秋の水郷三昧…10
(『秋の水郷三昧…9』のつづき)
●前扉が閉まると、後扉手前両脇にあるバイパス装置のスピンドルが、ウィンウィンウィンと小気味よい音を立てて、スライドゲートを引き上げてゆくさまが間近に。
サイズが小さいだけに、閘門のメカニズムを手に取るような距離で、余すところなく実見できるのも加藤洲閘門の良いところ。小型閘門でも、扉体をチョイ上げて注排水するような略式でなく、バイパスゲートを4基も備えているんですぜ! 4基も!

●そして後扉が上がり、これもご無沙汰の新左衛門川へ前進微速。扉体から滴が垂れてくるので、ちょっと腰が引けてオーニングの下から。オープンボート原理主義者ではありますが、ローラーゲートの閘門とくれば、やはり屋根があるのはありがたいものです。
まるで閘門の管理橋のようなポジションにある、一本目のよしきり橋をくぐって。以前にくらべて、ずいぶん苔むして風格を帯びたようですね。

●エンジン停止、チルトアップで船頭さんの棹漕(?)に移行。鳥の声と水音のみの静けさ、抜けるような青空。陽に焼けてほどよく貫録のついた、白木の小橋たちのたやずまいもお変わりなく。ああ、やっぱり十二橋っていい!

●逆光の中、点在する家並みと水際に迫る生垣、河水を吸って湿り気を帯びた大谷石の護岸を堪能しながら、ゆるり、ゆるりと。ああ、本当に十二橋っていい。いいと思ったことは何度でも繰り返します、ええ。
船首に座って、うららかな陽射しを浴びていると、可愛らしい赤トンボ君が音もなく飛来して、目の前の小縁に羽を休めました。驚かさないよう、息を止めるようにして、いいお顔を1枚。可憐な珍客の訪問に思わずにっこり、これも好天のおかげでしょう。
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…11』につづく)

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サイズが小さいだけに、閘門のメカニズムを手に取るような距離で、余すところなく実見できるのも加藤洲閘門の良いところ。小型閘門でも、扉体をチョイ上げて注排水するような略式でなく、バイパスゲートを4基も備えているんですぜ! 4基も!

●そして後扉が上がり、これもご無沙汰の新左衛門川へ前進微速。扉体から滴が垂れてくるので、ちょっと腰が引けてオーニングの下から。オープンボート原理主義者ではありますが、ローラーゲートの閘門とくれば、やはり屋根があるのはありがたいものです。
まるで閘門の管理橋のようなポジションにある、一本目のよしきり橋をくぐって。以前にくらべて、ずいぶん苔むして風格を帯びたようですね。

●エンジン停止、チルトアップで船頭さんの棹漕(?)に移行。鳥の声と水音のみの静けさ、抜けるような青空。陽に焼けてほどよく貫録のついた、白木の小橋たちのたやずまいもお変わりなく。ああ、やっぱり十二橋っていい!


船首に座って、うららかな陽射しを浴びていると、可愛らしい赤トンボ君が音もなく飛来して、目の前の小縁に羽を休めました。驚かさないよう、息を止めるようにして、いいお顔を1枚。可憐な珍客の訪問に思わずにっこり、これも好天のおかげでしょう。
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…11』につづく)

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秋の水郷三昧…9
(『秋の水郷三昧…8』のつづき)
●遊覧船乗り場の前に戻ってみると、先ほど出会ったお囃子舟が接岸して、嫁入り舟の後ろについていました。花嫁さんはまだサッパに乗っておらず、演奏もいったん休まれていたので、予想とは違いこれからアトラクションが始まるようです。
門の前を通り過ぎざまのぞいたら、しずしずと歩む花嫁さんの姿がちらりと見えました。もう少しタイミングが遅ければ、お嫁入りのシーンを目にすることができたのですが、惜しいことではありました。

●前川を離れ、潮来のホテル街を眺めながら常陸利根川を横断。一度、このどれかに泊まってみたいと思いながら、早や10年‥‥。おすすめの宿はどこでしょう、今度船頭さんに聞いてみよう。
●お待ちかね、水郷の極小閘門筆頭格、加藤洲閘門を通って十二橋は新左衛門川へ。
あら、扉体に描いたせっかくのあやめが、水垢で隠れてしまっていますね。時間があったら、艇体掃除の柄付きスポンジをひっさげて、扉体磨きの勤労奉仕を志願したいところです。

