第三芭蕉丸の船旅…8

(『第三芭蕉丸の船旅…7』のつづき)

19101.jpg桟橋の両側には、ご覧のような通船タイプのフネブネが、ずらりと艫づけして並んでいました。どれもきれいで、手入れが行き届いているようです。小人数のお客さんがチャーターする、観光船なのでしょうか。

屋根付きブネが苦手の私ですが、こういう業務船タイプの船なら許せちゃうかも。同じ船室に閉じ込められるなら、好みの船に乗りたいですものね。

19102.jpg
桟橋に降り立って、愛しの第三芭蕉丸とお別れの一枚を。
改めて、いいフネだなあ…。

眺望の良い大窓を備え、ちゃんと観光船らしい外観を保ちながら、うわついたところが全くありません。霞ヶ浦や水郷を走っても、似合いそうに思える落ち着いたスタイルです。
撮影地点のMapion地図

19103.jpg
桟橋の反対側にもやっていたのは、僚船第二芭蕉丸。ううん、このフネもツボ!

第三芭蕉丸より、さらに古典味を感じさせる前面形状。ファンネルに取り付けられた、丸文のシンボルマークが切り抜きなのも好感度大。惜しむらくは、眺めの良いトップに操舵室があるところでしょうか。もう完全に丸文船隊びいきになりました!

19104.jpgひとつ嬉しかったのは、船が桟橋に寄せ始めたころから、鴨さんたちがスーッと舷側に近寄ってきて、エサをねだってきたこと。動いている船に近寄ってくるなんて、よほど馴れているのでしょう。

ご覧のとおり、ボリボリと羽づくろいを始める鴨もいて、あまりがっついた様子がないのも可愛らしく、どこか品の良さを感じさせる鴨たちでした。

19105.jpg鴨さんといえば、石井閘門(『北上運河閘門めぐり…5』ほか参照)を訪ねたとき、閘門近くの親水水路にいた鴨たちも、本当に可愛らしかったなあ…。

音もなく近寄ってきて、ガアガア鳴くでもなく、二羽でしきりに「お腹空いてるんです…」と、遠慮がちに目線で要求するさまが、やはりどこか品良く思わせるのです。仙台周辺の鴨たちには、上品なDNAが受け継がれているのでしょうか。


(21年12月3日撮影)

(この項おわり)

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第三芭蕉丸の船旅…5

(『第三芭蕉丸の船旅…4』のつづき)

19086.jpgしばらく暖を取りながら、船室の雰囲気を楽しもうと、白いカバーのソファーに腰かけながら、物見高く周りをキョロキョロ。

木目化粧板張りの壁、茶色い絨緞…ドアや窓枠のアルミ色を除けば、どこから見ても昭和30年代風味。昔の応接室と違うのは、椅子もテーブルも床にガッチリ固定されていることと、テーブルのフチが高く盛り上げてあること。いずれも船の揺れに備えてのことです。

19087.jpgこういう注意書きの看板、何だかアナクロな感じがして、吸い寄せられるものが。この書体、注意書きに独特のフォント(?)のように思えるのですが、何ていう書体なんでしょう? 

国鉄の駅名板とか、首都高の案内表示とか、それぞれの業種独特の書体というのがありますが、これもそのたぐいなのでしょうね。この「注意書き書体」をPCで打てるようにしてくれたら、職場や学校で、すんごく説得力のある看板が、気軽に作れるようになるのですが…。

19088.jpg船室の入口、デッキの壁に備わっていたこの電話も、上と同様の理由で惹かれるなあ…。電話のある一角は、ちょうど車掌室のように引っ込んでいて、竣工当時は、一等船室専属のボーイさんがいたのでは、と思わせる造りでした。

この薄緑色、ある種の工作機械などにもよく塗られていた色ですが、最近見かけなくなりましたね。ちなみに電話は沖電気製でした。


19089.jpgこちらは帰りしなに撮った、2階のグリーン船室の様子。リクライニングしない椅子、背もたれにはこれまた懐かしい、パッカンと開くテーブル付き。子供のころに一度だけ乗せてもらった、横須賀線のグリーン車を思い出させるものが。

ううむ、本当にこの船、昭和末製なのか? 20年ちょっと前には、電車ではすでに、この手のシートをつけた車輌は絶滅していたような。何だか泣けてきた…。
丸文の社長は、頑固一徹な人だったに違いないと、確信する船頭。

19090.jpgふと我に帰ると、第三芭蕉丸はさらなる狭水道へ。うひゃ、こんな狭いところを通るのか…。ここはえ~と、小藻根島だっかな?

大時代な(失礼)船室がすっかり気に入ってしまい、ほとんど外を見ていなかった…。


(21年12月3日撮影)

(『第三芭蕉丸の船旅…6』につづく)

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タグ : 松島観光船 丸文松島汽船

第三芭蕉丸の船旅…2

(『第三芭蕉丸の船旅…1』のつづき)

19071.jpg船室に荷物を置いてデッキに出ると、船はすでにもやいを解いて、桟橋を離れていました。

せっかく一等船室を世話してもらったというのに、ちょっと申しわけない気もしますが、東北有数の商港である塩竃港とくれば、ここでしか見られないフネブネの姿も多いはずと、さっそくデッキに飛び出したのです。
3層のトップ、しかもぐるりが自由に使えるとあって、眺望は最高。この眺めが楽しめるというだけでも、乗った甲斐があったというものです。

