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山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…7

(『山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…6』のつづき)

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ふたたび近寄って、斜め前から仰いだ前扉室ゲートの偉観。この角度から眺めると、いかにも骨太でがっしりとして、径間5mとは思えないほど大きく見えますね。

こちらの扉体は、スキンプレートにくっきりと湛水線の汚れが付き、後扉室のそれとは対照的です。汚れ具合から見て、堰起立時は前扉室ゲートを常時閉としているのでしょう。

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法面を登って、看板をズームでたぐってみると、一つ気づかされたことがありました。看板の下、一枚一枚をつないだ黒いコードのようなものが‥‥。もしかして、アンドン式の電飾看板なのだろうか!?

そういえば、看板もアクリルっぽいような‥‥。ただでさえ強烈なこれが、夜目にも鮮やかに煌々と輝くさま! 想像するだにめまいのする光景です。これはむしろ、東京や大阪など大都市圏のの閘門で、ゼヒ見習っていただきたい装備ですのう‥‥。

183083.jpg一つ積み忘れ、前扉室の戸当たりも後扉室同様、水底に白線がくっきり見えていました。これで、単に浅いから見えているのでなく、通航船に向けた警戒標識として、意図的に目立つようにしていることが濃厚になってきました。

閘門によっては、標識や電光掲示をお祭りのように並べ立て、通航船にあれこれと注意を促すことが少なくありませんが、さみだれ大堰舟通しは、強烈看板にリソースの大半を割いた(?)ためか、閘室周りの標識類はいたってシンプルです。

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最後に橋上から、肝が縮む管理橋と全扉室ゲートを振り返って、後ろ髪引かれる思いをずるずる引きずりながら、さみだれ大堰舟通しとお別れ。

山肌迫る三大急流の一つに、足元を洗われつつ屹立し続ける二人の小巨人! いずれ機会があったら、通閘中の光景や、看板に灯の入った夜景も拝んでみたいものです。

183085.jpg橋から上流を見ていたら、水鳥の大艦隊(笑)を発見。西岸の水際に降りて一枚撮ろうとしたところ、ちょっと踏み出しただけで、ギャアギャアと大げさに鳴き騒いで逃げ散るありさま。トリ好きなのにぃ(泣)。

さみだれ大堰を後に、次の目的地に向かうとしましょう。その前に、せっかくここまで来たのだから、往路にちらりと見えた物件にも、欲張ってちょっと寄り道してみることにしました。

(27年11月22日撮影)

(『北楯頭首工と北楯堰…1』につづく)

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山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…6

(『山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…5』のつづき)

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いやもう、これ!
舟 通 し 閘 門

巻上機室を幅いっぱいまで使って、掲げられた看板! 赤地に白抜きというのも効いていて、午前中の陽光に照らされ、実に鮮やかに見えました。

しかし、何ていえばいいんでしょう。強烈な自己主張というか、設備の宣伝これ努めているというか‥‥まあ、ハートをわしづかまれたわけであります。かつてこれほどまでに目立つ看板を掲げた閘門が、あったでしょうか! 「こっちの方がもっと強烈!」という閘門をご存知の方は、ぜひ船頭までご一報いただきたいものです!

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この看板の存在を知ったのは、Googleストリートビューでした。さみだれ大堰に閘門があることは以前から承知していましたし、舟下りと合わせて訪ねようとは考えていたものの、初見したときの衝撃は大きく、脳内での存在感が5割増し(当社比)に急速膨張。惹かれる想いも、より強くなったのであります!

183078.jpg正面からに近い姿を眺めたくなり、魚道の呑口付近へ。これだけ大きな目立つ看板を、しかも上流側のみ掲げた意図は、どのあたりにあったのでしょう。

一つ思いついたというか、妄想したのは、この堰の200m余りに及ぶ広大な径間と、ゴム堰という、水面上に構造物がほとんどない形式であること。下流側からはともかく、上流側から見ると堰が目立たないので、通航船を閘門へ誘導する意味で、看板を派手にしたのではないでしょうか。

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ほぼ正面から、いいお顔を。強烈看板、狭径間、ノッポと三拍子そろった多彩かつ濃厚な魅力を、まさに丸かじりで堪能できるアングル! 
いや~、よくぞ閘門好きに生まれけりですわ!

