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6月13日の水門たち

(『6月13日のトリさん』のつづき)

267041.jpg雨降り続きで当然お出かけもできないので、いったん締めた6月13日の項を再開させていただきましょう。いずれもおなじみの顔ぶればかりですが、近況のスナップとしてご覧いただければ幸いです。

たい焼きが電気ショックでシビレている」絵柄、と妄想解釈して早や12年、変わらぬ姿を見せてくれる古川水門を少し引き気味な位置から。こちらは防潮堤の外側とてテラスはありませんが、かえって水門の存在感は強調されて、硬質ないい雰囲気です。

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運河畔の開発著しく、周辺は大いに賑わっている天王洲水門を構造側から見て。紺色の塗色はまだつやがありますし、梁に施された三角形の模様が効いていて、引き締まった美しさを感じさせるのですが、くぐってスキンプレートを振り返ってみると‥‥。

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継手の下端から昇ってきた錆が、何ともうらぶれた雰囲気で、少々哀れに思えるほど。絵柄の是非はともかく、地色がグレーということもあるのでしょうか、どこか間延びしたような感じがして、裏面とは対照的な風貌ですよね。

芝浦運河地帯周辺の水門て、日の出水門や目黒川水門みたいに、構造側に小さな絵がペイントされているとか(『日の出水門のウラ事情』参照)どこかバランスを欠いた謎の行動(?)がいくつか見られ、以前から気になっているのですが、天王洲水門も少しそのケがあるように感じられ、興味を引かれます。

267044.jpg曇り空の下、汐留のビル街をバックにうっそりと立つ、汐留川水門。巻上機室と扉体は数年前に更新(『27年度川走り納め…9』参照)されましたが、左に併設されたぬめっとした不思議な外観の、排水機場の配管ケーシングは以前のまま。

浜離宮前水面‥‥築地川、汐留川の排水を担う重要な施設ですから、おいそれといじるわけにはいかないのでしょうが、周囲の水門も更新が進む折柄、外見だけでも考えられていいころですね。

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数少ないスイングゲート、築地川水門。ローラーゲートなら頭上に仰ぐ扉体も、通航しつつ触れるくらい間近に感じられるのは、このタイプのいいところ。湛水線から上の塗色はまだ鮮やかで、光量の少ない曇天ながら、目に沁みるような快さがありました。
撮影地点のMapion地図

(令和3年6月13日撮影)

(『曳船の操舵席に吸い寄せられて』につづく)

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タグ : 古川水門天王洲水門汐留川水門築地川水門芝浦運河天王洲運河汐留川築地川

夕凪橋の架け替え工事

(『5月4日の六郷水門』のつづき)

120041.jpg帰路は、京浜運河から左折して、天王洲南運河~高浜運河~高浜西運河~芝浦運河のルートで戻ることにしました。

天王洲南運河の東品川橋、市販桁「ランドクロス」と「プレガーダー」を組んだ仮橋がまだ架かっていて、工事が続いているようですね。「東品川橋の工事」で初見して以来、足かけ5年に及んでおり、結構な規模の工事であることがうかがえます。

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高浜西運河まで来て、芝浦西運河を通ってから芝浦運河へ出ようと、モノレールの線路に沿って左へ。そうそう、こちらも架け替え中なのでしたっけ。

仮橋の高欄に掲げられた垂れ幕には「夕凪橋架替工事のお知らせ(平成24年9月~平成26年2月)」、「施工時の桁下高 3.9m 現況より60cm低くなります。施工時の可航幅 9.7m 現況より70cm狭くなります。」とありました。船溜を控えているだけあって、書き方も親切ですね。
撮影地点のMapion地図

120043.jpg頭上を走り抜けるモノレールにつられて見上げると、橋脚も足場で囲まれて、物々しい雰囲気。桁下高を示す、小旗の付いたワイヤーを渡すためのものですね。

