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12月9日のフネブネ

(『12月9日の川景色』のつづき)

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前後しますが、扇橋閘門を出た後、小名木川でこの船を見て、あっと驚きました。横浜の川にいたあの船が東京に? 一瞬、似たような船かと疑ったものの、建築用のサッシやドアを流用した、いかにも素人工作臭が濃厚な外観は、記憶に鮮やかで見間違えっこありません。

塗装もはがれて、だいぶくたびれた風情ですが、なぜ長途ここまで移動してきたのでしょう。横浜の川も、河川繋留に対する取り締まりが、以前よりだいぶやかましくなっていたようですので、難を逃れて東京にやってきたというところでしょうか。

111057.jpg右の写真は初見時、19年8月12日に中村川で見かけたときのもの。低い乾舷の比較的細長い船体に、背の高い半流線形(?)の甲板室を乗せたアンバランスな外観、加えてサッシを使った珍妙さに、一発で惹かれたものでした。

その後、23年10月10日に「堀割川ふたたび…4」で出会ったときは、中村川の繋留船が一掃されたあおりをうけて、堀割川に移動していましたっけ。ともあれ、小名木川が安住の地になるといいですね。

111058.jpg隅田川を河口まで下った後、晴海埠頭に客船と練習帆船が接岸しているのをご覧に入れようと、港内を回って春海運河へ。月島・晴海沖は、風向きのせいもあってだいぶ波があり、しぶきも厳しく皆さんにはご迷惑をおかけしてしまいました(泣)。

客船埠頭には商船三井の「にっぽん丸」がもやっていました。「新装『にっぽん丸』来航」以来、晴海で出会うのは2度目です。船尾にハーバー・タグがついているのは、接岸作業をしているのでしょうか。

111059.jpgその奥、豊洲大橋橋詰近くには、練習帆船の日本丸が。年末は、僚船海王丸とも東京にいることが多いですね。

客船・帆船と「ダブル日本丸」が楽しめる貴重なツーショット、同乗の皆さんにも喜んでいただけたようで、二隻の美しさを堪能しながら、微速で春海運河を北上。



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フネブネにカメラを向けつつ、賑やかに談笑しながら進んで豊洲大橋をくぐったあたりで、「『にっぽん丸』が出港していきますよ!」とウエダさん。振り返ってみると、曳船につきそわれて、すでに埠頭を離れた「にっぽん丸」の姿が、さざ波の向こうに小さくなりつつありました。

なるほど、曳船がついていたのは、接岸でなく出港作業のためだったのですね。ここでボォーッ! と、「にっぽん丸」から胸に沁みるような長声一発! 運河を抜ける強風と波に悩まされながらも、港情緒が満喫できた一瞬でした。
撮影地点のMapion地図

(24年12月9日撮影)

(この項おわり)

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タグ : 小名木川春海運河中村川江東内部河川

中村川の船影…2

(『中村川の船影…1』のつづき)

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中村町と三吉町に挟まれたあたり、北岸に残骸のような桟橋が。あっ、ここ、過去ログの「横浜の川をめぐる…8」で見た「船の休憩室」があったところだ! やはりここも撤去されてしまったか…。

かつての港町らしいある一面を感じさせた、貴重な生き証人ともいえるバージ利用の簡易宿泊所だったのですが、時代の流れには勝てなかったようです。

77087.jpgううむ、何だか、壊滅状態といっていい船影の乏しさ。写真の石川町駅付近も、港内遊覧船「よこはま丸」の廃船や古典的クレーン船と、見どころてんこ盛りの賑やかさだったんですがねえ。

むう、向こうに白い船体がチラリと見える! あのあたりは確か、いま一つの大物物件(船なのに物件扱いとはいかに)がいたところですね。

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い た !

