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毛馬閘門…2

(『毛馬閘門…1』のつづき)

すでにタイトルでもご覧に入れましたが、もう嬉しくてしょうがない入閘の一瞬
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船員さんに「水が少したれてきますよ!」と注意されても、「ええ、いつものことですから」と上の空で口走ってしまい、いぶかしい顔をされる始末。
この船一隻で、閘室が一杯になりそうなのもイイ感じです!

15022.jpg閘室に進入完了。逆光の中、下流側ゲートを振り返って。

船員さんいわく、「ここは管理が厳しくて、つい数年前までは砂船しか通さなくてね。かつては客船など、通航まかりならんという方針だったのですが、ようやく最近になって(水上バスも)通してくれるようになったんです」。う~ん、そうだったんですか。

お話をうかがって思い出されたのが、以前読んだ、月刊「オーシャンライフ」06年7月号の川走りガイド記事、「リーバークルージングシナリオ」にあった、毛馬閘門についての下り…。

その記事によると、プレジャーボートが毛馬閘門を通るには、最低でも一週間前に通航申請が必要で、その上業務船優先のため、通航時間は閘門側が指定するとのことでした。
今でも状況は、4年前と変わらないのでしょうか…。行けばまず確実に開けてくれる都内の閘門や、セルフサービス運転で自由に通航できる、利根川筋の閘門群から考えると、ずいぶん厳しいようですね。

15023.jpg閘室に入ると、船は向かって右側の側壁に達着、ビットにもやいを取りました。上流側の扉体をよく見ると、上がったままの紫色の扉と、降りている青い扉の二枚があります。増水時に備えた、二段式ゲートなのですね。

ここで残念ながら、船員さんにうながされて一旦船内へ戻ることに。

15024.jpg側壁上に立っていた、通航標識の看板。

淀川は、淀川大堰の上下流の、かなりの面積が通航禁止区域で、閘門は堰の上流側のみにあり、大川から堰の下流側へは出られないことがわかります。



15025.jpg船内で、じりじりと上昇する水面に沈みゆく、チェーンの渡された側壁を見ながら注水待ち。

ちなみに閘室の寸法は、幅11.35m、長さ107m(『淀川大堰写真集』より)。船員さんによると、「砂船なら、10杯は入ります」とのこと。う~ん、「ぎっしり閘門」にあこがれる私としては、そのシーン、ぜひナマで見てみたい!
撮影地点のMapion地図


(21年9月11日撮影)

(『毛馬閘門…3』につづく)

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タグ : 毛馬閘門閘門毛馬排水機場淀川大川大阪水上バス

毛馬閘門…1

(『水上バスで淀川遡上…3』のつづき)

15016.jpg後部デッキに出ると、毛馬閘門と水門、排水機場が一望できる、土木構造物の一大パノラマが広がりました。
イヤ~、水の匂いがする、川の空気が美味い!

案内してくれた船員さんは、かつて本船に乗り組まれていたそうで、海外の閘門も通航された経験があるとのこと。日焼けした「潮っ気」の感じられる風貌、船乗りの貫禄充分です。

15017.jpg左手に見える赤レンガの構造物は、旧毛馬第二閘門。大正7年に竣工した、マイタゲートの閘門です。今は陸上に保存されている、明治40年完成の旧毛馬第一閘門とともに、長きに渡り大川~淀川間の舟航を支えてきました。

今ではご覧のとおり、奥には上屋と桟橋が設けられて、船溜として使われているようです。Google航空写真を見ると、手前のマイタゲートは閉まった状態で写っており、今でも動かせるみたいですね。閘門としてはお役御免になっても、ゲートは可動状態のまま、第二の人生を送っているなんて、まるで動態保存のよう。何だか素敵じゃないですか。

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ゲートは開いていますが、入閘の指示待ちなのでしょうか、船はコースから外れた位置で、しばしの漂泊。おかげで、心置きなく写真を撮ることができました。閘門の前に掲げられた標識は、荒川などでよく見かけるものと、同じデザインのものが見られます。

話に聞いたところでは、右側の背の低いゲートも、かつては閘門だったということですが、本当でしょうか。とすると、毛馬は現存する廃閘門が3つも集中している、珍しい場所ということになります。

入閘待ちの間、船員さんと四方山話。7月に広島の水上バスに乗ったことを話すと、「広島は立ち上げの時、ウチにずいぶん研修に来たんですよ」と、意外なところで広島のルーツを知ることに。
船員さんによれば、すでに廃止された江東水上バスの研修も、受け入れたことがあるとのこと。お話が本当だとすると、大阪は「水の都」としての範を示し、各地の河川航路の活性化に、大いに貢献したことになりますね。

15019.jpg淀川の水を、轟々と大川に注ぎ込む毛馬水門の左隣、毛馬排水機場。淀川大堰によって仕切られた淀川下流に、増水時の大川の水を排水するための設備ですね。

巨大な建屋は、なかなかの威容ですが、遠目には排水機場と思えない、何か官庁の庁舎のような雰囲気です。


15020.jpg
足元でエンジンの爆音が高まり、船が閘室に向かって動き出しました。頭上に迫り来る扉体、したたる水滴…ガラス越しでなく、ナマで味わえて、本当に良かった!