くぐってから振り返ると、旧夕凪橋は写真左、東側の径間が取り外されたところでした。しかし、最近は運河に架かる橋の架け替えが、妙に多い気がするなあ。かつての港湾部らしさを感じさせた無骨な鋼桁橋たちが、加速度的に少なくなってゆくのは、ちょっと寂しいですね。

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120045.jpg芝浦運河に戻り、おなじみ古川水門まで北上してきました。

似たようなことを何度も繰り返して恐縮ですが、本日は日中の潮位が、こうイイ感じで高止まりしている日。この佳き日に「呼ばれる」どころか、気持ちのみならず船体ごと、ちゅうちゅう吸い寄せられそうな水路といえば…。


(25年5月4日撮影)

(『光射す高架下水路・古川…1』につづく)

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タグ : 天王洲南運河芝浦西運河芝浦運河古川水門

12月2日の川景色…1

(『12月2日のフネブネ』のつづき)

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前後しますが、フネブネのお次は同日に眺めた気になる物件たちをいくつか。朝潮運河、新月島運河(新月島川)との丁字流近くに突き出しているのが、この「泉興産勝どき倉庫」の看板を掲げたクレーン。朝潮運河に唯一残った荷役設備であります。

とはいっても、看板やガーダーのはげちょろげ具合、岸壁上には不要の鋼材らしきものが無造作に横たわり、本来開口しているべき建屋の壁は、すき間なく塞がれているところをなど見ると、もう使われなくなってずいぶん経つのでしょう。朝潮水門のスイングゲートとともに、舟運の残り香を伝える数少ない物件となってしまいました。
撮影地点のMapion地図

110032.jpg西仲橋の架け替え」でも触れた、西仲橋の工事はどうかしらと、左に折れて月島川へ入ってみました。

以前は両岸から鋼矢板の囲みが張り出し、可航幅を極端に圧迫してすり抜け感が味わえましたが、それらは取り去られてご覧のようにすっきり。見通しがだいぶよくなりました。



110033.jpg水路中央を占有していた鴨さんたちが、我が艇の接近を嫌がっていっせいに散ってゆきました。ごめんね~。頭の茶色いのは、ホオハジロだったかな? (トリ好きなくせに詳しくないあたり)

そうそう、ここ月島川は、水路行でたびたび出会っているスマートなカタマラン、エスエスNANO1(『満漢全席小名木川…9』ほか参照)の定繋地でもあるのですが、通りがかったところで、嬉しいことにちょうどZEN船長がおられ、久々にご挨拶ができました。

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次第に薄雲がかかり始め、ときおり陽が陰るようになってきました。冬の薄日を浴びて、どこかさっぱりとした表情の月島川水門を一枚。

110035.jpgこの後、芝浦運河地帯にもちょっと寄ってみたのですが、その入口にある古川水門、例の「たい焼きが電気ショックでシビレている」(『芝浦運河点描…2』参照)絵柄を見上げて気づいたのが、ちょっとした汚れのパターン。

左右にある継手からの錆だれはともかく、イナズマ模様の谷になった角から下へ、白く水垢様の汚れが何本も見られますね。絵を描いて塗料の盛ってある分、表面にわずかな凹凸があるということが、実感できる汚れの付き方。これだけの面積がある扉体を、美しく維持してゆくのは大変なことですね。
撮影地点のMapion地図

(24年12月2日撮影)

(『12月2日の川景色…2』につづく)

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タグ : 朝潮運河月島川月島川水門古川水門水辺の鳥たち

6月3日の芝浦運河地帯…3

(『6月3日の芝浦運河地帯…2』のつづき)

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一旦運河を出て港内へ。レインボーブリッジの西詰、ループの中へ久しぶりに入ってみたくなりました。

ぐるりを走るゆりかもめの電車を目で追っていたら、時ならぬサイレンの音がわんわんと響いてきて、ループ道路の途中に集結している様子。水面からはよく見えませんでしたが、首都高で事故があったようでした。

95048.jpg高浜水門に向かって左手、京浜運河の北口にある船溜…かつて浚渫船「雲取」がもやっていたあたりには、新しい浚渫船「海竜」の姿が!

