秋の水郷三昧…5
(『秋の水郷三昧…4』のつづき)
●大割閘門を後にして、常陸利根川へ出ました。好天とあって釣りに興じる艇もちらほら見られ、引き波も絶えないようで、硬い感触の衝撃がサッパの船底より伝わってきます。
下の写真は、牛堀・霞ケ浦の方向を見たところ。抜けるような秋晴れの空の下、左手に十六島の低い堤防が、緑色の一線となって定規を当てたように引かれ、右手から中央にかけては低い丘陵を覆う木々がはるかに望まれと、水郷らしい胸のすくような川景色!

●河道中央に出ても、陽射しは暖かで風も穏やかなため、船首に座って身体をさらしていても、そんなにつらくありません。サッパは小さな船外機の爆音を高めて、右に舵を取り潮来は前川へ向かいます。
右の写真は、大割閘門を出る際、正面に見えたバージ。造作から土運船のようですが、船体が錆色なのに加え、護岸の見えない草深い水辺にもやわれているせいか、廃船のような雰囲気です。

●潮来の旅館街を左手に見つつ、逆光下の潮来大橋をくぐって。靄やちぎれ雲に乱反射する陽光、それらをバックに黒くシルエットをつくる潮来大橋、よきかな、佳き哉。

●人道橋と車道橋の間から一枚。橋脚近くを狙って、バスボートがエレキモーターをチョイ、チョイと踏んではギリギリまで迫るシーンも。サッパは舵をやや左に切って、前川の河口に軸線を定めました。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…6』につづく)

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下の写真は、牛堀・霞ケ浦の方向を見たところ。抜けるような秋晴れの空の下、左手に十六島の低い堤防が、緑色の一線となって定規を当てたように引かれ、右手から中央にかけては低い丘陵を覆う木々がはるかに望まれと、水郷らしい胸のすくような川景色!


右の写真は、大割閘門を出る際、正面に見えたバージ。造作から土運船のようですが、船体が錆色なのに加え、護岸の見えない草深い水辺にもやわれているせいか、廃船のような雰囲気です。

●潮来の旅館街を左手に見つつ、逆光下の潮来大橋をくぐって。靄やちぎれ雲に乱反射する陽光、それらをバックに黒くシルエットをつくる潮来大橋、よきかな、佳き哉。

●人道橋と車道橋の間から一枚。橋脚近くを狙って、バスボートがエレキモーターをチョイ、チョイと踏んではギリギリまで迫るシーンも。サッパは舵をやや左に切って、前川の河口に軸線を定めました。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…6』につづく)

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秋の水郷三昧…4
(『秋の水郷三昧…3』のつづき)

●久しぶりに訪ねて、しかも好天とくれば、顔なじみでも改めてディテールを堪能したくなるというもの。まずは後扉室をくぐりざま仰いで。
信号の灯器が、一色づつ独立しているのがわかります。その上に設けられた小さい円筒状のものは、スピーカーでしょうか。径からして、有人運転する際の放送用というより、作動時の警報音に用いるように思えます。巻上機室正面の中央、プレートを掲げていた跡が見られますが、何だったのでしょう? すぐ下に銘板はあるので、名前を大書きしていた線は薄そうですね。

●閘室に入った直後の光景。ゲートの径間にくらべて、幅員をぐっと広く取った、一操作あたりの通航量を重視したと思しき設計。ズラリと並んだフェンダーに繋留用チェーン、側壁に行先を大書きした方向別の操作用把手、右手には階段に説明板と、小兵といえども、ひととおり揃った道具立を眺めるのは楽しいもの。
右写真は説明板のアップ。左上、一見、水銀灯か何かかしらと思っていたら、監視カメラのようですね。前に訪ねたときからあったかな?
●船頭さんは右側にサッパを寄せ、チェーンをつかんで緑色の把手に取り付くと、後扉が閉まり始めました。セルフ閘門ならではの光景、何度見てもいいなあ。
ちなみに、後扉が開いていたこともあり、通閘に要した時間はわずか6分でした。閘程(水位差)は0.5mほどでしょうか。

