マニアパ的水路行…3
(『マニアパ的水路行…2』のつづき)
●茂森橋に突入すると、バドン氏はカディに背中をあずけ、仰向けになるようにしてカメラを構えられるなど、リベットだらけの桁下空間を楽しまれている様子で、胸をなでおろしました。片思いの女性が、やっとこちらを振り向いてくれたような感覚に襲われる小心船頭。
ちなみに通過時刻は、前回とほぼ同じ11時過ぎ。おなじみ潮汐推算グラフによると、11時の芝浦の潮位は0.62m。前回(『水門先生と江東運河地帯…6』参照)より、ちょうど0.1m低かったことになりますが、その強烈な圧迫感はほとんど変わりなく、最低橋の面目躍如といったところ(?)。

●すり抜けを終えて脱力したところで、上流側からの全景を一枚。逆光気味なのと、両岸の木々が特徴あるラーメン橋台に影を落とし、今ひとつの仕上がりですが、昭和4年生まれの震災復興橋の雰囲気が、少しはお分かりいただけるでしょう。
(茂森橋のディテールについては、後ほど別エントリでお目にかけます。)
バドン氏に、「『最低橋Tシャツ』いかがですかね?」と水を向けると、「ウ~ン」と思案顔。やはり、鋼桁+ラーメン橋台という地味な組み合わせだと、まず図案化するのが難しそう。いや、それ以前に、需要がなさそう、というのが大きいかもしれませんが。
●仙台堀川との丁字流を過ぎ、大横川をさらに北上していると、ヤマハのベルフィーノが南下してくるのを発見。この区間で他艇と行き合うのは、これが初めてなので、一人でちょっとコーフン。
ハードトップ艇とあって、さすがに茂森橋はくぐれないでしょうから、仙台堀川~平久川のコースで下るのでしょう。お気をつけて!
●この日は日曜とあって運転はお休みでしたが、扇橋閘門にも寄ってみました。
ここは昨年春に佐藤氏が主催された、「水門ツアー」(Das Otterhaus『水門ツアーの試み』参照)でバドン氏も見学されたとのこと。職員の方がサービス精神旺盛で…というお話に、やっぱりそうなんだ、と大いにうなずく船頭。
通航する側から見ても、この閘門のヤル気満々ぶりは際立っており、向かってくる艇を発見した瞬間から注排水開始、指示の放送も親切で、閘室を出るときは、必ず職員の方がテラスに出て見送ってくれるのですから、通るのも楽しくなるわけです。
●ここでバドン氏が惹かれていたのは、閘門にほど近い小名木川沿いにある、区営扇橋一丁目アパート。
高くそびえる階段・エレベーターシャフト部分の威風、あたりを払う感があり、クリーム色のタイル張りとした壁面と、凸部が織り成すデザインの妙とあいまって、団地にうとい私でも、「いい雰囲気だなあ」と思わせるものがありました。
【撮影地点のMapion地図】
(21年9月20日撮影)
(『マニアパ的水路行…4』につづく)

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ちなみに通過時刻は、前回とほぼ同じ11時過ぎ。おなじみ潮汐推算グラフによると、11時の芝浦の潮位は0.62m。前回(『水門先生と江東運河地帯…6』参照)より、ちょうど0.1m低かったことになりますが、その強烈な圧迫感はほとんど変わりなく、最低橋の面目躍如といったところ(?)。

●すり抜けを終えて脱力したところで、上流側からの全景を一枚。逆光気味なのと、両岸の木々が特徴あるラーメン橋台に影を落とし、今ひとつの仕上がりですが、昭和4年生まれの震災復興橋の雰囲気が、少しはお分かりいただけるでしょう。
(茂森橋のディテールについては、後ほど別エントリでお目にかけます。)
バドン氏に、「『最低橋Tシャツ』いかがですかね?」と水を向けると、「ウ~ン」と思案顔。やはり、鋼桁+ラーメン橋台という地味な組み合わせだと、まず図案化するのが難しそう。いや、それ以前に、需要がなさそう、というのが大きいかもしれませんが。

ハードトップ艇とあって、さすがに茂森橋はくぐれないでしょうから、仙台堀川~平久川のコースで下るのでしょう。お気をつけて!

