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内川遊覧船に乗って…8

(『内川遊覧船に乗って…7』のつづき)

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埠頭に挟まれた広い水面から、だんだんと狭いところへ向かうこの感覚、ちょっとワクワクさせるものがあります。前方のスマートな桁橋は新港大橋。

おや、その向こうは、澪筋を示す杭がずらりと並んでいて、ちょっと富山新港が整備される以前、越ノ潟時代を思い起こさせるような水路風景ですよね。庄川などが運んできた土砂が、沿岸流や季節風で堆積し、浅い湾入に砂洲を形成して出来上がったであろう潟湖や澪筋の風景。浅瀬も多くあって、舟航のため澪筋の整備もたゆまず行われたに違いありません。

211082.jpg新港大橋をくぐる直前、今まで涼しい顔をしていた便乗カモメたちのほとんどが、いっせいにバサバサと飛び立ちました。どうやら頭上に桁が迫っている橋は、あまり好きではないようです。

両舷に杭列を見送りながら、次に迫ってきたのは朱も鮮やかな水管橋。一径間分だけ桁下高を高めていて、内川への舟航を意識した造り。空はだいぶ雲が切れて、陽射しが戻ってきました。

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くぐりざま北側径間を眺めると、この水管橋、何だか格好良いかも。両岸近くは三弦トラス、橋脚は鋼管杭の先にRCの2段構造があって、トラスと水管のみの高低を巧みに支えています。右側にチラリと見える、高圧線の鉄塔も変わった形でいいですね。

211084.jpg水路幅はいよいよ狭まりイイ感じに。万葉線の鈑桁橋が迫ってきたところで、残る4羽の便乗カモメ君たちとも、お別れとなりました。

いや~、餌付けができるのもさることながら、トリさんと当たり前のように同乗でき、その姿を愛でられる船なんて、そうそうあるものではありません。魅力的な河川航路、通船タイプの船、そしてトリさんと、一粒で三度おいしい内川遊覧船であります。

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鉄橋の向こうは、低い護岸にプレジャータイプの艇がみっちりもやう、先ほどとはまた違った表情の内川が広がっていました。水際は草生していて、少し前の江東内部河川を思わせる川景色。おお、桁下も結構低いなあ。これはすり抜けも楽しめるのかしら?
撮影地点のMapion地図

(29年9月23日撮影)

(『内川遊覧船に乗って…9』につづく)

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タグ : 内川(射水市)新湊観光船

内川遊覧船に乗って…3

(『内川遊覧船に乗って…2』のつづき)

211046.jpg今までも、ぽつりぽつりと繋留船の姿は見られたものの、中の橋をくぐったところで、急に船影が濃くなりました。プレジャータイプもあるものの、ほとんどは船体を白く塗り上げた漁船型です。

狭水路が船溜として高度利用されているというだけで、胸の高鳴るものが。両岸をテラス化するなど、修景が始まることはすなわち、舟航の衰微を意味することが多い中、ここはまさしく現役、生き生きと躍動している水路なのです。

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居並ぶ漁船を眺めるうち、いくつか気づかされたことがありました。まずおしなべて上部構造の背が低く、押しつぶしたような印象であること。これは橋の桁下高に合わせたためでしょう。船首は一本ミヨシと、上の写真のような二形タイプ(下が一本ミヨシで、上が戸立て造り)があり、どれも木造船のようです。

また、ほとんどの船が長さにくらべて、やたらと幅広に見えたこと。このせいで、押しつぶしたような印象がより強くなったのだと思います。

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むしろ船尾から見た方が、幅の広さを実感できるでしょう。舷側が低いことも手伝って、もうちょっとで台船になりそうな(?)、群を抜いた安定感。少なくとも関東では、あまり見ない船形だと珍しく感じ、しげしげと拝見。

船上に積まれたもろもろから、定置網か生簀の設置をなりわいにしている船でしょうか。木造船ならではの、まろやかなラインも魅力的でした。

211049.jpg右手に湊橋が見える丁字流にさしかかると、船はぐっと面舵を切って、内川を離れます。湊橋をくぐり、舵を戻したところで眼前に広がったのは、奈呉の浦大橋(下写真)と日本海!

いや、正確には富山湾ですか。ともあれ船で日本海に出るのは、これが初めてなのです。好天に恵まれ、風も水面も穏やかなときに日本海を初体験できるなんて、胸が躍りました。

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撮影地点のMapion地図

(29年9月23日撮影)

(『内川遊覧船に乗って…4』につづく)

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タグ : 内川(射水市)新湊観光船

内川遊覧船に乗って…2

(『内川遊覧船に乗って…1』のつづき)

211041.jpg乗り込んでまず向かったのは、やはり気になる操舵席周り。回転窓、緑白色に塗られたスポーク/グリップ付きのステアリングと、外観からの予想通り、ハードな業務船臭が充満していました。

さらに惹かれるものがあったのが、客席の造作です。収納を兼ねているのか、頑丈そうな箱造りのベンチシートに、ニスを塗っただけの一枚板の背もたれ!


