秋の水郷三昧…4
(『秋の水郷三昧…3』のつづき)

●久しぶりに訪ねて、しかも好天とくれば、顔なじみでも改めてディテールを堪能したくなるというもの。まずは後扉室をくぐりざま仰いで。
信号の灯器が、一色づつ独立しているのがわかります。その上に設けられた小さい円筒状のものは、スピーカーでしょうか。径からして、有人運転する際の放送用というより、作動時の警報音に用いるように思えます。巻上機室正面の中央、プレートを掲げていた跡が見られますが、何だったのでしょう? すぐ下に銘板はあるので、名前を大書きしていた線は薄そうですね。

●閘室に入った直後の光景。ゲートの径間にくらべて、幅員をぐっと広く取った、一操作あたりの通航量を重視したと思しき設計。ズラリと並んだフェンダーに繋留用チェーン、側壁に行先を大書きした方向別の操作用把手、右手には階段に説明板と、小兵といえども、ひととおり揃った道具立を眺めるのは楽しいもの。
右写真は説明板のアップ。左上、一見、水銀灯か何かかしらと思っていたら、監視カメラのようですね。前に訪ねたときからあったかな?
●船頭さんは右側にサッパを寄せ、チェーンをつかんで緑色の把手に取り付くと、後扉が閉まり始めました。セルフ閘門ならではの光景、何度見てもいいなあ。
ちなみに、後扉が開いていたこともあり、通閘に要した時間はわずか6分でした。閘程(水位差)は0.5mほどでしょうか。

●注水が終わり、前扉が水を滴らせつつ開いて、常陸利根川(北利根川)の水面が見えてきました。おっ、正面にバージがもやっていますね。こんなに大きなバージが見られるのは、珍しいのではないでしょうか。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…5』につづく)

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●久しぶりに訪ねて、しかも好天とくれば、顔なじみでも改めてディテールを堪能したくなるというもの。まずは後扉室をくぐりざま仰いで。
信号の灯器が、一色づつ独立しているのがわかります。その上に設けられた小さい円筒状のものは、スピーカーでしょうか。径からして、有人運転する際の放送用というより、作動時の警報音に用いるように思えます。巻上機室正面の中央、プレートを掲げていた跡が見られますが、何だったのでしょう? すぐ下に銘板はあるので、名前を大書きしていた線は薄そうですね。


右写真は説明板のアップ。左上、一見、水銀灯か何かかしらと思っていたら、監視カメラのようですね。前に訪ねたときからあったかな?

ちなみに、後扉が開いていたこともあり、通閘に要した時間はわずか6分でした。閘程(水位差)は0.5mほどでしょうか。

●注水が終わり、前扉が水を滴らせつつ開いて、常陸利根川(北利根川)の水面が見えてきました。おっ、正面にバージがもやっていますね。こんなに大きなバージが見られるのは、珍しいのではないでしょうか。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…5』につづく)

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秋の水郷三昧…3
(『秋の水郷三昧…2』のつづき)
●大割水路、全長1.3㎞のうち、橋らしい橋は4本のみで、いずれも実用一点張りの簡素なものですが、水上から見ても補修の痕が痛々しかったりして、震災時の被害を思い起こさせるものがありました。
ときおり大きな魚がバシャンと跳ねたり、ムクドリ(?)の群れがさえずりつつ飛び去るのを眺めながら、橋をくぐってさらに前進。

●橋の西詰にもやっていた、気になる和船。サッパ‥‥というには、長さが極端に短いですね。寸詰まりだから略式かというとそうでなく、中央の舟梁が2本、船首も戸立造りと、本式のそれと変わらない丁寧な造作に見えます。
何とか浮いてはいるものの、ご覧のとおり小縁(コベリ)がはじけてしまっているので、もう使われていないのかもしれません。

●おお、低い法面に黄色い花が咲き乱れて、なかなかキレイ。セイタカアワダチソウでしょうか、農家の方からすれば、刈っても刈っても生えてくる憎まれっ子でしょうが、こうして見ると可愛らしくてよいものですね。
最後の屈曲区間の向こう、ブリキのロボットのような、あの飄々とした風情の巻上機室が見えてきました。ここを通るのも久しぶり、好天も手伝って、もう何だか一つ一つが嬉しく、芯から楽しいと思えるのです。

●扉体を開けて待っていてくれた、大割閘門! 堰柱よりかさの張った螺旋階段を従えて、4mに満たない径間ながら、十六島の玄関口の一つとして、胸を張るこの表情。いいですねえ。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…4』につづく)