77089.jpg 舷側に窓までうがった、異様に加工度の高いバージハウス! すっかり寂しくなった川を下ってきただけに、大物が元気でいてくれた感激はひとしお。

上流側にもやっている遊漁船タイプの2隻が新しいだけに、舷側の錆び具合が強調されて、ちょっと痛々しい感じもしましたが、喫水に変化はなく、浮いているのに差し支えはないようです。(過去ログ『横浜の川をめぐる…10』参照)

77090.jpgこの後は港内に出るまで、ついに船影を見ませんでしたから、バージの存在感は大きいものがありました。巨体に別れを告げて、さらに下流へ。

船影がほとんど絶えた川景色を目の当たりにして、もちろん寂しくはありましたが、船がひしめいていた時代から続いていたその残影と、それらがほぼ一掃されてしまった今回、川にとっての時代の境目に立ち会えたことは、ある意味、幸運だったのかもしれません。
撮影地点のMapion地図


(23年10月10日撮影)

(『船溜とタイクーン』につづく)

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タグ : 中村川高架下水路

中村川の船影…1

(『堀割川ふたたび…4』のつづき)

77081.jpg丁字流で右に舵を取り、中村川下流部へ。今回改めて気付いたのですが、左の池下橋、親柱が張り出しの上に立っているのが妙ですね、旧橋のそれを保存したのでしょうか。

右の久良岐橋をくぐろうとすると、上流・下流側とも釣り糸が何本も垂れていて、あわててゴースターン。釣り人さんに声をかけつつくぐらせてもらいました。釣りのことはよくわかりませんが、この日はよほどよい潮時だったのかしら。

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お久しぶりの高架下水路・中村川は、朝のどんより気味の空とは打って変わった好天のせいか、よく光の入る「明るい高架下水路」の本領を遺憾なく発揮していました。

上下二段に分け、オフセットして設けられた陽の射す高架、護岸とツライチに整形され、流路はもちろん可航幅も狭めない橋脚の基部と、一つ一つの処理が洗練された感じ。日本橋川や大阪の東横堀川など、初期の高架下水路がまだ試行錯誤の途上にあったものとすれば、ここ中村川は、それらの経験を生かして造られた、この時点での「完成形」(?)なのかもしれません。

77083.jpg道場橋を通過。このあたりはもともと繋留船が少なかったとはいえ、以前はそれでも何隻かぱらぱらともやっていたのですが…。ここまでついに一隻も船影なし。

やはりここ数年で、かなり厳しく取り締まられたようですね。横浜の川名物、「プレジャーボートは適正な場所に保管しましょう」の標語が、高欄からこちらを見下ろしていました。


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ここを訪ねたら撮らずにゃおれない明治の古典橋、浦舟水道橋! 鉄橋らしさを引き立てる、赤い塗装も変わらず鮮やかですね。(過去ログ『横浜の川をめぐる…6』参照)

「この橋、下流からだんだん遡ってきたっていう、例の橋ですよね!」と、山口氏も気になっていたご様子。そうそう、足が生えたかと思うくらいの遡りっぷりですよね!
あっ、橋の向こうに…。
撮影地点のMapion地図

77085.jpg中村川に入って、初めて出会った繋留船(丁字流より上流にはいたのかもしれませんが、そこはそれ)!
いや、大げさかもしれませんが、船影のない中村川に正直、寂しい思いをしていたので、ちょっと感動してしまいました。

色々と差し障りがあるような気もするのですが、嬉しかったのは本当です。本艇に幸いあれと念じつつ、通り過ぎざまに失礼して一枚。

(23年10月10日撮影)

(『中村川の船影…2』につづく)

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タグ : 堀割川中村川高架下水路

【特盛】高架下水路づくし

以前も書いたと思うのですが、首都高が覆いかぶさった川を渡って通学していたせいか、高架下を流れる水路というものに、どういうわけだか惹かれるものがありました。

先日南前堀を訪ねたことで、東京近辺の高架下可航水路は、ほとんど見て回ることができた、ということもあり、高架下水路のまとめでもやろうかしら…と、思っていたら、エスカレーター愛好家のtamuraさん(ブログ:東京エスカレーター)が、「高架橋脚ファンクラブ」を設立されたとのこと。
おお、これは楽しそうですね! 応援も兼ねて、高架下水路づくしとまいりましょう。お目汚しまで、今まで走った高架下水路の写真を一枚づつ、以下にまとめてみました。

なお、ここに採り上げた高架下水路は、「道路・線路が水路の水面上を、流路とほぼ同方向に走っていて、しかも高架下に可航状態の水路が確保されているもの」と、勝手に定義させていただきました。
ですから、隅田川や綾瀬川のように、河畔に橋脚を建て、水面に少しはみ出した形で走っている高架道路は、仲間に数えていません。悪しからずご了承ください。

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タグ : 日本橋川神田川旧綾瀬川石神井川竪川古川南前堀高浜西運河中村川高架下水路