関宿再訪…3
(『関宿再訪…2』のつづき)

●中之島公園の小径をたどって、水門に向かいます。陽射しがかなり強いので、木陰がありがたく、水門の落差から流れてくる水の冷気もかすかに感じられて、気持ちの良い散歩道です。
●道の脇のところどころに、ベンチ代わりにするにはちょっと小さい石材が置かれていますが、これはかつての江戸川流頭部にあった、関宿棒出しの一部を構成していたものだそうです。
何でも、栃木県岩舟山から切り出された岩舟石なる石材で、渡良瀬川を下って遠路はるばる関宿までやってきたのだとか。
棒出しは、水閘門完成後、昭和4年に撤去されたとのことですが、人工の狭窄部は当然ながら急流となり、舟航上の大変な難所で、高瀬舟の時代は、船を引き上げるための神楽算(ウィンチ)まで備えてあったそう。水位差を克服する設備としてはかなり特異で、閘門とはまた違った面白さがありますね。

●東詰から水門を眺めて。見下ろすと、底が透けて見える水たたきから、水音とともに冷気が吹き上がってきて、爽快この上なし。80年余の星霜を経たコンクリートの肌は相応に古びていますが、まだまだ働けそうで頼もしい雰囲気ですね。
●東詰には「土木学会選奨土木遺産 関宿水閘門」と記されたレリーフと、認定書のコピーが掲げられていました。平成15年に認定されたのですね。
関宿水閘門は、関宿水堰とも呼ばれ、昭和2年の竣工。かつては結構な通船量を誇った可航河川だっただけあり、後ほど触れる閘門を併設した水防施設です。
閘門なら何でも好きなのですが、私の脳内でより興味をそそられる点は、河口からどのくらい遡上した位置にある閘門か、ということ。この点関宿は、河口から遠く60kmを隔てた内陸にあるので、興奮も倍加しようというもの。
以前紹介した三栖閘門や、それに続く琵琶湖疏水の閘門群(ほとんど撤去されていますが)と並んで、国内でも有数の内陸に設けられた閘門なのではないかと、一人で胸を熱くしているのです。まあ、すでに稼動できる状態にないのが、残念ではありますが。
●水門の上は、対岸に渡れる遊歩道が設けられているので、川景色を楽しみながら閘門に向かいましょう。
このあたり、サイクリングの名所でもあるので、結構な量の自転車が渡ってきます。
【撮影地点のMapion地図】
(23年5月4日撮影)
(『関宿再訪…4』につづく)

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●中之島公園の小径をたどって、水門に向かいます。陽射しがかなり強いので、木陰がありがたく、水門の落差から流れてくる水の冷気もかすかに感じられて、気持ちの良い散歩道です。

何でも、栃木県岩舟山から切り出された岩舟石なる石材で、渡良瀬川を下って遠路はるばる関宿までやってきたのだとか。
棒出しは、水閘門完成後、昭和4年に撤去されたとのことですが、人工の狭窄部は当然ながら急流となり、舟航上の大変な難所で、高瀬舟の時代は、船を引き上げるための神楽算(ウィンチ)まで備えてあったそう。水位差を克服する設備としてはかなり特異で、閘門とはまた違った面白さがありますね。

●東詰から水門を眺めて。見下ろすと、底が透けて見える水たたきから、水音とともに冷気が吹き上がってきて、爽快この上なし。80年余の星霜を経たコンクリートの肌は相応に古びていますが、まだまだ働けそうで頼もしい雰囲気ですね。

関宿水閘門は、関宿水堰とも呼ばれ、昭和2年の竣工。かつては結構な通船量を誇った可航河川だっただけあり、後ほど触れる閘門を併設した水防施設です。
閘門なら何でも好きなのですが、私の脳内でより興味をそそられる点は、河口からどのくらい遡上した位置にある閘門か、ということ。この点関宿は、河口から遠く60kmを隔てた内陸にあるので、興奮も倍加しようというもの。
以前紹介した三栖閘門や、それに続く琵琶湖疏水の閘門群(ほとんど撤去されていますが)と並んで、国内でも有数の内陸に設けられた閘門なのではないかと、一人で胸を熱くしているのです。まあ、すでに稼動できる状態にないのが、残念ではありますが。

