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あいの水尾川水門…3

(『あいの水尾川水門…2』のつづき)

239051.jpg積み忘れをここで一つ。鯔越水門からスクノ海沿岸を南下したんですが、コンクリート堤防の天端にぽつぽつと、写真のような短い石柱が立っているのに目を奪われました。

わざわざ目立つ場所に、御影石の石柱がいくつも突き出ているさまはちょっと異様で、水難供養か何かのためと思っていたら、よく見ると建設会社の名前が彫られていました。堤防を施工した企業名でしょうか。

つまり、堤防の側面あたりに銘板を埋め込むのと同じ伝で、企業名を彫った石柱を立てている、ということかしら? 間違っていたらごめんなさい。この地域独特の習慣のように感じられて、珍しく見入ってしまいました。

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あいの水尾川水門に戻ります。テラス状の基礎護岸に降りて仰ぎつつ一枚。幅の割に背の高い、ノッポさんということもあって、低い場所から見ると迫力があります。

しかし、舟航密度が濃い水路にあるにもかかわらず、信号や照明はもちろん、注意書きのたぐいもなく実に簡素ですよね‥‥。鯔越水門もそうでしたが、前後に角落しの戸溝も切っていなかったあたりも、簡略な印象を受けました。

239053.jpg澄んだ水に惹かれて降りたこともあり、身を乗り出してのぞき込んでみると‥‥おお! 何かの稚魚でしょうか、小さな可愛らしい魚たちがたくさん泳いでいるのがよく見えて、水族館のよう。

水門から吐き出される流速はかなりのものですが、径間から外れたここは流れも穏やかで、稚魚たちが暮らすに適した環境のようですね。流れてくる内海からの海水が、餌を運んできてくれるのかもしれません。

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流速が実感できそうな写真を撮ろうと、頑張ってみたうちの一枚。鯔越水門よりはるかに速く、ときおり水音がするほど。望の大潮ということもあるでしょうが、呑口・吐口ともに狭いこの水域の特徴を感じさせる現象ではありました。

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離れる前に東岸の堤防上から。陽を浴びてまどろんでいるような風情ですね。この角度から見ると、横堤の表面、一定の高さでコンクリートが剥離して、鉄筋が露出しているのが目立ちますが、過去に繋留艇でもあってぶつけられていたのでしょうか。

島の内水を守る2水門のつくる風景、海水の流れる川などなど、大いに堪能できました。これにて大毛島を離れ、いよいよ吉野川流域へ向かいます。
撮影地点のMapion地図

(元年9月14日撮影)

(『旧吉野川河口堰…1』につづく)

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タグ : あいの水尾川水門あいの水尾川鳴門市

あいの水尾川水門…2

(『あいの水尾川水門…1』のつづき)

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水門の管理橋から北、先ほどの文化橋を望んで。興味深かったのは、写真左手に橋か水門の遺構らしいものが見られたことです。

橋脚に似た流路方向に長い構造物から、岸に向けてちょうど丁字に、横堤のようなものが伸びていたこと、岸の堤防高さが横堤の位置から上流は低くなっていることから、先代水門の遺構である可能性が高いように思われたのですが。いずれ過去の空中写真で確認してみましょう。

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遅ればせながら、堰柱に掲げられていた銘板です。「あいの水尾川水門」、昭和52年6月竣工。「港湾海岸保全施設整備工事」なるサブタイトルはあったものの、なぜか設備概要は記されていませんでした。鯔越水門より、9年ほど先輩なのですね。

施工企業の名称、「(株)×井組」と、削り取られたようになっていて、判読できません。そういえば、赤い塗料のようなものも点々と付着しているところを見ると、どうもいたずらされたようですね‥‥。

239048.jpg扉体を管理橋から見上げて。鯔越水門同様、ステンレスの生地のようです。

両水門とも、現在より規模の小さな、先代水門があったと見てよさそうですね。他の地域と同じパターンで、宅地化の進展などにより低地の人口が増え、より堅固な高潮対策が求められたのでしょう。


239049.jpg

239050.jpgこちらは河口という立地とあって、鯔越水門のように特異な水門風景とというわけではなく、ごく平凡なロケーションですが、両側に横堤を従えた姿は、やはりどっしりと頼もしいものが。滔々と吐きだされる河水が、水門の前で渦をなしているのも目を引きます。

澄んだ水に惹かれ、眼下の基礎護岸に降りてみたくなりました。確か、横堤近くにハシゴがあったな‥‥。
撮影地点のMapion地図

(元年9月14日撮影)

(『あいの水尾川水門…3』につづく)

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あいの水尾川水門…1

(『鯔越水門…3』のつづき)

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鯔越水門から入って南流した海水は、内海「スクノ海」を通って小鳴門海峡に抜けるわけですが、その出口にあたるもう一つの水門も見ておきたくなり、大毛島を南へ下りました。

山裾を内海が洗う地域を抜け出ると、かつては塩田だったという平地の中央を、蛇行した水路が流れる地勢に。その水路を渡る橋から、水門のある南を眺めたのが上の写真です。両岸にずらりと船がもやい、いかにも舟航が盛んな雰囲気ですね。

239042.jpg写真を撮った橋は、「文化橋」というちょっとくたびれた感じの桁橋。親柱の片割れを見てみたら、「あいの水尾川」と! 水源は鳴門海峡、流れ下る先は小鳴門海峡と、ともに海であるにもかかわらず、この水路は河川として扱われているのですね!

地図では「合の水尾川」という表記もあったのですが、水門、橋ともに平仮名表記だったので、ここでは後者に従うことにします。
撮影地点のMapion地図

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文化橋の上からズームでたぐり、水門に初お目見え。飾り気のない質朴な風貌は、鯔越水門に近い雰囲気。しかしこちらは2径間で、扉体の天地寸法も大きく縦長と、規模はずいぶん異なります。

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管理橋の橋詰から、水門の側面を見て。もっとも、河口の間口はほとんどコンクリートの防潮堤で、水門の径間はごく狭いため、堤防道とでもいった方がよいのでしょうか。両岸には段差があり、あくまで人道橋の扱いのようです。

239045.jpgここでもタイミングよく通航艇に遭遇、嬉しくなって身を乗り出し一枚。

そう高くはないものの、あいの水尾川、スクノ海ともに、沿岸には厳重にコンクリート堤防が巡らしてあったことから、これら2水門は大毛島内水沿岸の低地を、高潮被害から守るために造られたものと理解できました。

(元年9月14日撮影)

(『あいの水尾川水門…2』につづく)

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