角度ですが、やはり写真と実物では大違い。水気の沁みた石垣が描き出す、まろやかなカーブのたおやかさに、護岸上に茂る草木や、背景の山並みの緑がまたよく似合って、しっとりと落ち着いた雰囲気をかもし出していました。

●閘門を正面から。注排水はバイパス管でなく、扉体に設けられた小さなスライドゲートを開閉して行う方式。扉体表面、天地方向に延びるロッドの水面上に、スライドゲートの上端が少し見えていますね。ゲートの位置からして、ほぼ全開になっているようです。閘室内に水を通して、澱まないようにしているのでしょう。
扉体は、明治22年の竣工時からマイタゲートなのは変わりませんが、当初はヒノキ材の木製で、後に鋼製のものに更新したとのこと。ちなみに現在の扉体は、平成元年に新製されたものだそうです。扉室幅(ゲート径間)4.85m、閘室長12.73m、扉体間の有効長18.38m(『運河と閘門』より)。

●導水口である、制水門に至る石垣の曲面もこれまたいい感じ。
しかし、閘門の周囲は植込みの密度が濃く、その上厳重に柵がされており、柵に近づくと、今度は服にやたらと種をひっつける草(はがすのにひと苦労しました!)が茂っていたり‥‥と、間近に眺められるよい場所が、なかなか見つかりません。
●仕方がないので、先に下流側、鹿関橋へ走ってゲートを観察。こちらも生い茂る木が邪魔をして、決してよくは見えませんでしたが‥‥。
おっ、視点が少し高いせいか、結構そそるディテールが見えますね! ちょっと遠いけれど、ズームでたぐり寄せてみよう。
【撮影地点のMapion地図】
(26年9月21日撮影)
(『大津閘門の周辺…2』に続く)

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急勾配とカーブの続く峠道を抜けて、上栄町からは西近江路の道路上に。大きな電車が、道の真ん中をごろんごろんと徐行しつつ進む面白さ! 今や他ではなかなか味わえません。

●昼食もそこそこに、水運趣味スポットの探訪へ出発。まずは有名物件、琵琶湖疏水の東口にある、大津閘門です。
上流側、北国橋の上からご挨拶。大津閘門を紹介した写真にはよく見られる、いわば定番の角度ですが、やはり写真と実物では大違い。水気の沁みた石垣が描き出す、まろやかなカーブのたおやかさに、護岸上に茂る草木や、背景の山並みの緑がまたよく似合って、しっとりと落ち着いた雰囲気をかもし出していました。

●閘門を正面から。注排水はバイパス管でなく、扉体に設けられた小さなスライドゲートを開閉して行う方式。扉体表面、天地方向に延びるロッドの水面上に、スライドゲートの上端が少し見えていますね。ゲートの位置からして、ほぼ全開になっているようです。閘室内に水を通して、澱まないようにしているのでしょう。
扉体は、明治22年の竣工時からマイタゲートなのは変わりませんが、当初はヒノキ材の木製で、後に鋼製のものに更新したとのこと。ちなみに現在の扉体は、平成元年に新製されたものだそうです。扉室幅(ゲート径間)4.85m、閘室長12.73m、扉体間の有効長18.38m(『運河と閘門』より)。

●導水口である、制水門に至る石垣の曲面もこれまたいい感じ。
しかし、閘門の周囲は植込みの密度が濃く、その上厳重に柵がされており、柵に近づくと、今度は服にやたらと種をひっつける草(はがすのにひと苦労しました!)が茂っていたり‥‥と、間近に眺められるよい場所が、なかなか見つかりません。

おっ、視点が少し高いせいか、結構そそるディテールが見えますね! ちょっと遠いけれど、ズームでたぐり寄せてみよう。
【撮影地点のMapion地図】
(26年9月21日撮影)
(『大津閘門の周辺…2』に続く)

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