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失礼ですが観光船らしくない、いかにも通船然としたつくりに、前歴(があるかどうかはわかりませんが)をあれこれ妄想させるものがあって、むしろ感激したものでした。

気になったのが、背もたれを支える側面の金具や他の構造から、可動式であることは理解できたのですが、どのように動かすのかがいま一つわからなかったこと。一瞬、反対側に回して対面座席にするのかなと思ったら、ベンチ側に支える部分がなく、違うようです。水平に倒して橋渡しにし、フラットなスペースを作るようになっているのかな? 乗り組みさんに聞いておけばよかった‥‥。

211043.jpgもやいを解いた万葉丸は、岸を離れ爆音を高めて前進を始め、神楽橋をくぐって西へ。船内放送で、橋の来歴や装飾についての説明を聞きながら、ゆっくりと移ろう両岸の景色を堪能。

橋の桁下高は結構な低さで、後部のオープンデッキに立っていたら、腰をかがめないと頭がぶつかりそうです。これは後で体験できました。


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雲は多いものの、幸いにして青空ものぞき、陽光に輝く家並みとテラスの、実にそそる水路風景が眼前を流れてゆきます。前方はるかに見えるのは、下見板の袴をはかせた和風テイストの人道橋、中新橋。

建築には詳しくないんですが、何ていうんでしょう、間口の狭く奥行きのある、ご当地独特の町家造りが、軒を接して連なるこの家並み、広く取られた河畔のテラスによく似合って、実に素敵でした。

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中の橋を前にして、橋詰に至る取付道路の勾配が目について一枚。河畔の低さと、通船のため桁下高を確保する橋との高低差がよくわかります。地図を見ればおわかりのように、写真右側の放生津町は、海岸に沿って東西に延びる、恐らく砂洲の上に街場が形成された地勢で、四方を水で囲まれています。

内川の橋たちも水郷のそれ同様「十二橋」を銘打っていますが、澪筋で隔絶された対岸との交通を確保するためなのは容易に想像でき、だとすれば多くの橋が架けられた事情もよく似ていて、興味をそそられるところであります。
撮影地点のMapion地図

(29年9月23日撮影)

(『内川遊覧船に乗って…3』につづく)

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タグ : 内川(射水市)新湊観光船

内川遊覧船に乗って…1

(『鼬川水門』のつづき)

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さて、前回の雪辱を果たすべく、新湊観光船のある射水市は内川へ。幸い富山駅から、「ぶりかにバス」なる便利な直通便があると聞いていたので、11時40分発に乗り約50分揺られて、川の駅新湊に到着。電車が健在なころであれば、地鉄射水線に乗ったところでしょう。

バスを降り、さっそく神楽橋から内川を眺めてみると‥‥おおお! すでに写真ではおなじみでしたが、川面に近しい広々としたテラスが続く両岸に、美しい街場の家並みが途切れなく連なる、静かで清々しい川景色が広がっていました。これぞ、庄川の流れと冬の季節風がはぐくんだであろう潟湖の澪筋、内川であります。

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一枚目の写真とは反対側から見下ろしたところ。屋形船というより、ハウスバージのようなおもむきの船が、屋根に「川の駅新湊」と大書きされてもやっていました。目指す川の駅は、写真のすぐ奥右手の建物です。

211038.jpg川の駅新湊の正面に回りました。提灯の並んだ右の大きな扉は、「新湊曳山祭り」で知られた山車のいわば車庫。一週間後に迫ったお祭りを前に、鋭意整備中といったところだったのでしょう。

2階は川面の見えるレストランとなっており、賑わっているようでしきりに人声が聞こえます。遊覧船の受付は1階左手が入口、まずは切符を求めることに。


211039.jpg受付ではお土産や軽食も商っており、少し時間があるので、アイスクリームをいただきながら待つことに。テラスに出てみると、内川周辺の案内図がありました。

川の駅新湊は、内川のちょうど真ん中あたり。これから図で左、西へ向かい、湊橋から富山湾に出て東へ。さらに富山新港の海王丸パークに寄港した後、図の右から内川へふたたび入り、川の駅へ戻ってくるという、水路のみならず海も楽しめるコースです。

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屋内のテーブルについて、アイスクリームに集中していたら、職員の方が「船が着きましたよ!」と声をかけてくれました。しまった、アイスに注力しすぎて、達着シーンを撮れなかった! イヤ、居心地がよかったのでつい‥‥。

低い爆音を感じながらテラスに出てみると、「万葉丸」がすでに着岸しようとしていました。塗り重ねたペイントの匂いがしてきそうな、無骨といってもいい過ぎでない業務船タイプ。実にイイ雰囲気の船じゃないですか! バウにからげた、紡錘形のロープ編みフェンダーがまことにしっくりくる通船スタイル。大いに楽しませていただきましょう。
撮影地点のMapion地図

(29年9月23日撮影)

(『内川遊覧船に乗って…2』につづく)

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タグ : 内川(射水市)新湊観光船