中島閘門見学…3
(『中島閘門見学…2』のつづき)
●ガイドさんにうながされて、管理橋を渡り操作室へ。管理橋のボロボロ具合は8年前のままで、この年代のRC橋に惹かれる者としては、何とも哀れに思えます。閘門や操作室がきれいに復元されているだけに、なおさら痛々しさが際立つようですね。
それにしても、なぜ橋だけがこんなに劣化したのでしょう。かつては運河を渡る橋が少なく、自動車が頻繁に通っていたなど、何か理由がありそうですね。

●橋を渡っている最中に下を見ると、ザーザーと水音がして、閘室から排水中であることがわかりました。ガイドさんによれば、この後すぐに下流側から通航があるので、それに備えてとのこと。
斜接する扉体の角度、水圧でピッタリとすき間なく密着した水密部など、実働するマイタゲートのディテールが味わえて、これまた眼福であります。

●操作室の前に到着。扉や窓は開け放たれて、中には係の方の姿も見えます。前回は窓越しにのぞき込むだけだった操作盤、ゼヒ見てみたい。
ここで前回、19年8月8日に撮った写真(過去ログ『中島閘門…3』より再掲)と、見くらべてみましょう。

●窓枠周りや壁が一新されたのはもとより、波打ち気味だった屋根瓦の棟もしゃっきりとして、改めて大きな修繕だったことを実感。
「中島こう門操作所」の看板は、枯れた味わいがあってよいものだっただけに、外した後そのままというのは惜しいですね。竣工当時は、看板のたぐいはなかったのでしょうか。
●内装も全面的に修繕されたのか、壁の色あくまで白く、新しい木の匂いがします。こちらにも大きな説明板が掲げられていて、復元工事の概要や間取り、建築様式などが解説されており、ガイドさんのお話とあわせて楽しく拝読。平成22年8月に竣工したのですね。
船頭的には、「ガラリ」の解説がツボ! いい響きですよね、ガラリって言葉。建築用語では、下見板状の通風口を主に指すようですが、子供のころに見た、二重の格子をずらして通気を調整できるアレを思い出します。
(27年6月20日撮影)
(『中島閘門見学…4』につづく)

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それにしても、なぜ橋だけがこんなに劣化したのでしょう。かつては運河を渡る橋が少なく、自動車が頻繁に通っていたなど、何か理由がありそうですね。

●橋を渡っている最中に下を見ると、ザーザーと水音がして、閘室から排水中であることがわかりました。ガイドさんによれば、この後すぐに下流側から通航があるので、それに備えてとのこと。
斜接する扉体の角度、水圧でピッタリとすき間なく密着した水密部など、実働するマイタゲートのディテールが味わえて、これまた眼福であります。

●操作室の前に到着。扉や窓は開け放たれて、中には係の方の姿も見えます。前回は窓越しにのぞき込むだけだった操作盤、ゼヒ見てみたい。
ここで前回、19年8月8日に撮った写真(過去ログ『中島閘門…3』より再掲)と、見くらべてみましょう。

●窓枠周りや壁が一新されたのはもとより、波打ち気味だった屋根瓦の棟もしゃっきりとして、改めて大きな修繕だったことを実感。
「中島こう門操作所」の看板は、枯れた味わいがあってよいものだっただけに、外した後そのままというのは惜しいですね。竣工当時は、看板のたぐいはなかったのでしょうか。

船頭的には、「ガラリ」の解説がツボ! いい響きですよね、ガラリって言葉。建築用語では、下見板状の通風口を主に指すようですが、子供のころに見た、二重の格子をずらして通気を調整できるアレを思い出します。
(27年6月20日撮影)
(『中島閘門見学…4』につづく)

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中島閘門見学…2
(『中島閘門見学…1』のつづき)

●小瀑布をつくる放水路ゲートを、真正面、しかも低い目線から眺められたのが佳ろし。流速でぐっと振られるまま、艇は左にゆっくり回頭して閘室へ戻ります。みたびの通航、船頭にとっては、人生のボーナスポイントのようなものですわ!
往復分の通航体験を済ませると、「もみじ」は下流に船首を向け、閘門南側、西岸にあるポンツン桟橋へ達着。ここでガイドさんと一緒に上陸して、いよいよ中島閘門の見学であります。

●ガイドさんは、まず閘室の真ん中あたりに我々を案内し、掲げられた説明板の図を指しながら、富岩運河、中島閘門の成り立ちについて解説。説明板はサイズ相応に、神通川馳越線工事と廃川地の開発から、富山市街の拡大、運河の復興まで触れた詳しいもの。
お話をうかがいつつ、8年ぶりの再訪にしみじみ。あたりを見回してみると、見学コースである歩道はきれいに舗装され、植木や芝もよく刈り込まれて、前回とはだいぶ様子が違います。中島閘門が運河観光の目玉になっていることを、改めて実感させられました。

