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水路の立役者たち、揃い踏み!

この趣味、機付きの木っ端ブネと可航水路さえあれば、まず申し分なく成り立つ遊びですので、極端ないい方をすれば、水路上を走る高架も、クレーンも、橋さえもなくたって、一向に構わないわけです。

可航幅を狭める高架橋脚や、上空高を制限する橋桁がなくなるだけで、大型艇の遡上範囲は一気に広がりますし、水上からの見通しもよくなって、眺望とともに航行の安全にも寄与するでしょう。

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しかし、そんな水路に、果たして飽かず惹かれ続けたかしらと考えると、答えは否でしょう。例え開鑿に至る背景や、街の発展に役立った歴史を知っていたとしても、いうなればディテールに乏しい平板な水路風景には、これほどの魅力を感じなかったと思います。

高架や橋の多さは、街が盛んに息づいているあかしであり、それらを見上げ、堪能できる街中の水路歩きは、一部の大都会でしかできない貴重な体験なのだと思っています。彼らはいわば、水路をより魅力的にしている立役者なのです。

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まあ、立役者だとしゃちこばっても、そう思っているのは私含め一部の人だけでしょうから、今回、タモリ倶楽部で取り上げていただけると知ったときは、「テレビを見ている人に、面白がってもらえるのかしら?」という不安は少しあったものの、いつも世話になっている彼らに、何か恩返しをしたような気がして、やはり嬉しかったものです。

それも竪川の高架下水路、水上派出所、旧防波堤、晴海の廃線跡、そして古賀オール岸壁と、船頭的にはまさにオールスター夢の共演で、たたみかけて紹介してくださるというのですから、やりがいもあろうというもの。

もっとも、生来のアガリ症ばかりはどうしょうもなく、緊張のあまり注意散漫になって突っ込まれる(これを書いている時点で、どこまで放映されるかはわかりませんが)など、惨憺たる有様でお見苦しい限り。もう暗渠が…いや、穴があったら入りたい気分です。

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中でも特に嬉しかったのが、「運河の給油所」第一石油販売(上の写真)の方とお話ができたとき。

日曜祭日は休業の上、ディーゼル船専門とくればまずご縁はあるまいと思っていたので、ほんの短時間ながら幸せなひとときでした。こんな貴重な体験ができたのも、番組収録ならではと感謝しています。ありがとうございました。

【ご案内】
竪川ほかの高架下水路イグアナクレーン古賀オールについてはそれぞれタグからどうぞ。
竪川については、過去ログ「竪川…1」「竪川…2」「竪川…3」でも全区間を紹介しています。

ちなみに、イグアナクレーンの命名者は佐藤淳一氏です。あっ、もとは中黒つきだったんですね。しまった。
⇒「イグアナ・クレーン」(Das Otterhaus

【追記】こちらのブログで、タモリ倶楽部を丹念に記録されています。⇒チミンモラスイ!
[タ]最低橋リンボー・クルージング@大横川
[タ]Tokyo運河Walker創刊!?


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タグ : 竪川汐見運河イグアナクレーン高架下水路江東内部河川第一石油販売タモリ倶楽部

茂森橋の晴れ舞台!

64001.jpg昨年4月に、お茶の水分水路の回でお世話になったタモリ倶楽部のスタッフより、相談があるとのご連絡が。して、このたびはどんなご用向きで…と恐る恐るお話をうかがうと、なんと、江東区の低い橋をくぐりたいとのご相談です!

これには嬉しくなりました。愛しの最低橋・茂森橋にも、ついに晴れの舞台を踏ませてあげられるかもしれない! 

イヤ、「あげられる」なんて、まるで自分のもののような言い草で、はばかられる気がしないでもないですが、今まで幾星霜、不等沈下と大潮ごとの半没に耐えつつ、ひたすら地味に生きながらえてきた茂森橋が、脚光を浴びるかもしれないというだけでも、そりゃもう我がことのように喜ばしいことだったのです。

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タグ : タモリ倶楽部茂森橋最低橋大横川江東内部河川

分水路打通作戦【お茶の水分水路編】…0

26078.jpg以前も紹介しましたが、「神田川・お茶の水分水路」(長崎大学工学部・社会開発工学科・地盤環境研究室)や、「実績紹介」(大成建設株式会社)で、詳しい要目や写真が公開されているにもかかわらず、「『呼ばれていない』水路は通らない」信仰と、単なる気の小ささから、通航を長い間ためらっていた、お茶の水分水路。