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ときおり大きな魚がバシャンと跳ねたり、ムクドリ(?)の群れがさえずりつつ飛び去るのを眺めながら、橋をくぐってさらに前進。

●橋の西詰にもやっていた、気になる和船。サッパ‥‥というには、長さが極端に短いですね。寸詰まりだから略式かというとそうでなく、中央の舟梁が2本、船首も戸立造りと、本式のそれと変わらない丁寧な造作に見えます。
何とか浮いてはいるものの、ご覧のとおり小縁(コベリ)がはじけてしまっているので、もう使われていないのかもしれません。


最後の屈曲区間の向こう、ブリキのロボットのような、あの飄々とした風情の巻上機室が見えてきました。ここを通るのも久しぶり、好天も手伝って、もう何だか一つ一つが嬉しく、芯から楽しいと思えるのです。

●扉体を開けて待っていてくれた、大割閘門! 堰柱よりかさの張った螺旋階段を従えて、4mに満たない径間ながら、十六島の玄関口の一つとして、胸を張るこの表情。いいですねえ。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…4』につづく)

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秋の水郷三昧…2
(『秋の水郷三昧…1』のつづき)
●おばさんたちとコブハクチョウ君に見送られて、我々の乗ったサッパは桟橋を後進で離れました。コブハクチョウ君、首を曲げてしきりにこちらを見やり、本当に見送ってくれる風なのが可愛らしいですね。
船頭さん、よかったら潮来の前川も寄るけれど、どう? と提案してくれたので、久しぶりの水郷巡りだし、この好天できっと賑わっている水路風景も見られるだろうと、フルコースを奮発することにしました。
●サッパは沖へ出て転回すると、針路を北に向けて一路、大割水路へ。普通なら東へ向かって与田浦橋をくぐり、新左衛門川を通って常陸利根川に出、大割水路から戻るという、いわば反時計回りのコースを取るので、新鮮ではあります。
入口の両岸には、釣り人さんが腰を据えて、じっとこちらを見ています。何だか申しわけないような‥‥、恐縮しつつ進入。

●入ってしばらくは、鋼矢板の天端にコンクリートを載せた護岸が続く、直線水路。秋晴れの空の下、エンマの一つを走れるのが、何よりありがたく、思わず深呼吸。

●ああもう‥‥ねえ? 我が木っ端ブネが入ったら、いっぱいになってしまいそうな狭い水路、船上に立ち上がれば周りが一望できるほどの低い地表高、開けた風景。何度でも同じことを繰り返すあたり、もう水郷バカを自称しても、誰からもおとがめがないに違いない(あたりまえだ)。
旧来の法面護岸となって、桜並木の区間に入ったら、そろそろアレが見えてくるはず。

●かつての極小閘門、旧扇島閘門の片割れ‥‥。現在は、 香北東部幹線水門を名乗るローラーゲート。うむうむ、見たところお変わりなく、元気そうで何よりです。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…3』につづく)

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船頭さん、よかったら潮来の前川も寄るけれど、どう? と提案してくれたので、久しぶりの水郷巡りだし、この好天できっと賑わっている水路風景も見られるだろうと、フルコースを奮発することにしました。

入口の両岸には、釣り人さんが腰を据えて、じっとこちらを見ています。何だか申しわけないような‥‥、恐縮しつつ進入。

●入ってしばらくは、鋼矢板の天端にコンクリートを載せた護岸が続く、直線水路。秋晴れの空の下、エンマの一つを走れるのが、何よりありがたく、思わず深呼吸。

●ああもう‥‥ねえ? 我が木っ端ブネが入ったら、いっぱいになってしまいそうな狭い水路、船上に立ち上がれば周りが一望できるほどの低い地表高、開けた風景。何度でも同じことを繰り返すあたり、もう水郷バカを自称しても、誰からもおとがめがないに違いない(あたりまえだ)。
旧来の法面護岸となって、桜並木の区間に入ったら、そろそろアレが見えてくるはず。

●かつての極小閘門、旧扇島閘門の片割れ‥‥。現在は、 香北東部幹線水門を名乗るローラーゲート。うむうむ、見たところお変わりなく、元気そうで何よりです。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…3』につづく)

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草林樋門を訪ねて…1

訪ねるたびに増えてゆく、豪奢な彫刻を施した門や神殿を眺めていたら、軒先に玉のようにふくらんだスズメさんを発見。色鮮やかなお飾りに囲まれているせいか、見た目以上に福々しく、トリ好きとしては新年早々、まさに眼福であります!