●閘室の側壁のみならず、堰柱に至るまで緑のタイル風に造作され、操作用把手もケーシングされてと、小なりといえど十六島のみならず、水郷を代表する閘門だけに、細部まで気配りされていますよね。
‥‥毎回同じようなことを書いている気がするな。まあ、加藤洲閘門は小さくてカッコイイということです、ええ。

●今まであまり意識していなかったのですが、両側壁上に一つづつ設けられた照明も、曲線を取り入れたガス灯風(?)なのですね。タグ「加藤洲閘門」で過去の写真を確認してみると、以前からこのタイプであることがわかりました。
例によって船頭さんが把手を引くと、前扉が閉まり排水開始。ああ、草餅早く食べたいなあ。前川のお団子屋さんで食欲を刺激されて、今や「花より団子」ならぬ「水路より団子」の心持ちであります、はい。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…10』につづく)

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門の前を通り過ぎざまのぞいたら、しずしずと歩む花嫁さんの姿がちらりと見えました。もう少しタイミングが遅ければ、お嫁入りのシーンを目にすることができたのですが、惜しいことではありました。

●前川を離れ、潮来のホテル街を眺めながら常陸利根川を横断。一度、このどれかに泊まってみたいと思いながら、早や10年‥‥。おすすめの宿はどこでしょう、今度船頭さんに聞いてみよう。

あら、扉体に描いたせっかくのあやめが、水垢で隠れてしまっていますね。時間があったら、艇体掃除の柄付きスポンジをひっさげて、扉体磨きの勤労奉仕を志願したいところです。

●閘室の側壁のみならず、堰柱に至るまで緑のタイル風に造作され、操作用把手もケーシングされてと、小なりといえど十六島のみならず、水郷を代表する閘門だけに、細部まで気配りされていますよね。
‥‥毎回同じようなことを書いている気がするな。まあ、加藤洲閘門は小さくてカッコイイということです、ええ。

●今まであまり意識していなかったのですが、両側壁上に一つづつ設けられた照明も、曲線を取り入れたガス灯風(?)なのですね。タグ「加藤洲閘門」で過去の写真を確認してみると、以前からこのタイプであることがわかりました。
例によって船頭さんが把手を引くと、前扉が閉まり排水開始。ああ、草餅早く食べたいなあ。前川のお団子屋さんで食欲を刺激されて、今や「花より団子」ならぬ「水路より団子」の心持ちであります、はい。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…10』につづく)

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先々代の加藤洲閘門?

●水郷関連の絵葉書を探してさまよううち、「日本水郷」と題した、袋入り8枚組の絵葉書に出会いました。「天然色・国際規格判」の文字も誇らしげな、白黒写真をベースに、製版でカラー化した絵葉書です。
水郷大橋、帆引き船、香取神宮と、おなじみの風景を題材に、この手の絵葉書特有の、ちょっと強調し過ぎとも感じられる色彩が目に沁みるようで、時代を感じさせ味わい深いもの。それだけなら、「フーン、いいなあ」で済んだものが、以下の一枚が入っていたことで、即決定となりました。
そう、水郷名物、極小閘門です!

●裏面のキャプションを読むと、「日本水郷情緒 野趣にとむ十二橋入口付近」とありました。十二橋入口とくれば、これは加藤洲閘門? いわれてみれば、画面奥が南として、閘室が左に曲がっているあたり、確かにそれらしい! それにこの水路幅、舟がみっちりもやっている様子、新左衛門川以外、考えられません。
ゲートが、「水郷の閘門について・二題」の絵葉書に出てきた、先代加藤洲閘門とはまた違った形であること、「仲江間閘門にマイタゲート疑惑?」で触れたのと同様の、マイタゲート取り付け跡(?)らしい構造物がゲートの手前に見えることと、ダブルパンチでハートわしづかみの物件を目の当たりにし、もうコーフン状態。
●上記の推測が正しければ、先々代の加藤洲閘門を写した、貴重な一枚ということになります。それだけでも嬉しいのですが、やはり気になったのは、マイタゲートが取り付け座だけで、扉体自身は姿が見えない点でした。
以下妄想すると‥‥。スライドゲートは水垂れが不快なため、増水時の閉鎖用として常時開にしておき、通常はマイタゲートで通航操作をするつもりでいたところ、スライドゲートの電動化で、マイタゲートを人力で開閉するより省力化がはかられたため、マイタゲートは取り外されたか、最初から取り付けられなかった‥‥といったあたりでしょうか。いきさつをご存知の方、ぜひご教示いただきたいものです!

