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震災後の水郷を訪ねて…5

(『震災後の水郷を訪ねて…4』のつづき)

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小野川水門に上がる道から、隣接する佐原ドック(『「水の郷さわら」を訪ねて…3』参照)を囲む堤防を見ると、こちらも一面、土嚢を重しにしたブルーシートをかぶせられていました。

地震でクラックが入ったか、法面の崩落があったのでしょうか。

59022.jpg堤防の上に上がってみました。シートは堤内側だけでなく、堤外側にもかけられて、天端の道は補修されたらしく、まだ新しい砕石が敷いてありました。

ドックに浮かぶ浚渫船「利根号」は無事のようですね。
撮影地点のMapion地図


59023.jpg堤防の上から、「水の郷さわら」を遠望すると、こちらも被害は少なくなさそう。船着場に至る階段の前に、大きな陥没や液状化の跡が見られ、柵で囲われて、一帯は立ち入り禁止になっているようです。

水ぬるむこの季節なら、小野川を通って佐原中心部に向かう便や、利根川遊覧のフネブネで船着場は引きも切らず、乗船を待つ人々で行列ができていてもおかしくないのですが、ご覧のとおりの寂しさ……。

59024.jpg小野川水門の管理橋を渡り、河口北側にある河川敷の駐車場を見たところ。瓦礫の一時集積場として使われているようですね。

付近一帯の復旧だけでも、気の遠くなるような量の瓦礫や土砂を処分しなければならないことを思うと、胸の詰まる思いです。


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佐原市街のそこここに貼られていた、復興に向けての意気を示すポスター。「訪れていただくことが最高の復興支援」…近いうちの再訪を心に決めて、十六島へ向かうことにしました。

(23年5月2日撮影)

(『震災後の水郷を訪ねて…6』につづく)

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タグ : 佐原水の郷さわら川の駅浚渫船水郷

震災後の水郷を訪ねて…4

(『震災後の水郷を訪ねて…3』のつづき)

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傾いた柵から身を乗り出して、液状化区間の始まりを眺めたところ。十間川が西岸から分流するあたりから、下流へ砂の盛り上がりが続いています。

流路が噴出した砂によって狭まり、また掘り下げは最低限で、河床も浅いのでしょう、流速は早く、川面から水音がしていました。

59017.jpg
この艇、ヤマハF22の改造と思われますが、盛り上がった砂に1mは持ち上げられた凄まじさに、息を呑みました。いったいどれほどの力が、これだけの量の砂を湧き上げさせるのでしょう。

キャタピラの跡が見えるのは、船頭さんの話にあった掘り下げ工事の際のものでしょうか。

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こちらの和船も、姿勢はほぼ水平でこそあるものの、水線下がすっかり埋もれ、川面に戻すのは難儀しそうです。

このあたり、地盤が弱かったのか、中心市街にくらべて家屋の被害も大きく、足場を組んで工事中のお宅も多く見られました。

59019.jpg
液状化区間の終端近くにて。左側の艇は、盛り上がった砂に軽く座洲しているように見えますが、右に行くにつれて水深が深くなっているようです。

59020.jpg小野川水門の管理橋の上から、上流側を望んだところ。液状化によって被害のあった区間は、小野川の最下流部、約250mほどでした。写真右手は排水機場の呑口です。

復旧には、なお時間を要することでしょうが、フネブネの行きかう穏やかな川面が戻ってくることを、願ってやみません。
撮影地点のMapion地図


(23年5月2日撮影)

(『震災後の水郷を訪ねて…5』につづく)

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タグ : 佐原小野川水郷

震災後の水郷を訪ねて…3

(『震災後の水郷を訪ねて…2』のつづき)

59011.jpg利根水郷ラインの北賑橋まで下ってきました。以前紹介した「川の駅さわら」はこのすぐ右手です。

ここで船頭さんに、川底が上がってしまったところは? と尋ねると、「もう少し行ったら見せてあげられるから」とのこと。舟は通れるようになったのでしょうか。
撮影地点のMapion地図


59012.jpg北賑橋をくぐって進むと、両岸の柵の傾きや、護岸のひび割れが目立つようになり、中心街より被害が大きいことが見て取れました。

船頭さんが「ほら、あそこ」と指差す先…河床が上がってしまった区間が、いよいよ近づいてきたようです。



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う~ん、これは…。穏やかだった川面は、盛り上がった土砂で荒々しい土色一色となり、護岸は波打って、電柱や柵も傾いています。崩落を止めるためか、土嚢がずらりと並べられており、繋留船も盛り上がった土砂の上に持ち上げられ、座り込んでいる…。