19072.jpgマリンゲート塩竃の対岸、東塩釜駅に近いあたりでしょうか、クレーンを林立させた造船所が見えました。

オレンジ色の塗装も鮮やかなサルベージ船、それに海上保安庁の測量船「天洋」も艫付けでもやっていたりと、本船たちの姿が眺められ、寒いのも忘れてデッキをウロウロ。



19073.jpg桟橋を離れて、行き足がつきはじめたころ、妙な形の曳船…いや、押し船でしょうか、濛々と舷側からの白い排気をたなびかせ、大きさに似合わない盛大な引き波を立てて驀進してくる姿に、目を奪われました。

船体はやたらと四角く、甲板上は操舵室のほか、一切の突起がない変わったスタイルで、何かゲタを連想してしまいました。船首に並べたタイヤのフェンダーには、帆布のカバーがかけられています。相手の船に、ゴムの痕がつかないようにするためでしょう。

19074.jpg
続いて入港してきた曳船は、先の「ゲタ押し船」と違って普通の船型ですが、やはり舷側排気で、フェンダーにカバーをかけています。同じ船社の所属でしょうか。

黄色いヘルメットをかむった船員さんたちが、こちらを認めると、いっせいに手を振ってくれました。

19075.jpg
これは、塩竃魚市場あたりだったでしょうか、巡視船「おいらせ」を発見。

最新の中型高速巡視船の一隻で、引き締まった精悍なスタイルは、30kt以上の速力を誇る韋駄天ならでは。装載艇の発進・揚収も走りながら行なえるそうで、頼もしいかぎり。悪いことをしたらアッというまに追いつかれて、臨検されそうですね。イヤ、一度臨検されてみたい(笑)。
撮影地点のMapion地図

(21年12月3日撮影)

(『第三芭蕉丸の船旅…3』につづく)

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タグ : 松島観光船 丸文松島汽船 巡視船 曳船

第三芭蕉丸の船旅…1

しばらくお休みしていた、昨年12月3日の、塩竃から北上運河に至るまでのお話を再開させていただきます。順番でいうと、「貞山運河の北端を見る」から、「北上運河閘門めぐり…1」の間になります。

19066.jpg貞山運河をあわただしくチラ見して、塩竃港・マリンゲート塩竃へ。ここまで来たからには、松島までは船で移動しなければウソでしょうと、予約をしておいたのです。
松島めぐりの船社はいくつかあるのですが、船隊に私好みのフネが多い、丸文松島汽船を予約しました。

分厚く曇ったあいにくの天気ですが、松島遊覧船は子供のころ一度乗ったきり、昔のこととて記憶も定かでないので、どんな船が迎えてくれるのか、楽しみではあります。

19067.jpg館内に入り、出札口で手続きをしようとしたら、前で所在なげに立っていた背広姿の初老の紳士に、声をかけられました。町工場の社長さんといった風情で、気さくで頼もしそうな感じの男性です。

「お客さん、次の便に乗るの?」
「ええ、そうですが…」
「一つ前の便にしない?」
「?」

聞くと、牡蠣鍋ツアーの団体さんを乗せた船が出るのだが、団体さんが使うのは1階だけで、他の船室はまったく使わないから、そちらに乗ってみてはとのこと。
ここで、ははあと思い当たりました。松島観光船は、一人でもお客さんがあれば、船を一隻出港させなければなりません。恐らく次の便は、お客は我々だけなのでしょう。早い便に乗れるのなら、こちらとしても悪い話ではありません。

ひとつ確認したいことがありました。
「その船、外に出られますか?」
ご存知のとおり、私は船室内に閉じ込められるのが、何より我慢ならないたちです。
「一番上の一等船室なら、周りに出るところがあるよ」
さらに「社長さん」、たたみかけるように、
「そっちに変えてもらえるなら、特別に一等船室を半額にしますよ」
その話、乗った!

19068.jpg
「社長さん」が出札口に指示して、変更の手続きをしてくれました。船はすぐ出るとのことで、いそいそと桟橋へ。もやっていたのは「第三芭蕉丸」。いや、丸文船隊の中でも、一番乗ってみたかった船に当たるとは! 干舷の低い船体に、三層の船室を重ねた古典的観光船スタイルで、私の好みど真ん中。

もし、次の便に乗っていたら、露天デッキのない小型船で、「新東京丸」のときのような欲求不満にさいなまれていたかもと思うと、「社長さん」のあざやかな機転に、大いに感謝したくなりました。
あの様子からすると、ホンモノの社長さんだったのかなあ…。

19069.jpg
船員さんにうながされて、最上甲板に上がり、一等船室の扉を開いて、二度びっくり。白いカバーのかかったソファーなど、目にするのはン十年ぶり。何だか、「社長シリーズ」の森繁久弥が出てきそうな、昭和30年代テイストの内装じゃないですか。
三つ揃えを着て葉巻をふかしたくなるような雰囲気です。
ますます嬉しくなりました!

19070.jpg船室の壁には、甲板の配置や非常口を示した図面が掲げられていました。外観と、一等船室の雰囲気から、かなり古い船だと思っていたら、図面の作成年は昭和61年。船としてはベテランには違いありますまいが、極端に古いと言うわけではありません。

う~ん、これは、「松島観光船、かくあるべし」といった、経営陣の好みが強く反映されたに違いない…と、勝手に妄想。さっきの「社長さん」、ガンコそうだったものなあ…。ともあれ、出港前から嬉しいこと続きで、天気に恵まれない憂鬱も、吹き飛んだような気持ちになりました。
撮影地点のMapion地図

(21年12月3日撮影)

【22年7月12日追記】Yahoo知恵袋で、拙文を読まれて一等船室乗船を決めた方がおられる模様。お役にたててよかった…。

(『第三芭蕉丸の船旅…2』につづく)

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