なるほど、30年代末なら、雰囲気的にしっくりくると思います。しかし、仲江間閘門は凄いなあと、改めて感じ入ったことではありました。昭和30年代か、それ以前の水郷における極小閘門のスタイルを、いまなお維持してかつ、現役なのですから!

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あやめ祭りの水郷風景…7
(『あやめ祭りの水郷風景…6』のつづき)

●というわけで、閘室の中へ。サッパで加藤洲閘門を通るのは、本当に久しぶりで、閘室に抱かれる楽しさをしみじみ味わいました。あ、「水郷佐原」の看板、まだ傾いたままですね…。
ゲートが開いて、常陸利根川の川面がのぞくと、すでにお客さんを満載した通航待ちのサッパが。どっと入ってきた川風が気持ちよく、閘室の蒸し暑さを和らげてくれます。
【撮影地点のMapion地図】
●船頭さんのサービスで、舟はいったん沖合に出て、大きな円を描きながらゆっくりと転回してくれました。
ほんの短時間でしたが、常陸利根川の雄大な川景色、あやめ祭りで賑わう潮来・前川のあたりも遠望できて、満足満足。
●いとしの極小閘門・加藤洲閘門を河上から遠望。左右の法面には水郷風景のタイル画と、幅を大きく取った階段、背後には十六島有数の集落である、加藤洲の家並を従えたその姿。閘門群生地帯である水郷・下利根流域でも、まさに別格の扱いであることが実感できる角度です。
大割水路が依然として通航不能で、兄弟閘門である大割閘門を通ることができないのは残念でしたが、十二橋めぐりのコースだけでも、こうして賑わっているのを見ることができたのは何よりでした。

●そして帰路、さっきサギ君のいたあたりに目をやると…まだいた(笑)!
ちょっとだけ移動して、舟の上で直立不動。写真を撮っていたら、目があってしまいました。
(24年6月24日撮影)
(『上戸川舟溜を眺めて…1』につづく)

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ゲートが開いて、常陸利根川の川面がのぞくと、すでにお客さんを満載した通航待ちのサッパが。どっと入ってきた川風が気持ちよく、閘室の蒸し暑さを和らげてくれます。
【撮影地点のMapion地図】

ほんの短時間でしたが、常陸利根川の雄大な川景色、あやめ祭りで賑わう潮来・前川のあたりも遠望できて、満足満足。

大割水路が依然として通航不能で、兄弟閘門である大割閘門を通ることができないのは残念でしたが、十二橋めぐりのコースだけでも、こうして賑わっているのを見ることができたのは何よりでした。

●そして帰路、さっきサギ君のいたあたりに目をやると…まだいた(笑)!
ちょっとだけ移動して、舟の上で直立不動。写真を撮っていたら、目があってしまいました。
(24年6月24日撮影)
(『上戸川舟溜を眺めて…1』につづく)

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あやめ祭りの水郷風景…6
(『あやめ祭りの水郷風景…5』のつづき)

●軒先にはあやめを描いた提灯が二つ三つ、それに商品もたくさんぶら下がっていて、もと通り営業されていることが感じられ、嬉しくなりました。船頭さんに、買い物をするからつけてくれるようお願いして、さっそく接岸。
●おばさんがさし出してきた草餅を受け取りながら、昨年は休まれていて残念だったので、復活されて嬉しかったこと、ヨモギ畑が地震で被害を受けられた(『震災後の水郷を訪ねて…9』参照)そうだが…などと話しかけたら、「よく知ってるねえ!」と驚かれた様子。
「ここや、ここもやられちゃってねえ」と、ひびの入った大谷石の護岸や、柱の基礎を叩きながら、修繕のご苦労を話してくれました。完全復旧まで、まだ時間が必要なようですが、以前と変わらずに営業されていて、本当によかった!
久しぶりとあって、他にもいくつか買い物をしたところ、おまけをしていただき、かえって恐縮しつつお店を離れました。

