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東京湾フェリーとフネブネ…1

海の航路のお話で、ご容赦ください。あっため過ぎてすっかり忘れていたのですが、昨年6月に東京湾フェリーに乗って、南房総へ行ったときのお話をしたいと思います。

三浦・房総両半島部の陸上交通の未整備を補うべく、かつては東京湾内に幾多の沿岸航路、また東西両岸を結ぶ渡船航路がありました(『航洋型』通運丸も就航していました)が、鉄道や道路の発達によって、今や久里浜~金谷間の一航路を残すのみとなりました。

84001.jpgその孤塁である東京湾フェリーも、アクアラインや館山道の開通以降、苦戦を強いられているとの話を耳にして、一度乗っておこうと思ったのです。

海の都大路・東京湾口を横切るとなれば、フネブネの姿も期待できるし、これは楽しみ…とニヤついていたら、フェリーに行きつく道々ですでに、強烈な船影に遭遇。深田サルベージ建設の「駿河」(2200t吊り)かな? これは幸先がいいですね。

84002.jpg久里浜のフェリーターミナルに到着。特に時刻表も確かめずに来たのですが、日中約1時間ヘッドとあれば、待ち時間もそう苦になりません。何より久しぶりのフェリーとくれば、じっとしていられないのが人情。お土産選びもそこそこに、外へ飛び出しました。

ちなみに、相互リンク先である「コチャックの操舵室3」には、現役の2隻から、過去に就航した歴代のフェリーたちまで、東京湾フェリーのさまざまな船影が貴重な写真で紹介されています。ぜひご覧あれ。

84003.jpg
港の風景を眺めてお散歩していたら、入港のアナウンスが。さっそく桟橋の見える護岸まで走り、カメラを構えました。

静々と入ってきたのは、かなや丸。3580総t、全長79m、航海速力13kt(東京湾フェリーフェリーのご紹介』より)。車輌航送船らしい、船首尾が箱型に張り出した、ボリュームのある船型がまた魅力的。船体の塗装もきれいで、よく手入れをされていることがうかがえます。

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接岸作業が終わると、ランプが降りてバウドアがぱっくり開き、クルマの下船開始。誘導員の方が慣れた手つきで交通整理を始めました。いやが上にも気分が盛り上がります!
撮影地点のMapion地図

84005.jpg我々はバウドアから乗り込んだわけですが、金谷では逆に艫づけをするので、このまま前進して下船できるという寸法。しかし、想像以上に空いていますね。

子供のころから最近まで、少なくとも数回は乗ったと思うのですが、常に混んでいた印象が強かった(行楽シーズンということも、あったでしょうが)ので、ちょっと寂しくなりました。内湾渡船航路という違いがあるとはいえ、いにしえの河川航路と同様の苦衷のさまを、リアルで目の当たりにした思いでありました。


(23年6月6日撮影)

(『東京湾フェリーとフネブネ…2』につづく)

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タグ : クレーンバージ東京湾フェリー

東雲水門の工事

(『東雲運河の工事』のつづき)

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鋼管を積んでいた台船のサイドビュー。背後のビルに陽光が反射して、手前の水面がキラキラ輝き、黒い船体と赤錆びた鋼管を浮き上がらせて、いかにも工事用船舶、といった精悍な表情。

「イ3号」の船名も、どこか旧海軍の潜水艦を思わるなあ…、などと、あらぬ方に妄想が及び、何やら興奮する船頭。

20012.jpg1~3号径間の水面近くには、旗をつけたロープが渡され、管理橋の手すりには「閉鎖中」「工事中」の黄色い横断幕、電光掲示板には「通行止」と表示され、賑やかです。

3号径間には、錆色の角落しがはめ込まれて完全閉鎖。以前の工事より、一段と物々しさが増していますね。



20013.jpg左側には、背高ノッポの杭打ち機を載せた台船が。

日曜日に通ったからよかったようなものの、これが平日だったら大変な騒ぎで、仮に通航ができるとしても、近づきがたい雰囲気だったに違いありません。まあ、そんな血湧き肉躍る場面も、見てみたい気持ちはあるのですが。