神田川の分水路中最強と言っても過言でない、見どころ満載の可航暗渠であるここを、あるきっかけからついに通る…いや、通らざるを得ない日がやって来てしまいました。
そのきっかけとは…、

タモリ倶楽部からのお召しであります。

分水路航行経験者として、お声をかけていただいたのは嬉しかったのですが、すでに紹介した水道橋(2号)分水路だけでなく、お茶の水分水路を通りたい、とのスタッフからのご相談に、正直考え込んでしまいました。

珍しく、ウェブ上に詳しい情報がある水路とは言え、安全を確認していない未踏破区間、しかも、我が木っ端ブネに著名な方々をお迎えするとなれば、責任はきわめて重大です。

まあ、我が艇があまりに小さいこともあり、撮影には船宿さんのカタマラン(双胴艇)を出すこととなって、重責からは解放されホッとしたのですが、さて安心してみると、現金なことに収まらないのは水路バカ魂

お茶の水分水路を、自艇で通らずして放映日を迎えては水路徘徊者の名折れと、収録後日を待たず、まさに横っ飛びに強行突入してきた…というわけです。


ええ…、そんなわけで、先に通っていたお茶の水分水路を後回しにしたのは、放映日前のネタバレが、差し障りがあると考えてのことでした。勿体をつけたようで申しわけありませんでした。(いろんなところで書かれてしまったのでもうバレバレとも)

すでにテレビでご覧のように、出演者の皆さんと一緒の船に乗り、神田川や分水路の解説をせよとのご下命です。木っ端ブネとは言え舵を握っていれば、曲がりなりにも船頭面ができるのですが、お他人様の船の上とくれば、単なるしょぼくれた小男に過ぎません。もう緊張のあまり、気の利いたことも言えず、ひたすら小さくかしこまっておりました。

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水道橋の上から頼んで撮ってもらった、水道橋下流開口部からの脱出シーン。

出演者の皆さんと、スタッフご一行を乗せた船宿のカタマランは、長さ10mはある巨大なもので、分水路の出入りにはほぼギリギリのサイズ。この船を不安なく取り回した船頭さんの腕は、実に惚れ惚れするものでした。

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同じく水道橋の上から、上流に去る撮影隊を見たところ。後ろに続いているのは随伴艇で、もう一組のカメラクルーが乗っています。

奥に見える後楽橋の上では、タモリ倶楽部船団が発見されるや、もう黒山の人だかり。その中のおじいさんから「タモリさん、がんばって~!」と声がかかると、「俺はもうがんばったから、あんたががんばれよ!」とタモリさんが返す一幕も(笑)。

タモリさんは川の歴史や船のことも、実によくご存知で、私ごときが解説者を称してご一緒させていただくのも、おこがましく思えるほど。
道々、神田川開鑿や、曳船のスラスター、果ては八木アンテナ(帰路に気象庁の横を通ったとき、無線鉄塔からなぜか八木アンテナの話になり、お互いが自作経験のあったことに気づいた)に至るまで、コアな話題で盛り上がらせていただき、緊張しながらも楽しい時間を過ごさせていただきました。出演者はじめスタッフの皆様、お世話になり、ありがとうございました。

ちなみにこの日は、少し風はあったものの穏やかな快晴で、気温も20℃を越えるという季節はずれの暖かさでした。タモリさんのご人徳でしょう。



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さて、突入です。
緊迫の闇への入口にしては、上で見守るお父さんと子供がいかにものどか。しかし、この狭くて低いところを、あの巨大なカタマランが通ったなんて…改めて、凄い体験だったなあ。
以前は、自艇ではとても通れまい、カヤックかインフレータブルでなければ無理だろう、と思い込んでいたくらいですから。

神田川・お茶の水分水路」によれば、総延長は1300m。続く水道橋1号分水路の、今回走破区間とあわせると、約2600mの暗闇の始まり。まあ、「打通作戦」なるお題も、少なくとも自分的には、決して大げさではなかったのです。
撮影地点のMapion地図

(最後の写真のみ、22年3月14日撮影)

【ご案内】
水道橋1・2号分水路については、以下の記事で紹介しています。

神田川分水路まつり…1神田川分水路まつり…13
分水路まつり覚え書き
水道橋分水路のマンホールを探す
分水路打通作戦【水道橋1号分水路編】…1分水路打通作戦【水道橋1号分水路編】…9

(『分水路打通作戦【お茶の水分水路編】…1』につづく)

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タグ : お茶の水分水路分水路神田川タモリ倶楽部