初めて見たとき、「舟通し閘門」なる文言に、「『重複が重なっている』みたいだな!」と、茶々を入れたくなったものです。しかし冷静に考えてみると、閘門でない舟通しもあるわけですから、間違いではないという結論に達しました。だから何だというレベルではありますが。

183080.jpg閘室を上流側からたぐった一枚。どこから観察しても、バイパス(注排水)設備は見当たらなかったので、扉体を細めに開けての注排水方式と思われます。

下流側、すぐに護岸が出っ張っているところを見ると、通航船目線での使い勝手はどうでしょう。そういえば、芭蕉ラインほかの船社は、修繕時の上架など、ここを通って下流側に行く用事はあるのかなあ。ガイドさんに聞いておけばよかった‥‥。


(27年11月22日撮影)

(『山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…7』につづく)

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山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…5

(『山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…4』のつづき)

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橋の上から上流側、前扉室を眺めて。こちらの方が橋と隣接していない分、ノッポぶりがより際立っていますね。しかし‥‥。

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この管理橋の怖さったら! 眺めているだけで、肝がキュンキュン縮むというか、下腹がスースーするというか。大丈夫だとわかっていても、何の支えもなくこの高さに架かっているその頼りなさ、渡れといわれたら、尻込みしてしまうでしょう。

183073.jpg橋の上から閘室を見下ろして。壁一枚を隔てて、魚道が並行しているさまがわかります。この位置から見ても、繋留設備やインターホン、セルフ操作のための機器などは見当たりませんでした。

ん? 二つある梯子の脇に、二本のレールを介した小さな箱状のものが、それぞれ一つづつあるのを発見。ポンツンのように、水面が動くのにつれて上下する構造とわかりますが、繋留設備なのか、それとも操作関係のものかしら?

183074.jpg少し移動して、気になる部分をズームでたぐってみました。箱の横にローラー状のものがあったので、やはりレールに挟まれて上下するようです。

箱の天板には、ちょっと頼りなげな輪っかが見えますね。これがアイとすれば、水面と一緒に上下する繋留設備で間違いないでしょう。一見したところずいぶんきゃしゃで、ボートフックで引っ張ったら、ぐにゃりといきそうに思えます。



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橋から水際に降りて、前扉室ゲートを仰いだところ。山並みをバックにそそり立つノッポの閘門、いいなあ。

ロケーションや個性豊かなスタイルもさることながら、この閘門につくづく惚れ込んだ決定打は、前扉室ゲートに掲げられたあるものでした。次回お目にかけましょう。

(27年11月22日撮影)

(『山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…6』につづく)

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山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…4

(『山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…3』のつづき)

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下流側から閘室をのぞいてみました。側壁には千鳥にフェンダーが配され、奥の方には梯子も2基ありますが、ここから見たかぎりではアイやチェーンなど、繋留設備は設けられていないようです。操作用把手も見えないので、セルフ操作式ではないような‥‥ん? 左の堰柱に、ロッドのようなものが伸びていますが、先端が魚道の吐口に隠れて見えませんでした。残念ながら正体はわからずじまい。

しかし、ゲートの真横に魚道の吐口が来ているあたり、堰上げたら相当な流れが渦を巻くわけで、通航船にとってはありがたくないレイアウトではあります。

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183068.jpg管理橋の上からも閘室を観察してみたくなり、ふたたび橋上へ。真横から見た一対のゲート、左手の前扉室がセオリーどおり、わずかながら高く造られているようです。閘室の有効長はどのくらいでしょう、20mほどでしょうか。芭蕉ラインのフネブネは、何とか通航できそうではありますね。

銘板を探してみると、ありました。後扉室の西側堰柱、橋の上から見える位置です。「最上川中流堰舟通しゲート」、径間5m、高さ4.4m。残念、閘室の寸法はなしですか。ノッポのゲートが堂々としているので、かなりの大きさに見えてしまいますが、径間の数字からすれば、小型閘門といってよい規模なのがわかりますね。

堰の径間の方は、41.9mと破格の広さ。しかし、銘板では閘門、堰とも「最上川中流堰」を称していますが、これが正式名称で、さみだれ大堰は通称なのかしら?

