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上戸川舟溜を眺めて…3

(『上戸川舟溜を眺めて…2』のつづき)

98046.jpg後のお楽しみとしてとっておいた、樋門を眺めてから戻ることにしました。堤防が低いとあって、堰柱もそれに合わせた高さのごくこじんまりとしたもので、螺旋階段のあるところを見ると、動力のあるなしにかかわらず、機側操作のゲートであることは確実です。

タイトルではすでに、堤外地から樋門に向かって右側からのカットを掲げたので、左側から撮ったものを(下写真)。なりは小兵でも、青空をバックに胸を張るその姿、扉体が構造をこちらに向けているのも手伝い、なかなか堂々としています。
撮影地点のMapion地図

98047.jpg

98048.jpg名前は、上戸川舟溜り樋管。本体が「舟溜」で、樋門が「舟溜り」と送り仮名付きなのがなんとも。昭和58年3月の竣工とありました。銘板の上に見える巻上機器でわかるように、動力はついておらず、大きなハンドルを回してスピンドルを上下する、人力駆動です。

下は堰柱側面についていた銘板で、径間3m、高さ3.2m、樋管の長さ9.45m。三井不動産建設の施工とのこと。昭和58年と聞くと、そんなに古い感じがしないのですが、もう30年近く前のことなんですねえ…しみじみ。

98049.jpg

98050.jpg樋門前の柵にもたれて、常陸利根川の川面に目をやると、対岸はるかに、大割閘門が見えました。

ズームでたぐりよせて撮り、写真を拡大して見てみると、やはりまだ、入口にはトラロープが張ってある…。水郷で2番目に通航量の多い閘門も、一年以上もおあずけをくらって、いかにもやつれた表情に見えます。一日も早く大割水路が復旧されて、サッパが繁く出入りする賑わいを取り戻してほしいものですね。

(24年6月24日撮影)

(『ホワイトアイリス出港』につづく)

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タグ : 上戸川舟溜り樋管上戸川舟溜常陸利根川大割閘門閘門水郷

上戸川舟溜を眺めて…2

(『上戸川舟溜を眺めて…1』のつづき)

98041.jpg一番奥、スロープ脇の護岸にもやっていた舟。一本ミヨシの、このあたりでいう伝馬タイプの小舟です。船首には、会社名を書いたステッカーが貼られていました。社有舟といったところでしょうか。胴の間に少し水が溜まってはいるものの、そんなに古びた感じはしませんでしたから、時々使っているのでしょう。

護岸上には、一定間隔でアイが打たれており、もやいを取るほか、適宜古タイヤのフェンダーを下げたりして使われていました。

98042.jpg

98043.jpg堤防の上…いや、樋管の上というべきでしょうか、ほぼ正面から船溜を眺めて。三方を田んぼに囲まれながら、向こうに低い台地を望むあたり、この船溜風景を引き締まったものにしているようです。

右の写真は、まあ、水っぺりではおなじみの看板ですが、もはや落水しているように見えないところに味わいが(笑)。


98044.jpg船溜のすぐ西側、堤防上にあるこの施設がちょっと気になりました。プラットフォーム一本の無人駅か、小洒落たバス停のようでもあり、四周に建物のないこともあって、目立っています。

近づいてみると、船溜同様占用許可の看板がありました。占用目的が「自然観察公園」、名称及び種類の欄に「ポケットパーク・公園施設」とありました。
はて? と首をひねっていると、その下には「夕日がきれいな常陸利根川コース 3.52km」と、コース名を書いた里程標らしき看板が。どうやら、サイクリングコースの休憩所として造られたようですね。

98045.jpg
「休憩所」側の堤防上から一枚。三方田んぼとはいいながら、東側は潮来の市街地がすぐそばまで迫っており、街中のどこかに宿をとったとしても、お散歩コースのうちに入りそうではあります。

自転車が借りられたら、牛堀の西まで堤防上を走りつつ、船溜めぐりができそうですね。


(24年6月24日撮影)

(『上戸川舟溜を眺めて…3』につづく)

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タグ : 上戸川舟溜水郷

上戸川舟溜を眺めて…1

(『あやめ祭りの水郷風景…7』のつづき)

98036.jpg
十六島を出て常陸利根川を渡り、遅い昼食にしようと潮来へ。…と、その前に、見ておきたいものがありました。常陸利根川の北岸、潮来から牛堀にかけていくつか存在する、水門付き船溜のひとつです。

過去ログで紹介した「米島船溜」や「徳島東船溜」、また息栖神社前の船溜(『息栖船溜…1』『息栖船溜…2』参照)に出会って以来、水郷に散在する、こじんまりとした船溜群の佳さには、惹かれるものがありました。しばらくぶりの船溜探訪です。

低い堤防の天端に続く、サイクリングロードをほてほて歩いてゆくと、船溜の存在を示すように、樋門がぽつりと姿を現わしました。

98037.jpg
樋門は後回しにして、まずは船溜を眺めることに。周りは一面の田んぼ、堤防と樋門をのぞけば、高さのあるものは電柱のみという、実に水郷らしい平らかなロケーション! 

船溜を囲むコンクリート護岸のほかは、ほとんど舗装も見えない土盛りですが、定期的に草刈りが行われているのでしょう、さっぱりとした印象です。もやった舟はわずか3隻ではあるものの、使われている方がまめなのでしょうか。

98038.jpg堤防上に、占用許可の看板がありました。上戸川舟溜というのですね。一見ささやかに見えても、広さ実に322平米。

上戸はこのあたりの地名で、同名の川の名前を冠したからには、河道が近くを通っているのか、またはかつて、ここが河口だったようにも思えたのですが…。上戸川がどこにある(あった?)のかは、残念ながらわかりませんでした。

98039.jpg船溜を訪ねたからには、やはり一番奥から出入り口たる樋門を眺めてみたいものと、半周して北側へ。

イイですねえ、堤防をくぐって掘り込まれた、地表に近しい水面のある嬉しさ。堤防の近くを除けば、柵も杭にロープを張り渡した簡単なものとなり、開放的なのもまた佳し。左右に立つ電柱すらもシンプルでうるささがなく、素朴な船溜風景によくなじんでいます。


98040.jpg角に備えられたスロープもまた、簡素にしてささやかなもの。真ん中に溝があるということは、車地か何かが設けられていて、ロープでの上下架をしていたのでしょうか。

船溜は小規模でも、スロープにはチェーンブロックや動力付きウインチを設け、修繕設備を充実させている例もありましたから、かえって農舟専門の船溜らしさが感じられて、これまたよいものでした。
撮影地点のMapion地図


(24年6月24日撮影)

(『上戸川舟溜を眺めて…2』につづく)

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