最狭水路打通の日!…7

(『最狭水路打通の日!…6』のつづき)

192061.jpg和船の横をすり抜ければ、後の二隻はそこそこの可航幅があるので、余裕しゃくしゃく(いった先から増長ぎみ)。目前に迫った巽橋をくぐったら、大横川との丁字流はもうすぐです。

水平方向の狭さに、意識を持っていかれっぱなしだったこともあり、橋をくぐるのがえらく新鮮に思えるほど。この巽橋、高欄の新しさにだまされがちですが、リベットみっちりで、路面ににょっきり鈑桁が顔を出しているという、魅力的な橋なんですよね。
(『大島川西支川を歩く…4』参照)

192062.jpg
もっとも、すんなり航過したというわけではなく、最後の難関‥‥いや、難関は大げさだな、ちょっと気がかりな場所が一つありました。河口部、船宿さんの釣船と屋形がもやう、ここです。

以前、釣船と屋形の間に一本、船尾どうしを結んだ控えのもやいが渡してあったのを、覚えていたのです。今日はもやいを渡しているのか‥‥。水面下に沈んでいたら、不用意に進むと引っかかるだけでなく、二隻を傷つけてしまいます。あと少しで完走というところまできて、事故を起こしては元も子もありませんから、ここは慎重に一旦停止し、目を凝らして観察。

192063.jpg‥‥よし、大丈夫そうだ! スロットルをコツン、次第についてゆく行き足を感じながら、視界を占めてゆく見慣れたヤマタネ倉庫の壁面。

二隻の船尾角を完全にかわしたところで、堰を切ったように、さっきとは桁違いの嬉しさが、もりもり湧き上がってきました!
ついにこの瞬間が来たのです!

192064.jpg
最狭水路大島川西支川、打通成る!

最初は入ることすら難しかろうと思い込んでいたのが、北側と南側からそれぞれ、恐る恐る出入りできるようになり、そして今日、気長に待ち続けた甲斐あって、通しで艇を歩かせることができた‥‥。思えば初訪から9年、待てば水路の日和あり、であります、はい。

最狭部のヌシたる、あの艇のオーナー様にも感謝。番組中でのお願いを、聞き届けてくださったかどうかはわかりませんが、出港していただいたお陰様で、事故なく念願を成就することができました。ありがとうございました!

192065.jpg
嬉しさで少しおつむに変調を来したのか、練兵衛橋と大島川水門に挟まれた丁字流を、微速で意味なく、3回もぐるぐると回ってしまいました。何か、立ち去り難いものがあったのかもしれません。

一息ついてふと目を上げると、工事中の大島川水門の径間を窓にして、水上バス「カワセミ」の遡上する姿を見ることができました。
撮影地点のMapion地図

(28年5月8日撮影)

(『5月8日の運河風景』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 大島川西支川 大横川 江東内部河川 大島川水門

最狭水路打通の日!…6

(『最狭水路打通の日!…5』のつづき)

192056.jpg

192057.jpg福島橋寄りの繋留艇列をクリア。一番手前の艇、手製のバウフェンダーを貼り付けてあるあたり、いかにも最狭水路の住人らしい感じがしますね。転回のとき、護岸にバウづけして回しているんだろうなあ。

短い区間ではありますが、これでしばらく繋留艇はないので、ようやく右舷側の護岸から距離が取れて、一息つくことができました。いや~、抜けたんだなあ‥‥。じわじわと嬉しさがこみ上げてきた一瞬ではありました。

192058.jpg
桟橋の一つをパチリ。足場用の鋼管を素材にした簡素なものとはいえ、踊り場も広く取られ、ガッシリとした感じ。右手の杭、真ん中あたりがすっかり細ってしまっているのが、年季を感じさせます。

192059.jpg
繋留艇列が再び始まりました。先ほどとは反対に、チョイチョイと左舷側に寄せて、まず一隻目の和船をかわしにかかります。

前回も大いに気になった(通航時は観察する余裕はないとはいえ)、純粋な木造和船らしい舟。甲板上には、貝を採る鋤簾も見えますね。

192060.jpg船尾には外された舵がポン、といった感じで無造作に寝かされていたりして、和船らしい魅力あふれるディテール満載。もっともシートや舟板などがはみ出ているため、可航幅は先ほどと劣らず狭く、しげしげ眺めている余裕はやはりなし。

それでも通航2回目、しかも真の(?)最狭区間を突破した直後となれば、最初のころより、だいぶ気持ちにゆとりが出てきたのも事実ではあります。イヤ、まだ大島川西支川を出たわけではなし、ゆとりが単なる増長とならないよう、気を引き締めて残りを消化しましょう!