潮来で昼食をとった後は、寄り道をしつつ十六島をひたすら東へ。下の写真は、公官洲と大倉の間を東西に走るエンマの、この橋から西を見たところ。田んぼの中をまっすぐにのびる水路、はるか彼方に横たわる東関道の高架と、十六島らしい、胸のすくような風景が味わえました。


水郷、特に十六島に魅せられてからこの方、集落や閘門をともなった「出入口のエンマ」に惹かれてきました。加藤洲、仲江間しかり、近くは昨年訪ねた切合水門(『謎の切合水門…1』ほか参照)‥‥。極小閘門への興味から始まった訪ね歩きが、次第に周囲のエンマや集落を含めた、ワンセットに魅力を覚えるようになったのです。
この地に閘門がないことは、航空写真でわかっていましたが、十六島にある「出入口」で未探訪はここだけということも手伝い、やはりこの目で見てみたいと、こうして訪ねてきたのでした。
【撮影地点のMapion地図】
(26年1月2日撮影)
(『草林樋門を訪ねて…2』につづく)

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震災後の水郷を訪ねて…11
(『震災後の水郷を訪ねて…10』のつづき)
●もと来た道を戻り、中洲の乗り場に帰ってきました。水生植物園内の水路をめぐる舟にも乗ってみたかったのですが、地震で休園とあっては仕方がありません。
船頭さんたちにお礼を言って別れ、今度は十六島を陸から見て回ることに。
●中洲の乗り場から北へ300mほど進むと、大割水路の南口が見えてきます。船頭さんの話によると、大割水路は通航禁止になっているとのことなので、ひとつ確かめたくなったことがあるのです。
近づいてみると、おお、やはり! 以前「ふたたび水郷へ!…4」のときに、用途をはかりかねて首をかしげたアレ、踏切の遮断機に似た棒が、回転して水路を塞いでいました。実用に供されているのを見るのは、もちろん初めてです。

●凸凹になってしまった大割水路沿いの道を進むと、右の路肩に、長々とパイプが伸びているのに気づかされました。
もしかしてこれは、仮設の水道管なのかしら? インフラが打撃を受けたということは、相当深刻な状態が続いているということになります。
●さらに進むと、通行止めになった橋が見えてきました。これが船頭さんの話にあった橋ですね。
橋台が抜け上がり、路面の両端は浮き上がらないよう、土嚢で重しをしています。右端の四角いコンクリート塊は水管橋の基部で、斜めにひしゃげてひび割れ、水道が機能しているとはとても思えない状態。橋脚も少し傾いでいたので、これではとても舟を通す気にはなれないでしょう。

●大割閘門も、加藤洲閘門と同じく、「点検整備中航行禁止」の看板が掲げられ、運転を止めていました。
水辺そのものが観光資源である十六島です。メインライン一つが途絶したことによる打撃は、想像以上のものがあることでしょう。一見無傷に見える二つの小閘門が、どの程度のダメージを受けていて、どのくらいの期間で復活できるものなのか…。閘門好きとしても気になるところではあるので、ぜひ観光協会のサイトなどで、公表していただきたいところです。
【撮影地点のMapion地図】
(23年5月2日撮影)
(『震災後の水郷を訪ねて…12』につづく)

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船頭さんたちにお礼を言って別れ、今度は十六島を陸から見て回ることに。

近づいてみると、おお、やはり! 以前「ふたたび水郷へ!…4」のときに、用途をはかりかねて首をかしげたアレ、踏切の遮断機に似た棒が、回転して水路を塞いでいました。実用に供されているのを見るのは、もちろん初めてです。

●凸凹になってしまった大割水路沿いの道を進むと、右の路肩に、長々とパイプが伸びているのに気づかされました。
もしかしてこれは、仮設の水道管なのかしら? インフラが打撃を受けたということは、相当深刻な状態が続いているということになります。

橋台が抜け上がり、路面の両端は浮き上がらないよう、土嚢で重しをしています。右端の四角いコンクリート塊は水管橋の基部で、斜めにひしゃげてひび割れ、水道が機能しているとはとても思えない状態。橋脚も少し傾いでいたので、これではとても舟を通す気にはなれないでしょう。

●大割閘門も、加藤洲閘門と同じく、「点検整備中航行禁止」の看板が掲げられ、運転を止めていました。
水辺そのものが観光資源である十六島です。メインライン一つが途絶したことによる打撃は、想像以上のものがあることでしょう。一見無傷に見える二つの小閘門が、どの程度のダメージを受けていて、どのくらいの期間で復活できるものなのか…。閘門好きとしても気になるところではあるので、ぜひ観光協会のサイトなどで、公表していただきたいところです。
【撮影地点のMapion地図】
(23年5月2日撮影)
(『震災後の水郷を訪ねて…12』につづく)

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