大阪の閘門初体験、いやが上にも気分がてんこ盛りに盛り上がります!
撮影地点のMapion地図

(21年9月11日撮影)

(『毛馬閘門…2』につづく)

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水上バスで淀川遡上…3

(『水上バスで淀川遡上…2』のつづき)

15011.jpgご覧のとおり、トップまでガラス張りのため、橋を見上げて楽しむこともできますし、座席も非常に低い位置にあるので、水面が手が触れんばかりの間近に眺められるなど、水上バスとしては、きわめて優秀な造りだと思うのです、が…。

やはり、水上に一旦出ると、一時たりとも閉所におとなしくしていられないという、厄介な病気を持つものとしては、今ひとつヤル気が出ない…。というわけで、橋の写真もほとんど撮っていません。(わがまま言ってゴメンナサイ。)

15012.jpg左手に、阪神高速守口線が寄り添うこのあたりでは、数隻のレガッタが練習中でした。ヤル気が今ひとつなので見損ねましたが、近くに艇庫があるのだそうです。

一瞬、高速道路の桁が、緑に塗られているように見えたのですが、よくよく眺めてみると、緑色のネットで覆っているようです。どうやら、ハトのフン害防止のためとお見受けしましたが、いかがでしょうか。

15013.jpgああ、イイ感じの造船所が…。「ああ」なんて、気色の悪い声をとお叱りを受けそうですが、かようなモノを目にすると、やはり心底ホッとして、タメ息が出てしまうのです…ああ。

先ほど見たものと同様の、砂船でしょうか、船台上に引き上げられて修理中の船が一隻。背後には、真新しい巨大マンション群が迫っている…いずこもご同様のようですね。

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大川を渡って、北東に向かう阪神高速の橋脚の間から、本日のメインイベント、毛馬閘門が姿を現しました。
大阪の閘門を、初めて体験できる嬉しさと、わが身のままならなさが交錯して、一人で脳内悲喜こもごも(泣)。う~む、どうしたものか…。

15015.jpg閘門直前の橋、毛馬橋をくぐるに至って辛抱たまらなくなり、ご迷惑と思いつつも、お願いしてみることにしました。

逞しく日焼けした初老の船員さんに、「閘門を撮りたいんですけど、外に出させていただけますか…」と声をかけると、意外にも「いいですよ、どうぞ」との答え。
よっしゃあ!(嬉)
現金なことにヤル気も急上昇、船員さんに案内され、後部ハッチから久々の(大げさだな)外界へ。
撮影地点のMapion地図

(21年9月11日撮影)

(『毛馬閘門…1』につづく)

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水上バスで淀川遡上…2

(『水上バスで淀川遡上…1』のつづき)

15006.jpg船内は4人掛けの座席が二列に分かれて並び、中央の通路幅を残してトップにもガラス窓があり、眺望が確保された明るい雰囲気。

後で知ったのですが、キャビンの屋根は、低い桁下高をかわすため、窓ごと上下できるカラクリになっているとのこと。写真中央にも、ジャバラでおおわれた支えのようなものが見えますが、あの中に、油圧シリンダーでも入っているのでしょうか。

15007.jpg「駅前船着場」、八軒家浜を出港。4人掛けに2人づつという、ゆったりした席割りで、お客さんは年配のご夫婦中心。

道中は、鍵屋資料館のH氏による、詳しい舟運史の解説あり、見事な三十石舟唄の披露ありと盛りだくさん。この種のツアーには珍しく、飲み物や軽食の販売もありました。


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船はスラスターをきかせて反転、大川遡上へ。大川とはご存知のとおり、旧淀川の通称で、放水路として開鑿された新淀川とは、ちょうど隅田川と荒川の関係を思わせるものがあります。

天満橋、川崎橋と過ぎ、窓越しに見えてきた古典的な鋼橋は、国道1号を渡す桜宮橋。真ん中に関節のある、3ヒンジ型タイドアーチという珍しい橋で、昭和5年の竣工だそうです。(河童倶楽部さんの『桜宮橋』に詳しい記事あり)
大阪は、「八百八橋」を豪語するだけあって、古い名橋も多く、もっとじっくり見てみたかったのですが、窓越しではこれが精一杯…。う~ん、もどかしい。