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橋上から、後扉室ゲートの巻上機室を一枚。ガラスブロックをはめ込まれた左右の明かりとり窓が、どこか泣きべそをかいているように見えて、ユーモラスな表情です。

183070.jpg橋の上から、扉体をのぞき込んで。下流側とは対照的に、フラットなスキンプレートが視界いっぱいに広がりました。清掃されているのか表面はきれいで、湛水線も見られませんね。

何より、水面からの高さが結構あって、肝が縮み上がるようです。水深が浅いせいか、はたまた目立つように塗り分けてあるのか、戸当たりが水底に白く透けて見えるのが印象的でした。

(27年11月22日撮影)

(『山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…5』につづく)

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山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…3

(『山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…2』のつづき)

183061.jpg管理橋を渡って、東岸にある国交省・東北地方整備局・酒田河川国道事務所の飽海出張所へ。休日のこととて無人ですが、屋外展示物があるせいか、幸い門は開いていたので、失礼して敷地内へ。

ベンチのある右の階段が、どうやらフィッシュギャラリーへの入口みたいですね。隣接する建物には、展望室や資料室らしきものも見え、さみだれ大堰、特に閘門のことを知りたい船頭にとっては残念でしたが、こればかりは致し方ありません。

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敷地内には石碑2基がありましたが、何といっても展示物の目玉は、この「ゴム堰実物大模型」でしょう。国内最大級のゴム引布製起伏堰、この珍しい堰の扉体を、実物と同じ素材で輪切りにして、触って確かめられる展示なのですから、物見高くもなろうというものです。

183063.jpg上写真、枠左側の水位尺(一番下1mは外れていますが)でもわかるように、起立(起伏堰の全閉は『起立』だそう! ちなみに開放は『倒伏』)時の堰高は2.7m。向かって右側が下流で、越流を整えるフィンが突き出ているのも再現されています。

スリングポイントは4ヶ所なので、全体の形を整えているのは、表裏に張られた帯金。ゴムというのと色が黒いことから、どこかタイヤっぽい感じがするかもしれませんが、間近で眺めるとむしろ、製造ラインのコンベアに使う、レザーベルトの質感によく似ていました。

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お待たせしました(自分に向けての言葉)。というわけで、いよいよ閘門を堪能しようと、鼻息も荒く下流側へ!

一見して感じた印象は、径間にくらべて堰柱の背がずいぶん高い、ノッポさんであること。扉体の天地寸法から考えれば、普通ならこの3分の2くらいで済みそうなものですが、計画高水位の上まで扉体を持ち上げておく必要があるためでしょう。

径間が狭いのに加えて、閘室長もご覧のとおり短いので、ノッポの堰柱とのアンバランスぶりが際立ち、それが他の閘門にない魅力になっているように思えました。

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閘室と岸の間には魚道があるので、何とももどかしい距離があるのですが、ここは近づけるだけ近づいて、後扉室ゲートをぐっと仰いだ一枚。高い位置に、扉体の点検用通路がめぐらしてあるあたり、急流に設けられたとあって、環境の厳しさを感じさせるものがあります。

扉体はおなじみローラーゲートですが、スキンプレートと反対側のこちらにも板が張ってあり、さらにステンレスをタイル状に上張り(?)してあるという、重装備といってよい型式。シェル式ゲートの一種かな? 

これも激しい流水から扉体を守るなど、河川環境ゆえの構造なのでしょうか。ステンレスの上張りは、上流側には見られなかったので、何か別の理由があるのかもしれません。
撮影地点のMapion地図

(27年11月22日撮影)

(『山間のノッポ閘門! さみだれ大堰舟通し…4』につづく)

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