このあたり、サイクリングの名所でもあるので、結構な量の自転車が渡ってきます。
【撮影地点のMapion地図】
(23年5月4日撮影)
(『関宿再訪…4』につづく)

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関宿再訪…2
(『関宿再訪…1』のつづき)
●ううむ、ブレてしまった…。管理橋の橋詰近くにあった、中之島公園の案内板。「江戸川流頭部」を冠しているところが素晴らしい。「流頭部」という言葉に弱いんですよ。
関宿棒出しの現役時や、改修工事の軽軌道など、貴重な写真もちりばめられて楽しい案内版です。管理橋や中之島公園と、高水敷の位置関係もわかりますね。
先ほど、国土変遷アーカイブで、このあたりの終戦直後の航空写真を見ていたら、高水敷に水が流れていました。上流にダムが建設される以前は、もっと流量自体が多かったのか、または水門が常時閉だったのか…。
●管理橋の橋詰近くには、もう一つ気になるものがありました。フェンスに立てかけられた看板を見ると、工事車輌専用の橋を造っているとのこと。
以前来たときは、もちろん無かったと思います。橋を架けるほどの規模になる、工事の内容も気になりましたが、まずは橋を見てみましょう。
●おお…。橋脚は高く、橋台もがっちり造られて、重い工事用の車輌の通行にも耐えられそうな、思った以上に立派な橋です。
もちろん仮設のものとて、橋脚は生地のままの鋼管、桁は以前「東品川橋の工事」で見た「ランドクロス」のような既製の桁で、実用一点張りの無骨さですが、これほど大規模なものは見たことがなかったので、興味深いですね。どこか、工兵隊が戦場に架けた、準恒久橋のような雰囲気です。
【撮影地点のMapion地図】

●ご本尊、関宿水閘門が見えてきました。古びたコンクリートの肌や、落差に立つ白波に誘われて、自然と足が速まります。
●仮設橋を上流側から見てみました。桁下高を堤防の高さに合わせているだけあって、ここから見るとさらに橋脚のひょろ長さが強調され、華奢な感じがしますね。
このあたり、橋の乏しい区間でもあるので、地味な仮設橋でも存在感があります。艇からくぐりざま見上げることができたら、高さも手伝ってさぞ雄大な眺めが楽しめるでしょう。
(23年5月4日撮影)
(『関宿再訪…3』につづく)

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関宿棒出しの現役時や、改修工事の軽軌道など、貴重な写真もちりばめられて楽しい案内版です。管理橋や中之島公園と、高水敷の位置関係もわかりますね。
先ほど、国土変遷アーカイブで、このあたりの終戦直後の航空写真を見ていたら、高水敷に水が流れていました。上流にダムが建設される以前は、もっと流量自体が多かったのか、または水門が常時閉だったのか…。

以前来たときは、もちろん無かったと思います。橋を架けるほどの規模になる、工事の内容も気になりましたが、まずは橋を見てみましょう。

もちろん仮設のものとて、橋脚は生地のままの鋼管、桁は以前「東品川橋の工事」で見た「ランドクロス」のような既製の桁で、実用一点張りの無骨さですが、これほど大規模なものは見たことがなかったので、興味深いですね。どこか、工兵隊が戦場に架けた、準恒久橋のような雰囲気です。
【撮影地点のMapion地図】

●ご本尊、関宿水閘門が見えてきました。古びたコンクリートの肌や、落差に立つ白波に誘われて、自然と足が速まります。

このあたり、橋の乏しい区間でもあるので、地味な仮設橋でも存在感があります。艇からくぐりざま見上げることができたら、高さも手伝ってさぞ雄大な眺めが楽しめるでしょう。
(23年5月4日撮影)
(『関宿再訪…3』につづく)

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