(28年5月8日撮影)

(『最狭水路打通の日!…7』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 大島川西支川 江東内部河川

最狭水路打通の日!…5

(『最狭水路打通の日!…4』のつづき)

192051.jpg
初期のポジションは、できるだけ左舷側から‥‥などと胸算用していたものの、両岸の浅さが見当がつかないのと、何よりこれから入るところがえらく狭いということもあって、いきなり構想が破綻(泣)。

もう少しはすに角度をつけられたら、だいぶ楽になるんだが、と脳内でぼやきながらも、やり直しがきかないのは織り込み済み。写真のあたりでニュートラルに戻し、あとは舵だけで桟橋に狙いを定めます。

桟橋の杭に辛うじてフェンダーをヒットさせ、ソフトに達着させることに成功! 杭がミシリ、と不気味な音を立てるのを聞きながら、右手でハッシと杭をつかみ、行き足を止めて杭を軸に向きを変える‥‥。ここまでは、何とか上手くいった! さすがにこの瞬間は、写真など撮れるはずもありませなんだ。

変針に成功したところで、手早く舵中央、スロットルを前進に投入、ペラ後流のパシャッという水音を耳にした瞬間にニュートラル‥‥と、手順を一つでも間違えれば接触必至なだけに、終始無言で全力応戦であります、はい。

192052.jpg
ついた角度のまま、惰性で貝びっしりの護岸に突入。
メリメリガシャガシャキキキと、まあ精神をこそげ落とされるような、えらいサウンドを盛大にまき散らしての接岸であります。

上の写真は護岸にぶつけにかかった少し後、取舵を取って何とか姿勢を平行に立て直したときの一枚。突っ込んだ瞬間の写真はだから撮る余裕がないんですって。右舷は護岸に密着しているので、ここがいかに狭いか、わかろうというものです。

192053.jpg盛大な音だけ聞くと、艇の損傷もいかばかりかと思われるでしょうが、むやみに突っ込んだわけでなく、経験から勝算はありました。この貝びっしり、意外とクッションの役目をしてくれることを知っていたのです。

右舷はフェンダーも3つ下げてあるので、ガンネル全長に渡って傷がいくということもありませんでした。まあ、帰港後に見てみると、付着した貝殻や泥でえらいことになっていて、掃除は大変になりましたが‥‥。

192054.jpg
貝のクッションに助けられながら、体勢を建て直しちょいチルトダウンしつつ前進に投入。右舷からメリメリガシャガシャと音を立てて、行き足が付き始めました。
よ~し、最大の難関は突破したぞ!!

しかし改めて写真を眺め、この狭さ、このクランクぶり、よくぞ作戦通り(?)すり抜けたものと、ホント、今でもタメ息が出てきますわい。

192055.jpg
左の桟橋にもやっている艇のうち、2隻目の方がスターンを振っており、より狭くなっていました。護岸にぶつけた反動がわずかに効き始め、我が艇は左に寄ってきたので、当て舵をして距離を維持しつつ、チョイ、チョイと断続的に前進をかけ、離脱をはかります。

ついに隘路を突破した、待ち焦がれた瞬間のはずでしたが、手放しで喜ぶ気にはなれませんでした。まだまだ最狭区間は続いており、文字通り手が離せないからです!

(28年5月8日撮影)

(『最狭水路打通の日!…6』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 大島川西支川 江東内部河川

最狭水路打通の日!…4

(『最狭水路打通の日!…3』のつづき)

あ の 艇 が い な い 。
いやもう、眼をひん剥いたの何の。大げさでなく船頭の目ん玉には、

192046.jpg
こう見えた!
ちなみに脳内に鳴り響いた擬音は、尾田栄一郎ばりの「ドン!
(『集中線追加ツール』をお借りして作成しました。)

ワケあり!レッドゾーン」出演時に、お願いしたのをオーナーが聞き届けてくださったのか、単なる偶然か、いずれにせよめったにない僥倖に、もの凄い確率で出くわしたことは間違いありません。

192047.jpg風は微風ながらあり、ニュートラルで留まっていても、我が木っ端ブネは刻々とその姿勢を変えてゆきます。チルトアップで瞬発力も極端に落ちていることもあり、同じポジションを維持し続けるのは難しい状況。即座に応戦を決意せざるをえません。

高欄にもたれて見下ろすおじさまたちに、手を振る余裕もすでになし。フェンダーレッコー、前進最微速!