●操作室も、改めてこの目線で眺めてみると、かつての星霜を経た雰囲気はほとんど失せて、どこか子供のころユネスコ村で見た、外国の復元家屋のような可愛らしさ。
当時はさぞかし、ハイカラな小建築だったに違いありません。中を早く見てみたいです!
(27年6月20日撮影)
(『中島閘門見学…3』につづく)

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往復分の通航体験を済ませると、「もみじ」は下流に船首を向け、閘門南側、西岸にあるポンツン桟橋へ達着。ここでガイドさんと一緒に上陸して、いよいよ中島閘門の見学であります。


お話をうかがいつつ、8年ぶりの再訪にしみじみ。あたりを見回してみると、見学コースである歩道はきれいに舗装され、植木や芝もよく刈り込まれて、前回とはだいぶ様子が違います。中島閘門が運河観光の目玉になっていることを、改めて実感させられました。

●操作室も、改めてこの目線で眺めてみると、かつての星霜を経た雰囲気はほとんど失せて、どこか子供のころユネスコ村で見た、外国の復元家屋のような可愛らしさ。
当時はさぞかし、ハイカラな小建築だったに違いありません。中を早く見てみたいです!
(27年6月20日撮影)
(『中島閘門見学…3』につづく)

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中島閘門見学…1
(『鼬川取水堰と樋門』のつづき)

●食事を終えて外に出ると、ちょうど「もみじ」が帰ってきました。船体色に合わせた、オーニングのワインレッドが芝生の緑に映えて、環水公園の水辺風景によく似合いますね。
バウに向かってゆるやかに上がってゆく舷側のラインが、排水量船型の静々とした走りぶりとあわせ、優雅な雰囲気をかもし出しています。短距離の水路行には、もってこいの艇でしょう。
午後は環水公園の船着場から、この「もみじ」に乗って、ふたたび富岩運河へと乗り出しました。といっても、岩瀬カナル会館まで下るのではなく、中島閘門で上陸して閘門施設を見学、元の環水公園に戻ってくるコース。せっかく訪ねたのですから、どちらのコースも乗っておきたいと思ったのです。
●「もみじ」の船内は、船首側をのぞく三方にロングシートを配したもの。船尾側は船長とガイドさんの席なので、お客さんは両舷のシートに並んで座り、身体や首をひねって外を眺める形になります。
席についてみると、船首側の高さが視界を狭めており、加えてオーニングや支柱もあるので、窓ガラス(?)はすべて跳ね上げてあるとはいえ、眺望はそれなりなのは致し方のないところ。身体をひねらなければならないこととあわせ、オープンボート原理主義者(?!)としては、少々ツラい船行きではありました。
念のため触れておくと、シートは深く背ずりも高いので座り心地は上々、コクピットの深さとあいまって、落ち着ける居心地のよい空間で、小人数でのんびりするには居住性のよい艇といえるでしょう。

●同乗のガイドさんは、午前中に乗った「ふがん」と同じ方。解説の合間に、「このお客さんは午前中にも‥‥」などとたびたびイジられてしまい、何とも気恥ずかしい思い。一日に二度も運河に繰り出す客は、少なくともこのガイドさんは初めてだったようです。
後扉室のゲートがほとんど隠れるくらい、なみなみと水を湛えた閘室を見ながら、ふたたび中島閘門を通航できるこの嬉しさ。
いやもう、何度通ろうが、飽きるなんて薬にしたくてもありえないでしょう! 管理橋の上では、通航シーンを写真に収める人の姿も見られました。

●閘室を出た「もみじ」は、すぐに舵を右に切って、放水路の方へ船首を向けました。管理橋の裏側に施された、補強のI形鋼の様子がよく観察できる角度です。
桁を二重に補強され、下流側には人道橋も併設されて、原形を失ったといってもよい状態ではありますね。閘門や操作室は念入りに復元されたようですが、こちらはそういった予定はないのでしょうか。
【撮影地点のMapion地図】
(27年6月20日撮影)
(『中島閘門見学…2』につづく)