まさに、目を覆わんばかりの惨状で、絶句するばかりでした。

59014.jpg船頭さんの話では、川の水をはけるだけの工事はすぐにやってくれたが、舟が通れるようになるまで掘るのは、当分難しいだろうとのこと。

なるほど、上流が洪水にならないよう、疎通を保つために河道中央のみ最小限掘り下げたということですね。沈下してしまった両岸の土地の補修まで考えると、おっしゃるとおり、復旧はかなり時間がかかりそうです。


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樋橋の乗り場に戻って、少し散策しつつ買い物の後、陸路川沿いに下ってみることにしました。

水上からとは違い、波打った道路上に噴出した砂や、傾いた電柱や家屋の状況が間近に飛び込んでくるため、痛ましさが数倍する感覚です。

(23年5月2日撮影)

(『震災後の水郷を訪ねて…4』につづく)

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タグ : 佐原小野川水郷

震災後の水郷を訪ねて…2

(『震災後の水郷を訪ねて…1』のつづき)

59006.jpg石垣が大きく崩落し、コンクリート柵とともに河道へなだれ落ちている…。このあたりの石垣は年代も古そうで、苔むして風情があっただけに、何とも惜しいものです。

崩落部分の外には、紅白の竿が航路標識として立てられており、舟は大きく避けるようにして下ります。



59007.jpgこちらのお店は盛業中ですが、やはり屋根が落ちてしまったようで、ブルーシートをすっぽりかぶった姿。

船頭さんによれば、瓦は大変値が張るので、これだけ被害が大きいと、復元をあきらめるところも出てくるだろう、とのこと。寂しい話ですが、台所事情を考えると、それもやむを得ないのでしょう。


59008.jpgこちらは崩落こそしていませんが、土地がゆるんだのか、コンクリート柵が道路側に向かって傾いています。

こういった被害は、あちこちに見られました。道路もきっと、波打ったりしているに違いありません。




59009.jpg痛ましい写真が続きますので、明るい話題(?)も少し。

以前、「まずは小野川散歩」で紹介した「しんちゃん」船隊(笑)に、なんと新顔が! 白鳥型と、ヘリコプター型の足踏みボートです。白鳥さんはよく見ると、首の部分に電飾がつき、しかも小型船外機を備えて機走も可能という豪華装備。


59010.jpg
このヘリコタイプの艇、結構カッコイイかも。「ともき号」なる艇名もつけられて、大事にされているようですね。「しんちゃん」同様、名前がついているところを見ると、一隻づつ違うオーナーがいるのでしょうか。

(23年5月2日撮影)

(『震災後の水郷を訪ねて…3』につづく)

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タグ : 佐原小野川水郷

震災後の水郷を訪ねて…1

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5月2日はお休みをもらい、水郷の佐原・十六島などを訪ねてきました。
香取市のサイトで、震災による深刻な被害が報じられているのを拝見、特に液状化現象で河床の上がってしまった小野川の写真が衝撃的で、水郷ファンとしてはお見舞いの意味も込めて、ぜひ一度行かなければと思っていたのです。

もう何度目になるのか、忠敬橋の上から望んだ小野川上流の眺めは穏やかで、一見したところでは以前と変わらないようでしたが、家並の間からブルーシートが垣間見えて、決して被害が小さくなかったことを物語っています。

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小野川畔まで歩いてゆく途中でも、ご覧のように瓦が落ち、軒が傾いた家々がブルーシートをかぶせられ、しっとりとした風情のあった街並みの傷の深さを目の当たりにして、言葉がありません。

しかし、住民の皆さんは意気軒高で、修理中でも可能なかぎり店を開かれ、元気のよい売り声があちこちから聞かれて、救われた思いがしたものです。

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買い物をしつつお話をうかがってみると、瓦の供給不足で、屋根の補修が追い付かないとのこと。

伝統的な町屋建築がまとまっている土地はそうないだけに、時間がかかっても復旧していただきたいものですが、現状ではなかなか難しいようです。

59004.jpg事前に問い合わせて、小野川の観光舟が運航していることは確認済みだったので、さっそく出していただくことに。
(過去ログ『佐原と小野川…1』ほか参照)

女性の船頭さんお二人のガイドで、久しぶりの小野川行。幸いにして陽気もよく、川面から眺める景色は、以前と変わらない穏やかな表情でしたが…。
撮影地点のMapion地図


59005.jpg忠敬橋をくぐって最初の屈曲にかかると、やはり柳の並木を透かして、そこここにシートのかかった家屋が見られます。

あっ、その先の左側…どうやら、美しい石垣も被害をまぬがれなかったようですね。


(23年5月2日撮影)

(『震災後の水郷を訪ねて…2』につづく)

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タグ : 佐原小野川水郷