20014.jpgセクターゲートの4号径間を通って、さらに南下。

昔は、ここから向こうをのぞくと、遮るもののない水路がスカーン、といった感じで広がっていて、いかにも臨海部であることを感じさせたものですが、橋が二本架かってからは、運河の空気ががらりと変わり、内水の雰囲気が色濃くなったようです。


20015.jpg水門の南側にも、クレーンバージや台船が停まっており、3号径間の前を塞いでいました。

今回、来年3月までの工事で、基礎はもとより、外観も変えられるのでしょうか。長い付き合いの水門だけに、やはり気になります…。
撮影地点のMapion地図


(21年12月13日撮影)

(『富士見橋架橋成る』につづく)

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タグ : 東雲運河東雲水門クレーンバージ

目標、武蔵!…2

(『目標、武蔵!…1』のつづき)

16031.jpg風上に切り上がるようにして、じりじりと近づいてみました。横目でにらむエスコートの曳船は、特に動きなし。どやされるといけないので、慎重に…。

薄霞む水平線近くのフネブネは、泊地に憩う碇泊船たち。天を突く紅白のジブと秋の海、静かで、幻想的な風景です。



16032.jpg
フックのちょうど真下に、さらに沖合いに浮かぶ「第五十吉田号」が見えたので一枚。
もう間もなく、トラスの待つ富津へ向けて移動を始めるのでしょうね。

16033.jpgバドン氏が「真横から見ると、ヘビがこうニョロニョロッとしているようにも見えますよね」と、新説を開陳。タラバガニといい、ヘビといい、重鎮お二人の豊潤な想像力には遠く及ばないと、頭をたれる船頭。

あれ? 「武蔵」が、後ろに向かって少しづつ移動しているような…。中央に小さく見える煙突からは、盛んに排気を吹き上げて、何か補機を運転している模様。自力での移動は、できないはずですが…。

16034.jpg船尾をふと見ると、水面に向かって放水している…、ははあ、アンカーチェーンを引き絞って、後ずさっているのですね。放水は、アンカーチェーンについた泥を、洗い流すためのものでしょう。

わざわざ沖までやって来た甲斐あって、岸近くで作業に奮闘しているときとは、一味違った表情を見ることができ、大いに満足。
帰途は追い波となるので、だいぶ船足を落としたつもりでしたが、佐藤氏やバドン奥様にはしぶきがかかってしまい、ご迷惑をおかけしました(涙)。

16035.jpg午後の柔らかい陽射しが影を作る、新砂水門に迎えられて、砂町運河に帰還。お疲れさまでした。

マニアパレルの創作活動に、少しでもお役に立てたのか…。若干の不安は残しつつも、団地という新しい水辺の楽しみと、最低橋から巨大クレーンまで、秋晴れの下お三方と存分に味わうことができ、楽しい船行きの一日でありました。
撮影地点のMapion地図

(21年9月20日撮影)

(この項おわり)

【追記】たった今発表された、バドン氏の新作。その名も起重機船Tシャツ」!

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タグ : クレーンバージ深田サルベージ武蔵吉田組第五十吉田号新砂水門砂町運河

目標、武蔵!…1

(『9月20日の臨海大橋』のつづき)

16026.jpg時は少々遡りますが、臨海大橋に針路を定めたその時、第三航路の延長線上はるかに、沖がかりする2隻のクレーンバージが見えたのです。まだ富津に、向かっていなかったんだ…。

指呼の間とも思える巨船を目にして、攻めずにおらりょうかと血湧き肉躍るのがオトコの気持ち(…)。針路、起重機船にヨーソロ!