15009.jpg帝国ホテル大阪前の桟橋、その名も「OAP港」には、ダミーの外輪をつけたシックな水上バス、「ひまわり」が停泊中。船員さんが手を振ってくれました。

むむ、この船だと、スターンやトップのデッキに出られそうな構造ですね…。ちょっとうらやましい。
撮影地点のMapion地図

15010.jpgおお、右手には建材揚場らしい、砂を山積みした河岸に、何隻か独航艀のような武骨系のフネが。失礼して、右列のお客さんの頭越しに撮影。ううう、もっとよく見てみたいよう…。

H氏のお話では、これから向かう枚方付近で、今でも川砂の採取が行われており、砂船で淀川を下って、ここまで運んでくるとのこと。これはいいお話を聞きました、淀川舟運は、今も生きているのですね。この日は金曜日、途中で下ってくる砂船とも、出会えるかもしれません。


(21年9月11日撮影)

(『水上バスで淀川遡上…3』につづく)

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水上バスで淀川遡上…1

9月11~12日は、遅い夏休みをもらって、大阪を中心に、水運趣味スポットを見て回ってきました。

私にとっての大阪は、舟航水路の多さはもちろん、変わった水門はあるわ、渡し舟はたくさんあるわ、古い名橋も少なくないわと、言ってみれば、子供にとってのお菓子の家のようなもの。
見たいものが多すぎて的がしぼりきれず、かえって敬遠してしまったところがあり、この十数年、仕事以外で訪れたことはありませんでした。

今回、優柔不断な私の背中を押してくれたのは、運航日限定の水上バス航路「蘇れ!! 淀川の舟運」(一本松海運株式会社)に乗ると、淀川本流の遡上が楽しめるだけでなく、大好きな閘門の通過があるということ。
このコース、相互リンク先である、ぷにょさんの「まちかど逍遥」の記事、「天満橋~枚方 淀川を遡上(前編)」ほかで拝見して、一度乗ってみたいと思っていたので、よい機会だとさっそく予約。

これと、大阪市内の別コースをあわせ、3つの閘門通過を楽しんだ上、京都付近の水運史跡もいくつか見てこようという、例によっての駆け足ガツガツ旅行。まあ、その筋には有名なところばかりなのですが、水運・土木バカにとっての観光コースということで。

15001.jpgJR京橋で京阪線に乗り換え、天満橋の船着場へ。
京阪間の水辺を縫うようにして走っているだけに、水運趣味スポットめぐりには格好の交通手段。今回は非常にお世話になりました。

そういえば、昔は鴨川の河川敷に、桟道のような線路を設けて走っていた時代もあったんですよね…。鉄道が水辺に敷地を求める例は少なくありませんが、京阪はその際たるものだったかもしれません。

15002.jpg天満橋の駅に降り立つと、早速案内の貼り紙が。初めての人も安心なこの親切さ。

ご存知のように、現在大阪では「水都大阪2009」という、街を挙げてのお祭りの最中です。各社の航路が頻発されるだけでなく、都心部の水辺に散在する各会場では、多彩なイベントが繰り広げられているそうですが、もちろん今回はフネに乗るだけで精一杯…。


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駅ビルを出ると、目の前はすぐ大川…。
うわ、巨大なアヒルの風船が浮いている!
これには度肝を抜かれました!

このアヒルさん、フローティングダックといって、オランダ人芸術家・F・ホフマン氏の作品。高さ・幅ともに9.5m、長さは11mあるそう。(『Нет architecture』参照)
淀川改修を手がけたお雇い外国人、デ・レイケにちなんで、彼の母国であるオランダの芸術家に制作を依頼した(読売新聞による)というあたり、土木趣味的にはグッとくるものがありますね。

15004.jpgちなみにこの船着場、八軒家浜船着場といって、ご覧のとおり天満橋の駅ビルに隣接した交通至便なところ。「川の駅」にも指定された中心的船着場で、かつては伏見通いの三十石舟の、始発港でもあったそうです。

出港時刻が迫ると、桟橋前にお客さんが集まってきました。


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我々の乗る水上バス、「なにわ3号」です。
う~ん、窓開かなそう…。
外にも出られなそう…。


船に乗るのは、もちろん嬉しいことに違いないのですが、何しろ屋根つきブネが苦手な私…。
せっかく来たからには、川景色を存分に楽しみたいのですが、船を前にして一抹の不安が…。
撮影地点のMapion地図

(21年9月11日撮影)

(『水上バスで淀川遡上…2』につづく)

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