浪花濃厚水路…15

(『浪花濃厚水路…14』のつづき)

15236.jpgナニワの水の回廊を一周して、大川・天満橋は八軒家浜前に戻ってきました。フローティングダック君の、キュートなおケツ(笑)を眺めながら、残りわずかとなった大阪の水路との逢瀬に、名残を惜しみます。

無線で連絡でも入ったのか、船長さんより「桟橋が空くまで、少し時間待ちをします」とのアナウンスが。堂島川に入るまでは、「遅くなると、橋がくぐれなくなるので、ちょっと飛ばしますよ!」と、結構なスピードで行程を消化していたので、ゆっくり走るのはかえって新鮮なくらいでした。

15237.jpg厚い曇り空の下、漂泊と微速航行を繰り返して待っていると、さすがに肌寒くなってきました。大阪城港に到着すると、なるほど、まだ水上バスが離岸作業中。「水都大阪2009」のお祭り中とあって、桟橋も大忙しのようですね。

2時間に渡った大阪中心部の水路めぐりも、これでおしまい。いや、閘門あり、最低橋ありの目眩がするような濃厚さ、あっという間の2時間でした。

15238.jpg船長さんにお礼を言って船を降り、大阪城新橋を渡っていると、我々が乗っていた「アクアmini」が、早くもお客さんを満載して、ふたたび出港! ご繁盛ぶりは何よりですが、船長さん、大変だなあ…。

驚いたのは、この直後、遅い昼食をとろうと食堂に入ったとたん、外は土砂降りになったこと!
我々が降りるまで、天気を持たせてくれた、大阪の水路の神様に心から感謝。…しかし、「アクアmini」の船長さんや満員のお客さん、本当にお気の毒でした…。風邪などひかれていないといいのですが。

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今回「水の回廊コース」に乗って、嬉しかった特典(?)が、この通航証明書がいただけたこと。
ご覧のとおり、東横堀川・道頓堀川の両閘門の、タイル画風の絵をあしらったパウチカードで、閘室での注水待ちの際、船長さん自ら配ってくれました。

通航した日付のところに、パンチ穴が開けてあるあたり、昔の都電の切符を思い出させて、懐かしい感じが…。裏面は、「水都大阪2009」のポスターで話題になった、平松大阪市長と橋下府知事が、水面から顔を出している例の写真が載っているという、楽しい雰囲気のカードになっていました。

15240.jpg
長らくお付き合いいただき、ありがとうございました。船頭の大阪~京都、土木・水運観光旅行のお話は、これでおしまいです。

最初にも書いたように、まるでお菓子の家に迷い込んだ子供のようで、見るもの聞くこと、楽しいこと、興奮することばかりでした。また、本やサイトの上ではわからない、まさに「百聞は一見にしかず」を実感した新発見もあり、どれが一番、というわけではないのですが…。あえて、中でももっとも印象深かったことを挙げるとすれば、やはり、淀川遡上の際、下ってくる砂船の船団に出会えたことでしょうか。

舟運路として、長い歴史を誇る淀川に、今なお息づく現役の河川水運! この貴重な川景色が、いつまでも失われないことを願って止みません。


(21年9月12日撮影)

【9月11~12日の項の参考文献】
市立 枚方宿鍵屋資料館 展示案内 枚方市教育委員会
子供の科学 昭和7年6月号 誠文堂新光社
京都インクライン物語(田村喜子 著)山海堂
国土づくりの礎 川が語る日本の歴史(松浦茂樹 著)鹿島出版会
日本の戦艦 上(泉 江三 著)グランプリ出版
写真で見る 大阪市百年 財団法人大阪都市協会
鋼製ゲート百選(水門の風土工学研究委員会)技報堂出版
日本百名橋(松村 博 著)鹿島出版会
東京の橋(伊東 孝 著)鹿島出版会
大阪城・道頓堀コース 水都号アクアmini(案内リーフレット)大阪水上バス

(この項おわり)

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タグ : 大川 寝屋川 淀川 砂船 フローティングダック 大阪水上バス

浪花濃厚水路…2

(『浪花濃厚水路…1』のつづき)

15146.jpg「アクアmini」の乗り組みは、船長さんお一人。舵を取りながら、インカムで沿岸の説明もこなされます。大阪城港を出てすぐに、早速見どころの案内が。

左手に現れた石造のアーチは、旧大阪陸軍造兵廠、通称砲兵工廠の荷揚門跡。半ば埋もれていますが、かつてはこの中に船溜でもあったのでしょうか。川べりの軍工廠というと、現在の後楽園にあった、東京砲兵工廠が思い出されます。水運と近代工業は、密接な関係があったことを実感させます。

