1月2日の水郷風景…4
(『1月2日の水郷風景…3』のつづき)

●利根川の堤防沿い、前扉室の周りを見回してみたら‥‥ありました。管理橋の手すりに「通行止」が。手作り感あふれる後扉室のそれと違って、こちらは道路工事の看板をそのまま利用したもの。閘門も老齢ではありますし、通航頻度が低いとはいえ、電設もそろそろ更新の時期を迎えていることでしょう。何か工事があっても、おかしくはありません。
いや、それはそれとしてここ、前に訪ねたときは橋はかかっていませんでしたよね? さすがにクルマは通れないようですが、集落内の交通の便は、架橋でかなり改善されたのではないでしょうか。

●さて、せっかく久しぶりに訪ねたことだし、あれこれ眺めて堪能しようとうろつき開始です。まずは管理橋の上から閘室をのぞき込んで。閘室内にはシートをかぶったサッパがもやわれています。一見した様子から、結構な間放置されているような雰囲気ですね。
今まで取りこぼしていたディテールも、いい機会なので拾っておきましょう。左手前の閘室側壁上、柵の下端を凹ませて、コンクリートの出っ張りを逃げているような箇所がありますね。近づいてみると‥‥。
●どこか豆腐のようなコンクリート塊、中央やや左にパイプが埋めこまれているのがわかります。これだけ見ると、道路標識でも立っていた跡みたいですよね。
側壁と一体で造りつけられていることから、閘門関連の何かだとは見当がつきそうですが、これでけでは説明が難しいので、対岸の同位置にあるものを示した方が、わかりやすいでしょう。下の写真です。
●ご覧のとおり錆色のハンドルがあり、穴の位置にはスピンドルが突き出しています。穴位置が閘室と反対側に少し片寄せてあったのは、このためだったとわかりますね。
閘室側壁に接して、スピンドルとくれば‥‥もうこれは小さなゲートの開閉設備、注水用バイパスだと思って間違いなさそうです。

●反対側からもう一枚。穴にはフランジが備えられて、ハンドルの荷重を支えるようになっています。
「仲江間閘門を通る!…4」で、通航時に観察していてもわかったように、注排水は扉体を細目に開けることで行い、バイパスを操作している様子はありませんでした。まあ、全てスイッチ一つで動かせることを考えれば、わざわざ人力でハンドルをヨイショヨイショと回す気も失せますし、そもそも改修時にバイパスを閉鎖していた可能性もあります。
いずれにせよ、極小閘門でもちゃんとひととおりの設備をしてあったことがわかり、興味をそそられるものがありました。
【撮影地点のMapion地図】
(30年1月2日撮影)
(『1月2日の水郷風景…5』につづく)

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●利根川の堤防沿い、前扉室の周りを見回してみたら‥‥ありました。管理橋の手すりに「通行止」が。手作り感あふれる後扉室のそれと違って、こちらは道路工事の看板をそのまま利用したもの。閘門も老齢ではありますし、通航頻度が低いとはいえ、電設もそろそろ更新の時期を迎えていることでしょう。何か工事があっても、おかしくはありません。
いや、それはそれとしてここ、前に訪ねたときは橋はかかっていませんでしたよね? さすがにクルマは通れないようですが、集落内の交通の便は、架橋でかなり改善されたのではないでしょうか。

●さて、せっかく久しぶりに訪ねたことだし、あれこれ眺めて堪能しようとうろつき開始です。まずは管理橋の上から閘室をのぞき込んで。閘室内にはシートをかぶったサッパがもやわれています。一見した様子から、結構な間放置されているような雰囲気ですね。
今まで取りこぼしていたディテールも、いい機会なので拾っておきましょう。左手前の閘室側壁上、柵の下端を凹ませて、コンクリートの出っ張りを逃げているような箇所がありますね。近づいてみると‥‥。

側壁と一体で造りつけられていることから、閘門関連の何かだとは見当がつきそうですが、これでけでは説明が難しいので、対岸の同位置にあるものを示した方が、わかりやすいでしょう。下の写真です。

閘室側壁に接して、スピンドルとくれば‥‥もうこれは小さなゲートの開閉設備、注水用バイパスだと思って間違いなさそうです。

●反対側からもう一枚。穴にはフランジが備えられて、ハンドルの荷重を支えるようになっています。
「仲江間閘門を通る!…4」で、通航時に観察していてもわかったように、注排水は扉体を細目に開けることで行い、バイパスを操作している様子はありませんでした。まあ、全てスイッチ一つで動かせることを考えれば、わざわざ人力でハンドルをヨイショヨイショと回す気も失せますし、そもそも改修時にバイパスを閉鎖していた可能性もあります。
いずれにせよ、極小閘門でもちゃんとひととおりの設備をしてあったことがわかり、興味をそそられるものがありました。
【撮影地点のMapion地図】
(30年1月2日撮影)
(『1月2日の水郷風景…5』につづく)

