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12月12日のフネブネ…5

(『12月12日のフネブネ…4』のつづき)

275131.jpg千鳥運河から十字流を直進、多摩運河の浮島橋に近い船溜の前にさしかかると‥‥あっ! あれは!

かわさき」! 小さな独航艀といった風情の、分類が難しそうな可愛らしささえ感じさせる業務船。平成30年12月に「12月9日のフネブネ…4」で魅せられて以来、ぜひもう一度会ってみたいと思っていたので、嬉しくなりました。


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だらしなく相好を崩しながら近づいて、さっそく左舷前方から一枚。マッコウクジラを思わせる船首形状、ずんぐりとした船体とは対照的に、前傾妻を持つ直線的で小ぶりな操舵室と、独航艀をぎゅっと凝縮したような魅力あふれるフォルム。

乗組みさんの陸行用でしょう、エンジンケーシングの横に自転車と原付が「もやって」あるのが効いていて、人いきれが感じられるというか、生活感があっていい雰囲気です。

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船尾方向に流しつつ楽しく愛でながらも、最初の興奮から落ち着いてきたのか、次第に違和感を覚えるようになりました。

船首のフェンダーはターンバックルが外れて垂れ下がっているし、舷側のタイヤフェンダーも高さが揃っておらず、何より船体の塗装がずいぶん傷んで、錆色の部分が多くなっていますね。3年前に見たときには、舷側色も黒々ときれいで、可愛がられている感じがしたものですが。

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う~ん、もしかしたら、長い間もやいっぱなしで、使われていないのかなあ‥‥。周りの船たちもそんな雰囲気だったので、この船溜はそういう場所なのかも。

再会できたのは嬉しかったものの、少々寂しい現状は残念で、現役であってほしいと願わずにはおれませんでした。また美しく整備され、キュートな船影を運河地帯に留めていただきたいものです。

275135.jpg多摩川を渡って都内に戻り、海老取運河の船溜で通船の船名におっ、と目を引かれて一枚スナップ。

「双鷲六」! 令和2年3月に「双鷲八」、11月に「双鷲参」に出会いましたが、これで「双鷲」を冠したフネブネを目にするのも3隻目になりました。お散歩の道々でスナップして、「双鷲船隊」をコンプリートするのが楽しみになってきたなあ。
撮影地点のMapion地図

(令和3年12月12日撮影)

(『12月12日のフネブネ…6』につづく)

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タグ : 多摩運河海老取運河通船

12月12日の水路風景…1

(『12月12日の横浜水路…5』のつづき)

275096.jpg何分昼近くから強風の予報があったので、もはや帰心矢のごとし。スロットルを倒してプレーニングに入り、あとはしばらく京浜運河を直進です。

大黒大橋をふたたびくぐったのが9:40、あれだけ諸々堪能して、若干ですが寄り道もできたのですから、まずは上首尾というべきでしょう。早起きの効能は絶大であります。

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京浜運河も半ばをだいぶ過ぎ、東扇島をかすめて東航していると、右手に鋼材囲いされた水域と、建造中の橋脚らしきものが二つ見えてきました。建設中の臨港道路の橋、いよいよ橋脚が立ち上がり始めたのですね。

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左手、水江町側も同様に二つの橋脚が姿を現わしていました。湾奥にまた一つ、巨大橋が仲間入りすると思うと、ちょっとワクワクするものが。

川崎港 東扇島~水江町地区臨港道路整備事業」(国土交通省関東地方整備局京浜港湾事務所)に事業の詳細が載っていますが、建造中の橋は主塔の径間525m、桁下高47mの斜張橋になる予定で、令和5年度の竣工を目指しているそう。

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塩浜運河の北端を右に折れ、千鳥運河に入る角のところには、いくつか小さい倉庫が並んでいるのですが、そのうちの一つ「市営い号上屋」の名前に惹かれて一枚。

3つある扉にも「い-1」「い-2」と書かれていて、何かたたみかけてくるような感じも気に入りました。ああ、いろはが振ってある倉庫、いいなあ。ちなみにこの右手には「ろ号上屋」もあります。

275100.jpg10時過ぎには多摩運河に到達、京浜運河地帯を後に県境を越えられました。

写真は多摩川本流に出た直後ですが、モノレールの電車、右から2輌目あたりの手前の水面に見える小さな黒い突起、あれが左手から伸びてきた砂洲の東限を示す澪標‥‥のなれの果て。スカイブリッジもできることですし、も少し航路標識の整備に意を用いていただけるとありがたいのですが。
撮影地点のMapion地図

(令和3年12月12日撮影)

(『12月12日の水路風景…2』につづく)

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タグ : 京浜運河千鳥運河多摩運河

川崎の運河群へ向かう…2

(『川崎の運河群へ向かう…1』のつづき)

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前後して恐縮ですが、午前中の往路があまりに暗かったこともあり、上と以下2枚は帰路に撮ったものを掲げます。

澪筋を知る助けとなった、巨大足場を下流側から見たところ。既製桁による足場を上下流側一対組んで、真ん中に鋼管矢板を打った基礎らしいものを挟んでいるのがわかりました。どうも、橋脚を造っているようですね。左手、対岸近くにもクレーンが林立した現場が遠望できます。

検索してみたら、「羽田空港と川崎市を結ぶ新しい橋の整備に着手します」(東京都・29年1月24日、建設局発表)がヒット。環状8号線の延長部として、長さ約600mの橋を平成32年竣工を目指し架橋するとのこと。多摩川の新しい第一橋梁ができるわけですね。

228007.jpg足場の位置は、羽田空港船着場のほぼ真横。かつて、油槽船が横付けしていたバースを流用したもので、頑丈そうなコンクリート製です。

帰路は折よく、「Jetsailor」が横付け中。建造所であるツネイシクラフト&ファシリティーズの当該船ページによると、16総t、スズキDF250APを2機がけ、最大速力24kt、28年4月30日竣功とのこと。