ここは昨年春に佐藤氏が主催された、「水門ツアー」(Das Otterhaus『水門ツアーの試み』参照)でバドン氏も見学されたとのこと。職員の方がサービス精神旺盛で…というお話に、やっぱりそうなんだ、と大いにうなずく船頭。
通航する側から見ても、この閘門のヤル気満々ぶりは際立っており、向かってくる艇を発見した瞬間から注排水開始、指示の放送も親切で、閘室を出るときは、必ず職員の方がテラスに出て見送ってくれるのですから、通るのも楽しくなるわけです。

高くそびえる階段・エレベーターシャフト部分の威風、あたりを払う感があり、クリーム色のタイル張りとした壁面と、凸部が織り成すデザインの妙とあいまって、団地にうとい私でも、「いい雰囲気だなあ」と思わせるものがありました。
【撮影地点のMapion地図】
(21年9月20日撮影)
(『マニアパ的水路行…4』につづく)

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マニアパ的水路行…2
(『マニアパ的水路行…1』のつづき)
●ここでプチ航路情報。洲崎南水門から大横川南支川をのぞくと、屋形船の繋留が復活していました。
西洲崎橋の架け替えや、護岸改良工事終了後も、しばらく繋留船の見られなかったここですが、これで旧来の姿に戻ったことになります。通過できないのはちょっと残念ですが、業務船の憩う「生きた水路」であることは、水運趣味的に見て、やはり嬉しいことには違いありません。
●汐浜運河と平久川・平久運河の十字流を右折、平久川から大横川へと、ここからは前回(『水門先生と江東運河地帯…3』参照)とほぼ同じコース。
次第に水路幅が狭まり、橋の桁下高も低くなってゆく、ドキドキ感を味わっていただけるかしら…と思っていたのですが、バドン氏のテンションは、そんな俗世の瑣事を超越したところにあり、沿岸に現れる建造物の、魅力的なパーツを次々と発見しては、一つ一つに論評を加えてゆく手連の早業。
ちょっとしたディテールも見逃さない、そのまなざしはまさに猛禽類、ハンターの眼と言っても過言ではありますまい!
●平久川から、大横川に入った直後の北岸にそびえ立つこの団地は、バドン氏の琴線をいたく刺激したようです。団地ながら、屋上に西濃運輸の大きな看板が掲げられているのも珍しいですが、地上階も西濃運輸のトラックヤードになっているのですね。
ご指摘いただかなければ、いつものようにスルーするところでした。今まで、いかに漫然と水路行をしていたか、思い知らされます。
【撮影地点のMapion地図】
●木場公園横の南北に延びる区間に入ると、さすがに大型の建物は見えなくなりましたが、小さなアパートや民家にも、換気口やちょっとした造作など、カッコイイ部分を目ざとく発見しては楽しまれる、バドン氏の驚異的な眼力。
いやもう、ここまで喜んでいただけるとは、お付き合いいただいた船頭としても、まったく嬉しい限りなのですが…、もしかしたら、バドン氏が茂森橋に気づかないまま通り過ぎてしまうのではという、一抹の不安が芽生えたことも、否定できません。
佐藤氏ご提唱の「最低橋Tシャツ」計画は、水辺の団地の圧倒的存在感の前に、露と消えてしまうのか?

●狭い艇上にぎゅっと詰まった人々(狭くてすみません)、それぞれの思惑をよそに、おなじみ茂森橋がもう目前まで迫っていました。神様は…イヤ違った、復興局そして地盤沈下は、人々の頭上にひとしく最低橋をお遣わしになる…団地趣味界の雄にも、水門写真家にも、そして水路バカにも。
戯れごとはともかく、今まで、お菓子の森に迷い込んだ子供のようだった、バドン氏のテンションが急降下し、他の同乗者とともに、口々に通過への不安を漏らされるまでに。
その地味な外観にもかかわらず、一瞬で観衆のハートをわしづかむ茂森君。やはり君は偉大な最低橋だ!
(21年9月20日撮影)
(『マニアパ的水路行…3』につづく)