15147.jpg新嶋野橋にさしかかると、船はぐっと速度を落としました。船長さんいわく「チラッとですが、大阪城を撮影できる、数少ないポイントです」とのこと。

なるほど、木立の間から、天守閣がチラリと…う~ん、うまく撮れなかった。


15148.jpgさらに進むと、第二寝屋川は、寝屋川と合流します。右手には、昨日毛馬閘門でも見た、東京と同じ河川標識を併設した看板が。

浅い角度で交わる、街中の合流点…東京では見られない川景色に、大阪の川を走る嬉しさが、じわじわとこみ上げてきます。

15149.jpg次に現れたのは、京橋、大阪橋、寝屋川橋、そして京阪線鉄橋が集中する、大川合流点手前に広がった橋の過密地帯。

図入りで大書きされた、「橋梁基礎に注意!」の看板に惹かれ、じっと眺めていると、水面高さはO.P.(大阪湾最低潮位)表記! ここでも浪花の川走りを実感して、ココロ踊るものが。
撮影地点のMapion地図

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そして昨日の出立地、京阪天満橋駅前、八軒家浜船着場の前を通過。

フローティングダック君、真正面から見ると、また違った可愛らしさが…。隅田川にも来てくれないかしら、と、本気で思ってしまいました!


(21年9月12日撮影)

(『浪花濃厚水路…3』につづく)

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タグ : 第二寝屋川 寝屋川 大川 フローティングダック 大阪水上バス

水上バスで淀川遡上…1

9月11~12日は、遅い夏休みをもらって、大阪を中心に、水運趣味スポットを見て回ってきました。

私にとっての大阪は、舟航水路の多さはもちろん、変わった水門はあるわ、渡し舟はたくさんあるわ、古い名橋も少なくないわと、言ってみれば、子供にとってのお菓子の家のようなもの。
見たいものが多すぎて的がしぼりきれず、かえって敬遠してしまったところがあり、この十数年、仕事以外で訪れたことはありませんでした。

今回、優柔不断な私の背中を押してくれたのは、運航日限定の水上バス航路「蘇れ!! 淀川の舟運」(一本松海運株式会社)に乗ると、淀川本流の遡上が楽しめるだけでなく、大好きな閘門の通過があるということ。
このコース、相互リンク先である、ぷにょさんの「まちかど逍遥」の記事、「天満橋~枚方 淀川を遡上(前編)」ほかで拝見して、一度乗ってみたいと思っていたので、よい機会だとさっそく予約。

これと、大阪市内の別コースをあわせ、3つの閘門通過を楽しんだ上、京都付近の水運史跡もいくつか見てこようという、例によっての駆け足ガツガツ旅行。まあ、その筋には有名なところばかりなのですが、水運・土木バカにとっての観光コースということで。

15001.jpgJR京橋で京阪線に乗り換え、天満橋の船着場へ。
京阪間の水辺を縫うようにして走っているだけに、水運趣味スポットめぐりには格好の交通手段。今回は非常にお世話になりました。

そういえば、昔は鴨川の河川敷に、桟道のような線路を設けて走っていた時代もあったんですよね…。鉄道が水辺に敷地を求める例は少なくありませんが、京阪はその際たるものだったかもしれません。

15002.jpg天満橋の駅に降り立つと、早速案内の貼り紙が。初めての人も安心なこの親切さ。

ご存知のように、現在大阪では「水都大阪2009」という、街を挙げてのお祭りの最中です。各社の航路が頻発されるだけでなく、都心部の水辺に散在する各会場では、多彩なイベントが繰り広げられているそうですが、もちろん今回はフネに乗るだけで精一杯…。


15003.jpg
駅ビルを出ると、目の前はすぐ大川…。
うわ、巨大なアヒルの風船が浮いている!
これには度肝を抜かれました!

このアヒルさん、フローティングダックといって、オランダ人芸術家・F・ホフマン氏の作品。高さ・幅ともに9.5m、長さは11mあるそう。(『Нет architecture』参照)
淀川改修を手がけたお雇い外国人、デ・レイケにちなんで、彼の母国であるオランダの芸術家に制作を依頼した(読売新聞による)というあたり、土木趣味的にはグッとくるものがありますね。

15004.jpgちなみにこの船着場、八軒家浜船着場といって、ご覧のとおり天満橋の駅ビルに隣接した交通至便なところ。「川の駅」にも指定された中心的船着場で、かつては伏見通いの三十石舟の、始発港でもあったそうです。

出港時刻が迫ると、桟橋前にお客さんが集まってきました。


15005.jpg
我々の乗る水上バス、「なにわ3号」です。
う~ん、窓開かなそう…。
外にも出られなそう…。


船に乗るのは、もちろん嬉しいことに違いないのですが、何しろ屋根つきブネが苦手な私…。
せっかく来たからには、川景色を存分に楽しみたいのですが、船を前にして一抹の不安が…。
撮影地点のMapion地図

(21年9月11日撮影)

(『水上バスで淀川遡上…2』につづく)

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