●帰路、サッパの横付けするお店を上流側から眺めて。今や全国にもまれな、舟から買い物のできる水路のお土産屋さん。十二橋のオアシスとして、末永く盛業していただきたいものです。
●進むほどに、続々と下ってくるサッパ群。しつこいようですが、水郷にとって、本当に今が旬なんだなあ…。
ところで、船尾を前にして下ってきたサッパ、この先で理由がわかりました。「震災後の水郷を訪ねて…10」でも触れた、エンマ跡の舟入が閉鎖されてしまい、与田浦から上ってきた舟は、舟入りに突っ込んでの転回ができなくなってしまったのです。
与田浦にある組合のサッパは、十二橋遊覧の後、加藤洲閘門を出ずにそのまま引き返す(大割水路は、依然として通航止めのまま)のが現行のコースなので、後ずさるしかないわけですね。写真のように正しい姿勢で下ってくるのは、加藤洲閘門から入ってきた、潮来側の組合の舟なのでしょう。

●というわけで、本来ならばここで戻るところを、せっかく加藤洲閘門が復活していたこともあり、船頭さんにお願いして通ってもらうことにしました。
通常は、通航舟から把手を引いて動かす自動運転ですが、繁忙期は有人運転でたくさんの舟をさばくと聞いていました。おお、話のとおり、麦わら帽子をかぶった「閘門守」(?)さんが、入閘を見守っておられる! 有人運転時の通航は初めてなので、妙に興奮してしまいました。
【撮影地点のMapion地図】
(24年6月24日撮影)
(『あやめ祭りの水郷風景…7』につづく)

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●軒先にはあやめを描いた提灯が二つ三つ、それに商品もたくさんぶら下がっていて、もと通り営業されていることが感じられ、嬉しくなりました。船頭さんに、買い物をするからつけてくれるようお願いして、さっそく接岸。

「ここや、ここもやられちゃってねえ」と、ひびの入った大谷石の護岸や、柱の基礎を叩きながら、修繕のご苦労を話してくれました。完全復旧まで、まだ時間が必要なようですが、以前と変わらずに営業されていて、本当によかった!
久しぶりとあって、他にもいくつか買い物をしたところ、おまけをしていただき、かえって恐縮しつつお店を離れました。

●帰路、サッパの横付けするお店を上流側から眺めて。今や全国にもまれな、舟から買い物のできる水路のお土産屋さん。十二橋のオアシスとして、末永く盛業していただきたいものです。

ところで、船尾を前にして下ってきたサッパ、この先で理由がわかりました。「震災後の水郷を訪ねて…10」でも触れた、エンマ跡の舟入が閉鎖されてしまい、与田浦から上ってきた舟は、舟入りに突っ込んでの転回ができなくなってしまったのです。
与田浦にある組合のサッパは、十二橋遊覧の後、加藤洲閘門を出ずにそのまま引き返す(大割水路は、依然として通航止めのまま)のが現行のコースなので、後ずさるしかないわけですね。写真のように正しい姿勢で下ってくるのは、加藤洲閘門から入ってきた、潮来側の組合の舟なのでしょう。

●というわけで、本来ならばここで戻るところを、せっかく加藤洲閘門が復活していたこともあり、船頭さんにお願いして通ってもらうことにしました。
通常は、通航舟から把手を引いて動かす自動運転ですが、繁忙期は有人運転でたくさんの舟をさばくと聞いていました。おお、話のとおり、麦わら帽子をかぶった「閘門守」(?)さんが、入閘を見守っておられる! 有人運転時の通航は初めてなので、妙に興奮してしまいました。
【撮影地点のMapion地図】
(24年6月24日撮影)
(『あやめ祭りの水郷風景…7』につづく)

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