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海老取川澪筋を出て、最初に見た浚渫船団を下流側から。この船団のおかげで、東西方向の航路は十分な水深が確保されていました。

願わくば本流のみならず、多摩運河に分岐する、南北方向の澪筋も浚渫していただきたいもの! ブイや澪標などは少なく、航路標識はまだしの感がありますが、これはおいおい整備されてゆくに違いありません。

‥‥イヤ、浅瀬だらけで放置感のあった多摩川河口部も、いよいよ大きく変化してゆく時代になったのですね。通航のたびに緊張を強いられてきた(半ば楽しんでいますが)身としては、やはり感慨深いものがあります。

228009.jpg多摩運河の北口は、多摩川の上流側から浅瀬が舌状に伸びており、瀬の最下流部には大きな杭が澪標として設けられていた‥‥はずなのですが、チビていてほとんど視認できず。

あと記憶にあるのより、ずっと下流側への迂回をした気が。浅瀬が成長したのかな?‥‥と、まあ、久しぶりの多摩川横断は緊張の連続。多摩運河に入った瞬間、実にホッとさせられたものでした。

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浮島橋をくぐると、いよいよ運河地帯に入った、という気分が盛り上がってきます。最初に出会ったのは黒いガット船、「第十一大神丸」。ホールドには砂だか泥がまだ見えましたから、今は休憩中でしょうか。
撮影地点のMapion地図

(30年12月9日撮影)

(『川崎の枝運河めぐり…1』につづく)

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タグ : 多摩川多摩運河曳船浚渫船

夕暮れの運河風景…2

(『夕暮れの運河風景…1』のつづき)

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137051.jpg港内に入って、横浜の街に目を向けると、陽はすっかり傾いて街並みは雲の影に沈み、水面に光のラインを作っていました。まさに、秋の日はつるべ落とし。

日没まであと1時間半を切ったこともあり、しぶきがかぶるのも構わず、行き足を緩めずに京浜運河をひたすら東航。西日を浴びた扇島火力発電所の煙突は、なぜか煙を吐いていませんでした。


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飛ばした甲斐あって、20分ほどで大師運河に到達。オレンジ色のLPGタンカーが、夕陽を浴びてさらに色濃く朱に染まった美しさに、「おっ」と目を惹かれたものの、ゆっくり眺めるいとまもなく、さらに前進です。

137053.jpg多摩運河に入ったのは、ちょうど16時。静かな水面の向こうに、夕陽を反射させた浮島橋と、その上に重なる首都高の高架を見たときは、正直ホッとしたものです。

これで、視界が利く間に多摩川の澪筋を抜けられる! もっとも、写真は明るく写ってはいるものの、水面はすでに夕闇が迫り始め、行き交うフネブネも、灯火を点灯させているものが多くなってきました。我が艇もマスト灯・両舷灯を点け、久方ぶりの薄暮航行となりました。

137054.jpg海老取運河を抜けたところで、しぼったスロットルをふたたび倒し、飛ばしに飛ばして京浜運河北口を出ました。多摩運河からここまで38分、のんびり屋の我が艇としては、新記録かもしれません。

薄暮の船行きはめったにないことでもあり、夜を迎えつつあるレインボーブリッジを背景に、点灯するマスト灯を一枚。寒さが身に沁みた帰り道ではありましたが、夕陽を浴び、また夕闇に沈みゆく運河畔も、日中とはまた違った味があるなあと、再認識したことではありました。
撮影地点のMapion地図

(25年11月1日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 京浜運河多摩運河横浜港

11月1日の運河風景…3

(『11月1日の運河風景…2』のつづき)

137011.jpg多摩運河唯一の橋、上を首都高川崎線が2段で通る浮島橋をくぐっている最中に、列車の刻むジョイント音と、ピィーッと機関車の汽笛が。めったに出会わない、貨物列車が通過しているんだ!

くぐりざま、あわてて振り返りカメラを構えると、残念ながら列車は通過した直後。かろうじてタンク車の連なる最後尾をとらえたにとどまりました。悔しそうなわたしの顔を見て、M艇長、「残念でしたねえ」とニヤリ。

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多摩運河西口、小島町側にある工場の桟橋(Mapion地図によると『川崎シーサイドアスコン』)では、本船が接岸し、岸壁上のクレーンがブーンとグラブを振りまわして荷役中。

船名は「第百三十六鳳生丸」…う~ん、今まで見た中で、この船が一番のインフレナンバーかも。

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その対岸、夜光1丁目の旭化成ケミカルズ川崎製造所を、十字流から眺めたところ。

こうしてパノラマ写真風に天地を狭くトリミングしてみると、プラントや煙突の林立する右側から、球形タンクの並び、本船の接岸する左側まで、じっくりと眺めて味わいたくなるのですから、不思議なものですね。

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京浜運河を西航するたび、強烈な形で意識を吸い寄せられてしまうのがこの、三井埠頭のアンローダー。

以前、「京浜運河地帯に拾う…4」で眺めたときとは違い、陽射しを浴びてオレンジ色の塗装が美しく輝き、なかなかよい表情でした。

137015.jpg日清製粉のサイロの前にさしかかると、黒い船体の曳船が2隻東航してきて、接岸しているグレーの本船の前で行き足をゆるめました。

動きからして、どうやら本船の離岸作業に入るようですね。周囲を見回して、接近する他船がないことを確かめてから、お邪魔にならないよう運河中央へ大きく避航します。
撮影地点のMapion地図

(25年11月1日撮影)

(『11月1日の大岡川…1』につづく)

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タグ : 多摩運河京浜運河曳船