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利根川河口堰閘門を訪ねて…6

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…5』のつづき)

293026.jpg風が強いですが、左右とも広大な川面が広がる堤防道を歩くのは、川好きにとって楽しいもの。寒ければツラいものになったでしょうが、暖かで助かりました。

大河の合流点に突き出す背割堤の先端という、地先中の地先であるにもかかわらず、観光案内みたいな看板があったので引っかかってみました。う~ん、魚道が特記されているのに、大写しになっている閘門にひとことも言及のないの、閘門好きとしてはさみしさが‥‥。

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293028.jpg天端をずんずん先っぽ近くまで歩くと、目指す物件が見えてきました。堤防先端の左手です。

ここでもう一枚看板が出現。引っかかって、色褪せた挿図を眺めてみると‥‥ううむ、通航範囲や制限速度まで触れているにもかかわらず、閘門の部分は空白(泣)。閘門がここでも仲間外れにされる理由が、何だかわからない‥‥。


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到着しました。といっても手前には柵があり立ち入り禁止なので、真下に立って仰ぐわけにはいきませんが。

高水敷に造られたレール上にごろりと転がる、この巨大な車輪付きケーソンみたいなものは何かというと、「予備ゲート」なるもの。以前も紹介した、国土交通省 霞ヶ浦河川事務所のツイートで使用例が紹介されています。小型の水門でいう、角落しに相当する臨時の扉体ですね。

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川表側のゲートをアップで。上端手前には、閉鎖時に堰柱へ固定するための閂が一対見られ、端面には水密ゴムも。側面には注排水のバルブらしきもの、転動するための車輪様の構造も目立ち、もろもろディテールが興味深いですね。

動画でも紹介されたように、最近使われたばかりとあって、表面がうっすら緑色となっているのも生々しくてよいものが。予備の扉体まで、すべてが雄大な水門設備。閘門の運転も見られたし、大利根流域らしさも堪能したしと、大満足のひとときでした。

(令和5年2月12日撮影)

(『木戸堰…1』につづく)

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利根川河口堰閘門を訪ねて…5

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…4』のつづき)

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警報音が鳴り響く中、じりじりと後扉室の扉体が上がって、閘室内が見えてきました(動画はこちらをどうぞ)。船はすでにもやいを放ったのだか、側壁から離れて斜めになっていますね。

径間15mの開扉となれば、離れていても結構な質量感で迫力があります。扇橋閘門や荒川ロックゲートの速度に慣れていると、ちょっと遅いかとも思えますが、これは昭和46年という竣工年と、セルフ操作で安全性を見込んでいることから考えて、妥当なところではあるでしょう。

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293023.jpg側壁に見える湛水線からして、閘程は1mほどでしょうか。こういったディテールは、実際に通閘を目の当たりにしないとわかりません。本当にラッキーでした。

閘室を出てきたサッパをスナップ。先ほどは船首に出ていた人たちも、扉体からの滴をしのぐためオーニングの下に入っていますね。鴨猟のチャーターを専門に請け負っている船なのでしょうか、通閘を前提とした備えのように思えました。

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293025.jpg閘門を訪ねられただけでなく、通閘シーンもばっちり堪能できて、お腹いっぱいといったところ。背割堤の天端に上がって、常陸川水門のゲート群を眺めつつしばし休憩。常陸川水門の閘門は、15年前に過去ログ「常陸川閘門…1」で訪問済みです。

ここで天端の堤防道を、川面にはさまれた清々しい風景を眺めつつ下流側へ。もう一つ見ておきたい物件があったのです。
撮影地点のMapion地図

(令和5年2月12日撮影)

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…6』につづく)

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利根川河口堰閘門を訪ねて…4

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…3』のつづき)

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扉体があらかた閉まったところで、急ぎ前扉室を離れ、道々ディテールをスナップしながら下流側の後扉室に向かうことに。船が閘室を出てくるシーンが見たいですからね。

前扉室の番号をアップで一枚。書体もかっこいいですが、この板材の厚み(中空かもしれませんが)でできる影が、いい雰囲気を醸していますよね。周囲に点々と見える取り付け金具、二つ穴が開いているのに、ボルトが通っているのはどれも一つという不思議。

293017.jpgこちらは後扉室の堰柱側面に掲げられていた、工事のお知らせ。掲示の位置や内容からもわかるように、橋上を通るクルマに向けてのもの。

下の看板、水門設備整備工事については、この後、面白いものを見ることができました。近々回を改めて紹介しましょう。



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293019.jpg後扉室を望む場所に出られました。間に合ってよかった‥‥。扉体越しに、サッパのオーニングが見えますね。光線がよいので実にいいお顔。