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1月2日の水郷風景…3
(『1月2日の水郷風景…2』のつづき)

●横利根閘門からいったん十六島の内陸に入って、農道を南下することしばし。与田浦と利根川を結ぶ長大なエンマ、仲江間の南端にやってきました。
●訪ねたのはもちろん、大好物の極小閘門・仲江間閘門(仲江間二重水門)。まずは北側から、お久しぶりのご挨拶。
堤防に沿った微高地上の集落に挟まれたみっちりぶり、堰柱上に高々と突き出たスピンドルのさやと、独特の雰囲気もお変わりなくて何よりです。訂正、変化はありました。ちょっとした、しかしとても気になる変化が‥‥。アップで見てみましょう。

●通 行 止
ゲート手前の管理橋に、板にテープ留めした簡単なものながら、ご覧のような標記が。

●集落の小径から管理橋に上がり、後扉室をのぞき込んでみたところ。扉体は低く開放されており、奥の全扉室も細目に開けられているのか、流入があり閘室内の水面に波紋を生じています。足場など、工事が始まった様子は見られませんね。
「仲江間閘門にマイタゲート疑惑?」でも紹介した、スライドゲート前後に見られる両側壁の形、意識を吸い寄せられますのう。まあ、取付ボルトなどの痕跡が全く見られないことから、作って準備だけしておいて、扉体は結局設備しなかったと見て、まず間違いはないように思えます。
●後扉室側は柵があって閘室横に入れないので、前回同様、集落の外側をぐるりと迂回して、利根川方、前扉室へ向かうことにしました。
管理橋から数えると600m弱、徒歩で10分はかかるという大迂回路で、気温の上がらないこの日は少々ツライものがあったのですが、青空と閘門の魅力に背中を押されて、堤防沿いをほてほてと歩いておもむいたのでした。
【撮影地点のMapion地図】
(30年1月2日撮影)
(『1月2日の水郷風景…4』につづく)

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●横利根閘門からいったん十六島の内陸に入って、農道を南下することしばし。与田浦と利根川を結ぶ長大なエンマ、仲江間の南端にやってきました。

堤防に沿った微高地上の集落に挟まれたみっちりぶり、堰柱上に高々と突き出たスピンドルのさやと、独特の雰囲気もお変わりなくて何よりです。訂正、変化はありました。ちょっとした、しかしとても気になる変化が‥‥。アップで見てみましょう。

●通 行 止
ゲート手前の管理橋に、板にテープ留めした簡単なものながら、ご覧のような標記が。

●集落の小径から管理橋に上がり、後扉室をのぞき込んでみたところ。扉体は低く開放されており、奥の全扉室も細目に開けられているのか、流入があり閘室内の水面に波紋を生じています。足場など、工事が始まった様子は見られませんね。
「仲江間閘門にマイタゲート疑惑?」でも紹介した、スライドゲート前後に見られる両側壁の形、意識を吸い寄せられますのう。まあ、取付ボルトなどの痕跡が全く見られないことから、作って準備だけしておいて、扉体は結局設備しなかったと見て、まず間違いはないように思えます。

管理橋から数えると600m弱、徒歩で10分はかかるという大迂回路で、気温の上がらないこの日は少々ツライものがあったのですが、青空と閘門の魅力に背中を押されて、堤防沿いをほてほてと歩いておもむいたのでした。
【撮影地点のMapion地図】
(30年1月2日撮影)
(『1月2日の水郷風景…4』につづく)

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秋の水郷三昧…13
(『秋の水郷三昧…12』のつづき)

●おばさんたちにお礼をいって中洲の乗り場を離れ、十六島の風光を楽しみながら移動。まだ帰るものですか、せっかくの好天、水郷三昧日和なのですから。
与田浦畔の無名橋から、麗しの直線水路・仲江間(過去ログ『仲江間をゆく…1』以下のシリーズ、『仲江間ふたたび』ほか参照)を眺めて。キラキラと陽光を乱反射しながら消失点に伸びゆく、エンマの中のエンマ! 相変わらず素晴らしい。