16027.jpg遮るもののない海上では、遠くのものが近くにあるように見えてしまうのは、ままあることですが、今回は相手が巨大なだけに、なおさらそう感じられたようです。走っても走っても、なかなか近づいてこない…。
GPSで位置を見たら、旧江戸川河口の南、はるか沖合いで、5kmは優に走っていました。

激走12分で、ようやくブームの文字が読める距離まで接近。船は深田サルベージ建設の「武蔵」と判明。ブームが西を向いているところを見ると、船尾からアンカーを入れた、単錨泊でしょうか。

16028.jpg「武蔵」を数百m隔てた右手には、一隻の曳船が漂泊中。どうやら彼が、「武蔵」の警戒船を努めているようですね。

エスコートがいるとなれば、あまり不用意に近づくと、彼らに迷惑をかけることになります。少し間合いを取って、観賞することにしましょう。

16029.jpg
周囲に比較するもののない海上とはいえ、近づくにつれ、その圧倒的な質量が視界一杯に迫ってきます。やはり、やはりデカイ!

これだけの物体が、水の上に微動だにせず在る、その事実だけで感動させられてしまう巨船の偉大さ。我々の乗る木っ端ブネは、さして波は高くないとはいえ、もう大揺れに揺れているのですから、なおさらです。

16030.jpg迫り来るクレーンの影を前に、真剣さを増すオトコたちの表情。いや、嬉しくてニヤついていたかもしれませんが、写真の背中は真剣そのものなので、たてまえはそういうことで。ええ。

佐藤氏がポツリと「色がタラバガニっぽいですねえ、うん、タラバガニ」。ああ~、ブームの先がちょっと折れているのも、カニの足っぽい…。


(21年9月20日撮影)

(『目標、武蔵!…2』につづく)

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タグ : クレーンバージ深田サルベージ武蔵東京港臨海大橋曳船

臨海大橋に橋桁がかかる!

先日、MSNのニュースを見ていたら、【東京港臨海大橋】長さベイブリッジの2倍!架設工事始まるという見出しが目に入り、思わず身を乗り出しました。

記事によると、「22日、東京港の中央防波堤外側埋立地の海上で、現在整備が進められている『東京港臨海大橋』の最初の橋桁の海上架設作業が行われた。(中略)現場までは長さ95mの台船で海上輸送され、高さ123mもの巨大な3000トン吊り起重機船(フローティングクレーン)によって中央防波堤外側埋立地海上の橋脚に設置された。」とあり、「しまった! 見逃したか!」とくやしい気持ちに。

3000tのクレーンバージといえば、春海運河に架かる、豊洲大橋の架設作業に出動していたところへたまたま出くわし、大興奮させられた、これ↓
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深田サルベージの巨大クレーンバージ、富士に違いありません。(詳細は、過去ログ『春海運河スペクタクル…3』参照)あの、「超弩級」という言葉が具現化したような、たくましい雄姿を見逃したと知って、くやしさもひとしおでしたが…。

記事をよくよく読んでみると、「橋桁は大きく9つに分けられ、中央防波堤外側埋立地側からは今年3月10日に次の橋桁が架設される予定。9月頃には目玉でもある約6000-7000トンのトラス部分が、3台の巨大起重機船によって架設される。」
…おお、まだ何度か、チャンスはあるようですね。中央径間のトラス部分の架設には、三隻も出動するのか! これはもうクレーンバージ祭り じゃないですか! 何としてでも参加(イヤ、遠巻きに見るだけ)したいものですわ!

次回架設日の3月10日は、火曜日ですか。う~ん、仕事は休めそうにないですが、短時間でも、なんとかはせ参じてみたいものです。

過去ログの「臨海大橋の橋脚」ほかでも紹介しましたが、橋脚の工事から観察してきた橋だけに、橋桁が架かる瞬間は、ぜひこの目で見ておきたい…わが子の成長を見守る親のように…、といった清いものではなく、単に、物見高いだけなんですけれどね。
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タグ : 東京港臨海大橋クレーンバージ富士深田サルベージ