●注水が終わり、前扉が水を滴らせつつ開いて、常陸利根川(北利根川)の水面が見えてきました。おっ、正面にバージがもやっていますね。こんなに大きなバージが見られるのは、珍しいのではないでしょうか。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…5』につづく)

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●久しぶりに訪ねて、しかも好天とくれば、顔なじみでも改めてディテールを堪能したくなるというもの。まずは後扉室をくぐりざま仰いで。
信号の灯器が、一色づつ独立しているのがわかります。その上に設けられた小さい円筒状のものは、スピーカーでしょうか。径からして、有人運転する際の放送用というより、作動時の警報音に用いるように思えます。巻上機室正面の中央、プレートを掲げていた跡が見られますが、何だったのでしょう? すぐ下に銘板はあるので、名前を大書きしていた線は薄そうですね。


右写真は説明板のアップ。左上、一見、水銀灯か何かかしらと思っていたら、監視カメラのようですね。前に訪ねたときからあったかな?

ちなみに、後扉が開いていたこともあり、通閘に要した時間はわずか6分でした。閘程(水位差)は0.5mほどでしょうか。

●注水が終わり、前扉が水を滴らせつつ開いて、常陸利根川(北利根川)の水面が見えてきました。おっ、正面にバージがもやっていますね。こんなに大きなバージが見られるのは、珍しいのではないでしょうか。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…5』につづく)

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秋の水郷三昧…3
(『秋の水郷三昧…2』のつづき)
●大割水路、全長1.3㎞のうち、橋らしい橋は4本のみで、いずれも実用一点張りの簡素なものですが、水上から見ても補修の痕が痛々しかったりして、震災時の被害を思い起こさせるものがありました。
ときおり大きな魚がバシャンと跳ねたり、ムクドリ(?)の群れがさえずりつつ飛び去るのを眺めながら、橋をくぐってさらに前進。

●橋の西詰にもやっていた、気になる和船。サッパ‥‥というには、長さが極端に短いですね。寸詰まりだから略式かというとそうでなく、中央の舟梁が2本、船首も戸立造りと、本式のそれと変わらない丁寧な造作に見えます。
何とか浮いてはいるものの、ご覧のとおり小縁(コベリ)がはじけてしまっているので、もう使われていないのかもしれません。

●おお、低い法面に黄色い花が咲き乱れて、なかなかキレイ。セイタカアワダチソウでしょうか、農家の方からすれば、刈っても刈っても生えてくる憎まれっ子でしょうが、こうして見ると可愛らしくてよいものですね。
最後の屈曲区間の向こう、ブリキのロボットのような、あの飄々とした風情の巻上機室が見えてきました。ここを通るのも久しぶり、好天も手伝って、もう何だか一つ一つが嬉しく、芯から楽しいと思えるのです。

●扉体を開けて待っていてくれた、大割閘門! 堰柱よりかさの張った螺旋階段を従えて、4mに満たない径間ながら、十六島の玄関口の一つとして、胸を張るこの表情。いいですねえ。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…4』につづく)

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ときおり大きな魚がバシャンと跳ねたり、ムクドリ(?)の群れがさえずりつつ飛び去るのを眺めながら、橋をくぐってさらに前進。

●橋の西詰にもやっていた、気になる和船。サッパ‥‥というには、長さが極端に短いですね。寸詰まりだから略式かというとそうでなく、中央の舟梁が2本、船首も戸立造りと、本式のそれと変わらない丁寧な造作に見えます。
何とか浮いてはいるものの、ご覧のとおり小縁(コベリ)がはじけてしまっているので、もう使われていないのかもしれません。


最後の屈曲区間の向こう、ブリキのロボットのような、あの飄々とした風情の巻上機室が見えてきました。ここを通るのも久しぶり、好天も手伝って、もう何だか一つ一つが嬉しく、芯から楽しいと思えるのです。

●扉体を開けて待っていてくれた、大割閘門! 堰柱よりかさの張った螺旋階段を従えて、4mに満たない径間ながら、十六島の玄関口の一つとして、胸を張るこの表情。いいですねえ。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…4』につづく)

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草林樋門を訪ねて…1

訪ねるたびに増えてゆく、豪奢な彫刻を施した門や神殿を眺めていたら、軒先に玉のようにふくらんだスズメさんを発見。色鮮やかなお飾りに囲まれているせいか、見た目以上に福々しく、トリ好きとしては新年早々、まさに眼福であります!