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西洲崎橋の架け替えや、護岸改良工事終了後も、しばらく繋留船の見られなかったここですが、これで旧来の姿に戻ったことになります。通過できないのはちょっと残念ですが、業務船の憩う「生きた水路」であることは、水運趣味的に見て、やはり嬉しいことには違いありません。

次第に水路幅が狭まり、橋の桁下高も低くなってゆく、ドキドキ感を味わっていただけるかしら…と思っていたのですが、バドン氏のテンションは、そんな俗世の瑣事を超越したところにあり、沿岸に現れる建造物の、魅力的なパーツを次々と発見しては、一つ一つに論評を加えてゆく手連の早業。
ちょっとしたディテールも見逃さない、そのまなざしはまさに猛禽類、ハンターの眼と言っても過言ではありますまい!

ご指摘いただかなければ、いつものようにスルーするところでした。今まで、いかに漫然と水路行をしていたか、思い知らされます。
【撮影地点のMapion地図】

いやもう、ここまで喜んでいただけるとは、お付き合いいただいた船頭としても、まったく嬉しい限りなのですが…、もしかしたら、バドン氏が茂森橋に気づかないまま通り過ぎてしまうのではという、一抹の不安が芽生えたことも、否定できません。
佐藤氏ご提唱の「最低橋Tシャツ」計画は、水辺の団地の圧倒的存在感の前に、露と消えてしまうのか?

●狭い艇上にぎゅっと詰まった人々(狭くてすみません)、それぞれの思惑をよそに、おなじみ茂森橋がもう目前まで迫っていました。神様は…イヤ違った、復興局そして地盤沈下は、人々の頭上にひとしく最低橋をお遣わしになる…団地趣味界の雄にも、水門写真家にも、そして水路バカにも。
戯れごとはともかく、今まで、お菓子の森に迷い込んだ子供のようだった、バドン氏のテンションが急降下し、他の同乗者とともに、口々に通過への不安を漏らされるまでに。
その地味な外観にもかかわらず、一瞬で観衆のハートをわしづかむ茂森君。やはり君は偉大な最低橋だ!
(21年9月20日撮影)
(『マニアパ的水路行…3』につづく)

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マニアパ的水路行…1
●京阪間水運趣味旅行のお話は、ひとまずお休みさせていただき、お先に、去る9月20日の水路行を挟ませていただきます。
以前、佐藤淳一氏と大横川の最低橋・茂森橋にご一緒した(『水門先生と江東運河地帯…1』ほか参照)際、茂森君のサイテーっぷりがいたくお気に召したようで、「『最低橋T(シャツ)』がほしい」「つぎはぜひバドンさんを乗せてあげて」と、ご自身のブログで公言されるほど。愛しの茂森橋を気に入っていただけて、船頭冥利に尽きるお話であります。
●バドン氏とは、先にパチもの問題でお騒がせしたテトぐるみや、水門やガントリークレーンなどのドボク趣味の絵柄をあしらった、ユニークなTシャツをデザイン・販売されていることで知られる、「マニアパレル」の主催者です。
バドン氏に、茂森君の比類なき最低橋ぶりを体験していただき、あわよくば「最低橋Tシャツ」を制作していただこうというのが、佐藤氏のご魂胆でありますが、さて首尾よく「洗脳」成るか、いなや…。
●当日は、北東から東の風が少々強かったものの、秋らしく晴れ渡った上天気。もちろん運河の中では、波に悩まされる憂いもありません。
佐藤氏からの情報によると、バドン氏は団地を愛するあまり、公団住宅に入居してしまったほどの団地趣味者。道々、団地の見える運河を通ってほしい、とのこと。
了解、では曙北運河からアプローチ、汐浜運河を抜けて、江東内部河川に入るコースを取りましょう。バドン氏ご夫妻、佐藤氏とご一緒に、まずは曙北運河を北上。
●曙北運河と汐浜運河の接続部、お肌の曲がり角ならぬ「運河の曲がり角」。
こんなにスパッと直角に近い曲がり方で、しかも角が観賞できるところって、そうそうないんですよ…などと、冗談とも本気ともつかない名所案内(笑)をしたものの、バドン氏はすでにそわそわして、心ここにあらずといったご様子…。