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●食事を終えて外に出ると、ちょうど「もみじ」が帰ってきました。船体色に合わせた、オーニングのワインレッドが芝生の緑に映えて、環水公園の水辺風景によく似合いますね。
バウに向かってゆるやかに上がってゆく舷側のラインが、排水量船型の静々とした走りぶりとあわせ、優雅な雰囲気をかもし出しています。短距離の水路行には、もってこいの艇でしょう。
午後は環水公園の船着場から、この「もみじ」に乗って、ふたたび富岩運河へと乗り出しました。といっても、岩瀬カナル会館まで下るのではなく、中島閘門で上陸して閘門施設を見学、元の環水公園に戻ってくるコース。せっかく訪ねたのですから、どちらのコースも乗っておきたいと思ったのです。

席についてみると、船首側の高さが視界を狭めており、加えてオーニングや支柱もあるので、窓ガラス(?)はすべて跳ね上げてあるとはいえ、眺望はそれなりなのは致し方のないところ。身体をひねらなければならないこととあわせ、オープンボート原理主義者(?!)としては、少々ツラい船行きではありました。
念のため触れておくと、シートは深く背ずりも高いので座り心地は上々、コクピットの深さとあいまって、落ち着ける居心地のよい空間で、小人数でのんびりするには居住性のよい艇といえるでしょう。


後扉室のゲートがほとんど隠れるくらい、なみなみと水を湛えた閘室を見ながら、ふたたび中島閘門を通航できるこの嬉しさ。
いやもう、何度通ろうが、飽きるなんて薬にしたくてもありえないでしょう! 管理橋の上では、通航シーンを写真に収める人の姿も見られました。

●閘室を出た「もみじ」は、すぐに舵を右に切って、放水路の方へ船首を向けました。管理橋の裏側に施された、補強のI形鋼の様子がよく観察できる角度です。
桁を二重に補強され、下流側には人道橋も併設されて、原形を失ったといってもよい状態ではありますね。閘門や操作室は念入りに復元されたようですが、こちらはそういった予定はないのでしょうか。
【撮影地点のMapion地図】
(27年6月20日撮影)
(『中島閘門見学…2』につづく)

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中島閘門ふたたび…3
(『中島閘門ふたたび…2』のつづき)

●閘室を出しな、戸袋に収まった前扉室扉体をちらりと。二枚の扉体が斜接する部分、木製の水密材が取り付けられているのがよくわかります。
手前、水密材の色が明るくなった部分は、接触でかかった圧にむらがあったのか、摺動で表面が摩耗したのでしょうか。いずれにせよ、水圧で大きく複雑な力が狭い面積にかかっていることが想像され、興味を惹かれるものがありました。

●こちらは閘室を出た直後、左舷側を振り返って眺めた放水路ゲート。閘門とは背割堤を挟んで平行した位置にあり、ご覧のとおりスライドゲートが7径間あります。
こちらも操作室同様、きれいに塗り替えられたようです。それだけでなく、巻上機や扉体も更新されたような‥‥。19年8月8日の写真(右)とみくらべてみると、扉体はともかく、すべてのゲートの巻上機が電動化され、傷みの激しかった面目を一新していました。

●離れゆく中島閘門を、船尾から名残惜しく見送って。クリーム色に塗られた、肉厚で味のある高欄を持つRC橋の名前は、何と永代橋! 簡素な橋の多い富岩運河にあって、ささやかながら外観に意を用いたことがうかがえる橋です。
閘門上流の水深はいかが、と魚探の感をのぞいてみると、1.26m。水深にくらべてレンジを深く取ってあるせいか、水底の状態はよくわかりませんでしたが、さっき見た下流より波打っているのは確か。こちらもまた、土砂の堆積が進んでいるのかもしれません。
【撮影地点のMapion地図】
(27年6月20日撮影)
(『富岩運河で遊ぶ…10』につづく)

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●閘室を出しな、戸袋に収まった前扉室扉体をちらりと。二枚の扉体が斜接する部分、木製の水密材が取り付けられているのがよくわかります。
手前、水密材の色が明るくなった部分は、接触でかかった圧にむらがあったのか、摺動で表面が摩耗したのでしょうか。いずれにせよ、水圧で大きく複雑な力が狭い面積にかかっていることが想像され、興味を惹かれるものがありました。


こちらも操作室同様、きれいに塗り替えられたようです。それだけでなく、巻上機や扉体も更新されたような‥‥。19年8月8日の写真(右)とみくらべてみると、扉体はともかく、すべてのゲートの巻上機が電動化され、傷みの激しかった面目を一新していました。


閘門上流の水深はいかが、と魚探の感をのぞいてみると、1.26m。水深にくらべてレンジを深く取ってあるせいか、水底の状態はよくわかりませんでしたが、さっき見た下流より波打っているのは確か。こちらもまた、土砂の堆積が進んでいるのかもしれません。
【撮影地点のMapion地図】
(27年6月20日撮影)
(『富岩運河で遊ぶ…10』につづく)