潮来で昼食をとった後は、寄り道をしつつ十六島をひたすら東へ。下の写真は、公官洲と大倉の間を東西に走るエンマの、この橋から西を見たところ。田んぼの中をまっすぐにのびる水路、はるか彼方に横たわる東関道の高架と、十六島らしい、胸のすくような風景が味わえました。


水郷、特に十六島に魅せられてからこの方、集落や閘門をともなった「出入口のエンマ」に惹かれてきました。加藤洲、仲江間しかり、近くは昨年訪ねた切合水門(『謎の切合水門…1』ほか参照)‥‥。極小閘門への興味から始まった訪ね歩きが、次第に周囲のエンマや集落を含めた、ワンセットに魅力を覚えるようになったのです。
この地に閘門がないことは、航空写真でわかっていましたが、十六島にある「出入口」で未探訪はここだけということも手伝い、やはりこの目で見てみたいと、こうして訪ねてきたのでした。
【撮影地点のMapion地図】
(26年1月2日撮影)
(『草林樋門を訪ねて…2』につづく)

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上戸川舟溜を眺めて…3
(『上戸川舟溜を眺めて…2』のつづき)
●後のお楽しみとしてとっておいた、樋門を眺めてから戻ることにしました。堤防が低いとあって、堰柱もそれに合わせた高さのごくこじんまりとしたもので、螺旋階段のあるところを見ると、動力のあるなしにかかわらず、機側操作のゲートであることは確実です。
タイトルではすでに、堤外地から樋門に向かって右側からのカットを掲げたので、左側から撮ったものを(下写真)。なりは小兵でも、青空をバックに胸を張るその姿、扉体が構造をこちらに向けているのも手伝い、なかなか堂々としています。
【撮影地点のMapion地図】

●名前は、上戸川舟溜り樋管。本体が「舟溜」で、樋門が「舟溜り」と送り仮名付きなのがなんとも。昭和58年3月の竣工とありました。銘板の上に見える巻上機器でわかるように、動力はついておらず、大きなハンドルを回してスピンドルを上下する、人力駆動です。
下は堰柱側面についていた銘板で、径間3m、高さ3.2m、樋管の長さ9.45m。三井不動産建設の施工とのこと。昭和58年と聞くと、そんなに古い感じがしないのですが、もう30年近く前のことなんですねえ…しみじみ。

●樋門前の柵にもたれて、常陸利根川の川面に目をやると、対岸はるかに、大割閘門が見えました。
ズームでたぐりよせて撮り、写真を拡大して見てみると、やはりまだ、入口にはトラロープが張ってある…。水郷で2番目に通航量の多い閘門も、一年以上もおあずけをくらって、いかにもやつれた表情に見えます。一日も早く大割水路が復旧されて、サッパが繁く出入りする賑わいを取り戻してほしいものですね。
(24年6月24日撮影)
(『ホワイトアイリス出港』につづく)

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タイトルではすでに、堤外地から樋門に向かって右側からのカットを掲げたので、左側から撮ったものを(下写真)。なりは小兵でも、青空をバックに胸を張るその姿、扉体が構造をこちらに向けているのも手伝い、なかなか堂々としています。
【撮影地点のMapion地図】


下は堰柱側面についていた銘板で、径間3m、高さ3.2m、樋管の長さ9.45m。三井不動産建設の施工とのこと。昭和58年と聞くと、そんなに古い感じがしないのですが、もう30年近く前のことなんですねえ…しみじみ。


ズームでたぐりよせて撮り、写真を拡大して見てみると、やはりまだ、入口にはトラロープが張ってある…。水郷で2番目に通航量の多い閘門も、一年以上もおあずけをくらって、いかにもやつれた表情に見えます。一日も早く大割水路が復旧されて、サッパが繁く出入りする賑わいを取り戻してほしいものですね。
(24年6月24日撮影)
(『ホワイトアイリス出港』につづく)

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