●左手に広がる汐浜運河は、ご覧のとおりの団地密集運河。団地がお好きな向きには、そこそこ楽しい水路かと思って入ったのですが、通向きではなかったかな、と不安もありました。
さっそくバドン氏に、汐浜運河沿岸の団地評をうかがうことに。
「あれ(写真右奥)はいかがですか?」
「悪くありませんが、ベランダの手すりが既製の量産品なのが惜しいです。やはり(パーツは)ワンオフがいいですね!」う~ん、なるほど。熱く、しかも筋の通った審美眼に、団地趣味の奥深さをかいま見た気が…。
【撮影地点のMapion地図】
●南岸のこの団地は、プレス製のドアの色が気になったご様子。ドアのメーカー名も出るなど、まったくその豊富な知識(団地趣味者に失礼ですが)には舌を巻くほど。奥様も交えて、ホットな団地論に興じるバドン氏。
いや、ここまで喜んでいただければ、汐浜運河通過は失敗ではなかったようです!
●個人的には、写真手前に見られるような、古そうで小さな団地(都営洲崎弁天町アパート)に惹かれるものがあるのですが…。
バドン氏によると、写真奥に建っているようなより巨大なものに、下層に店舗が入っているなど、通好みの部分が隠されている場合が多いのだとか(間違っていたらごめんなさい)。
恐るべし団地趣味、これ以後の水辺の風景は、また違ったものに見えてきそうです。
(21年9月20日撮影)
(『マニアパ的水路行…2』につづく)

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以前、佐藤淳一氏と大横川の最低橋・茂森橋にご一緒した(『水門先生と江東運河地帯…1』ほか参照)際、茂森君のサイテーっぷりがいたくお気に召したようで、「『最低橋T(シャツ)』がほしい」「つぎはぜひバドンさんを乗せてあげて」と、ご自身のブログで公言されるほど。愛しの茂森橋を気に入っていただけて、船頭冥利に尽きるお話であります。
●バドン氏とは、先にパチもの問題でお騒がせしたテトぐるみや、水門やガントリークレーンなどのドボク趣味の絵柄をあしらった、ユニークなTシャツをデザイン・販売されていることで知られる、「マニアパレル」の主催者です。
バドン氏に、茂森君の比類なき最低橋ぶりを体験していただき、あわよくば「最低橋Tシャツ」を制作していただこうというのが、佐藤氏のご魂胆でありますが、さて首尾よく「洗脳」成るか、いなや…。

佐藤氏からの情報によると、バドン氏は団地を愛するあまり、公団住宅に入居してしまったほどの団地趣味者。道々、団地の見える運河を通ってほしい、とのこと。
了解、では曙北運河からアプローチ、汐浜運河を抜けて、江東内部河川に入るコースを取りましょう。バドン氏ご夫妻、佐藤氏とご一緒に、まずは曙北運河を北上。

こんなにスパッと直角に近い曲がり方で、しかも角が観賞できるところって、そうそうないんですよ…などと、冗談とも本気ともつかない名所案内(笑)をしたものの、バドン氏はすでにそわそわして、心ここにあらずといったご様子…。

●左手に広がる汐浜運河は、ご覧のとおりの団地密集運河。団地がお好きな向きには、そこそこ楽しい水路かと思って入ったのですが、通向きではなかったかな、と不安もありました。
さっそくバドン氏に、汐浜運河沿岸の団地評をうかがうことに。
「あれ(写真右奥)はいかがですか?」
「悪くありませんが、ベランダの手すりが既製の量産品なのが惜しいです。やはり(パーツは)ワンオフがいいですね!」う~ん、なるほど。熱く、しかも筋の通った審美眼に、団地趣味の奥深さをかいま見た気が…。
【撮影地点のMapion地図】

いや、ここまで喜んでいただければ、汐浜運河通過は失敗ではなかったようです!

バドン氏によると、写真奥に建っているようなより巨大なものに、下層に店舗が入っているなど、通好みの部分が隠されている場合が多いのだとか(間違っていたらごめんなさい)。
恐るべし団地趣味、これ以後の水辺の風景は、また違ったものに見えてきそうです。
(21年9月20日撮影)
(『マニアパ的水路行…2』につづく)

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