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中島閘門ふたたび…2
(『中島閘門ふたたび…1』のつづき)

●前扉室のバイパス管が開かれ、水音を立てて注水が始まりました。ここで辛抱たまらず、コンソール左舷側のハッチからバウに出て、沈みゆく扉体の裏側をものせんと膝をついて、カメラを構えました。もっとも無断というわけではなく、あらかじめお願いして「停まっている間のみ」ということで、了解は得ておいたのです。
河水の匂いに包まれながら、古典型マイタゲートの注水シーンに陶然。私と同じ気持ちだったのか、同乗の外人さんも出てきてスマホを構えたので、右にずれて場所を譲ると、満面の笑顔でお礼をいわれました。じりじりと満たされゆく水面を眺めつつ、ひたすらシャッター音を響かせる二人‥‥。
●ふと右舷側を振り返ると、鼻先に迫る側壁と船の間には、注水による波が白く泡立っているのが見えました。露出した骨材と幾多の擦過痕が、星霜を感じさせる側壁を間近に見られて、ちょっと得した気分。
閘程(水位差)は約2.5mあるので、足下がじりじりと上がって、周りの風景が開けてゆく充実感は相当なもの。閘門の醍醐味を味わえるボリュームがあるといってよいでしょう。ガイドさんはしきりに、「水位差は国内最大級」であることを強調しておられました。
‥‥ええと、もちろん現場では無粋なことはいいませんでしたが‥‥、ねえ?

●注水も終わりに近づいて、周囲が見渡せるようになってきました。前扉室のゲートが低く、開放前にしてすでに、前方の水面も視界におさめることができるのは、マイタゲートの贅といってよいでしょう。ローラーゲートではこうはいきません。
ここで、右岸側の側壁上に係の方が現れて、「お客さん、中に入れて!」と船長に指示が。動き出すので、もう戻った方がよいですね。空気を察したのか、船長から声がかかるより早く、外人さんも名残惜しそうに船内へ。

●自分の席に戻ったところで、モーターの唸りとともにゲートが開放開始。いや~、堪能した! しかし、注水による乱れた流れの中、もやいも取らずに船位を保った見事さ、船長は名人級とお見受けしました。
閘室から出るまぎわ、操作室(中島閘門操作所)を振り返って一枚。前回訪ねたとき(過去ログ『中島閘門…3』)とくらべて、崩れていた壁面は山吹色に塗りなおされ、窓枠もアルミサッシから、昔風のものに替えられたようで、すっかり装いを新たにしていました。
(27年6月20日撮影)
(『中島閘門ふたたび…3』につづく)

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●前扉室のバイパス管が開かれ、水音を立てて注水が始まりました。ここで辛抱たまらず、コンソール左舷側のハッチからバウに出て、沈みゆく扉体の裏側をものせんと膝をついて、カメラを構えました。もっとも無断というわけではなく、あらかじめお願いして「停まっている間のみ」ということで、了解は得ておいたのです。
河水の匂いに包まれながら、古典型マイタゲートの注水シーンに陶然。私と同じ気持ちだったのか、同乗の外人さんも出てきてスマホを構えたので、右にずれて場所を譲ると、満面の笑顔でお礼をいわれました。じりじりと満たされゆく水面を眺めつつ、ひたすらシャッター音を響かせる二人‥‥。

閘程(水位差)は約2.5mあるので、足下がじりじりと上がって、周りの風景が開けてゆく充実感は相当なもの。閘門の醍醐味を味わえるボリュームがあるといってよいでしょう。ガイドさんはしきりに、「水位差は国内最大級」であることを強調しておられました。
‥‥ええと、もちろん現場では無粋なことはいいませんでしたが‥‥、ねえ?

●注水も終わりに近づいて、周囲が見渡せるようになってきました。前扉室のゲートが低く、開放前にしてすでに、前方の水面も視界におさめることができるのは、マイタゲートの贅といってよいでしょう。ローラーゲートではこうはいきません。
ここで、右岸側の側壁上に係の方が現れて、「お客さん、中に入れて!」と船長に指示が。動き出すので、もう戻った方がよいですね。空気を察したのか、船長から声がかかるより早く、外人さんも名残惜しそうに船内へ。


閘室から出るまぎわ、操作室(中島閘門操作所)を振り返って一枚。前回訪ねたとき(過去ログ『中島閘門…3』)とくらべて、崩れていた壁面は山吹色に塗りなおされ、窓枠もアルミサッシから、昔風のものに替えられたようで、すっかり装いを新たにしていました。
(27年6月20日撮影)
(『中島閘門ふたたび…3』につづく)

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