●県道101号線を南下し、横利根閘門にやってきました。「震災後の水郷を訪ねて…6」以来、実に5年ぶり。今日は少しゆっくり見て回ろうと、うろつき開始。
船着場のある河畔から、まずはマイタゲートの変わらぬ威容を一枚。あれ? 説明板、以前からこんなに詳しかったかな? 沿革だけでなく古写真、詳細図面までと読みでのある構成です。竣工当時の写真は、「関宿水閘門と横利根閘門の写真」でお目にかけたのと、同じものですね。
●まずは横利根水門から見てやろうと、テラスをずんずんと下流側へ。震災直後には、大きく崩落していた左手の法面やテラスも、美しく修復されて元どおりに。ああ、よかった‥‥。
あっ、水門の堰柱(巻上機室)や橋も、塗り替えられてだいぶ雰囲気が変わりましたね。水門を間近で見上げたくて、体力の衰えもかえりみず、法面をわしわし直登しました。

●天罰てきめん、肩で息をつくていたらく(泣)。呼吸を整えてから、やおら水門を仰いで、目前に迫るどっしりとした質量に、すこぶる満足。大利根の雄大な川景色を背負った艶姿、直登した甲斐がありましたわい。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…14』につづく)

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●おばさんたちにお礼をいって中洲の乗り場を離れ、十六島の風光を楽しみながら移動。まだ帰るものですか、せっかくの好天、水郷三昧日和なのですから。
与田浦畔の無名橋から、麗しの直線水路・仲江間(過去ログ『仲江間をゆく…1』以下のシリーズ、『仲江間ふたたび』ほか参照)を眺めて。キラキラと陽光を乱反射しながら消失点に伸びゆく、エンマの中のエンマ! 相変わらず素晴らしい。


船着場のある河畔から、まずはマイタゲートの変わらぬ威容を一枚。あれ? 説明板、以前からこんなに詳しかったかな? 沿革だけでなく古写真、詳細図面までと読みでのある構成です。竣工当時の写真は、「関宿水閘門と横利根閘門の写真」でお目にかけたのと、同じものですね。

あっ、水門の堰柱(巻上機室)や橋も、塗り替えられてだいぶ雰囲気が変わりましたね。水門を間近で見上げたくて、体力の衰えもかえりみず、法面をわしわし直登しました。

●天罰てきめん、肩で息をつくていたらく(泣)。呼吸を整えてから、やおら水門を仰いで、目前に迫るどっしりとした質量に、すこぶる満足。大利根の雄大な川景色を背負った艶姿、直登した甲斐がありましたわい。
【撮影地点のMapion地図】
(28年11月6日撮影)
(『秋の水郷三昧…14』につづく)

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仲江間ふたたび
(『仲江間閘門を通る!…5』のつづき)
●仲江間閘門を後にして、我々の乗ったサッパは仲江間を北上、一路、与田浦は十二橋駅桟橋へ向かいます。
最大の目的であった、閘門通過が終わってしまったので、少々気の抜けたような感じではありましたが、この仲江間を走ることも、それに劣らず楽しみにしていたのです。
何しろ…

●四周遮るもののない水田の真ん中を、約2km、一直線に貫く可航水路なのですから!
昨年5月に訪ねたときは、その素晴らしさに、記事中で「エンマの中のエンマ」と、手放しで褒めちぎったものです(過去ログにはまだアップしていません、ごめんなさい)が、今回もその魅力は変わらず、青々とした夏らしい水田が、よりエンマの美しさを引き立てているように思えたものです。
●ひとつ気になっていたのは、仲江間の半ばにある、用水路との十字流に架かった橋。
橋と言っても、工事の足場に使うような、鉄板を渡しただけのものですが、この橋がとても低く、オーニング(シートを張った屋根)のないサッパでなければ、くぐれない高さでした。
今回の舟は、オーニングがありますから、その点どうかなと、ちょっと心配になったのです。
●近づいてみると、橋はコンクリート製の管渠のようなものを、下に2段かませてかさ上げされており、オーニングのある舟でも、余裕で通れるようになっていました。
さすがに、佐原の観光協会が宣伝している航路だけあって、この点抜かりはありませんでしたね。失礼しました!
●風が運んでくる、いい匂いの草いきれを嗅ぎながら、船首に陣取って楽しんでいると、2kmの距離もあっという間。
繋留船の列と並木が見え始めたら、仲江間の終点ももうすぐです。
【撮影地点のMapion地図】
●この後は、すでにタイトルでご覧に入れた、お気に入りの極小閘門・扇島閘門や、与田浦の東の玄関口・浪逆浦閘門を訪ねたのですが、都合により、水郷のお話は一旦お休み、続きはまたの機会とさせていただきます。
(21年7月20日撮影)
(『扇島閘門みたび…1』につづく)