192048.jpg
福島橋は北側がRC桁、南側がリベット組みの鋼桁で、永代通りを渡しているだけあり、幅の広さも結構なもの。

これが大島川南支川でなければ、「くぐりでがあるなあ」などとつぶやきながら、頭上の変化を楽しんだことでしょう。もちろんそんな余裕はない(断言)。

192049.jpg魚探は相変わらず感なしだわ、朽ちた沈船らしき残骸がむくろをさらしているわと、空恐ろしい光景を横目でチラチラ見ながら、乏しい脳ミソを遠心力ではじけ飛ぶ(うそ)ほどフル回転させ、作戦を練る船頭。

積年のもやもやが吹き払われた瞬間を迎えて、橋桁にぶら下がって逆上がりをしたくなるくらい、嬉しくてたまらない気持と、街場の水路の中では究極の難所といってよい区間を前に、逃げられない緊迫感がないまぜとなった、この時の心持ち‥‥。
その複雑さは、とても一言ではいいあらわせません。

おつむをブン回しつつ、時間を稼いだつもりで、ゆっくり歩かせたといってもたかが数10m。

あっという間に目前です。

192050.jpg
まあ、不出来な写真ではありますが、船頭にとっては長年の念願がかなった(いや、まだこの時点ではかなっていないか)、本当にほんとうに嬉しい、まさ記念すべき風景でありました。お目汚し恐縮ながら、しばらくタイトルに掲げさせていただきます。

さて、歩かせながら考えた作戦(でも何でもない)とは、以下のようなものでした。

1)最初のポジションをできるだけ左舷側に取り、ニュートラルで流しながら桟橋へソフトに達着。
2)右手で桟橋の杭をつかみ、面舵を切りながら一瞬前進に投入し、パワーで右舷側に頭を振らせる。
3)角度が決まったら舵中央に戻し、再度前進に投入、そのまま護岸にぶつけにかかる。


うまくいくかどうかはわかりませんでしたが、何はさておき、我が艇が名誉の負傷を受けても、人さまの桟橋や艇を傷つけないのが大前提と、考えた末しぼり出した算段ではありました。
さあ、進もうか!
撮影地点のMapion地図

(28年5月8日撮影)

(『最狭水路打通の日!…5』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 大島川西支川 江東内部河川 橋の裏側

最狭水路打通の日!…3

(『最狭水路打通の日!…2』のつづき)

192041.jpg高欄が素敵な鈑桁橋、御船橋(A.P.+3.5m)を前にしてココロときめきつつも、一面真っ赤な感しか表示しない魚探が、眼下にまがまがしく光っており、仰いで愛でるどころではありませなんだよ。

橋上のディテールは「大島川西支川を歩く…2」をご覧くだされ。高欄の鋳物部分は風格があったし、親柱も格好良かったなあ。


192042.jpg
リアルタイムはさておき、写真を前にしてみると、茂森橋同様、かつて銘板が掲げられていた金具が、空しく残されているのに目を引かれました。

金属供出で外されたのか、鋲が腐朽して落ちたのか、それとも盗まれたのか‥‥。昔はどんな銘板がかかっていたのでしょうね。

192043.jpg前方だけ見ていると、護岸の高さがいま一つピンと来ないので、覚え書き的にスナップ。

大干潮時に加え、水路幅が狭いことも手伝って、これしきの高さでもそそり立つといってよい迫力。本来の地表高は、テラス天端から1.5mほど下だったと思います。もちろんこのテラスは堤防を兼ねていて、日常の水防を担っているわけです。


192044.jpg
御船橋を過ぎると、じょうごの口かはたまたパース画か、といってもいい過ぎでないほど、河道は急速にすぼまってきました。いよいよ最狭区間の始まりであります。

次の福島橋のあたりで、河道はわずかに右手(西側)に屈曲しているため、肝心かなめのアノ場所の状況は、いまだつまびらかにならないのがもどかしいところ。両岸に高い建物が増えてきたのも、狭窄感をいや増すものが。さて‥‥。

192045.jpg
‥‥え? ホント?!
撮影地点のMapion地図

(28年5月8日撮影)

(『最狭水路打通の日!…4』につづく)

にほんブログ村 マリンスポーツブログ ボートへ
にほんブログ村

タグ : 大島川西支川 江東内部河川 橋の裏側