三栖閘門の図面

176037.jpg図録や書籍で目にし、慣れ親しみかつ憧れていた史料や、写真の現物と出会ったときの嬉しさは、また格別のものがあります。今回出会うことができた史料もその伝ですが、印刷物上に掲載されたものでなく、展示物と同じものという点が変わっていました。

21年9月11日に、伏見は三栖閘門(『三栖閘門…1』ほか参照)を訪ねた際に見かけたのですから、6年ぶりということになりますが、まさか展示物と寸分たがわぬものが入手できるとは思わなかったので、驚きもひとしおだったものです。

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三栖閘門…3

(『三栖閘門…2』のつづき)

15096.jpg濠川方ゲートを仰いで。

名古屋の松重閘門(過去ログ名古屋の閘門…12参照)とは、竣工年代も近く、ゲート型式は同じ、規模もよく似ており兄弟のような関係ですが、塔屋のデザインは対照的ですね。
装飾が施されていることは同様ながら、松重閘門の西洋宮殿を思わせる重厚さを見ると、三栖閘門はずいぶんあっさりした造作に感じられます。

15097.jpg同じく濠川方ゲート。扉体の下に水面があると、周囲の雰囲気もぐっと生き生きして見えるから不思議です。この角度から眺めると、現役時代を思わせますね。

資料館に掲げられていた、竣工間もないころの写真を見ると、両方のゲートが開放されているところが写されていました。当時の宇治川と濠川は、今よりずっと水位差が少なく、状況によっては、開放状態で通船できたのでしょう。

15098.jpg
扉体のアップ。キャンバーはもちろんイイ感じなのですが、赤く塗り上げられた扉体の、視神経に染み渡るような快さ…。

下端近くに渡された山形の樋は、下を通る船舶への水たれが、少なくなるように配慮されたもの。このような上下式ゲートの閘門には、必須の設備と言えるでしょう。

15099.jpg隣接する伏見港公園には、宇治川側ゲートから取り外された、巻上機一式が記念物として安置されていました。

左側に見える、角パイプ組みの上屋みたいなものは、ゲートに設置されていた際の、塔屋の位置を表現したものです。


15100.jpg電動機から伸びるシャフトの位置から察して、ケーシング内の歯車はウォームギヤでしょう。これが件のゴツいチェーンを、これまた豪気なスプロケットで、ゴリンゴリン巻き取っていたわけだ…。

巻き取られたチェーンの余分は、塔屋の中へ送り込まれ、先っぽは…カウンターウェイトか何かがついていたにせよ、塔の中でブラブラさせていたのかしら? そのあたりの仕組みも、見てみたかったですねえ。


(21年9月11日撮影)

(『三栖洗堰』につづく)

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タグ : 三栖閘門 閘門

三栖閘門…2

(『三栖閘門…1』のつづき)

15091.jpg堤防上に戻ってから、ふと気づいてキョロキョロ。そういえば、以前ぷにょさんの「まちかど逍遥」の記事、「伏見をちゃんと散策(後編)」を拝見したときは、ゲートの上に上がって、写真を撮られていたっけな…。

で、「宇治川展望スポット」なる看板を、見つけたまではよかったのですが、入口の鉄扉が閉じているのに何となく気後れして、時間が押していることもあり、えい、いいやと結局入らずじまい。
今考えてみたら、実に惜しいことをしたような気が…。

15092.jpg
扉体の吊下部や戸当りをアップで。再整備されているだけあって、実にキレイです。

巨大な六角ナットで取り付けられたリンク、その上に続くごついチェーンと、ワイヤーと滑車中心の最近のゲートでは見られない、骨太なシビレル造形!
その左下にチラと写っている滑車類は、ストーニーゲート独特の梯子状ローラー。現在多用されているローラーゲートへの過渡期的なタイプで、梯子状に組まれたいくつかのローラーが、扉体と戸当りの間に挟まれながら動き、扉を円滑に上下させる仕組みになっています。

15093.jpg
リベットばりばりな扉体内側のトラス構造も、これまた美しいですね。
構造のすき間からも、スキンプレートのキャンバーが感じられるのが嬉しい…。ここで気づかされたのですが、私、キャンバーに弱いのかも。キャンバーフェチ(笑)。

15094.jpgふたたび堤防を降りて、西側から眺めたところ。扉体が取り外されたバイパス管は、開口部が完全に露出、手前の床固がほとんど水をかぶっていないところを見ても、宇治川の河床と水位が、いかに低下したかがわかりました。

宇治川がこの状態では、仮に閘門が稼働していたとしても、通船はかなわないでしょうね。


15095.jpg堤防を上がって閘室の横を歩き、反対側のゲートへ。

閘室横の小道は、ご覧のように太い角材が敷き詰められています。道の脇にあった説明板には、「防舷材歩道」と銘打ってありました。閘室の側壁に組みつけられていた、フェンダーの木材をばらして、再利用したものなのだそう。なかなか、粋な計らいじゃないですか。


(21年9月11日撮影)

(『三栖閘門…3』につづく)

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三栖閘門…1

(『伏見十石舟…3』のつづき)

15086.jpg約10分ほどの船行きで、三栖閘門に到着。以前は、記念物として保存されつつも、閘室は水が抜かれた状態だったのですが、再整備により船着場が設けられ、ふたたび閘室に水が入るようになりました。

著名な土木記念物であり、すでに各所で取り上げられているので、詳細は三栖閘門資料館のHPをご覧いただきたいのですが、以前訪ねた、名古屋の松重閘門(過去ログ名古屋の閘門…12参照)と同じゲート型式で、外観もよく似た雰囲気ということに惹かれ、一度訪ねてみたかったのです。

15087.jpgもはや動くことのない、静態保存の閘門とはいえ、水を張った閘室内は雰囲気充分。

太い木製のフェンダーが組みつけられた側壁に、大阪湾から琵琶湖まで打通していた、京阪間の大水運時代を彷彿、一人コーフン。この閘室内に、備前系の高瀬舟やマルコブネが、ぎっしり詰まって通航した時代も、あったんだろうなあ…。

15088.jpg閘室に設けられた船着場は、オーニングの日除けまで備えた立派なもの。
「15分後に帰りの船が出ますから、それまでゆっくり見学していってください」と船頭さん。エッ、わずか15分後…。

こりゃいかんと、慌てて舟を降り、まずは三栖閘門資料館へ。


15089.jpg資料館は、旧操作室を改築して、史料の展示棟としたものです。

期待した図録などの販売はなかったのですが、模型や展示物はなかなか立派で、小粒ながら見ごたえがありました。十石舟での見学者には、職員の方から詳しい説明を聞くことができます。

15090.jpg
資料館の見学もそこそこに(ごめんなさい)、表に飛び出して土手を駆け降り、宇治川方のゲートを観賞。濠川方より、扉体の天地が3割増し程度高く、堂々として見えます。スキンプレートにキャンバー(湾曲)がつけられているあたり、現代のゲートとは違った、古典味がありますね。

おや? ここで気づいたのですが、扉体のスキンプレートは、両方とも外側を向いているんですね。普通なら、水位の高い方、ここで言えば濠川に向けて揃えるのですが、やはり、宇治川の増水に備えて、この構造がとられたのでしょうか。
撮影地点のMapion地図

(21年9月11日撮影)

(『三栖閘門…2』につづく)

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