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最大の目的であった、閘門通過が終わってしまったので、少々気の抜けたような感じではありましたが、この仲江間を走ることも、それに劣らず楽しみにしていたのです。
何しろ…

●四周遮るもののない水田の真ん中を、約2km、一直線に貫く可航水路なのですから!
昨年5月に訪ねたときは、その素晴らしさに、記事中で「エンマの中のエンマ」と、手放しで褒めちぎったものです(過去ログにはまだアップしていません、ごめんなさい)が、今回もその魅力は変わらず、青々とした夏らしい水田が、よりエンマの美しさを引き立てているように思えたものです。

橋と言っても、工事の足場に使うような、鉄板を渡しただけのものですが、この橋がとても低く、オーニング(シートを張った屋根)のないサッパでなければ、くぐれない高さでした。
今回の舟は、オーニングがありますから、その点どうかなと、ちょっと心配になったのです。

さすがに、佐原の観光協会が宣伝している航路だけあって、この点抜かりはありませんでしたね。失礼しました!

繋留船の列と並木が見え始めたら、仲江間の終点ももうすぐです。
【撮影地点のMapion地図】
●この後は、すでにタイトルでご覧に入れた、お気に入りの極小閘門・扇島閘門や、与田浦の東の玄関口・浪逆浦閘門を訪ねたのですが、都合により、水郷のお話は一旦お休み、続きはまたの機会とさせていただきます。
(21年7月20日撮影)
(『扇島閘門みたび…1』につづく)

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水郷・仲江間航路が期間限定復活!

●旧ブログから読んでくださっている方はご存知のとおり、私、千葉・茨城県境の下利根一帯に広がる水郷が大好きで、しつこく何度も訪れている「水郷バカ」でもあります。
●その名のとおり、広大な沖積低地に縦横に水路が走り、そこを観光のサッパ舟が行きかう、水辺そのものが土地柄のようなところに惹かれたのですが、今ひとつ大きな魅力は、この地域にたくさんの閘門が、集中して設けられていることでしょう。
しかも、まるで模型のように小さな、小舟専用の閘門がいくつもあるとくれば、閘門バカであり、小さいもの好きとしても吸い寄せられざるをえません。訪ねるたびにサッパに乗って、閘門通過を楽しんだり、陸路閘門を見に行ったりして、閘門王国の面白さを堪能してきました。

その小ささや、住宅密集地に囲まれてひっそりと存在する、閘門らしからぬたたずまいにまず惹かれました。(Mapion地図)
●また、通航船からの操作で自動運転できる「セルフ閘門」の多い中、数少ない管理人による機側操作であり、またゲートもスピンドル(ネジ棒)で上下させるスライドゲートであるなど、他では見られない旧式な構造の閘門であることも興味をそそられ、昨年1月3日に陸路訪ねた後、5月6日にはサッパの船頭さんにお願いして、仲江間を南下し、通航こそできなかったものの、閘室に入ってもらったりもしました。
まあ、とにかく閘門フリークとして見ると、ルックス的にも構造的にも、大変珍しい閘門であるわけです。ハイ。

この仲江間(なかえんま)という水路、かつては佐原から十二橋を経て潮来に至る、舟による水郷観光のメインラインとして栄えていたのですが、現在では通航船も少なく、ために閘門も「近代化改装」されずに、半ば忘れられたような存在になっているわけです。
●いにしえの栄華を偲びながら、この魅力てんこ盛りの仲江間閘門を、サッパでいつか通ってみたいものだ…、と思い続けて早1年。
そんな欲望を見透かすように、佐原観光協会が、閘門バカうってつけのコースを設定してくれたのです! (ああ、ようやく本題に入れる…)
★ぐるっと水郷舟遊び(水郷佐原観光協会)
●まさに、かつての水郷観光航路の復活じゃないですか! これで仲江間閘門を存分に味わうことができる!
PDFには「7月16日まで」とあったので、ちょっと都合がつかないかな…と、一瞬ガッカリしたのですが、サイトのお知らせをよく読むと、「好評に付き7月16日以降も受付致します」とありました。さっそく観光協会に電話して確かめてみると、好評なので1ヶ月延長するとのこと。
これは是が非でも行かなければ!

小野川河口のタヌキ島前にあり、隣接した河川敷には駐車場、堤防の上にはお手洗いも完備しています。
●…で、実はもう行って来ました(笑)。
いやもう、泣けてくるほど楽しかったですわ。後日、詳しくご報告したいと思います!
(写真は上から、20年5月6日、1月3日、19年4月30日撮影)

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