まさにフネそのもの、他の本船に混じったら、とっさには見分けがないつかないくらいのスタイルは、機械然とした無骨そのものの「雲取」とは対照的ですね。


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船宿の持ち船らしいフラットボートの後について、運河へもどりました。芝浦運河を通って帰るとしましょう。

雲も切れて初夏らしくなった空をバックに、そびえるタワーマンション群とその影を映す水面、一条の白いウェーキがよいアクセントとなって、美しい街場の運河風景を楽しむことができました。

95050.jpg芝浦運河といえば、芝浦東運河との分流点にある、「芝浦通船」の通船溜を眺めるのも楽しみの一つ。

チラリとのぞく船底色の赤がよく映えているのも、白い船体が美しくあってこそ。社風なのでしょうか、この船社のフネブネはどれも手入れが行き届いています。その上、今や少なくなりつつある、これこそ“ツーセン”といいたくなるような船型なのですから、吸い寄せられるわけですわ!
撮影地点のMapion地図

95051.jpgそしておなじみ、古川水門の裏側を仰ぎながら、芝浦運河にお別れ。

まだちょっと物足りないので、浜離宮前に寄り道してみましょう。




(24年6月3日撮影)

(『浜離宮の出船風景』につづく)

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タグ : 芝浦運河高浜西運河通船曳船浚渫船古川水門

芝浦運河点描…2

(『芝浦運河点描…1』のつづき)

13061.jpgアーバンランチの発着する、「ミナモ」の桟橋の対岸のみ、ご覧のような自然石(砕石かな?)を積んだ、法面護岸が完成していました。

これなら見た目も良いですし、艇から見れば、引き波の反射をやわらげてくれる効果も得られるので、一石二鳥と言ったところでしょう。

13062.jpg本来は、桟橋や揚搭設備を持っていたであろう倉庫が、テラスが直前に造られたことにより、水面から切り離され、ちょっと寂しい光景になってしまった例。

もちろん倉庫としては現役なのでしょうが、本来の荷受口であった、運河とのつながりが絶たれてしまった姿は、少々哀れでもあります。

13063.jpg新橋への切り替えは完了したものの、まだ工事の続く潮路橋の前後では、水面に旗やブイが設けられ、通航船に注意をうながしている箇所がありました。

仮設橋か、旧橋のものかはわかりませんが、まだ水中に取り除ききれていない矢板や橋脚が、残っているのでしょうか。


13064.jpg今回の芝浦界隈散策で、一番嬉しかったのがこれ。
全長わずか100mあまりの極小運河、芝浦北運河の奥には、建材の荷揚げ場があるのですが、独航艀が接岸しているのを、初めて見ることができたのです。

超ミニ運河とはいえ、水運の一翼を担う、生きた運河であるところに惹かれるわけです、ハイ。

水辺がが再開発され、ま新しいマンションや公園に囲まれながら、孤軍奮闘するこうした施設は何か所かありますが、まあ、やはり自分としては、声援を送りたくなってしまうわけで…。
先祖代々の先住者にもかかわらず、後から来た人たちに苦情を言われ(以下略)というお話を、ご近所の町工場の人たちからも、よく聞かされていますのでねえ…。

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これも「お絵描き水門」、私の脳内では、「たい焼きが電気ショックでシビレている」(笑)絵に見える、ユーモラスな絵柄の古川水門を後に、本日のお散歩を終了。

何度も通ったおなじみの運河でも、こうして小さな変化が楽しめるのが、都内の水路の面白さでもあります。東京南部の水路群も、しばらく訪ねていないので、機会があったらまた、見て回りたいですね。
撮影地点のMapion地図

(21年8月16日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 芝浦運河芝浦北運河古川水門