右はゲート下流側、操作用把手周り。セルフ操作のプルスイッチは「河行」「非常停止」「連絡呼出」の3種。運転時間は7:00~17:00だそう。


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さらに左手には、こんな説明板も。立入制限、立入禁止水域の指定図ですが、水門が開放されるときは通航できるのですね。堰柱に掲げられた番号も、ただかっこいいだけでなく、一般船艇に向けたこういう告知にも役立っているのがわかりました。
撮影地点のMapion地図

(令和5年2月12日撮影)

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…5』につづく)

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利根川河口堰閘門を訪ねて…3

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…2』のつづき)

293011.jpgゲートを眺めてウロウロしていたら、対岸方向から船が近づいてきました。戸立て造りの船首、サッパぽいスタイルで、胴の間にオーニングを張っています。

間なしに、タァン! と鋭い音がして、思わず首をすくめました。銃声だ‥‥サッパの船首に乗っていた人が銃を構えていて、発砲したようです。水鳥の多い水域だし、鴨猟だろうと見当がつきました。


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銃声が鳴った瞬間、水面に浮いていた無慮大数の水鳥たちが、驚いて一斉に飛び立ちました。数が数だけに、まあ、凄いのなんの。羽音だけで、ザァーッと豪雨のような音がするのですね。

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空を埋め尽くさんばかりの大集団、映画の一幕を思わせる壮観に、口あんぐりで見とれてしまいました。鴨たちには申しわけないですが、この一瞬に立ち会えたことは幸運でしたし、またこれだけの鳥たちを養うに足る、大利根の豊かさも実感できたことではありました。

293014.jpg目線を川面に戻してみると、おや! 鴨猟のサッパがすぐそこにいて、しかも閘室に入ろうとしているじゃありませんか! 下流側へ通閘するんだ!

ということは当然、ゲートの運転が目の当たりにできるわけで‥‥このときこの場に居合わせたさらなる幸運に、目尻を下げつつも興奮で浮足立ちました。



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閘室に入ったサッパが、セルフ操作の把手を引いたようで、信号が赤に変わり、回転灯が回って警報音が鳴りだし、扉体が下がり始めました!

たまたま通閘に居合わせたことは、過去何度かありましたが、希少なことには変わりありません。強い風になぶられながら動画を撮ったりして、大いに楽しんだのでありました。

(令和5年2月12日撮影)

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…4』につづく)

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利根川河口堰閘門を訪ねて…2

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…1』のつづき)

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ススキの茂みと柵の間をカニのように横這いして、閘門の上流側が何とか望める場所に陣取りました。何分逆光とて黒くつぶれてしまいましたが、コンクリートの構造物が発散するこの質量感、間近でなくては味わえないもので、来てよかったとしみじみ。

293007.jpg少しディテールを拾ってみようと、左側の堰柱基部をズームでたぐって。半円形のバルコニーに惹かれますよね。一度立ってみたくなります。

三色信号の灯器、回転灯、スピーカーと通航船艇に向けた設備も見られ、現役閘門の鼓動が伝わってきます。扉はアルミ製ですが、もとは庇のように鉄製で、後に更新されたのでしょう。


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これは後扉室のものですが、堰柱に振られた番号、下流側は板状の素材を抜いて作ったものなのに、上流側は黒地に黄色のペイントなのですね。これは他の堰柱も共通仕様でした。

なぜか、閘門の前扉室のみこのペイント番号が施されていないあたり、仲間外れのようで少々哀れな気もしますね。なぜでしょう?

293009.jpg同じ場所から上流側を望んだところ。広大な川面に、堰柱同様番号を大書きした、水位観測施設が点々と並ぶ川景色、もうカッコいいのなんの。ホシハジロでしょうか、都内の川ではまずお目にかかれない、おびただしい数の鴨が浮かんでいるのも圧倒されます。

おまけに左手奥、萩原閘門まではるかに望め、飽きさせることがありません。下利根は本当に楽しいところですね!

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もう一つ目を奪われたのが、対岸近くに錨泊していたこの台船。グラブ式浚渫船なのか、クレーン船なのか判じかねていたら、国土交通省 霞ヶ浦河川事務所のツイートで、ゲート工事のための足場を組むのに出動したクレーン船と判明。

この幅で、閘門を通ってきたのかしら? それとも水門をいったん開放して通したのか、もしや解体して陸送してきたのか‥‥。
撮影地点のMapion地図

(令和5年2月12日撮影)

(『利根川河口堰閘門を訪ねて…3』につづく)

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